最小限の道具でHGUC量産型ザク製作 工作編.5 「表面処理いろいろ」

1.はじめに

前項ではパーツの「合わせ目消し」を行いましたが、これ以外にも各パーツにはペーパーがけで整形をしておきたい要素…ゲートやパーティングラインなどがあります。
今回のテーマは合わせ目消し以外のそれら「表面処理」についてです。
また、前回の合わせ目消しで消えたスジボリの彫り直しについても(簡単ですが)説明しようと思います。
引き続き、整形作業は全てアートナイフと#400のペーパー水研ぎのみです…
今回も一つずつ、順に見ていきます…!

お題はHGUCの量産型ザクです!

使用している工具の紹介はこちら↓

前回の工程についてはこちら↓

2.表面処理のポイント

2-1.ゲート

表面処理
仮組みのためにニッパーとアートナイフで処理したゲート。「表面処理」の一環としてペーパーで削ります。

パーツをランナーから切り離した際に残るのがゲートの跡です。
仮組みの段階では完全にパーツと面一にせず少し残すようにしておき、表面処理の一環としてまとめて処理するのが良いと思います。
三つ折りのペーパーで削ってパーツの表面と平らになるように整形しましょう。

2-2.パーティングライン

表面処理
線状の凸部となっているパーティングライン。丁寧に整形して消してやりましょう。

プラモデルのパーツが型で成型される際にできる型の合わせ目がパーティングラインです。
合わせ目を接着剤で処理した部分のように線状の凸部になっています。
合わせ目消しと同様、アートナイフの刃をスライドさせるカンナ削りやペーパーがけで整形しましょう。
ペーパーがかけづらい形状の個所もありますが、折ったペーパーの角を使ったりと工夫して削りると作業しやすいと思います。

2-3.ヒケ

表面処理
パーツ表面の凹みとなって表れるヒケ。一見わかりづらい箇所もありますが、光を当ててみると発見しやすかったりします。ペーパーをかけるとその部分だけキズが付かずに元の光沢が残るので一目瞭然です。

プラモデルのパーツは、一見平面に見えても実際には微妙なうねりがあり、場合によっては部分的に大きな凹みになってしまっている部分もあります。
このようなパーツ表面にある大小の凹みをヒケと呼んでいて、表面処理のポイントの一つとなっています。
ここも三つ折りにしたペーパーで平面になるように整形します。
表面を「一皮むく」つもりで面を削ってしまっていいでしょう。
ここで注意するのは元々あるパーツの角(エッジ)を丸めてしまわないこと。
パーツの中央部を中心にペーパーをかけ、角部分には極力触らないようにすると危険が少ないです。
円を描くようにペーパーがけをするとやりやすいと思います。

表面処理
円を基本にペーパーがけ。切れ味の良いペーパーを使って最小限の回数で磨き作業が終わるようにするのがエッジを丸めないコツです。ペーパーはケチらずに適宜交換しましょう。

2-4.突き出しピン跡

表面処理
直径3mm程の丸い窪みになっている突き出しピン跡。パーツ表面に出ないよう工夫されている設計のキットが多いです。

プラモデルのパーツが型から外された跡…「突き出しピン」の跡です。
3mm程度の丸い跡の凹みになっていることが多いです。
表面処理として平らに整形するなら、「プラパテ」などを使って埋めた後でペーパーがけすることになる場合が多いかと思います。
ただ、パーツ設計の工夫でパーツ表面には極力出ないようになっていることも多いようです。
HGUC量産型ザクの場合もパーツの表側に出るものはないようですので、今回は特に処理をせずそのままにしています。

2-5.ウェルドライン

表面処理
ウェルドラインとは。パーツ上にスジのような模様が見える。塗装派モデラーは無視して大丈夫でしょう。

これは表面処理が必要なものではないですが、一緒に紹介します。
プラモデルのパーツによっては表面にスジ状の模様が見えることがあります。
これは成型時に樹脂が流れた跡でウェルドラインと呼ばれているもの。
パーツの形状に影響するものではないので塗装すれば見えなくなるため、全塗装仕上げの場合は気にする必要はないでしょう。
通常は、ヒケを処理する過程でペーパーがけをすれば見えなくなってしまいます。

3.スジボリの復活

表面処理
合わせ目消しをした前腕パーツ。元々の凹みディテール(スジボリ)が接着剤で埋まっています。

合わせ目消しなどの表面処理の過程で元々あったスジボリが埋まってしまうことがあります。
今回は前腕パーツが該当しますので埋まったスジボリの彫り直しをしてみました。
「スジボリ」も奥が深い技術で、最近は専用の道具もたくさん発売されています…
それらを使ってより確実に作業をしていくこともできるのですが…今回は道具縛り(!)があるのでアートナイフだけでやってみます。
スジボリも突き詰めていくと改造工作の範疇になってしまうと思うのですが、今回のような所謂「既存モールドの彫り直し」ならアートナイフでも可能かと思います。

表面処理
よく切れるアートナイフの刃で元々のスジボリをつなぐように「V字」に切り込む。失敗の修正は難しい(パテが必要)ので慎重に。

アートナイフの刃を元々のスジボリをつなぐようなイメージでパーツに当て、V字断面の溝を切るように若干角度を付けて切り込みます。
溝が切れたらアートナイフの刃の背側を使って溝をなぞり、元々のスジボリと切りなおした部分を馴染ませます。
これだけは今回取り上げた作業の中でも少し難しい加工なので慎重に慎重に…

表面処理
アートナイフの刃の背側を使ってスジボリを削り込む。消えた部分が繋がって見えればいいのでそこそこで止めましょう。やり過ぎは禁物。

最後に、スジボリに沿ってペーパーの縁でなでるようにし、形を微調整して終了です。

スジボリ
ペーパー(三つ折りでない)の縁で微調整…

下の画像が加工終了後のパーツ。
元々のスジボリと違和感なく繋がるように加工できれば成功です…!

スジボリ
加工後のパーツ。深さや幅を元のスジボリと合わせるように意識します。

4.まとめ

表面処理は基本的な技術であると同時に製作者の技量が反映されやすい部分でもあり、キッチリこなせると完成品の見栄えも一段と良くなります。
と、同時に最初のうちは完璧にこなすのは難しいものです…

道具も限られる今回のような製作では、まず「目立つところだけ」処理するのも一つの考え方かと思います。
特に全塗装する場合、目立つ部分のパーツ表面がキレイに処理されているだけでも、完成品は違って見えるものです…
とはいえ、今回は(ほぼ)全てのパーツをペーパーがけして処理しました。
道具が揃っていないと、作業自体は可能でも時間がかなりかかってしまいますね…

さて、表面処理が終われば次はいよいよ塗装に入れます。
当ブログのコンセプト通り、塗装は水性アクリルの筆塗りで…今回は2019年秋にリニューアルした新版の水性ホビーカラーを使いました。