基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編3.「アクリジョン ベースカラー筆塗りでABSパーツの下地塗装」

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工作編1.「パーツの切り出しとゲートの処理」
工作編2.「スナップフィットの処理」
工作編3.「表面処理で使う工具・一覧レビュー」
工作編4.「表面処理・その1(基本的なペーパーがけ)」
工作編5.「表面処理・その2(合わせ目消し)」
工作編6.「表面処理・その3(ABS製パーツの処理、その他)」
工作編7.「やさしめディテールアップ加工・その1(簡単な削り込み)」
工作編8.「やさしめディテールアップ加工・その2(ノミを使った彫り込み)」
工作編9.「やさしめディテールアップ加工・その3(プラ材を使った改修)」
塗装編1.「塗装の準備~塗装道具を一覧で紹介」
塗装編2.「水性ホビーカラー筆塗りの基本と下地塗装」
塗装編3.「アクリジョン ベースカラー筆塗りでABSパーツの下地塗装」
塗装編4.「再度の仮組みと塗り残しチェック」
塗装編5.「水性ホビーカラー筆塗りで黒立ち上げ・2色目以降の重ね塗り」
塗装編6.「ハイライト・シャドウの描き込みとドライブラシによる筆ムラの馴染ませ」
塗装編7.「メイン以外の色を塗っていく・その1(本体の黒いパーツ・関節・バーニアの塗装)」
塗装編8.「メイン以外の色を塗っていく・その2(動力パイプ等の黄色・ビームライフル等武器類の塗装)」
塗装編9.「細部の塗装・その1(はみ出しの修正、ファンネル・バーニアの塗り足し)」
塗装編10.「細部の塗装・その2(シールド・ビームライフルの塗り足し、塗装で表現するモノアイとセンサー)」
塗装編11.「シールの扱いと筆でのタッチアップ」
完成品ギャラリー

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下地塗装の続きです。

工作でも扱いの難しいABS製パーツですが、塗装においても溶剤の浸透による「割れ」の危険があるとされています。
ラッカー系はもちろん、水性アクリル系の水性ホビーカラーにおいてもそれは同じですね。

GSIクレオスの塗料パンフレット。
右上の注意書き「ABS樹脂パーツの塗装について」という項目に注目。

ABSに安全に塗装ができるとされているのはラッカー・水性アクリル・エナメルという既存の模型用塗料3系統のどれにも属さない「水性エマルジョン塗料」である「アクリジョン」。

管理人は出戻り系モデラーなので最近のABSパーツを使用したキットの塗装経験が今回初だったりするのですが、「割れ」のリスクはできるだけ避けたいと思い、今回アクリジョンでの筆塗り塗装に初挑戦してみました。
下地塗装に丁度良い「アクリジョン ベースカラー」なる塗料も発売されていますしね。

アクリジョン ベースカラー、まずは攪拌

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管理人にとって完全に未知の塗料「アクリジョン」…通常タイプも使ったことがないのに、こちらは「ベースカラー」という特殊なタイプです。
メーカーサイトで情報を確認すると、「粘性が高い」「顔料の粒子が大きい」等の特徴があるようですね。
もちろんABS樹脂に使用できることも明記されています。

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ビンのラベルにも「ABSやレジンに塗装する際のプライマーとして~」との記載がありますね。

早速フタを開けて中身を見てみると…

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写真では少し分かりづらいかもしれませんが、顔料成分と溶剤の分離がかなり激しいです。
ビンの底に、まるで「煮凝り」のようになった顔料の塊が沈殿しているので、攪拌はかなりよく…念入りに行った方が良いですね。
水性ホビーカラーも「ホワイト」などはビンの中での顔料の分離が激しかったりしますが、アクリジョンベースカラーはそれ以上の分離・沈殿ぶりです。
ビン入りのサーフェイサーに近い状態と言った方が良いかもしれません。
今回、まずはビンの中身が均一になるように調色スティックで何十回もかき混ぜました。
管理人の体感としては、100回以上の攪拌をしてようやく普通に使用できるような印象です。

希釈して筆塗り

実際の塗装では、塗料の希釈率についてはかなり迷いました。
ネットや雑誌で色々調べても、公式・非公式、プロ・アマを問わず色々なことを言っている人がいて、どうすれば良いのか良く分からないんですよね(笑)

結局、「プラモをビン生の塗料で塗装するのは抵抗がある」という自分の感覚を信じてうすめ液で希釈する方法を選択。
用意したうすめ液は「アクリジョン エアブラシ用うすめ液 改」です。

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「リターダー」や、通常タイプの「うすめ液」は塗料に対する溶剤添加の割合が「少量」と指定されていたので、メーカー公式でより薄くの希釈ができるとされている「エアブラシ用・改」を選びました。
それでも「塗料:うすめ液=1:0.3」の割合が指定されているので(しかもエアブラシ使用時)、水性ホビーカラーの感覚で考えるとかなり濃い状態で使うことにはなりますね。

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こちらが実際にABSパーツに筆塗りで1層目を塗ったもの。
アクリジョン ベースカラーのベースグリーンという色ですね。
希釈率は「塗料:うすめ液=1:0.5」で、メーカー推奨の「1:0.3」よりはやや薄めといったところです。
若干の透けはありますが、1層目の塗膜だけで殆ど下地を覆いつくしていますね。
(もの凄い隠ぺい力!)
希釈してこれですから、ビン生では1回塗りで十分なくらいなのでしょうね。

本当はもっと薄めて重ね塗りをする塗り方をしたかったので、他の希釈率も試してみたのですが…「塗料:うすめ液=1:1」の2倍希釈程度でも、このアクリジョン ベースカラーには薄すぎるようでした。
薄め過ぎると、何故か塗装面での「弾き」も発生しますね。(うすめ液を使っているのに!)

ただ、何とか1層目に薄くでも塗膜ができれば、それ以降の重ね塗りでは格段に塗りやすくはなるようです。
このあたりの感覚は水性ホビーカラーなどにも近いものがあります。

今回は「弾き」のリスクを負ってまで薄塗りすることはないと考えて「塗料:うすめ液=1:0.5」の希釈率で塗っていくことにしました。
隠ぺい力が高いので、それでも2層程度を塗れば終わりにできそうな感じです。

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こちらはその2層目を塗った状態。
やはり2回塗り程度で、下地のプラはほぼ覆いつくされたようになりますね。
この上から通常の塗料(水性ホビーカラー)を塗って仕上げる前提なので、下地としてはここまで塗れていれば十分でしょう。

塗装したパーツを見てみると、顔料粒子が大きいというか、タミヤアクリルのつや消し色以上に表面がガサガサになっていますね。
まぁ、裏を返せば筆ムラが気になりにくく、上塗りの塗料の乗りが良いということでもありますが…

乾燥も適度に早く、他のパーツを塗って一巡してくるころには最初に塗ったパーツが乾いている感じです。
それでこの隠ぺい力ですから、作業効率はかなり良いと言えるでしょう。

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こちらは細かなパーツたち。
ABS製パーツは関節部などに多く使われているため、必然的にディテールが入り組んだパーツも多くなりますね。
サッと一通り塗ってみた感じでは、塗膜でディテールが埋まったりダルくなる感じも心配していたほどではないようです。

多少、下地が透けていたりするパーツもありますが、これはあくまでも下地なので、今回はホドホドで終わりにしておくことにします。

アクリジョンの後片づけにも、やっぱりマジックリンが効く

塗装が済んだら後片付け…なのですが、水性アクリル系塗料で定番のマジックリンは果たしてアクリジョンにも有効なのでしょうか?
塗料皿の上で乾燥して固まってしまったアクリジョンにマジックリンを吹きかけてみました。

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しっかりと落ちてくれます!
マジックリンが浸透すると乾燥した塗料も溶け出し、塗料皿の上でまとまった固まりになっていた塗料は層状の塊となって剥がれていきました。
ここまでの溶解力があれば後片付けはかなり楽ができそうです。

有機溶剤を使わなくても良いというのはやはり大きな安心感になりますね。
(※なお、マジックリン使用時は手袋推奨です。念のため…)

おしまい

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アクリジョン ベースカラーで下地塗装をしたABS製のパーツたち。
関節部などが中心なのでパーツ割れのリスクはできるだけ避けたいところ。

今回はアクリジョン ベースカラーについて、簡単にですが使用感を記事にしてみました。
新しいマテリアルは癖を掴むまでが試行錯誤の繰り返しで難しいですね!

とりあえず、あまり薄めの希釈には向かないということは感じられるので、しばらくは今回のような「塗料:うすめ液=1:0.5」の割合で使っていこうと思っています。

さて続いての内容ですが、今度は再度の仮組みを行います。
早い段階で関節部に多用されているABS製パーツを塗ったのはそれが理由でもあるのです。
詳しくはまた次の記事で…

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