基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編9.「細部の塗装・その1(はみ出しの修正、ファンネル・バーニアの塗り足し)」

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工作編1.「パーツの切り出しとゲートの処理」
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工作編9.「やさしめディテールアップ加工・その3(プラ材を使った改修)」
塗装編1.「塗装の準備~塗装道具を一覧で紹介」
塗装編2.「水性ホビーカラー筆塗りの基本と下地塗装」
塗装編3.「アクリジョン ベースカラー筆塗りでABSパーツの下地塗装」
塗装編4.「再度の仮組みと塗り残しチェック」
塗装編5.「水性ホビーカラー筆塗りで黒立ち上げ・2色目以降の重ね塗り」
塗装編6.「ハイライト・シャドウの描き込みとドライブラシによる筆ムラの馴染ませ」
塗装編7.「メイン以外の色を塗っていく・その1(本体の黒いパーツ・関節・バーニアの塗装)」
塗装編8.「メイン以外の色を塗っていく・その2(動力パイプ等の黄色・ビームライフル等武器類の塗装)」
塗装編9.「細部の塗装・その1(はみ出しの修正、ファンネル・バーニアの塗り足し)」
塗装編10.「細部の塗装・その2(シールド・ビームライフルの塗り足し、塗装で表現するモノアイとセンサー)」
塗装編11.「シールの扱いと筆でのタッチアップ」
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塗装編もいよいよ大詰め、今回はこれまで塗ってきたパーツのさらに細かな部分の塗装をしていこうと思います。
最終仕上げの直前は気持ちがダレやすい(管理人だけ?)のですが、完成まで集中してしっかりとやっていきましょう。
必然的に細かく描き込む部分が多いので、平筆でほとんどを塗ってきた今までとは違い、主に面相筆を使っていくことになりますよ。

はみ出しの修正

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細部の修正作業としては、まず色のはみ出しから直していくことにしましょう。
メインとなる外装外側の赤色を塗った時に、裏側にも色が回り込んでいる部分があります。
こういった箇所の修正では上から暗色を塗り足すことになるので、隠ぺい力の面でも有利で少ない塗りの回数で目的の色を発色させていくことができ、そういう意味では少し楽ができそうですね。

上の写真は肩アーマーを裏から見たところ。
矢印の部分に微妙に裏側へのはみ出しがあるのですが、ここは本当に少しのはみ出しだけなので、写真ではちょっと分かりづらいかもしれないです。

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この写真でははみ出しがより分かりやすいですね。
肩に付くバーニアカバーのようなパーツの裏側です。
赤色がくっきりとした線で裏に回り込んでいるのが分かると思います。

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こちらはプラ板で裏側にフタをしたフロント・スカートアーマー。
パーツの輪郭に沿って、大きくはみ出しがありますね。
ここは後で修正することを前提に、赤色はかなりラフに塗っていた部分でもあります。
どうしてもはみ出しが嫌ならマスキングが必要になってきますが、そこまでする程のことでもないでしょう。

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修正には面相筆を多用します。
筆の穂先はピンと尖った状態を保てるよう、また穂先に塗料を付けすぎないようにします。
塗料皿のフチで筆先をよくしごいたら、そこから更にキムワイプの上で塗料の量を減らしながら穂先の状態を整えるようにしましょう。
穂先の状態が適正でないと、筆の正確なコントロールができません!

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こちらは早速はみ出しを修正した状態。
と言っても、このパーツは元々のはみ出し方も多くなかったので変化が分かりづらいかもしれないですが…
一応、塗り分けを修正したことで色の境界線もカッチリとした印象になりました。

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さっきとは逆向きですが、こちらのパーツも修正済の状態
このパーツは裏側のレッドブラウンを塗り足すのと同時に、赤色側のキワにも茶色のはみ出しがあったので赤の上塗りでも修正をしています。

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フロント・スカートアーマーの裏です。
ここはまず裏面を赤のはみ出しごとレッドブラウンで塗りつぶしました。
面積が広いので面相筆のほか、平筆も併用しています。
しかし…この状態ではいまいち装甲裏っぽくないので、ここからもう少し塗り足します。

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ここではレッドブラウンの上からRLM74 グレーグリーン(フラットベース添加)を上塗り。
下地のレッドブラウンの影響なのか、かなり緑がかった不思議な色になりましたね。
装甲の裏面に入るメカ色としては悪くない雰囲気なので、今回はこの色のままで塗り終わることにしました。

(参考リンク)
セーブル長峰 No.1|画材・文具雑貨の通販 Toolswebshop/cotoramonora

足りない色を塗り足していく

ファンネル

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はみ出しの修正が出来たら、基本塗装で塗り切れていない色を足していきましょう。
写真のパーツは展開状態のファンネル。
本体の赤部分と一緒に黒立ち上げで塗っておいたのですが、裏側も赤では違和感があるのでもう少し塗り足しておきましょう。
なお、表側にあるビームの砲口付近は特に塗り足しをせず、このままで完成としています。
黒立ち上げ塗装の際に上塗りを控えめにしたことで、若干ながら暗めの赤となっていますね。

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裏側にはフロント・スカートアーマーの裏にも使用したRLM74 グレーグリーンで塗り足し。
少し下地の赤が透けていますけど、深追いはせずにこのままで終了としました。
単色ベタ塗りで完全に塗りつぶすと、それはそれで違和感がありますからね。

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収納状態のファンネルもグレーを塗り足しです。
3基が連結されて1つのパーツになっていますが、連結部分をキッチリ塗り分けておこうと思います。
まあここは工作の段階で3基をバラバラにして制作しても良かったかもしれないのですが…

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連結部分と、展開した時に噴射ノズルとなる裏側もにグレーを塗装。
使用したのは先程と同じRLM74 グレーグリーンです。
連結部分は本来は形状として存在しない部分なのですが、グレーで塗り分けたことで一応それらしく見えるようにはなったと思います。
このパーツもこれで終了。

スカートアーマーと股下の小バーニアノズル

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そして、ここはちょっと大変な部分です。
フロント・スカートアーマーとフンドシ部分(笑)の下部、それにリアのスカートアーマーにも装備されている小バーニアやダクト状のディテール。
これらは黄色で塗り分けなければなりません。
黄色は隠ぺい色が弱いので発色もしづらく、また影色を入れる場合、その加減によっては一気に汚らしくも見えてしまうので、塗装表現として難しい部分です。

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前側の腰回りを担当するパーツたち。
ちなみに今回塗装するこれらの小バーニアのノズル部分は、ディテールアップの一環として彫り込みを行った箇所。
このようにしっかり塗装をして仕上げていく場合には、特にディテールアップ工作の効果も活きてきます。
スミ入れやウォッシング等の塗装表現は特に行っていませんが、黒立ち上げの過程で奥まった箇所にはあまり明るい赤を塗らないようにしていたため、この段階でも自然とそれなりの陰影が付いていますね。

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やはりここの塗装でも、塗料を含ませた面相筆の穂先の状態を良く整えることが重要です。
塗料の付けすぎは厳禁なので、キムワイプを活用して適度に筆に含んだ塗料を落としましょう。

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面相筆の穂先を使って、慎重にミドルストーンを描き込んだ状態。
塗料にはフラットベースも混ぜていますよ。
フロント・スカートアーマー(写真で左右にあるパーツ)下部の小バーニアノズルは、ディテールの凸部分にだけ色が乗るように塗っています。
なるべくはみ出さないように気を付けて塗装しますが、絶対にミスをしないのは不可能なので、もし少し赤側にはみ出してしまった箇所があったら、レッド(赤)にフラットベースを加えたもので細かく上塗りして修正します。

股下のバーニア(写真中央のパーツ)はこれだけではやや単調に感じますが、フロント・スカートアーマー下部の小バーニアは割と良い雰囲気ですね。
ミドルストーンは黄色系としてはかなり彩度の低い色なのですが、この部分に関してはこれだけでも違和感はないように感じます。
ということで、こちらのパーツはこれで塗り終わり。
もちろん、好みによってはオレンジイエローなどのより彩度の高い色で塗り足しをして色味を加えてやれば良いですね。
ここでは股下パーツのバーニアに、もう少し描き込みを加えてみましょう。

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先程の状態ではミドルストーンが部分的に少し透けていたので、同じ色でもう一度重ね塗り。
二回塗りするとかなり発色してくれますね。
ただ、単色のベタ塗りなのでやはりこれだけではバーニア部分の色味が足らず、少しのっぺりとした印象を受けます。

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オレンジイエローにミドルストーンを少量加えて彩度を落とした色で上塗り。
色が明るくなって、少し生き生きとしてきましたね。

管理人の制作スタイルとして、塗装ではできるだけ混色はしたくないのですが、この部分のように微妙な色合いが欲しいときには混色もやむを得ないこともあります。
なお、今回のように塗料皿の上でその場の感覚で色を混ぜて使う場合、後から全く同じ色を作るのは不可能なので、なるべく時間がある時にまとめて作業をするようにして、中途半端に作業を中断せず、同じ色は一気に塗り上げるようにした方が良いでしょう。

学生時代なら徹夜で塗装をすればそんなことは考えなくても良かったんですけどね。
社会人モデラーはどうしても体力・気力・家庭の事情(?)等によって普段は長時間の連続作業をすることが難しいと思いますが、時間配分をよく考えた塗装計画で作業を進めていきたいところです。

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次は影色を足してみます。
ディテールの凹部分にやや多く塗料が溜まるような感じで、薄めに希釈したレッドブラウンを描き込みましょう。
(なお、細かな塗装をする際は写真のように右手の小指を塗っているパーツに当てて支えにすると手先が安定しますよ。)

ちなみに、影色だからと言って安易に黒やグレーを選ぶのは良くないです。
スミ入れ等にも言えることですが、後から描き込む暗色は基本色との調和を考えて色を選ぶ必要があります。
純粋な黒を使うと一気に色がわざとらしくなるので、気を付ける必要がありますね。

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レッドブラウンが入ったことで、また少し感じが変わりました。
凹部が強調されて彫り込んだ形状も良く分かるようになりましたが、このままでは少し汚らしく見えてしまうので、ここから更に色を足しましょう。

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ディテールの凸部を中心に、オレンジイエローで描き込みを加えました。
オレンジイエローそのものはかなり鮮やかな色ですが、希釈した色を塗っているのでそのままでは発色せず、写真のような状態で落ち着いています。
先に塗ってあるレッドブラウンを馴染ませるようなイメージで色を足していきましょう。

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同じ状態で別角度から。
それぞれの色が馴染んだことで、それなりに立体感のある仕上がりとなったのではないでしょうか。
どこまでやるかは制作者のセンスによる部分も大きいですが、今回はこの部分の描き込みもこれで終了にしたいと思います。
(実際にはこの写真を撮った後に赤色部分への僅かなはみ出しに気が付いたので、赤で若干の修正を行いました。)

(参考リンク)
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リアのスカートアーマーも同じように、左右の小バーニアと写真で手前に見えているダクト状ディテールの部分を黄色で塗り分けます。
使った色も先の例と同じなので、ここでは簡単に塗装過程を見ていきましょう。

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黄色を塗装する前の状態を斜めから。
サイドの小バーニアと下部のダクト状ディテールの部分ですが、やはりここも基本塗装の黒立ち上げの過程で途中から明色を塗り込んでいないので、ディテールの内部が若干暗い色に見えますね。
後で違う色を塗り足すことが前提なので少し横着をしているのですが、かと言ってプラ地そのままだとパーツ自体が透けて見えてしまったり、上塗りの塗料の乗りも悪かったりもして良くありません。
一応、こういった部分であっても今回のようにある程度までは塗膜を作っておいた方が良いと思いますね。

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そして細部の描き込みです。
ミドルストーン、一度目の塗装。
希釈しているので全体的に透けて見えています。
焦らずに一旦乾燥を待ち、ここから同じ色でもう一度重ね塗りをしていきましょう。

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ミドルストーンで2層目の塗装。
写真では変化が分かりにくいですが、1層目の塗装よりも下地の透けは少なくなっています。

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オレンジイエローにミドルストーンを少量混ぜて3層目を塗装。
全体的に塗りつぶしているので少しのっぺりとした感じはしますが、発色はなかなか良いようですね。
もう少し色を足しましょう。

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薄めに希釈したレッドブラウンで4層目。
この色が影色になってくれます。
あとは明色を重ねて全体を馴染ませていけば良いですね。

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オレンジイエローを重ねた5層目。
先に塗った影色・レッドブラウンの違和感もだいぶ和らいだのではないでしょうか。

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最後ははみ出しの修正です。
塗り分けキワを、つや消しにした赤で細かく描き込んで色の線を整えます。
塗料の含み具合を良く整えた面相筆の穂先で慎重に作業を進めましょう。

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これが完成状態。
色のはみ出しは意外と完成後にも目立つので、丁寧に修正しておきたいところです。

(参考リンク)
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前に塗り分けたバーニアパーツ等にも色を足します

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こちらは前の工程で元々塗り分けてあった部分ですが、単体のバーニアやメガ粒子砲のパーツ。
今回塗装したスカートアーマー等の小バーニアと比べると黄色の鮮やかさが低く統一感に欠ける感じがしたので、この段階でオレンジイエローを塗り足して色味を調節しています。
写真にはありませんが、他のバーニアパーツの内側もここと同様に一部塗り足しを行っています。
陰になる部分など、場所によっては単色のミドルストーンでも十分黄色に見えたりもするので、完成後に配置される場所や近くにある色とのバランスも考えて色の鮮やかさを調節すると良いと思います。

ちなみに上の写真にあるのはランドセルの背面に付くバーニアノズル。
完成後にも非常に目立つ部分なので、ミドルストーンの単色よりはかなりオレンジイエローに色味を振っています。

おしまい

今回のように、細部の塗装において面倒なマスキングをせずに面相筆で塗り分けをしていくことができるのは筆塗りのメリットではあるのですが、フリーハンドでの塗り分けはかなりの集中力が必要な部分でもありますね。
管理人は無理して長時間の作業を行わず、短時間の作業を繰り返して塗り分けを進めるようにしています。
(だから完成が遅いのですが…笑)

次回も塗り分けの続きです。
まだまだ細かい作業が続きますね…

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