基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編11.「シールの扱いと筆でのタッチアップ」

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工作編1.「パーツの切り出しとゲートの処理」
工作編2.「スナップフィットの処理」
工作編3.「表面処理で使う工具・一覧レビュー」
工作編4.「表面処理・その1(基本的なペーパーがけ)」
工作編5.「表面処理・その2(合わせ目消し)」
工作編6.「表面処理・その3(ABS製パーツの処理、その他)」
工作編7.「やさしめディテールアップ加工・その1(簡単な削り込み)」
工作編8.「やさしめディテールアップ加工・その2(ノミを使った彫り込み)」
工作編9.「やさしめディテールアップ加工・その3(プラ材を使った改修)」
塗装編1.「塗装の準備~塗装道具を一覧で紹介」
塗装編2.「水性ホビーカラー筆塗りの基本と下地塗装」
塗装編3.「アクリジョン ベースカラー筆塗りでABSパーツの下地塗装」
塗装編4.「再度の仮組みと塗り残しチェック」
塗装編5.「水性ホビーカラー筆塗りで黒立ち上げ・2色目以降の重ね塗り」
塗装編6.「ハイライト・シャドウの描き込みとドライブラシによる筆ムラの馴染ませ」
塗装編7.「メイン以外の色を塗っていく・その1(本体の黒いパーツ・関節・バーニアの塗装)」
塗装編8.「メイン以外の色を塗っていく・その2(動力パイプ等の黄色・ビームライフル等武器類の塗装)」
塗装編9.「細部の塗装・その1(はみ出しの修正、ファンネル・バーニアの塗り足し)」
塗装編10.「細部の塗装・その2(シールド・ビームライフルの塗り足し、塗装で表現するモノアイとセンサー)」
塗装編11.「シールの扱いと筆でのタッチアップ」
完成品ギャラリー

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最後は付属のシールを貼っていきましょう。
今回のHGUCサザビーに付属するシールは、上の画像のもの1枚だけ。
シールド中央のネオジオン章と左のフロント・スカートアーマーに付くシャアのパーソナルマーク、それにモノアイの緑色を補うものですね。
モノアイは筆塗装でもう仕上げてしまったので、ここでは二つのマーキングシールについて見ていこうと思います。

シールの貼り付け

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塗装済みのシールドと、これから貼ろうとしているシールを並べてみました。
シールド凸モールドの塗装した黄色い部分とシールの色味を比べてみて欲しいのですが、かなり違った色に見えますね。
この色味の違いがシールの難点の一つで、これをそのまま貼ったとしても周りとの調和が取れずに色が浮いてしまいます。

さらに、シールの問題点として最も大きなものが「余白」の存在。
このHGUCサザビーに付属のシールはテトロンシールと呼ばれる透明な余白のあるもので、貼り付けた後にこの余白が(悪い意味で)かなり目立つのです。
よく言われるセオリー的な方法としては「シールの余白は切って使う」というものがありますが、それでも通常、若干の余白は残ってしまいます。
そこで、今回はちょっと考えてみました。

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今回使用するマーキングシールはそれ程複雑な形状ではないので、図柄ギリギリまで、余白がゼロになる部分まで切り取りをしてから使ってみることにします。
シールドに貼り付けるネオジオン章は直線的な図柄なので、定規を当てたアートナイフでしっかりと直線を出しながら切り込みを入れました。

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切り込みを入れたシールに塗料を塗って少し色も変えてみます。
プラ地よりもやや塗料の乗りが悪い感じはしますが、一応水性ホビーカラーでもシールへの塗装自体は可能なようです。
使用した塗料は本体の黄色部分と同じくオレンジイエローにミドルストーン少量を混ぜたもの。
フラットベースも入れています。

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シールの貼り付け位置には目安となるモールド等はないので(モールドがあるならそれ自体を塗装すれば良いので、そもそもシールは使わないですが)、場所をしっかりと検討しなくてはいけません。
写真はキットのインスト(組み立て説明書)の表紙ですが、ここに載っている完成見本が一応の正解のはずなので、今回はこれを参考にしてみることにしました。

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完成見本の写真を参考に、マスキングテープの細切りで貼り付け位置のガイドを作ります。
シールの貼り付け位置を微調整するには、シールを水にくぐらせることで粘着力を弱まらせ、水分が乾燥するまでの間に位置決めを行うという方法も模型誌などで古くから紹介されてきました。
慎重に行くならそのような手順を踏んでも良いのですが…

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今回はマスキングテープのガイドを使った一発貼りでやってみます。
シールを貼る面もやや沿った曲面となりますが、曲率はなだらかなので、慎重に進めればそれほど難しい作業ではないでしょう。

そして基本事項ですが、シールの扱いにはピンセットを使います。
ここで使っているのはゴッドハンドのパワーピンセット・先広タイプ。
写真のように先端が尖っていなくごく細い平面になっているので、シールやデカールに負荷をかけずに扱うことができ、このような作業には便利な一品です。
また、管理人は塗装中に不意に巻き込んでしまったホコリを塗膜から取り除くのにもこのピンセットを使っています。
幅広の先端部分が塗膜からピョコンと飛び出たホコリの端を掴むのに丁度良いんですよね。
お値段もそれなりですが、先端の精度や本体の強度も充分なもので、グレードの高いピンセットとしては管理人お気に入りの一本です。

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切り出したシールをシールドのパーツに貼りました。
写真はマスキングテープのガイドを取り除いた状態です。
ガイドのお陰で位置のズレはなくピタリと貼ることができましたが、こうしてみるとけっこう違和感がありますね。
もう少しよく見てみましょう。

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余白を完全に切り取ってはいるものの、シール自体に厚みがあるために塗装面からは完全に浮いてしまっています。
切り出した形状自体にも僅かなブレがあり、少し形が歪んでいる部分もありますね。
また、シールの上から塗った色も、単色ベタ塗りでは下の基本塗装と比べて少し不自然に見えてしまうようです。

ということでこのままではとても違和感があるので、今回はこの上から筆のタッチを加えて何とか修正を試みることにしました。

筆塗りでタッチアップ

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まずは、シールの上からミドルストーンを上塗りしてみました。
わざとややはみ出し気味に塗ることで、シールの段差や輪郭のブレを誤魔化せないだろうか…という作戦です。
この段階ではまだまだ違和感がありますね。

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今度はオレンジイエローを上塗り。
さらに輪郭がボケたことで、シールを貼っただけの唐突さは少し和らいできたように思えます。
もう少し続けてみましょう。

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輪郭をなぞるようにレッドブラウンで描き込みをしてみたところ。
シールっぽさが更に薄まり、筆塗りらしくなってきましたね。
ただ、オレンジイエローとの色の差が大きすぎて輪郭の縁取りが少し唐突に見えてしまうようです。
さらに描き込みをしてみます。

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縁取りを残すようにしてミドルストーンで描き込みです。
あえてムラっぽく塗ることで「手描き感」を出してみました。
塗膜がかなり厚くなってきましたが、それはそれで立体エンブレムのように見せることができるので、ここではあまり気にしないことにします。

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ミドルストーンでは色が地味すぎるので、再度オレンジイエローでマークの内部を塗ってみました。
この部分はこれくらい彩度の高い色にしておいた方が見栄えが良いと思います。
ネオジオンの象徴たるエンブレムなので、目立ったほうが良いですしね。

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最後は周囲にはみ出したレッドブラウンの縁取りを修正します。
基本塗装のミッドナイトブルーを使って面相筆で慎重にエンブレムの周囲を描き込み、形を整えながら余計なはみ出しを塗りつぶします。
写真は修整が終わった状態。
シールの上に塗料の厚塗りをしたことでエンブレム部分が盛り上がっていますが、これはこれで「手描き風立体エンブレム(?)」として悪くない雰囲気だと思います。
シールドの他のパーツと合わせて最終的なイメージを確認してみましょうか。

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赤色のパーツと組み合わせてみた状態。
シールドとしてはこれが完成形になりますね。
こうして見ると、なかなか良い雰囲気に仕上がったのではないでしょうか。
少なくとも、最初の「シールを貼っただけ」の違和感はほぼ無くなったのではないかと思います。
今回はこれを完成状態とすることにしましょう。

(参考リンク)
セーブル長峰 No.1|画材・文具雑貨の通販 Toolswebshop/cotoramonora

シャアのパーソナルマーク

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同様に、こちらはもう一つのマーキングシールであるシャアのパーソナルマーク。
シャアの本名である「キャスバル・ダイクン」のイニシャル「C・D」を「ト音記号」風にアレンジしたものだそうです。
余白ゼロで切り出したシールを指定の左フロント・スカートアーマーに貼り付けていますが、フリーハンドのアートナイフでは刃先がマーキングの曲線に上手く追従できず、切り取りラインがガタガタになっていますね。
これも同様に、筆塗りで修正をしてみましょう。

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まずは輪郭のガタガタを何とかしたい…ということで、基本塗装である赤(レッド)でシールのフチをマーキングの内側に若干はみ出すような形で塗ってみた状態。
シール貼りっぱなしよりは少し形が馴染んだ感じがしますかね。
しかし、まだまだ筆のタッチを重ねましょう。

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マーキングをなぞるように、オレンジイエローで描き込み。
更に少し良くなりましたが、まだ少し「シールを感じる」(笑)ので、描き込みを続けます。

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オレンジイエローで更に縁取りを少しはみ出すように塗り、レッド(赤)でそのはみ出し具合を修正した状態。
このパーツはこれで完成としました。
やはりシールの上に厚塗りをしたことでマーキング部分が少し盛り上がってみえるのですが、最初の「シール貼っただけ感」はかなり軽減できたのではないかと思います。

こういうマーキングは付属のシールをドライデカールに変更してくれるとモデラーとしても楽ができるのですが、価格の安い(また、「組み立て式のアクションフィギュア」としての需要が多いであろう)HGシリーズではなかなか難しいところなのかもしれません。
やはり最強はフリーハンドの面相筆でマーキングを手描きしてしまうことなのかもしれませんが、それはもはや「基本」ではない気がする…(笑)。

(参考リンク)
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おしまい

シールの貼り込みも何とか形になり、全ての塗装作業を終えることができました。
基本塗装がコテコテの重ね塗りなので、このような仕上げの上では(今回のような方法に限らず)シールも何らかのタッチアップが必要かと思います。
余白が目立ちにくいドライデカールや水転写式デカールであっても、色味の違和感を抑えるために若干の描き込みをした方が自然な仕上がりになると思いますよ。
今回は重ね塗りしすぎて立体エンブレムのようになってしまいましたが…個人的にはそれも含めて割と良い雰囲気に仕上がったのではないかと思っています。

さて、これで長い長い塗装作業もついに終了となります。
次回はいよいよ完成品の紹介です!

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