最小限の道具でHGUC量産型ザク製作 塗装編.1「水性ホビーカラーで基本塗装」

1.はじめに

長い基本工作が終わればやっと塗装に入れます。
模型製作で最も楽しいのがこの塗装ですね…!
当ブログは水性アクリル系塗料の筆塗り専門を標榜していますので、もちろん筆だけで塗っていきます!
技術的なことやセンスなどの面で、上手いとか下手とか色々あるとは思いますが…
今回のザクのような「ジオン系でシンプルなデザインの機体」の場合、誤魔化しもしやすいので難しく考えず適当にペタペタ塗っていきます。

お題はHGUCの量産型ザクです!

前回の作業工程はこちら↓

今回の塗装に使う道具は以前の記事で紹介しています↓

2.パーツの洗浄

工作が終わったらいざ塗装…!
といきたいところですが、その前にするべきことはパーツの洗浄です。
これには以下の効果があります。

  • 工作の削りカスを取り除く
  • 作業中に付着した手の脂を取り除く

水性アクリル系塗料を使用する場合、特に水希釈の場合、この手の脂を取り除くということが重要になってきます。
今回は水性ホビーカラーを水(水道水)で希釈して使用しましたが、水希釈した塗料はパーツ表面の油分の影響を受けやすく、塗装面で塗料が弾かれてしまう…という現象が、大なり小なり発生します。
実際に塗装ができるのは洗浄したパーツが乾燥してからなので日を跨がないといけませんが…あせらずにまずはパーツ洗浄から始めます。

パーツ洗浄
ゆすぎが終わったパーツたち。水気をふき取って乾燥させてから塗装していきます。

実際の洗い作業では、パーツを洗面器などに入れてまとめて洗うと効率が良いと思います。
台所用の中性洗剤を少々拝借して、歯ブラシでこすり洗いするとよく洗えます。
もちろん、すすぎはしっかりと…!
水気をタオルなどでふき取ったら、なるべくホコリの少ない場所で乾燥させます。

3.作業風景…

水性ホビーカラー筆塗り

写真は塗装中の机の上の様子です。
今回はパーツを浮かせるための「持ち手」も使っていないので非常にラフというか、けっこう適当です。
こんななので仕上がりは正直けっこう荒くなってしまいましたが…これくらい気楽に塗ってもなんとかなるのが筆塗りの良いところだと思います。。
(最終的にどんな仕上がりになったかは、続きの記事で完成画像を見てください)

4.基本塗装の様子

ここから実際に塗っていく様子を見ていきます。
新版の水性ホビーカラーで、基本的に水道水で2倍くらいに希釈して塗っています。(塗料:水=1:1が目安)
暗い色から始めて、段階的に明るい色を重ねていくことで最終的な色に合わせます。
とはいえ、最後までけっこう適当だったりします。


1層目…赤+黒

水性ホビーカラー筆塗り

まずは赤+黒を混色してプラスチック地に直接塗っていきます。
筆ムラがかなり出ていますが、ムラを気にする必要はありません…!
順に見ていきますが、つや消しガンプラの場合、適当に塗っても最後にドライブラシすれば何となくそれっぽくなりますので…この段階では感性に任せて適当にペタペタ塗っていけば大丈夫です。

ここでは水性ホビーカラーの2倍水希釈を平筆で塗っています。

重ね塗りの回数が多いので一回一回の塗装は極力薄く…本当は3倍(塗料:水=1:2)くらいまで薄めたいのです。
プラモ筆塗りのコツは古今東西「薄めて重ね塗り」ですからね…!
しかし流石に水で3倍はプラ地に定着しづらいので、希釈は2倍くらいが限度な印象です。

今回は道具縛りの制作なので、うすめ液(専用の溶剤)は使いませんが、基本的に水性アクリル系塗料は水「でも」希釈できるというだけで、うすめ液で希釈した方が扱いやすいです。
タミヤアクリルの水溶きという方法論も世の中にはあるのですが、水性ホビーカラーの水希釈は制限プレイでしかありませんので…うすめ液を使った塗装も別の機会に紹介したいと思います。

ともあれ、今回は水性ホビーカラー水希釈です。
パーツの裏にも筆を突っ込んで、完成後に見えそうな部分には色を付けておきます。

2層目…緑+黒

水性ホビーカラー筆塗り

2層目は緑+黒です。
1~2層目は、1層目の赤と2層目の緑が混ざって補色同士の面白い効果が出るかな?と思って試しましたが、この後の上塗りが厚過ぎて最終的によくわからなくなってしまいました(汗
この色を下地にして、明るい色を段階的に塗り重ねていきます。

筆はこの段階から面相筆に切り替えました。

面相筆で広い面を塗ると筆ムラも細かく出ることになりますが、ムラは気にせず…なるべく筆運びを一方向にして色を載せていきます。
写真のこのパーツの場合、上下方向に筆を動かしました。
ムラはあるものだと割り切って、模型の筋(スジ)というか…流れをイメージして塗っています。

3層目…緑+黒(緑多め)

水性ホビーカラー筆塗り

3層目も緑+黒ですが、2層目よりも緑の割合を多めに混色しました。
この段階から、少しずつ明るい色を重ねて基本色を発色させていきます。
写真の関係で真っ黒に見えますが、実際は緑がかって見えています。
筆は面相筆、水性ホビーカラーの水希釈2倍で。
後述するドライブラシに入るまでずっとこのままで塗っていきます。

4層目…緑+黒を極少量

水性ホビーカラー筆塗り

4層目は緑+黒(極少量)。
写真でも少し緑色がかってきたのが分かるでしょうか。
ビン生の緑は鮮やか過ぎるのでまだ黒を加えていますが、緑:黒を10:1かそれより少ないくらいで混ぜています。
暗い色から上塗りを重ねていく方法では、下地が透けるので塗った色そのままでは発色しません。
(塗った色より塗装面の色は黒がかって見えます)

ちなみに、色ムラのように見えるのは撮影時のライトの反射で、ツヤあり塗料を塗っているのでこのように見えています。
最終的にツヤ消しにはしますが、今回はフラットベースを投入するのは最後にしたので途中まではテカテカです。
旧版の水性ホビーカラーの時はツヤあり塗料は特に乾燥が遅くて大変な印象でしたが…現行のリニューアル版ではかなり乾燥が早くなっていて普通に塗れてしまうようですね。

5層目…緑+白(少量)

水性ホビーカラー筆塗り

5層目は緑+白ですが、塗料皿の中で前の色とも混ざっているので実際は黒も含まれた色を塗っています。
写真では4層目との違いが分かりづらいですが、更に緑に近づきました。
ちょっと塗膜が厚くなってきたのが辛いところですが、目的の色にはまだまだ遠いので重ね塗りを続けていきます。

6層目…緑:黄:白=3:1:1、フラットベース投入

水性ホビーカラー筆塗り

6層目、緑:黄:白=3:1:1です。(比率はやや適当)
一気に緑色に近づきました。
キット指定の塗装指示を見たら、ザクの緑には黄も入っていたのでここから先は黄色も混ぜています。
フラットベース(ツヤ消しの添加剤)も加えたので、塗装面がしっとりとして落ち着きましたね。
まだまだ重ね塗りは続きます。

7層目…(濃い緑)白:緑:黄:黒=10:2:2:1、(薄い緑)白+α

水性ホビーカラー筆塗り

7層目、胴体の濃い緑と手足頭の薄い緑で色を分けて塗っています。
・濃い緑 白:緑:黄:黒=10:2:2:1
・薄い緑 白+塗料皿に残っていた前の色を少量
塗料皿を洗わず、前の色と混ぜながら新しい色を作ることで自然と良い色が生まれます。
やっとザクらしい、良い感じの緑になってきました。

あと一息…次回に続きます!

今回は暗い色の下地から塗り始めて、基本色が発色してきたところまでを段階的に見てきました。
筆ムラは気にせず、基本的に塗る方向は一方向で、段々と目的の色に近づくように…
塗膜の厚みは改善点ですが、何層にも塗り重ねてきたことで、単色ベタ塗りとは違った”味”が出てきました。

筆ムラはこの後の工程でドライブラシすることで周りと馴染んでそれ自体が”味”の一部になりますから、面相筆で基本色に近づけていく段階では模型の形状に逆らわず…流れを意識して塗るのがいいですね。
先ほどの7層目の塗装写真では、頭の先からつま先まで、立ち姿の縦方向に沿って筆ムラが出ていたのに気が付いたでしょうか?

水性ホビーカラー筆塗り

このような感じで統一感を持った筆ムラを作るようにすると、この後の工程で馴染ませた時にも収まりが良いと思います。

さて、この後はドライブラシでその筆ムラを馴染ませて仕上げです。
ちょっと長くなってきたので、そちらはまた次の記事で…!