基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編2.「水性ホビーカラー筆塗りの基本と下地塗装」

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基本工作で作るHGUCサザビー
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工作編1.「パーツの切り出しとゲートの処理」
工作編2.「スナップフィットの処理」
工作編3.「表面処理で使う工具・一覧レビュー」
工作編4.「表面処理・その1(基本的なペーパーがけ)」
工作編5.「表面処理・その2(合わせ目消し)」
工作編6.「表面処理・その3(ABS製パーツの処理、その他)」
工作編7.「やさしめディテールアップ加工・その1(簡単な削り込み)」
工作編8.「やさしめディテールアップ加工・その2(ノミを使った彫り込み)」
工作編9.「やさしめディテールアップ加工・その3(プラ材を使った改修)」
塗装編1.「塗装の準備~塗装道具を一覧で紹介」
塗装編2.「水性ホビーカラー筆塗りの基本と下地塗装」
塗装編3.「アクリジョン ベースカラー筆塗りでABSパーツの下地塗装」
塗装編4.「再度の仮組みと塗り残しチェック」
塗装編5.「水性ホビーカラー筆塗りで黒立ち上げ・2色目以降の重ね塗り」
塗装編6.「ハイライト・シャドウの描き込みとドライブラシによる筆ムラの馴染ませ」
塗装編7.「メイン以外の色を塗っていく・その1(本体の黒いパーツ・関節・バーニアの塗装)」
塗装編8.「メイン以外の色を塗っていく・その2(動力パイプ等の黄色・ビームライフル等武器類の塗装)」
塗装編9.「細部の塗装・その1(はみ出しの修正、ファンネル・バーニアの塗り足し)」
塗装編10.「細部の塗装・その2(シールド・ビームライフルの塗り足し、塗装で表現するモノアイとセンサー)」
塗装編11.「シールの扱いと筆でのタッチアップ」
完成品ギャラリー

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今回から実際にパーツを塗っていきます。

暗い色から段階的に明るい色を塗り重ねて発色させていく塗り方(黒立ち上げ)をしていくので、まずは下地塗装として暗色で全体を塗りつぶしていきましょう。
また、管理人なりの筆塗り法についても説明をしていこうと思います。

塗装に使う道具などは前回の記事にて。

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塗料の撹拌と希釈。筆塗りに適した希釈率は?

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今回使うのは水性ホビーカラーのH-60「濃緑色(暗緑色)(2)」。
サザビーは赤がメインのカラーリングですが、重ね塗りのための下地として赤の補色である緑系の暗色を下地に塗ります。
次に塗る「レッドブラウン」(赤系統の暗色)と合わせて、影色として濁った色の下地を作ることが目的です。

塗り始める前に、まずはビンの中に入っている塗料を調色スティックでよくかき混ぜましょう。
分離している成分が均一になるまで混ぜられたら、調色スティックの先端に付いた塗料を1滴、2滴…と数えながら塗料皿に落とします。
そして、次にスポイトで滴下数を数えながらうすめ液を1滴、2滴…と加えていくことで、おおよその希釈率を考えながら塗料を薄めていきましょう。

希釈に使う溶剤は水性ホビーカラー用の純正うすめ液と水道水を1:1で混ぜ合わせた「1/2うすめ液」。
純正のうすめ液をそのまま使うと溶解力が強すぎるため、重ね塗りした際に下地の塗膜が剥がれてしまうことがあるんですよね。
うすめ液自体を「水割り」してやることで適度に溶解力を落とすことができ、また体感的にですが若干乾燥も遅くなるので希釈した塗料が扱いやすくなりますよ。

この「うすめ液の水割り」については別記事で検証を行いました。

管理人の感覚では、水性ホビーカラーの場合、2.5倍程度の希釈率が筆塗りには最適だと思います。
塗料:1/2うすめ液1:1.5の割合で混ぜ合わせるということですね。
調色スティックから塗料皿に塗料を滴下する数で見当を付けるので、例えば塗料6滴に対してうすめ液を9滴加える…といった感じですね。
(厳密には調色スティックに付着した分の塗料などで濃度が微妙に変化するので希釈率はあくまでも「大体」といった感じです。塗りながら体感で合わせる部分も大きかったりします。)

塗りにくいと感じたら、1/2うすめ液を1滴、様子を見ながら加えても良いですが、薄め過ぎると一気に塗りづらくもなるので過度の希釈には慎重になった方が良いでしょう。
実際に塗装したときの感覚的な目安としては、塗料皿の縁で筆先をしごいた時に流れ落ちる塗料に少し引っ掛かりがある程度…塗料が全く抵抗なくサラリと流れていくような濃度では薄すぎるので、それよりは一歩手前という感じですね。
サラサラでのびのびと塗り広げていけるような濃度まで薄めると一見塗りやすいようにも思えますが、そこまで希釈すると塗料の「垂れ」が起きやすく、また塗装面のディテール部分で気泡が出てきたりもして逆に扱いづらかったりします。

この最適な希釈率というものは人それぞれな部分もあって本当に難しいのですが、「自分が扱いきれる中でできるだけ薄く」希釈するのが一つの目安にはなると思います。

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ムラのない筆塗りのための筆運びのコツ

塗料の希釈ができたら、筆に塗料を含ませてパーツを塗っていきます。
使う筆はタミヤ・モデリングブラシHG 平筆の小サイズ。
性能・価格・入手性のバランスを考えて選ぶと、現状これがベストの筆ではないでしょうか。
穂先は天然毛の馬毛で、毛のコシはやや弱めです。

実際にパーツを塗装する前に、筆への塗料の含ませ方と筆運びについてイメージしておきましょう。

まず筆は乾燥したままではなく、溶剤(今回は「1/2うすめ液」)で穂先を湿らせてから使うようにします。
スポイトに含ませた溶剤を穂先に垂らしてから、余計な溶剤分は少し拭き取っておくようにすれば良いですね。
あらかじめ穂先を湿らせておくことで、塗料の馴染みがよくなり、筆運びもスムーズになりますよ。

そして筆の毛に希釈した塗料を含ませたら、塗料皿のフチで筆先をよくしごいて穂先の塗料をできるだけ落とすようにします。
今回のように薄めの濃度にまで塗料を希釈した場合、筆先の塗料が多すぎると塗装面で流れてしまい、ひどいムラの原因になってしまうからです。
筆塗装において筆ムラは必ずしも悪いものではないのですが、必要以上に多いムラは避けるべきですね。

実際には筆先をしごいただけでは穂先に含んだ塗料がまだ多すぎる場合も多いですから、手元に拭き取り用のキムワイプを用意しておき、その上で筆先をサッと撫でて塗料の量を更に減らしてからパーツへの塗装に移るのが良いと思います。

塗り始めのふき取りに使うキムワイプ。(これは違う色を塗っている時のものですが)
筆の穂先に含んだ塗料が多すぎると上手く薄塗りをしていくことができません。
1「筆の毛をうすめ液で湿らせる」、2「筆に希釈した塗料を含ませる」、3「塗料皿のフチで筆をしごいて塗料を減らす」、4「キムワイプの上で筆の穂先を撫でるようにして含んだ塗料を更に減らす」…という手順を塗り始めの基本にすると、抜群に筆のコントロールがしやすくなりますよ。

パーツ表面での筆運びにおいては、筆を塗装面に押し付け過ぎず、筆の穂先でサッサッと軽く払うようなイメージで短いストロークの塗りを繰り返してパーツに色を付けていきます。
ドライブラシでディテールを強調する場合の塗り方に近い筆運びと言うか…とにかく「少しずつ」塗っていくのがコツです。
なお、筆を動かす方向はできるだけ一方向で。
(方向を変えて塗っていくとかえって筆目が出やすいと思います。)

手間はかなりかかりますが、この塗り方では筆ムラをかなり抑えることができると思いますよ。

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実際のパーツへ塗装

それでは、実際のパーツに塗装をしていく過程を見ていきましょう。
パーツ表面は400番のペーパーで水研ぎをして表面処理をした状態で、サーフェイサーも吹いていません。
今回のようにプラ地に直接塗装をする場合、最初の一層目の塗装が下地としてサフの代わりにもなります。
一層目はやや塗りづらく感じることもありますが、最初に薄くでも塗膜が形成されればその後の二層目からはとても塗りやすくなりますよ。

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こちらは塗装前のパーツです。
工作が一通り終わった後、中性洗剤で洗って自然乾燥させています。
ここに塗装をしていくとどうなるか…写真をややアップで掲載しますので、比較をしながら見ていってください。

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1層目の塗膜。
1/2うすめ液で2.5倍に希釈した塗料を平筆で1回塗りしたものです。
筆の穂先に付ける塗料は極力少なくして、毛先を使った短いストロークで塗っていきます。
実際に塗っている時の感覚としては「塗る」というよりは筆先でプラ表面を「湿らせる」というくらい、少量ずつ塗料を載せていきます。
塗料の希釈の薄さ、筆の穂先に残す塗料の少なさ、また筆圧をかけずに塗っていることが写真から感じられるでしょうか?

筆のストロークに沿って「多く塗れたところ」「少なく塗れたところ」に差ができて表面がまだら模様になっていますが、この段階では深追いしないこと。
「厚塗り」「流れた塗料」「気泡」を避けて表面が薄い塗膜で覆えれば、この段階は成功と言えます。

表面が乾燥して、手で触れるくらいになったら(実際には触りませんよ!念のため…)次の段階の重ね塗りをしていくようにしましょう。
今回のような塗り方では乾燥時間も割と早めで、塗ってから5~10分程度で表面はかなり乾燥してきているはず。
実際の作業では複数のパーツを並行して塗っていくことになりますが、他のパーツの塗装を済ませて一巡する頃には最初に塗ったパーツは充分に乾燥した状態になっていると思います。

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2層目の塗膜。
1/2うすめ液で2.5倍に希釈しているのはここから先も同じです。

塗料皿に出した塗料も時間が経つと溶剤が揮発してどんどん濃くなっていくので、「濃い」と感じたら1/2うすめ液をその都度1滴追加して濃度を調節するようにしましょう。
ただし、薄め過ぎは厳禁ですね…
薄過ぎる塗料は液だれや気泡が発生しやすくなって扱いが難しいので、最初の2.5倍希釈の感覚を覚えておき、追加で希釈する時にもなるべくその濃度に近づけることをイメージすると良いと思います。
(塗料の濃度は、塗料皿のフチで筆をしごいたときに塗料が流れ落ちる速さでイメージしておくと同じ濃さを保ちやすいです。)

2層目の塗装では1層目を塗ったことでプラの表面が薄い塗膜で覆われているので、先ほどよりも筆先や塗料が模型の表面により馴染むような感覚で塗っていくことができますよ。
なお、筆を動かす方向は基本的に変えず、1層目の時と同じ向きで塗っていきます。

普通のうすめ液でシャバシャバ希釈の塗料を塗り重ねていくと、2層目以降の塗装では先に塗った塗膜が溶けて剥がれてしまうことがあるのですが、今回のように「うすめ液の水割り」で溶解力を落としてやれば、下地剥がれのリスクはかなり下げることができますね。

1層目と同じく「厚塗り」「流れた塗料」「気泡」を発生させないように薄く全体を一回り塗れればこの段階も終了。
筆のストロークで発生した色の濃淡やまだら模様は後からの重ね塗りで何とでもなるので気にしないこと!
サッと全体を一通り塗ったら乾燥させてから改めて3層目を塗りましょう。

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3層目の塗膜。
だんだんと全体に色が付いてきましたね。
水性ホビーカラーを2.5倍という薄め方は実際かなり薄めではあるので、塗料の隠ぺい力も低くなり、塗装をしても必ず下地が透けてきます。
しかし、隠ぺい力が低いからと言っても塗ったものが全く発色しないという訳ではなく…
一見塗れていないように見えていても、少しずつ確実に色は乗ってくるのです。
今回はこの3層目で一気に緑がかったようになりましたね。
薄い塗膜は下地との相乗効果で重ねるほどに色が乗るので特に最初は耐えるのが肝要です。

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4層目の塗膜。
まだ少し下地の赤いプラが透けてはいますが、全体的にかなり緑が発色しましたね。
完全に緑を発色させるならこの後にまだ塗り重ねて行っても良いのですが、これはまだ下地塗装の段階でこの後にも色々な色を重ねていく予定ですから、多少の透けがあるこの段階でもこの色の塗装は終了とすることにしました。

1層ごとに乾燥させながら薄い塗膜を少しずつ塗っていくことで、ここまで塗っても筆ムラもかなり抑えることができています。
塗装のコツとしては、とにかく焦って結果を出そうとせず、「厚塗り」「流れた塗料」「気泡」を避けて薄く薄く塗っていくことですね…
もっと早く下地を覆いつくしたい!という助平心を出して穂先に塗料を多く含ませたり、濃い塗料で厚塗りをしてしまうと、塗膜がボッテリとしてしまって取り返しがつきません…!

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作業中も「筆洗液アプト」で穂先の状態をきれいに保つ

実際の筆塗り作業では、筆を水で洗いながら使っていくことになります。
溶剤である水を無限に使うことができるのが水性アクリル系塗料の大きなメリットですよね。

しかし、塗装作業が長引いてくると一部乾燥してしまった塗料が筆の穂先に残ってしまい、完全には洗い落とせなくなってくるもの。
乾燥した水性アクリル系は水では溶かせなくなりますからね…

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そこで登場するのが「筆洗液アプト」です!
界面活性剤を含むトロリとした液体で、これを使うと筆先で固まってしまい水では落とせなくなった塗料も洗い落とすことができるのです。
有機溶剤を含んでいないので安心して使えますし、筆の毛先に悪そうな(笑)マジックリンとは違って「毛質の痛みがありません」と明記されているのも心強いです。
ちなみに、本来は画材用品のようですね。

写真の120ml入りの容器のものは、そのまま筆洗いに使うことができるものです。
容器の中の「アプト」液に筆を浸し、液が浸透してくると塗料が表面から溶け出してくるので、そのまま容器の底やフチで筆の穂先をこすり付けるようにして洗います。
容器の底にはなだらかな凹凸が付いていて、洗い作業がしやすいようになっていますね。

この筆洗液アプト、使った後は水でよくすすいでトロミのあるアプト液を洗い落とすことが必要です。
この点から、メーカーサイドでは「製作中の筆洗いには使用しないでください」という説明がされていたりもしますね。
しかし…水性アクリル系塗料を使う場合に限り、このアプトを作業中の筆洗いにも使っていくことができるのです。
(※管理人の主観や経験則によるものなので、この点については一応自己責任とさせてください)
水洗いした後の穂先がまだ湿っていても、そもそも塗料やうすめ液自体に水を含んでいる水溶性の水性アクリル系塗料に悪影響はありませんからね。

水ですすいでアプトを落としたら水分をよくふき取り、更に溶剤(今回の場合は「1/2うすめ液」)で穂先の毛を再度少し湿らせておくようにすれば万全でしょう。
塗装作業中、落としきれなかった塗料で穂先のコンディションが悪くなってきても、これでいつでも簡単に筆を復活させることができますよ。

この筆洗液アプト、模型用品としては「ブラシエイド」という商品名で同等品が流通しているようですね。
中身はどちらも同じもののようですので、購入の際には手に入りやすい方を選べば良いかと思います。

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ここでは、アプトを使った筆洗いの実際も見ておこうと思います。
これは重ね塗りで赤を塗っている時のものですね、、、
上の写真のものは水で筆を洗った状態ですが、穂先の塗料も落とし切れていませんし、根元の金具にも塗料がこびりついています。
水性塗料といえど、塗装作業が長引いてくると筆はこんな状態になりがちです。
これではキレイな塗装を行うのも難しくなってくるので、筆洗液アプトで塗料をさっぱりと落としてみることにしましょう。

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アプトの液に浸して柔らかくなった穂先の塗料を落としていきます。
写真では調色スティックを使って根元の金具に付いた塗料をこすり落としているところ。
アプトは液が汚れても洗浄力に変わりはないので、落とした塗料はそのまま容器の中に入れてしまって大丈夫です。

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キレイになりました!
写真はアプト液を水ですすいで穂先を整えたところですね。
有機溶剤を使わなくても固まった塗料をここまで落とすことができるのは本当にお手軽便利です。
これでまた、穂先の状態の良い筆で塗装を行っていくことができますね。
このアプトはマジックリンと並び、水性アクリル系使い(特に筆塗り派)なら持っていて損はない一品かと思いますよ。

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失敗した時は”マジックリン塗装はがし術”で何度でもリセット

模型製作には失敗はつきもので、塗装作業でもどうしても失敗をしてしまうことはあります。
多少の筆ムラやホコリの混入は上塗りをしていくうちに馴染んで”模型の味”になることもありますが、やり直したくなる程の失敗をしてしまうこともあるもの。

そんな時は”マジックリン塗装はがし術”の出番です。
まぁ名前のままなんですが…水性アクリル系塗料を溶かすマジックリンの性質を使って、失敗した塗装をリセットするという方法があります。
ただし塗料を溶かすということは、塗装した全ての塗料が溶け落ちてプラの下地が露出するまでになりますから、文字通りのリセット…そのパーツはゼロから塗装をやり直すことになるので、マジックリンを投入するかどうかは、その点をよく考えて決めた方が良いですね。

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こちらは上手く塗装できなかったパーツ。
塗料を薄め過ぎ、また筆に塗料を多く含ませ過ぎていたためにパーツ表面で塗料が流れてしまい、縞模様のようなムラになっていますね。
これを上塗りでリカバリーしようとすると不自然に塗膜が厚くなってしまうと思われるため、ここは思い切ってゼロからやり直すことにしました。

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マジックリンを直接パーツに吹きかけた状態。
早速、塗膜が溶け始めているのが分かりますね。
塗料の落とし方としては、ここから筆でパーツ表面を撫でるようにして塗料を洗い落としていきます。

(※ちなみにですが、マジックリンは使用時に手袋を着用するように指定されています。
注意書きをよく読み、皮膚を傷めないよう気をつけて使用してください。)

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だいぶ塗料が落ちてきましたね…あと一息という感じです。
適宜マジックリンを新たに吹きかけながら筆で洗い落としていきます。

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かなりキレイになりました。
まだ少し、ディテールなどの奥まった部分に塗料が残っている感じがしますが、パーツの平面部分の塗膜はほとんど落とすことができたので、今回はこれくらいで洗い落し終了としました。
あとは水で良くすすいでから乾燥させておきましょう。

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まだ少し水分が残ってはいますが、こちらは洗い終わりのパーツ。
マジックリンは乾燥した塗膜も溶かしてしまう力があるので、ここまでキレイに塗装を落とすことができます。
このような場合にも有機溶剤を使わずに塗料を洗い落とせるのは水性アクリル系の扱いやすいところですね。

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パーツが乾燥したら再び塗装をしていきます。
最初の失敗があるので、塗料の希釈率や筆運びに注意して塗っていきました。
この写真は再度、1層目の塗膜を塗り終わった状態。
繰り返しになりますが、「塗料の薄さ」「筆先に付ける塗料の少なさ」また「筆圧をかけずに塗っていること」を写真から読み取ってもらえたらと思います。

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2層目。
先ほどの例と同じですが、順を追って塗装手順を見ていきましょう。
筆ムラを防ぐには、薄く薄くを重ねていくことになるので色の付き方も実にゆっくりじっくりです。
それでも層を重ねるごとに確実に色は載っていきますね。
とにかく、焦らないことが肝要です。
ちなみに、昔ながらの縦横に方向を変えての重ね塗りは必要ありませんよ!
じっくりと薄い塗膜を重ねていけば自然とムラは目立たなくなるものです。

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3層目。
まだかなり下地が透けています。
スジ彫りの周りの色が少し濃いのは、先に縁取り的にその部分だけ色を塗っているからですね。
細かなディテールがあるパーツなどは、面相筆も使って先に縁取りを塗っておくと良いと思います。
このパーツの場合はあまり細かい部分がないので、平筆(小)でそのまま塗っています。

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4層目。
かなり緑が発色してきましたが、それでもまだ下地が透けています。
塗料の色を完全に発色させるにはもう少し重ね塗りが必要ですね。

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5層目。
パーツ色の赤が隠蔽され、塗装した濃緑色もかなり発色しています。
よく見るとまだ若干の透けやムラはあるのですが、今回はあくまで下地塗装なのでこの段階までで仕上がりとしました。
比較的大きな平面があるパーツですが、薄い塗膜を少しずつ重ねていったことで今度は筆ムラもそこまで気にならない程度に収めることができたと思います。

このように、”マジックリン塗装はがし術”を使うと失敗した塗装をやり直すことができるのですが…
洗い作業から乾燥時間を挟んでの再塗装というのはかなり時間もかかってしまう上、「一度やったことをやり直す」という作業はモチベーションの維持が難しい面もあったりします。

「失敗してもやり直せる」方法を知っておくことは安心感に繋がる部分もあるのですが、ゼロからの塗り直しというのはやはりできればやりなくない作業工程ではありますね…
「物理的な状態は元に戻せても、やる気は完全に元には戻らない」という点は意識し、塗装はがしは方法論として過信し過ぎない方が、完成に向けた模型制作がスムーズに進むと思います。

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塗膜にホコリが混入!削り落としてみたが…

マジックリン塗装はがしからの塗り直しで、割と上手く塗れたように見える先程のパーツ。
しかし…
写真では分かりにくいのですが、よく見ると塗膜にホコリが混入しています。
そう、筆塗り塗装では空中を舞うホコリを塗膜に巻き込みやすいのです。

ホコリを取り除くには、完全に乾燥してから番手の細かいペーパーで削り落とすという方法もありますが、今回はお手軽にアートナイフプロの曲刃を使ってピンポイントで削り取ってみました。

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発見したホコリに刃先を当てて、塗膜ごと削り落とします。
なるべく余計な部分にはキズをつけないように…

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こちらは曲刃を装着したアートナイフプロの刃先。
通常のアートナイフで使う直線刃よりもピンポイントで狙った部分だけを削ることができます。

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画像中の矢印のあたりに付いていたホコリを塗膜ごと削りました。
削った部分は赤いプラ地が見えているのでリタッチします。

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面相筆の穂先にビン生の塗料をチョン付けして、削れた塗膜を埋めました。
この時点では少し浮いているように見えますが、この後の上塗りで馴染んでくれることに期待して、この段階はここまでで留めておくことにします。
最悪、塗装の最終段階まで塗ってみてもまだ違和感があったなら、面にドライブラシをかけて馴染ませてしまえば良いでしょう。
まぁコンテストに出すような作品でもないので…多少のアラは”味”と割り切ると気持ちが楽になります(笑)

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おしまい

今回は実際の塗装作業の取っ掛かりとして、管理人なりの水性ホビーカラーの扱い方・塗り方についてできるだけ丁寧に解説をしてみました。
筆塗りのやり方も本当に人それぞれで、管理人のように薄めた塗料を重ねていく方法が好きな人もいれば、ビン生が一番塗りやすいという意見の方もいたりして、「モデラーの数だけ正解はある」というのが本当のところなのかもしれませんね。

さて…次回の記事も引き続きの下地塗装となります。
扱いがやっかいなABSパーツを初挑戦のアクリジョンで塗ってみましたが、その結果や如何に…

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基本工作で作るHGUCサザビー
ランナー紹介
素組みレビュー
工作編1.「パーツの切り出しとゲートの処理」
工作編2.「スナップフィットの処理」
工作編3.「表面処理で使う工具・一覧レビュー」
工作編4.「表面処理・その1(基本的なペーパーがけ)」
工作編5.「表面処理・その2(合わせ目消し)」
工作編6.「表面処理・その3(ABS製パーツの処理、その他)」
工作編7.「やさしめディテールアップ加工・その1(簡単な削り込み)」
工作編8.「やさしめディテールアップ加工・その2(ノミを使った彫り込み)」
工作編9.「やさしめディテールアップ加工・その3(プラ材を使った改修)」
塗装編1.「塗装の準備~塗装道具を一覧で紹介」
塗装編2.「水性ホビーカラー筆塗りの基本と下地塗装」
塗装編3.「アクリジョン ベースカラー筆塗りでABSパーツの下地塗装」
塗装編4.「再度の仮組みと塗り残しチェック」
塗装編5.「水性ホビーカラー筆塗りで黒立ち上げ・2色目以降の重ね塗り」
塗装編6.「ハイライト・シャドウの描き込みとドライブラシによる筆ムラの馴染ませ」
塗装編7.「メイン以外の色を塗っていく・その1(本体の黒いパーツ・関節・バーニアの塗装)」
塗装編8.「メイン以外の色を塗っていく・その2(動力パイプ等の黄色・ビームライフル等武器類の塗装)」
塗装編9.「細部の塗装・その1(はみ出しの修正、ファンネル・バーニアの塗り足し)」
塗装編10.「細部の塗装・その2(シールド・ビームライフルの塗り足し、塗装で表現するモノアイとセンサー)」
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