最小限の道具でHGUC量産型ザク製作 工作編.2 「スナップフィットの処理」

1.はじめに

最小限の道具だけを使ってガンプラを筆塗り全塗装で仕上げていく当企画…!
お題はHGUCの量産型ザクです。

使用している工具などは以前の記事を参照してください。

前回の記事はパーツの切り出しでした。
工具縛りの製作は気を遣います…

今回は、切り出したパーツを組み立てる際の一加工、スナップフィットの処理…はめ込み部分の非スナップフィット化を行います。
早速、写真を交えて説明していきましょう。

2.スナップフィットとは

(近年の)ガンプラなどのキャラクターモデルでは、接着剤を使わなくてもパーツ同士を組み付けることができるように作られています。
組み付けるパーツ同士にはピンと穴が付いていて、はめ込むだけで「パチン」とパーツ同士が固定されます。
このようなパーツの組み付け方式はスナップフィットと呼ばれ、ガンプラをはじめとしたプラモデルの組み立て難度の低下に大きく貢献しました。

スナップフィット
スナップフィットで固定するパーツ。プラスチックの弾力でパチンとはめ込みます。

しかしこのスナップフィット、基本的に「一度組み付けたパーツは外せない」という困った点があります…
塗装まで含めた製作をする場合、最初の組み立ては「仮組み」として行い、改めて接着剤を使った組み立てを行うので後でパーツを外す必要があります。
この後でパーツを外せるようにする加工、「非スナップフィット化」を行うのが今回の内容です。

3.非スナップフィット化の方法

スナップフィットの処理方法としては大きく分けて二通りあります。
一つは、ピンと穴のピン側を竹ヤリ状に短く斜めにカットする方法、もう一つは受けになる穴側を広げるように加工する方法です。
ピンを斜めに加工する場合はニッパーで斜めにカットする方法、穴を広げる加工は少し大きい径のドリルで穴をほんの少しだけ広げる方法などがあります。
ただ、今回の制作では使用する道具に制限を設けているので前者の方法しか取れません…
穴を広げる加工については、またの機会に説明したいと思います。

3-1.ピンの先端を斜めに加工

スナップフィット
「加工後」ではピンを斜めにカット。この後実際にはめてみたら少し緩かったので、写真の状態より残し気味の方が良いかもしれません。

写真は加工前後のパーツ比較です。
キットでは円柱状のピン部分が竹ヤリ状に斜めになっているのが分かるでしょうか。
加工方法はニッパーで該当部分を切り飛ばすだけですが、切る長さには注意が必要です。
短くしすぎるとはめ合わせがユルユルになってしまうので組み立てがやりづらくなってしまいます。
(最終的には接着するので大きな問題とはなりませんが…)
目安としては元の長さの2/3から1/2くらいは残すようにするのが良いでしょうか。
ただ、ハッキリと決まった正解はありません。
パーツの構造によってもベストな長さは違ってくるので、心配な場合は少しずつカットして様子を見る方がいいかもしれません。
組み付けたパーツ同士が適度に保持され、また無理なく分解することができれば成功です。

ミネシマ ベビーニッパー D-1

3-2.非スナップフィット化の加工をしない方が良い形状のパーツもある

このスナップフィットの加工、全てのはめ込み部分を闇雲に加工すれば良いというものでもありません。
スナップフィットのピン部分がデザインの一部に組み込まれている場合…はめ合わせたピンが表面に見える場合があるのです。
次の画像を見て下さい。

スナップフィット
印部分は受け側の穴。パーツ表面からも穴が見える。
スナップフィット
組み合わせたパーツ。裏からはめ込んだ緑色のパーツのピンが穴から見えています。

画像の印部分では、裏からはめ合わせたスナップフィットのピン部分が受け側の穴を塞ぐことで意図された形状が出来上がるように設計されています。
このような場合、ピン側を竹ヤリ状に加工してしまうと非常に見栄えの悪いものになってしまうのです…
こういう部分は、加工しないそのままでもはめ合わせはそれほどきつくない場合があるので、加工しないという選択が一つ。
また加工する場合でもピンは円柱状を保ったまま少し短くする程度にする方が良いでしょう。
受け側のパーツが外せなくなることがないよう、慎重に様子を見ながら加工方法を決めましょう。
今回は見える部分のピンは加工せず、そのままにしてみました。
このパーツの場合、はめ合わせがそれほど深くないために、接合に使う4つのピンのうち見えない2つを短くカットするだけで分解可能なキツさで組み立てができるようです。

とりあえず仮組みまで完成させる

スナップフィット
スナップフィットを外せるように加工しながら「仮組み」したザク。キットの素性を確認し、制作の計画を立てましょう。

スナップフィットを外せるように加工しておけば、とりあえず一通りのパーツを組み立てての完成形「仮組み」までの組み立てをしてから全体の制作の計画を立てることができます。
後で行う「後ハメ加工」や「合わせ目消し」についても仮組みをした状態の方が考えをまとめやすいので、ひとまず全てのパーツを組み立ててしまった方がいいでしょう。
ガンプラをキャラクタートイ的に楽しむとすれば、この「仮組み」状態が既に完成形と言えますが、塗装をして仕上げる場合、ここからがやっと製作の始まりです…!

仮組み(素組み)レビューはこちら↓

次回は後ハメ加工についてです。↓