最小限の道具でHGUC量産型ザク製作 塗装編.2「ドライブラシで仕上げ」

1.はじめに

前回の記事では水希釈の水性ホビーカラーで筆塗り塗装を進めてきました。
重ね塗りを続けて色はそれらしくなってきたものの、かなり筆ムラが出ているので今回はこれを何とかします…!

お題はHGUCの量産型ザクです!

前回の記事はこちら↓

今回使用した道具の紹介はこちら↓

2.筆ムラを馴染ませるドライブラシ

筆ムラを馴染ませる方法として、筆ムラ塗装面の上にドライブラシして色を馴染ませる…という方法をやってみました。
エアブラシがあるなら筆ムラ塗装の上から吹き付けを行っても似たような効果になるはずですが、筆塗りにこだわる当ブログとしてはエアブラシはナシでやっていきたい。
ここはお手軽(?)なドライブラシでいきましょう。

2-1.ドライブラシとは?

筆塗りモデラーの強い味方「ドライブラシ」ですが、一応簡単に説明しておきます。
その名の通り「(生乾きの)乾いた筆」で模型を塗る技法で、筆1本でディテールの強調やグラデーション塗装をすることができる優れものです。

方法としては次のような手順になります。
1.筆先に塗料を含ませたら、その塗料は殆ど塗料皿のフチでこそぎ落とす。
2.更に要らない紙などの上で筆を走らせ、筆跡がカサカサにかすれるまで穂先の塗料を減らす。
3.ほんの少しの生乾きの塗料が筆の穂先に残っている状態が作れたら準備完了。
4.この「カサカサ状態の生乾きの筆先」で対象に「撫で付けたり」「擦りつけたり」してほんの少しずつ色を載せる。

「カサカサ状態の生乾きの穂先」をいかに作るかというのがこの技法のミソで、筆先の塗料の減らし方が足りないと「わざとらしい」仕上がりになってしまいます。
管理人の経験上、慣れないうちは十中八九、筆の穂先の塗料が適正よりも多すぎる状態で「こんなものかな…?」と思って塗ってしまいがちです。
(そして不自然な仕上がりになってしまう…)
ドライブラシでは筆の穂先に残す塗料は極々微量、少し塗っているうちに穂先が完全に乾いて全く色が乗らなくなってしまう…
そんな状態の穂先を繰り返し作り、少し塗ってはまた穂先が乾き…という繰り返しで塗装をしていきます。
なので、正直とても手間と時間がかかって面倒とも言える技法ですが、ドライブラシで仕上げられた模型には時間をかけただけの「味」が生まれます。
なにより、筆塗り専門モデラーが打てる数少ない強力な「手」の一つなので、未経験の方にもぜひ挑戦してもらいたいです…!

ドライブラシ

上の写真はドライブラシを行おうとしている場面のイメージ図です。
筆の穂先に殆ど湿り気がないのが分かるでしょうか?
ドライブラシではとにかく筆先は「カサカサ」に…!

筆は穂先を短く切り揃えた豚毛の平筆を使っています。
今回のような「面へのぼかし塗装」が目的の場合、豚毛の平筆はコシが強くて使いやすいです。

3.実際の塗装

ドライブラシ

上の画像は、前回の記事の最後に掲載した写真です。
面相筆で重ね塗りを繰り返したので全体に筆ムラが出ていますね。
この上からドライブラシを重ねてムラを馴染ませていきます。

ドライブラシ

上の写真はある程度ドライブラシをした状態。
ドライブラシで、「面を叩くイメージで筆ムラを馴染ませながら色を載せる」…というつもりで塗っていきましたが、この段階では調色した色が濃かったのか基本色からかなり外れた色になってしまいました。
もう少し塗り重ねて調整します。

ドライブラシ

更にドライブラシを重ねました。
塗膜がかなり厚くなっているのが辛いところですが、ドライブラシ前と比べて露骨な筆ムラはかなり馴染みました。
下地の色が透けたり、お互いの色が混ざったりしてグラデーション効果も出ています。
緑色のパーツはこれで終わりにして、後は黒とグレーのパーツを塗装して合わせてみます。

ドライブラシ

調色のレシピが残っていないのですが、黒とグレーの部分も暗い色→明るい色という塗り重ねを基本に3層ほど重ねて本体パーツに組み合わせてみました。
一応それらしくなったので本体の塗装はここで終了にしました。
単色をベタ塗りする場合と違って、このような塗り方では色をどこまで重ねるかは塗りながらその時の感覚で判断することになるので、作者の感性や経験が試される部分ですね…!

4.武器の塗装

本体が塗り終わったので、残りは武器を塗ったらやっと終了です。
武器の塗装も基本的には本体と同様、筆ムラ上等で何層か重ね塗りした後にドライブラシで仕上げていきます。

武器

途中写真が一部しかありませんが、写真は2層目まで塗った状態です。
1層目…緑
2層目…緑+黒
という順に塗っています。
黒は塗り方が難しいですが、色々な色を混ぜて黒に近いグレーを目指してみるのが面白いんじゃないかと思って色々試しています。

武器

3層目の赤+黒を塗った状態。
写真で見返すと一部ややボテっとしていますね…本来はもっと薄塗りするべきだったと反省。

武器

4層目、黒(多め)+白でグレーを混色して重ね塗りしています。
この段階でフラットベースも投入したので粗さが少し誤魔化されました。
普通の筆で塗るのはここまでにして、この後はまたドライブラシです。

武器

黒+白(多め)で調色した白よりのグレーできつめにドライブラシしてみた状態。
前の写真と比べるとだいぶ誤魔化しが効いて、一応それらしく見えるようになりました。
ここまでで、本体と組み合わせます。

5.塗装終了…!

2回に分けて見てきた塗装もこれで全て終了しました。
反省点も多いのですが、それは次回以降の課題ということで…(汗
水性ホビーカラーの水希釈が思った以上に曲者だったのも今後考えていかなければいけない点ですね…
うすめ液による希釈、タミヤアクリルを使った塗装など、また今後別の機会に試して紹介していければと思います。

ともあれ今回の制作、あとは完成品画像を掲載して一区切りを付けたいと思います。
どんな作品に仕上がったか…ぜひ次の記事も見て行って下さい。