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基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編11.「シールの扱いと筆でのタッチアップ」

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最後は付属のシールを貼っていきましょう。
今回のHGUCサザビーに付属するシールは、上の画像のもの1枚だけ。
シールド中央のネオジオン章と左のフロント・スカートアーマーに付くシャアのパーソナルマーク、それにモノアイの緑色を補うものですね。
モノアイは筆塗装でもう仕上げてしまったので、ここでは二つのマーキングシールについて見ていこうと思います。

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シールの貼り付け

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塗装済みのシールドと、これから貼ろうとしているシールを並べてみました。
シールド凸モールドの塗装した黄色い部分とシールの色味を比べてみて欲しいのですが、かなり違った色に見えますね。
この色味の違いがシールの難点の一つで、これをそのまま貼ったとしても周りとの調和が取れずに色が浮いてしまいます。

さらに、シールの問題点として最も大きなものが「余白」の存在。
このHGUCサザビーに付属のシールはテトロンシールと呼ばれる透明な余白のあるもので、貼り付けた後にこの余白が(悪い意味で)かなり目立つのです。
よく言われるセオリー的な方法としては「シールの余白は切って使う」というものがありますが、それでも通常、若干の余白は残ってしまいます。
そこで、今回はちょっと考えてみました。

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今回使用するマーキングシールはそれ程複雑な形状ではないので、図柄ギリギリまで、余白がゼロになる部分まで切り取りをしてから使ってみることにします。
シールドに貼り付けるネオジオン章は直線的な図柄なので、定規を当てたアートナイフでしっかりと直線を出しながら切り込みを入れました。

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切り込みを入れたシールに塗料を塗って少し色も変えてみます。
プラ地よりもやや塗料の乗りが悪い感じはしますが、一応水性ホビーカラーでもシールへの塗装自体は可能なようです。
使用した塗料は本体の黄色部分と同じくオレンジイエローにミドルストーン少量を混ぜたもの。
フラットベースも入れています。

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シールの貼り付け位置には目安となるモールド等はないので(モールドがあるならそれ自体を塗装すれば良いので、そもそもシールは使わないですが)、場所をしっかりと検討しなくてはいけません。
写真はキットのインスト(組み立て説明書)の表紙ですが、ここに載っている完成見本が一応の正解のはずなので、今回はこれを参考にしてみることにしました。

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完成見本の写真を参考に、マスキングテープの細切りで貼り付け位置のガイドを作ります。
シールの貼り付け位置を微調整するには、シールを水にくぐらせることで粘着力を弱まらせ、水分が乾燥するまでの間に位置決めを行うという方法も模型誌などで古くから紹介されてきました。
慎重に行くならそのような手順を踏んでも良いのですが…

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今回はマスキングテープのガイドを使った一発貼りでやってみます。
シールを貼る面もやや沿った曲面となりますが、曲率はなだらかなので、慎重に進めればそれほど難しい作業ではないでしょう。

そして基本事項ですが、シールの扱いにはピンセットを使います。
ここで使っているのはゴッドハンドのパワーピンセット・先広タイプ。
写真のように先端が尖っていなくごく細い平面になっているので、シールやデカールに負荷をかけずに扱うことができ、このような作業には便利な一品です。
また、管理人は塗装中に不意に巻き込んでしまったホコリを塗膜から取り除くのにもこのピンセットを使っています。
幅広の先端部分が塗膜からピョコンと飛び出たホコリの端を掴むのに丁度良いんですよね。
お値段もそれなりですが、先端の精度や本体の強度も充分なもので、グレードの高いピンセットとしては管理人お気に入りの一本です。

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切り出したシールをシールドのパーツに貼りました。
写真はマスキングテープのガイドを取り除いた状態です。
ガイドのお陰で位置のズレはなくピタリと貼ることができましたが、こうしてみるとけっこう違和感がありますね。
もう少しよく見てみましょう。

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余白を完全に切り取ってはいるものの、シール自体に厚みがあるために塗装面からは完全に浮いてしまっています。
切り出した形状自体にも僅かなブレがあり、少し形が歪んでいる部分もありますね。
また、シールの上から塗った色も、単色ベタ塗りでは下の基本塗装と比べて少し不自然に見えてしまうようです。

ということでこのままではとても違和感があるので、今回はこの上から筆のタッチを加えて何とか修正を試みることにしました。

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筆塗りでタッチアップ

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まずは、シールの上からミドルストーンを上塗りしてみました。
わざとややはみ出し気味に塗ることで、シールの段差や輪郭のブレを誤魔化せないだろうか…という作戦です。
この段階ではまだまだ違和感がありますね。

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今度はオレンジイエローを上塗り。
さらに輪郭がボケたことで、シールを貼っただけの唐突さは少し和らいできたように思えます。
もう少し続けてみましょう。

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輪郭をなぞるようにレッドブラウンで描き込みをしてみたところ。
シールっぽさが更に薄まり、筆塗りらしくなってきましたね。
ただ、オレンジイエローとの色の差が大きすぎて輪郭の縁取りが少し唐突に見えてしまうようです。
さらに描き込みをしてみます。

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縁取りを残すようにしてミドルストーンで描き込みです。
あえてムラっぽく塗ることで「手描き感」を出してみました。
塗膜がかなり厚くなってきましたが、それはそれで立体エンブレムのように見せることができるので、ここではあまり気にしないことにします。

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ミドルストーンでは色が地味すぎるので、再度オレンジイエローでマークの内部を塗ってみました。
この部分はこれくらい彩度の高い色にしておいた方が見栄えが良いと思います。
ネオジオンの象徴たるエンブレムなので、目立ったほうが良いですしね。

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最後は周囲にはみ出したレッドブラウンの縁取りを修正します。
基本塗装のミッドナイトブルーを使って面相筆で慎重にエンブレムの周囲を描き込み、形を整えながら余計なはみ出しを塗りつぶします。
写真は修整が終わった状態。
シールの上に塗料の厚塗りをしたことでエンブレム部分が盛り上がっていますが、これはこれで「手描き風立体エンブレム(?)」として悪くない雰囲気だと思います。
シールドの他のパーツと合わせて最終的なイメージを確認してみましょうか。

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赤色のパーツと組み合わせてみた状態。
シールドとしてはこれが完成形になりますね。
こうして見ると、なかなか良い雰囲気に仕上がったのではないでしょうか。
少なくとも、最初の「シールを貼っただけ」の違和感はほぼ無くなったのではないかと思います。
今回はこれを完成状態とすることにしましょう。

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シャアのパーソナルマーク

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同様に、こちらはもう一つのマーキングシールであるシャアのパーソナルマーク。
シャアの本名である「キャスバル・ダイクン」のイニシャル「C・D」を「ト音記号」風にアレンジしたものだそうです。
余白ゼロで切り出したシールを指定の左フロント・スカートアーマーに貼り付けていますが、フリーハンドのアートナイフでは刃先がマーキングの曲線に上手く追従できず、切り取りラインがガタガタになっていますね。
これも同様に、筆塗りで修正をしてみましょう。

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まずは輪郭のガタガタを何とかしたい…ということで、基本塗装である赤(レッド)でシールのフチをマーキングの内側に若干はみ出すような形で塗ってみた状態。
シール貼りっぱなしよりは少し形が馴染んだ感じがしますかね。
しかし、まだまだ筆のタッチを重ねましょう。

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マーキングをなぞるように、オレンジイエローで描き込み。
更に少し良くなりましたが、まだ少し「シールを感じる」(笑)ので、描き込みを続けます。

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オレンジイエローで更に縁取りを少しはみ出すように塗り、レッド(赤)でそのはみ出し具合を修正した状態。
このパーツはこれで完成としました。
やはりシールの上に厚塗りをしたことでマーキング部分が少し盛り上がってみえるのですが、最初の「シール貼っただけ感」はかなり軽減できたのではないかと思います。

こういうマーキングは付属のシールをドライデカールに変更してくれるとモデラーとしても楽ができるのですが、価格の安い(また、「組み立て式のアクションフィギュア」としての需要が多いであろう)HGシリーズではなかなか難しいところなのかもしれません。
やはり最強はフリーハンドの面相筆でマーキングを手描きしてしまうことなのかもしれませんが、それはもはや「基本」ではない気がする…(笑)。

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おしまい

シールの貼り込みも何とか形になり、全ての塗装作業を終えることができました。
基本塗装がコテコテの重ね塗りなので、このような仕上げの上では(今回のような方法に限らず)シールも何らかのタッチアップが必要かと思います。
余白が目立ちにくいドライデカールや水転写式デカールであっても、色味の違和感を抑えるために若干の描き込みをした方が自然な仕上がりになると思いますよ。
今回は重ね塗りしすぎて立体エンブレムのようになってしまいましたが…個人的にはそれも含めて割と良い雰囲気に仕上がったのではないかと思っています。

さて、これで長い長い塗装作業もついに終了となります。
次回はいよいよ完成品の紹介です!

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基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編10.「細部の塗装・その2(シールド・ビームライフルの塗り足し、塗装で表現するモノアイとセンサー)」

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今回も塗り分けの続きです。
シールドとビームライフルの細部に色を入れていくのと、モノアイも塗装で仕上げてみましょう。
クリアーパーツへの改造などをしなくても、塗装を工夫することでキラリと光るモノアイを表現することができますよ。
それでは今回も順に見ていきましょう。

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シールド

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前回の記事に続き、黄色で塗り足しをしなければいけない部分はあと一つ、シールド中央の黒いパーツですね。
右側の細くなっている部分の表面にある細長い出っ張りが、本来黄色になっている部分です。
基本塗装はミッドナイトブルーのドライブラシで仕上げてあります。
黒に近いグレーといった色なので黄色は発色しにくいですが、他の部分と同様、段階的に重ね塗りをして塗り分けていきましょう。

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まずはミドルストーンから。
希釈しているので一回塗りではまだ透けがありますね。
とはいえ1層目でこれくらい発色してくれるのならば、ここも割と少ない回数で塗り上げることができそうです。

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2層目はオレンジイエローにミドルストーンを少量混ぜたもの。
かなり発色してきていますが、ここではそれよりも凸ディテールのキワ…塗り分けの境界線に塗料が流れこんでいるので、塗り分けラインがピシッと揃っていないのが気になります。
希釈した塗料を塗っているので、どうしてもパーツの凹部には塗料が流れ込みやすいんですよね。
ということで、次はここを何とか誤魔化してみようと思います。

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塗り分けの境界線に沿って、レッドブラウンを細く描き込みました。
スミ入れではありませんが、凸ディテールのキワに暗色を流し込むようなイメージですね。
ミッドナイトブルーの基本塗装の側にもそれなりのはみ出しがありますが、これは後で修正します。
塗り分けの境界線に暗色が入ることによって輪郭がボヤけ、多少のラインのブレは自然に見えるようになりますよ。

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そして凸ディテールの部分を更に塗り足し。
オレンジイエローを上塗りして彩度を上げてみました。
当然ここでも下塗りの色に影響されるので塗った色そのものは発色しませんが、だんだんと色が鮮やかになってきているのが分かります。
黄色部分の塗装としては、これくらい発色してくれれば充分でしょう。
これ以上塗り足しをして彩度を上げすぎると、逆に他の部分から浮いてしまう可能性もありますからね。
あとはレッドブラウンのはみ出しを直して仕上げとしましょう。

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基本塗装の側の色であるミッドナイトブルーを面相筆の穂先に含ませてはみ出しを修正します。
筆の毛の先端を使って慎重に慎重に…
塗り分けの境界線にあるレッドブラウンをほんの少しだけ残すようにイメージして塗っていくと、自然な感じで仕上げることができると思います。

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そして修正が終わった状態がこちら。
前の状態と比べて、塗り分けの境界部分にあった茶色のボヤけ具合が少なくなったのが分かるでしょうか。
これで色の境界に少しだけ残ったレッドブラウンが色のボケ足になってくれることで、フリーハンドによる塗り分けの不自然さが和らげられる効果を出すことができます。
このパーツもここで終了で良いでしょう。

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ビームライフル

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ビームライフルも色が足りない箇所があるので塗り足しをしていきましょう。
写真の中で矢印で示したあたりは動力パイプのような造形となっていますが、このパイプ部分は赤で色分けされている設定です。
このパーツもシールドと同様に基本塗装はミッドナイトブルーによる仕上げ。
筆先の塗料を多めに残したドライブラシで下の色をほぼ塗りつぶしています。
下地としてはかなり暗い色なので一度に目的の色を塗ろうとはせず、隠ぺい力の高そうな、少し彩度の低い色から塗り始めてみることにしましょう。

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ちょっと光の反射で状態が見づらいですが、ワインレッド(マルーン)を上塗りした状態。
もちろん希釈して塗っているのは今までと同じです。
やはり発色は下地の影響を受けているので、色味としてはあずき色のように見えてしまいますね。

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次は純粋なレッド(赤)を塗り足します。
ビン生の塗料はこんなに鮮やかな色ですが…!?

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ここでも下地の影響を受けた上での発色になるので、色味は少し濁ります
とはいえ、ここまで発色してくれれば充分に感じますね。
少し彩度が低めな色になっているのも、他の部分との調和を考えれば丁度よい塩梅です。

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あとは、フリーハンドではどうしても塗り分けの色の境界の線がガタガタになってしまうので、暗色をスミ入れ風に描き込むことで違和感を少なくします。
シールドの凸ディテールに黄色を塗った時と同じ考え方ですね。
上の写真は赤色の境界部分にレッドブラウンを描き込んだ状態。

パイプの上に等間隔に入った凹モールド部分にも影色が入るように描き込みを加えています。
こんな凹モールドへの影色の追加は、場合によってはスミ入れで処理することもできそうな感じを受けますが、今回の場合は凹モールド自体がかなり浅く彫り直しもしていないこと、また水性ホビーカラーの基本塗装に対して同じく水性ホビーカラーで影色を入れているので、ふき取りを前提としたスミ入れは手法として採用することができません。
手順としては、はみ出しが少なくなるように面相筆の穂先で細かく描き込んで、はみ出し部分を後から修正していくことになりますね。

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パイプ部分に描き込んだレッドブラウンの状態が分かるでしょうか?
色の境界や凹モールドに沿って色を入れてはいますが、どうしても若干のはみ出しがあるのでここからこれを修正していきます。
赤は「レッド(赤)」で、基本塗装の部分には「ミッドナイトブルー」を使い、面相筆の穂先で細かく描き込んでいきましょう。

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繰り返しですが、細かな描き込みには面相筆の穂先の状態が非常に大切です。
横着して多くの塗料を含ませたまま塗装をしようとすると、容易にはみ出しをしてしまいますよ。
写真から、筆の穂先の状態がイメージできるでしょうか?

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こちらは筆先のふき取りに使うキムワイプ。
希釈した塗料を筆に含ませたら、塗料皿のフチで穂先をよくしごいて塗料の量を減らし、さらにキムワイプの上で軽くふき取りをして穂先を整えてから実際の塗装に入るのが良いですね。
このあたりは平筆でベタ塗りをする時も、面相筆で細かな描き込みをする時も同じです。

上の写真は、今回の工程ではみ出しの修正をしたときに筆の穂先を整えた時のもの。
塗料の希釈率や筆に含ませる量の状態を感じてもらえたら、と思います。

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ということで、こちらは修正が終わったもの。
この写真ではちょっと細部が分かりづらいですかね…

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塗り分けたパイプ部分が見えやすいように写真の角度を調節してみました。
色の境界とパイプの凹モールドにもスミ入れ風にレッドブラウンが入ったのが分かるでしょうか?
色のはみ出しもうまく修正できたので、ここもこれで終了で良いと思います。
黒に近い色の基本塗装への上塗りでしたが、段階を踏むことできちんと色を入れていくことができましたね。

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塗装で表現するモノアイと頭頂部センサー

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そして今度はジオン系MS(モビルスーツ)の大きなポイントとなるモノアイ(頭部にある一つ目型のセンサー)です。
上の写真がキットのモノアイ部分ですが、上側に付いている丸い出っ張りがセンサーユニットなので、ここを塗装することになりますね。
モノアイはMSの顔の中でも「目」に相当する部分で非常に目立つので、製作者によってはクリアーパーツに置き換える改造をする場合等もありますが、管理人としてはやはり塗装にこだわりたい…ということで、ここも筆塗りで上手く表現してみたいと思います。

このパーツはバーニア類と一緒に基本塗装を進めておいたので、この状態ではワインレッドの上にネイビーブルーを上塗りした、つや消しの塗装で仕上がっていますね。
ここではここからの塗り足しを考えていきましょう。

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まずは下地としてホワイトを塗ることで上塗りの発色を良くします。
キラリと光るセンサーにしたいので本当はつやありのホワイトが良かったのですが、たまたま手元のストックを切らしていたので今回はつや消しホワイトを使うことにしました(汗)。

まずはビン生の濃い塗料を面相筆の穂先にチョン付けします。
今回はつや消しホワイトを使っているので、つや消し剤があまり含まれていなさそうな上澄みに近い部分から塗料を掬い取ってみました。
(基本事項として、これまでの塗装と同様に面相筆の穂先はうすめ液で少し湿らせておきます。)

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そしてパーツのセンサー部分に濃いままの塗料を塗り付けます。
多少厚塗りになってしまいますが、ここでは特に気にする必要はありません。
むしろ表面が少し盛り上がっていた方がレンズのように見える場合もあったりするので、ある程度は厚塗りの方が良い場合もあるかもしれません。
ここでの発色が仕上がりにそのまま影響するので、まずは白をハッキリと発色させることを優先させましょう。
とりあえず写真の状態くらい塗れていれば大丈夫です。

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続いてクリアーグリーンの上塗り…なのですが、現在のクリアー系塗料は染料ではなく顔料が使用されているので、ビンの中でハッキリと成分が分離しています。
管理人のような出戻りモデラーはクリアー系塗料には染料が使われていて成分の分離がないイメージがあるのでついそのまま使ってしまいそうになるのですが、ここは他の塗料と同様に撹拌を忘れないようにしましょう。

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使う塗料は極少量。
かき混ぜに使った調色スティックの先に付いた分だけで充分です。
ここから希釈なしのビン生塗料を面相筆の穂先に取ります。

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そして、白で下塗りしたセンサーにクリアーグリーンを上塗り。
クリアー系塗料は下地の色の影響をハッキリと受けますが、ビン生の白で完全な白の下地を作っておいたおかげで、上塗りのクリアーグリーンもきれいに発色してくれましたね。
塗膜の表面も光沢が良く出ているので、キラリときれいに光るセンサーが表現できました。
このような塗装で仕上げたモノアイ・センサーは、完成後にも差し込んだ光をよく反射してくれるため、鑑賞者の目を引きやすいMSの頭部の中で良いアクセントになってくれます。
クリアー系カラーの下地にはシルバーを使う方法もありますが、管理人としては色がより鮮やかに見える白下地の方がお気に入りですね。

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同様の方法で塗装しておきたい部分として、頭頂部に装備されているセンサーユニットがあります。
上の画像は頭部パーツの頭頂部にあたる部分ですが、オデコにあたる部分にモノアイと同色のセンサーが装備されているようです。
初代ガンダム(RX-78-2 ガンダム)でいうところのメインカメラにあたる部分ですね。
ここも塗り分けが必要なので、モノアイと同様の方法で色を入れてみましょう。

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面相筆の穂先で、ビン生のつや消しホワイトを塗った状態。
筆先の塗料が濃い目なこと、またパーツの形状自体も奥まった部分に色を乗せなければならないことから、楽に塗れる形状であった先程のモノアイよりもかなり慎重に塗装を進めていく必要があります。

そしてここでは、純粋な白というよりも白濁したクリアーホワイトのような色になっていますね。
ビン生の塗料を掬い取る時に、少し顔料成分の少ない部分を取ってしまったのが原因のようです…
これでは下地にハッキリと白を発色させたモノアイよりも仕上がりの色が少し暗くなってしまうかもしれませんが、ある意味それも表現の違いということで…
ここはこのまま、クリアーグリーンの塗装に進んでみることにしました。

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クリアーグリーンを上塗りしてみたのがこちらですが、やはり少し色が暗いですね…!
クリアー系カラーは下地の影響をハッキリと受けるので、不十分な白さでは上塗りの緑も曇ってしまうのです。
モノアイとはセンサーの種類が違うのだと思えば、ある意味悪くはない表現ですが、とりあえず先に仕上げてあるモノアイのパーツと比較をしてみましょうか。

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こうして並べてみると、やはり頭頂部センサー(右)の方がモノアイ(左)よりも暗い色となっているのは間違いないようですね。
とはいえ、思った程悪くない雰囲気のようです。
これを直すとしたら下地のホワイトからの塗り直しになってしまうので、今回はそこまでする程のことでもない…という判断で、この状態を完成状態として採用することにしました。
反省点としては、やはりビン生を使う場合でも塗料はしっかりとかき混ぜて使うことと、あとは横着しないで切らしているホワイトを買ってこないとダメですね(笑)

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おしまい

2回に分けて見てきた細部の塗り分けも今回で終了です。
やはり黄色などの隠ぺい力が低い色は発色までに数回重ね塗りをすることになりますが、段階を追って丁寧に仕上げていきたいところです。

ホワイトの下地にクリアーカラーを重ね塗りしたモノアイやセンサーは管理人お気に入りの表現。
今回は「基本工作で作る」というコンセプトでの制作なので、できるだけ既存の改造パーツには頼りたくないということもありますが、頭頂部センサー(メインカメラ?)のようにセンサーの形が円形以外の場合も多々ある訳ですから、塗装で表現できる方法を自分の技術の引き出しに入れておくと表現の幅が広がると思いますよ。
本文中でも触れましたが、ホワイトの下地でも思った以上に外光を反射してくれます。

さて、次回で塗装編もいよいよ最終回。
付属のシールについても扱いを考えてみましょう。

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基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編9.「細部の塗装・その1(はみ出しの修正、ファンネル・バーニアの塗り足し)」

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塗装編もいよいよ大詰め、今回はこれまで塗ってきたパーツのさらに細かな部分の塗装をしていこうと思います。
最終仕上げの直前は気持ちがダレやすい(管理人だけ?)のですが、完成まで集中してしっかりとやっていきましょう。
必然的に細かく描き込む部分が多いので、平筆でほとんどを塗ってきた今までとは違い、主に面相筆を使っていくことになりますよ。

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はみ出しの修正

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細部の修正作業としては、まず色のはみ出しから直していくことにしましょう。
メインとなる外装外側の赤色を塗った時に、裏側にも色が回り込んでいる部分があります。
こういった箇所の修正では上から暗色を塗り足すことになるので、隠ぺい力の面でも有利で少ない塗りの回数で目的の色を発色させていくことができ、そういう意味では少し楽ができそうですね。

上の写真は肩アーマーを裏から見たところ。
矢印の部分に微妙に裏側へのはみ出しがあるのですが、ここは本当に少しのはみ出しだけなので、写真ではちょっと分かりづらいかもしれないです。

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この写真でははみ出しがより分かりやすいですね。
肩に付くバーニアカバーのようなパーツの裏側です。
赤色がくっきりとした線で裏に回り込んでいるのが分かると思います。

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こちらはプラ板で裏側にフタをしたフロント・スカートアーマー。
パーツの輪郭に沿って、大きくはみ出しがありますね。
ここは後で修正することを前提に、赤色はかなりラフに塗っていた部分でもあります。
どうしてもはみ出しが嫌ならマスキングが必要になってきますが、そこまでする程のことでもないでしょう。

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修正には面相筆を多用します。
筆の穂先はピンと尖った状態を保てるよう、また穂先に塗料を付けすぎないようにします。
塗料皿のフチで筆先をよくしごいたら、そこから更にキムワイプの上で塗料の量を減らしながら穂先の状態を整えるようにしましょう。
穂先の状態が適正でないと、筆の正確なコントロールができません!

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こちらは早速はみ出しを修正した状態。
と言っても、このパーツは元々のはみ出し方も多くなかったので変化が分かりづらいかもしれないですが…
一応、塗り分けを修正したことで色の境界線もカッチリとした印象になりました。

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さっきとは逆向きですが、こちらのパーツも修正済の状態
このパーツは裏側のレッドブラウンを塗り足すのと同時に、赤色側のキワにも茶色のはみ出しがあったので赤の上塗りでも修正をしています。

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フロント・スカートアーマーの裏です。
ここはまず裏面を赤のはみ出しごとレッドブラウンで塗りつぶしました。
面積が広いので面相筆のほか、平筆も併用しています。
しかし…この状態ではいまいち装甲裏っぽくないので、ここからもう少し塗り足します。

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ここではレッドブラウンの上からRLM74 グレーグリーン(フラットベース添加)を上塗り。
下地のレッドブラウンの影響なのか、かなり緑がかった不思議な色になりましたね。
装甲の裏面に入るメカ色としては悪くない雰囲気なので、今回はこの色のままで塗り終わることにしました。

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足りない色を塗り足していく

ファンネル

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はみ出しの修正が出来たら、基本塗装で塗り切れていない色を足していきましょう。
写真のパーツは展開状態のファンネル。
本体の赤部分と一緒に黒立ち上げで塗っておいたのですが、裏側も赤では違和感があるのでもう少し塗り足しておきましょう。
なお、表側にあるビームの砲口付近は特に塗り足しをせず、このままで完成としています。
黒立ち上げ塗装の際に上塗りを控えめにしたことで、若干ながら暗めの赤となっていますね。

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裏側にはフロント・スカートアーマーの裏にも使用したRLM74 グレーグリーンで塗り足し。
少し下地の赤が透けていますけど、深追いはせずにこのままで終了としました。
単色ベタ塗りで完全に塗りつぶすと、それはそれで違和感がありますからね。

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収納状態のファンネルもグレーを塗り足しです。
3基が連結されて1つのパーツになっていますが、連結部分をキッチリ塗り分けておこうと思います。
まあここは工作の段階で3基をバラバラにして制作しても良かったかもしれないのですが…

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連結部分と、展開した時に噴射ノズルとなる裏側もにグレーを塗装。
使用したのは先程と同じRLM74 グレーグリーンです。
連結部分は本来は形状として存在しない部分なのですが、グレーで塗り分けたことで一応それらしく見えるようにはなったと思います。
このパーツもこれで終了。

スカートアーマーと股下の小バーニアノズル

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そして、ここはちょっと大変な部分です。
フロント・スカートアーマーとフンドシ部分(笑)の下部、それにリアのスカートアーマーにも装備されている小バーニアやダクト状のディテール。
これらは黄色で塗り分けなければなりません。
黄色は隠ぺい色が弱いので発色もしづらく、また影色を入れる場合、その加減によっては一気に汚らしくも見えてしまうので、塗装表現として難しい部分です。

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前側の腰回りを担当するパーツたち。
ちなみに今回塗装するこれらの小バーニアのノズル部分は、ディテールアップの一環として彫り込みを行った箇所。
このようにしっかり塗装をして仕上げていく場合には、特にディテールアップ工作の効果も活きてきます。
スミ入れやウォッシング等の塗装表現は特に行っていませんが、黒立ち上げの過程で奥まった箇所にはあまり明るい赤を塗らないようにしていたため、この段階でも自然とそれなりの陰影が付いていますね。

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やはりここの塗装でも、塗料を含ませた面相筆の穂先の状態を良く整えることが重要です。
塗料の付けすぎは厳禁なので、キムワイプを活用して適度に筆に含んだ塗料を落としましょう。

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面相筆の穂先を使って、慎重にミドルストーンを描き込んだ状態。
塗料にはフラットベースも混ぜていますよ。
フロント・スカートアーマー(写真で左右にあるパーツ)下部の小バーニアノズルは、ディテールの凸部分にだけ色が乗るように塗っています。
なるべくはみ出さないように気を付けて塗装しますが、絶対にミスをしないのは不可能なので、もし少し赤側にはみ出してしまった箇所があったら、レッド(赤)にフラットベースを加えたもので細かく上塗りして修正します。

股下のバーニア(写真中央のパーツ)はこれだけではやや単調に感じますが、フロント・スカートアーマー下部の小バーニアは割と良い雰囲気ですね。
ミドルストーンは黄色系としてはかなり彩度の低い色なのですが、この部分に関してはこれだけでも違和感はないように感じます。
ということで、こちらのパーツはこれで塗り終わり。
もちろん、好みによってはオレンジイエローなどのより彩度の高い色で塗り足しをして色味を加えてやれば良いですね。
ここでは股下パーツのバーニアに、もう少し描き込みを加えてみましょう。

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先程の状態ではミドルストーンが部分的に少し透けていたので、同じ色でもう一度重ね塗り。
二回塗りするとかなり発色してくれますね。
ただ、単色のベタ塗りなのでやはりこれだけではバーニア部分の色味が足らず、少しのっぺりとした印象を受けます。

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オレンジイエローにミドルストーンを少量加えて彩度を落とした色で上塗り。
色が明るくなって、少し生き生きとしてきましたね。

管理人の制作スタイルとして、塗装ではできるだけ混色はしたくないのですが、この部分のように微妙な色合いが欲しいときには混色もやむを得ないこともあります。
なお、今回のように塗料皿の上でその場の感覚で色を混ぜて使う場合、後から全く同じ色を作るのは不可能なので、なるべく時間がある時にまとめて作業をするようにして、中途半端に作業を中断せず、同じ色は一気に塗り上げるようにした方が良いでしょう。

学生時代なら徹夜で塗装をすればそんなことは考えなくても良かったんですけどね。
社会人モデラーはどうしても体力・気力・家庭の事情(?)等によって普段は長時間の連続作業をすることが難しいと思いますが、時間配分をよく考えた塗装計画で作業を進めていきたいところです。

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次は影色を足してみます。
ディテールの凹部分にやや多く塗料が溜まるような感じで、薄めに希釈したレッドブラウンを描き込みましょう。
(なお、細かな塗装をする際は写真のように右手の小指を塗っているパーツに当てて支えにすると手先が安定しますよ。)

ちなみに、影色だからと言って安易に黒やグレーを選ぶのは良くないです。
スミ入れ等にも言えることですが、後から描き込む暗色は基本色との調和を考えて色を選ぶ必要があります。
純粋な黒を使うと一気に色がわざとらしくなるので、気を付ける必要がありますね。

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レッドブラウンが入ったことで、また少し感じが変わりました。
凹部が強調されて彫り込んだ形状も良く分かるようになりましたが、このままでは少し汚らしく見えてしまうので、ここから更に色を足しましょう。

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ディテールの凸部を中心に、オレンジイエローで描き込みを加えました。
オレンジイエローそのものはかなり鮮やかな色ですが、希釈した色を塗っているのでそのままでは発色せず、写真のような状態で落ち着いています。
先に塗ってあるレッドブラウンを馴染ませるようなイメージで色を足していきましょう。

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同じ状態で別角度から。
それぞれの色が馴染んだことで、それなりに立体感のある仕上がりとなったのではないでしょうか。
どこまでやるかは制作者のセンスによる部分も大きいですが、今回はこの部分の描き込みもこれで終了にしたいと思います。
(実際にはこの写真を撮った後に赤色部分への僅かなはみ出しに気が付いたので、赤で若干の修正を行いました。)

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リアのスカートアーマーも同じように、左右の小バーニアと写真で手前に見えているダクト状ディテールの部分を黄色で塗り分けます。
使った色も先の例と同じなので、ここでは簡単に塗装過程を見ていきましょう。

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黄色を塗装する前の状態を斜めから。
サイドの小バーニアと下部のダクト状ディテールの部分ですが、やはりここも基本塗装の黒立ち上げの過程で途中から明色を塗り込んでいないので、ディテールの内部が若干暗い色に見えますね。
後で違う色を塗り足すことが前提なので少し横着をしているのですが、かと言ってプラ地そのままだとパーツ自体が透けて見えてしまったり、上塗りの塗料の乗りも悪かったりもして良くありません。
一応、こういった部分であっても今回のようにある程度までは塗膜を作っておいた方が良いと思いますね。

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そして細部の描き込みです。
ミドルストーン、一度目の塗装。
希釈しているので全体的に透けて見えています。
焦らずに一旦乾燥を待ち、ここから同じ色でもう一度重ね塗りをしていきましょう。

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ミドルストーンで2層目の塗装。
写真では変化が分かりにくいですが、1層目の塗装よりも下地の透けは少なくなっています。

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オレンジイエローにミドルストーンを少量混ぜて3層目を塗装。
全体的に塗りつぶしているので少しのっぺりとした感じはしますが、発色はなかなか良いようですね。
もう少し色を足しましょう。

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薄めに希釈したレッドブラウンで4層目。
この色が影色になってくれます。
あとは明色を重ねて全体を馴染ませていけば良いですね。

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オレンジイエローを重ねた5層目。
先に塗った影色・レッドブラウンの違和感もだいぶ和らいだのではないでしょうか。

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最後ははみ出しの修正です。
塗り分けキワを、つや消しにした赤で細かく描き込んで色の線を整えます。
塗料の含み具合を良く整えた面相筆の穂先で慎重に作業を進めましょう。

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これが完成状態。
色のはみ出しは意外と完成後にも目立つので、丁寧に修正しておきたいところです。

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前に塗り分けたバーニアパーツ等にも色を足します

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こちらは前の工程で元々塗り分けてあった部分ですが、単体のバーニアやメガ粒子砲のパーツ。
今回塗装したスカートアーマー等の小バーニアと比べると黄色の鮮やかさが低く統一感に欠ける感じがしたので、この段階でオレンジイエローを塗り足して色味を調節しています。
写真にはありませんが、他のバーニアパーツの内側もここと同様に一部塗り足しを行っています。
陰になる部分など、場所によっては単色のミドルストーンでも十分黄色に見えたりもするので、完成後に配置される場所や近くにある色とのバランスも考えて色の鮮やかさを調節すると良いと思います。

ちなみに上の写真にあるのはランドセルの背面に付くバーニアノズル。
完成後にも非常に目立つ部分なので、ミドルストーンの単色よりはかなりオレンジイエローに色味を振っています。

おしまい

今回のように、細部の塗装において面倒なマスキングをせずに面相筆で塗り分けをしていくことができるのは筆塗りのメリットではあるのですが、フリーハンドでの塗り分けはかなりの集中力が必要な部分でもありますね。
管理人は無理して長時間の作業を行わず、短時間の作業を繰り返して塗り分けを進めるようにしています。
(だから完成が遅いのですが…笑)

次回も塗り分けの続きです。
まだまだ細かい作業が続きますね…

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基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編8.「メイン以外の色を塗っていく・その2(動力パイプ等の黄色・ビームライフル等武器類の塗装)」

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メイン以外の色の塗装・その2となる今回で塗っていくのは、動力パイプやメガ粒子砲などの黄色パーツに、ビームライフル等の黒系で塗る必要がある武器類ですね。
ここまで塗り終われば、あとは細部の描き込みや修正を残すのみです。
長かった塗装もようやく終わりに近づいてきましたね…!

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動力パイプ等、黄色のパーツ

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黄色のパーツは数は少ないですが、赤色の本体に対してアクセントとなる部分で、非常に目立つので色味に気を遣っていきたいところです。
パーツとしては上の写真に写っているものが全てですね。
腰回りの動力パイプとメガ粒子砲の発射口、それに肩アーマーに内蔵される小バーニアです。

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メガ粒子砲の砲口と小バーニアはモールドがシャープになるように彫り込みを行っています。
厚塗りでシャープなディテールを潰してしまわないようにも気を付けたいですね。

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一色目はレッドブラウン。
下地の黄色いプラが透けるくらいの濃度で塗っていくのはこれまでと同じですね。

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メガ粒子砲の砲口は入り組んでいるので、パーツの凹部に垂れた塗料が溜まってしまわないように、特に気を付けて塗っています。
写真でもかなりの薄塗りになっているのが分かるでしょうか。

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そして二度塗り。
まだ少し透けていますが、かなり茶色が発色してきています。
やはりここでも1度目の塗装は薄く塗料の膜を作るくらいのイメージに留めておいて、発色させるのは2度目以降の重ね塗りで…というように考えていくのが良いですね。

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2色目の塗装はワインドレッド(マルーン)。
下地のレッドブラウンを2度塗りしているので、塗膜としては3層目ですね。
この色はこの時点でかなり発色しています。

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小バーニアとメガ粒子砲のパーツたち。
若干の透けはありますが、液だれ等のトラブルもなく赤色が発色していますね。

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次の3色目はミドルストーン。
黄土色に近いような色ですが、彩度が低く隠ぺい力の高い黄色というイメージで使っていくことができる色です。
ワインレッドの下地からでも割と良く発色をしていますね。
微妙に透けているワインレッドも良い塩梅です。

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薄塗りに気を遣わなくてはいけない小バーニアとメガ粒子砲のパーツでも発色は良好です。

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4色目としては、今回の制作で唯一の混色を行いました。
オレンジイエローにミドルストーンを少量です。(フラットベースも混ぜています)
ミドルストーン単色では彩度が低すぎるのですが、かといってオレンジイエロー単色を上塗りすると鮮やかになりすぎて本体に組み合わせた時に浮いてしまうのではないか…といった判断から、オレンジイエローをベースに少量のミドルストーンで彩度を下げた黄色で上塗りをすることにしました。
上の写真が塗り終わりの状態ですが、なかなか雰囲気良く仕上がったのではないでしょうか。
黄色パーツもこれで全て塗り終わりました。

なお、一部バーニアの内部色もミドルストーンだけでは彩度が低すぎると判断し、この段階で塗り足しを行いました。
写真で左下に移っている3つのバーニアはランドセルの背面に装備されるもので、完成後にも非常に目立つ位置に配置されるので、少しだけ鮮やかさを足してみています。

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ビームライフル等、武器類

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そして武器類の塗装です。
と言ってもそんなに数は多くありません。
サザビーの手持ち武装はビームライフル(ビーム・ショット・ライフル)とシールドが基本で、あとはビームサーベル類だけとなっているので、今回はビームライフルの塗装が主な内容になります。
上の写真は表面処理を終えた、未塗装の状態。
ここから色を塗っていきますが、今回もやはり何段階かの重ね塗りをしてみようと思います。

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1色目は今回もレッドブラウン。
薄塗りでも隠ぺい力が高く、下地として使うのにも便利な色ですね。
ビン生の状態でつや消し(3/4つや消しという表記)になっているのも使い勝手が良いです。

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ちなみに、この工程で塗装するパーツはこれだけです。
ビームライフルの他は、シールドの裏面に付くパーツと、同じくシールド裏に装備されているミサイル、あとはビームトマホークの先端部分ですね。
他の武器類はというと、ファンネルは本体と同じ赤ですし、ビームトマホークやビームサーベルの柄部分も赤色なので、MS本体と一緒に塗り終わっています。

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さて、次は2色目としてパープルを塗ったのですが、何とここで合わせ目消しの不備が発覚しました。
まあサーフェイサーを使わない制作スタイルでは、良くあることといえばそうなのですが…

塗装をすることで表面が単色で統一され、キズやヘコミが発見しやすくなるんですね。
サフレスでの塗装をする場合、塗膜の1・2層目くらいまでは塗料がサーフェイサーの代わりと思って新たなキズの発見に備えておいた方が良いかもしれません。

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見つけたキズは消さないと…ということで一旦表面処理に戻ります。
写真は神ヤス!の400番で合わせ目の近辺を削った状態。

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次に、キズを埋めるためにビン入りのサーフェイサーを筆塗りしました。
ごく浅い傷なので、プラパテを使うほどの深さではないという判断です。

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使用したサフはクレオスのMr.サーフェイサー1000のビン入りタイプ。
隣のレベリングうすめ液は筆洗い用です。
筆洗いには乾燥の遅いレベリングうすめ液の方が使いやすいような気がして、管理人は通常のMr.うすめ液ではなくこちらを使っています。
元の容器は大きすぎるので、タミヤのスペアボトルに移し替えておくと扱いやすいです。

しかし、ラッカー系の溶剤がベースなので分かってはいることなのですが、サフは溶剤の臭いがキツい…!
水性アクリル系使いには毒ガス級の威力ですね…
ちなみに、最近は水性サーフェイサーなるものも発売されているようなのですが、管理人は未入手・未経験なので現時点では何とも評価できません。
マテリアルの発売頻度に制作ペースが追いつきませんね…笑

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こちらはサフの筆塗りに使う筆。
精密な塗り分けは必要なく、穂先も傷みやすいので安物で充分です。
写真のものはタミヤの一番安い平筆で、No.0は穂先の幅が4mmのタイプ。
この筆は軸が白木の無垢となっているので、筆のお尻側でビンサフの撹拌をするようにすると、わざわざ調色スティックを汚さなくても良いので便利ですね。

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ラッカー溶剤がベースのビンサフは乾燥も非常に速いのですぐにペーパーがけに入れます。
逆エッジなど、パーツのキワにはつまようじヤスリを使うと便利ですね。
全体的に400番のペーパーを軽くかけてサフを塗った面を平滑に処理します。

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ペーパーがけが終わったビームライフル。
キズがあった部分にサフのグレーが残っているのが分かりますね。
ここまで処理できたら、削りカスをよく取り除いて再び塗装に入りましょう。

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処理した部分を中心に、レッドブラウンを薄塗りした状態。
下地のサフがまだうっすらと透けて見えています。
もう少し重ね塗りしてみましょう。

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レッドブラウンの薄塗りを2層ほど重ねた状態。
サフで処理した下地のまだら模様もほぼ完全に見えなくなりました。
ここまで塗れたら、2色目のパープルを塗り足して他の部分と色を合わせましょう。

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ちょっと写真に撮ったパーツの向きがが左右逆でしたが、サフで処理した部分にパープルを塗り足した状態。
キズも特に見当たらず、他の部分との差も分からなくなりましたね。
これでやっと塗装を次の段階に進めることができそうです。

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色の最終目標は黒に近いグレーなので、そろそろ黒に近い色を塗って様子を見てみることにしましょう。
こちらはネイビーブルーを全体に塗った状態。
これはこれで悪くはないですが…やはりもう少し黒っぽい方が銃らしい感じがしそうですね。
ということで、更に色を重ねます。

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本体の黒い外装でも使ったミッドナイトブルーを上塗りしてみました。
色の黒味は増しましたが、何だかパーツの部位によって色がまばらになっていますね。

実は、これは塗る時に希釈率を間違えているのです…(薄めすぎ)
しかもこの写真では分かりにくいのですが、ここでは更に大きな問題も発生しています。

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光をかざすと塗膜の状態が良く分かりますね。
上の写真の矢印のあたり、かなり筆ムラが出ています。
これは塗料を薄め過ぎて色が乗らないことに焦ったあまり、乾燥前に返し筆をしてしまったという初歩的なミスによるものです。
塗装においては「しまった」と思ったら、何はともあれ焦らずに乾燥を待ってから対処するのが鉄則ですね…

とはいえ、分かっていてもやってしまう時にはやってしまうもの(汗)。
こうなってしまったら仕方がないので、ここからのリカバリーを検討しましょう。

まず考えられる方法としては、塗料が完全に乾燥したのを待ってから、番手の細かいペーパーで塗膜の表面を削って平らにするというものがあります。
あとはマジックリンにどぶ漬けして、塗膜を洗い落としてしまう方法もありますね。
(ちなみに、ここまで筆ムラがひどいとここからの上塗りでムラを馴染ませていくことはもう不可能です。)

考えた結果、今回はマジックリンで全てをリセットしてやり直す程の気力がなかったため(汗)、前者のペーパーがけ法を選択することにしました。
ちょうど、セットで買った高番手の「神ヤス!」も手元にありましたしね。

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8000番の神ヤス!で塗膜を水研ぎします。
このような磨きには8000番か10000番くらいの高番手が丁度良いようですね。
10000番では少し削れ方が弱い感じがしたので今回は8000番で全体を磨いてみました。
ただし、8000番を使った磨きでは割と容易に下地のプラが露出する印象なので、研ぎ出し等で慎重に塗膜を削っていきたい場合は10000番を使った方が良い感じですね。

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磨き終わり。
大まかにネイビーブルーの色も残っていますが、下地のパープルやレッドブラウンの層まで削り込まれている部分もあって、表面はまだら模様に見えますね。
また、部分的に下地のプラ(黒い成形色)が露出しているところもあります。
とりあえず、塗装ミスによる塗膜の激しい筆ムラは無くなったようなので、再びここからの塗り足しを考えていきましょう。

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せっかくの塗り直しなので、さっきとは違う色を経由して仕上げに向かってみましょう。
ここでは赤系統の下地色として、ワインレッド(マルーン)を塗装。
薄塗りなので下地のまだら模様が透けていますね。
はっきり分かるほどの筆ムラといったトラブルもなく、今度は順調に塗れている感じです。

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そして、最後はドライブラシで仕上げることにしました。
ミッドナイトブルーにフラットベースを加えて、面を叩くようなドライブラシで全体に色を付けていきます。
本体外装の黒色パーツを塗ったのと同じやり方ですね。
ドライブラシとしては筆の穂先に残す塗料はやや残し気味にして、しっかりと色を乗せていきましょう。

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そして塗り終わり。
このような塗り方をすると、全体が軽く梨地のようになってしまいますが、それはそれで金属のような質感を感じさせることができます。
場合によってはこの上からごく軽くシルバーでドライブラシをしても良いかと思っていたのですが、意外とこの状態が気に入ったので、武器としての塗装はここで終わりにすることにしました。
途中トラブルもありましたが…何とか形になって良かった、というところですね…

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こちらはビームトマホークの先端とシールド裏に装備されるミサイル。
ネイビーブルーの上からミッドナイトブルーでドライブラシです。
うーん、下地にワインレッドを塗ったライフルとの色の差が分かりませんね…(汗)
ここではもう少し控えめにドライブラシをかけた方が良かったのかもしれません。

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あとはシールド裏のパーツもありましたね。
これは途中のネイビーブルーをベタ塗りした状態。
ビームライフルのように筆ムラをつけるトラブルは起こしていないので、ここからのドライブラシで仕上げに持っていきます。

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RLM74 グレーグリーンで全体にドライブラシ。
わずかにですが、全体がグレーに曇ったような感じになりましたね。
装甲裏のメカ部なので、ビームライフル等とは少し色を変えて今回はこんな感じで仕上げてみました。
ここは裏側なのでほとんど見えない部分なんですけどね。
こういうところでも少し色を変えたりしておくと「こだわった」という気分になれます…笑

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おしまい

武器まで何とか塗り終わり、長い長い塗装作業もやっと一区切りというところ。
HGUCサザビーでは合わせ目消しが必要なパーツがビームライフルだけというキット構成だったので、今回最後の最後で合わせ目の修正に迫られるという事態になってしまいました。
とはいえ、塗装中だからと言って表面処理に戻ってはいけない訳ではないので、必要に応じてその都度確実に処理してやるようにしていきたいですね。

次回からは塗装編も大詰めへ、細かな部分の描き込みや修正といった内容を主に見ていこうと思います。

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基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編7.「メイン以外の色を塗っていく・その1(本体の黒いパーツ・関節・バーニアの塗装)」

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前回までで外装の赤いパーツが塗り終わったので、今回はそれ以外の色のパーツ…本体の黒色部分などを塗っていきますよ。
メインの赤色は黒立ち上げからの重ね塗りで仕上げているので、その他の部分もそれなりに色の塗り重ねをして単調にならないように気を付けてみたいと思います。

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MS本体の黒色装甲パーツ

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写真は胴体に使われる黒で塗装するパーツです。
既にレッドブラウンで一層だけ薄く下地塗装をしてありますが、先に塗装を終えた赤色パーツを塗るときに一緒に組み合わされていたので、ドライブラシの赤がはみ出して一部が赤くなっていますね。
ここから適当に何色か上塗りを繰り返して、最終的には「黒に近いグレー」を目指したいと思います。
黒いパーツだからと言って「純粋な黒」で塗ってしまうと、そのパーツにはそれ以上の色の諧調や変化が感じられなくなってしまい仕上がりも単調になってしまうので、「黒を黒で塗らない」ということは、塗装の考え方として割と重要なことだと思いますよ。

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なお、胴体部分のパーツでは塗装前の写真が残っていなかったので、参考までにシールドのパーツの写真を持って来ました。
こちらは塗装前のプラ地です。
400番のペーパーで表面処理をして、パーツを洗浄した状態。
これまでと同様、サーフェイサーは使わずプラ地に直接塗装をしていきます。

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一層目のレッドブラウンを塗りました。
隠ぺい力の高い色ですが、しっかりと希釈してこれくらい下地を透けさせながら薄く薄くを心がけて塗っていきます。
さて、次からは胴体のパーツで塗装の手順を見ていきましょう。

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胴体のパーツに戻ってきました。
こちらは二色目としてパープルにフラットベースを添加して上塗りした状態。
これ以降、基本的に塗料には水性ホビーカラーのフラットベースを加えて、しっとりとしたつや消しで塗装を進めていきます。
このパープルもこれまでの基本塗装と同様、「1/2うすめ液」(水性ホビーカラーの純正うすめ液を水道水で二倍に割ったもの)で2.5倍(塗料:1/2うすめ液=1:1.5)を目安に希釈しているので結構な薄塗りとなっていますが、この色の隠ぺい力はなかなか高いようで全体がかなり紫色に染まりました。
こうして見ると、パープルは元々色の中に白の成分が混ぜられているのでしょうか。
やはり白や黒が混ぜられた色は隠ぺい力が高くなる傾向がありますね。

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胴体パーツに加えて、ランドセル(バックパック)、ファンネルコンテナ、プロペラントタンクといった同色の部位を塗装して組み合わせた状態。
レッドブラウンからパープルの重ね塗りで2層を塗っているのは他のパーツも同様です。
ここから更に塗り足しを加えていきます。

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3色目としてミドルストーンを上塗りした状態。
下のパープルが透けているので濁った黄土色というか、何とも形容し難い微妙な色になっていますね。
少し汚らしくも見えてしまうので、重ね塗りが前提でなければ不安になるような色味ですが、このパーツは最終目標が黒に近いグレーという非常に暗い色なので、途中で重ね塗りする色の色味や発色などはあまり気にする必要はありません。
むしろ、様々な色を経由したほうが色味が単調にならなくて良いと思います。

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4色目、ワインレッド(マルーン)を上塗り。
前のミドルストーンが割と明るい色だったこともあり、良い雰囲気の赤色に染まってくれました。
塗膜も程よく塗り重ねられ、下地のプラも殆ど隠ぺいできた(光が透けなくなった)と思うので、次からはそろそろ黒系に近い色を塗って色味を仕上げていきたいと思います。

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5色目はネイビーブルー。
かなり紺から黒に近い青ですが、青系の暗色としてはまだ明度が高い方です。
写真ではやや緑がかって見えていますね。
ファンネルコンテナやプロペラントタンクの部分が胴体よりも薄塗りになってしまったのでかなり下地の赤色が透けていますが、今回はこの後もまだ重ね塗りを繰り返すので、ここでは深追いをせずに次に進もうと思います。

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6色目、RLM74 グレーグリーン。
やや緑がかったグレーですが、割と雰囲気良く色がまとまった気がしますね。
黒色パーツの塗装をグレー寄りで考えるなら、この段階を基準にしてしまうのも良いかもしれません。
が、実際に赤色部分と合わせてみないと最終的にどんなイメージになるかが分からないので、色についてはもう少し検討をしようと思います。

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こちらはまた別パーツの例になりますが、塗装中のシールド。
赤部分は本体同様にドライブラシまで塗装が終了していて、中央の黒い部分を胴体と同時進行で重ね塗りしています。
グレーグリーンまで塗装した中央パーツですが、赤色の部分と組み合わせてみるとやはりもう少し黒に振った方が良い気がしますね。
ということで、ここではもう少し塗り重ねです。

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塗装の最終段階として、ここではまたドライブラシ。
ミッドナイトブルーを全体に叩きつけるように塗りました。
下地のグレーをほんの少しは残すようにしたつもりなのですが、仕上がりはほとんど塗りつぶしに近かったかもしれません。
ただ、それなりに重ね塗りを繰り返してはきたので、微妙な下地の透けが組み合わさることで単色ベタ塗りとは違う色の深みが出ている(といいな…汗)と思います。
黒いパーツはここまでで塗装の終了としましょう。

このパーツはドライブラシを含め、ここまでで7層の重ね塗り。
塗膜は薄く仕上げた方が良いという考え方もありますが、塗膜が厚くなることには下地のプラスチックを光が透過しなくなるという効果があり、管理人のようなサフを吹かない制作スタイルの場合、ある程度の塗膜の厚みは必要だと考えています。
(もちろん、ボッテリと厚塗りして良いという意味ではありません。
重ね塗りを繰り返す前提だからこそ、一回一回の塗膜は極力薄く、塗料は自分が扱い切れるギリギリまで薄く希釈する必要があります。)

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外装以外の黒色パーツ

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上の写真は黒色パーツを塗装中の写真。(黒いパーツとしてはこの他にシールドのパーツもあります)
レッドブラウン、パープルまでの塗装は外装黒パーツと同じ手順で塗装しましたが、写真のように一部のパーツは3色目以降を塗っていません。
色の変化を付けたいというのも理由の一つですが、同時に塗装の省力化も兼ねていますね(汗)。
ここではそれらのパーツの塗装を見ていきましょう。

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二色目のパープルまでを塗って途中の重ね塗りを省いたパーツですが、特に写真左側にあるファンネルコンテナの内部は形状がかなり細かく塗装が非常に大変です。
平筆で一気に塗ることは不可能なので、面相筆の穂先で少しずつ塗っていくことになりますが、時間もかかって大変な上に完成後はあまり目立たない…という部分なので、少しでも手間を省きたい部分ですね…

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一つ前の写真の状態からネイビーブルーを上塗りしたもの。
ワインレッドが下地になるその他の外装パーツとは違って、写真右側のパーツ群はパープルが下地になるので塗装の発色具合もかなり異なって見えますね。
同じ塗料、同じ色、同じ希釈率であっても、色というのは下地によって見え方が全く異なるので、実際の塗装ではこのような差が生まれます。
パープルとネイビブルーが青系同士で上手く調和して、なかなか良い雰囲気で若干青みがかったグレーが発色してくれたのではないでしょうか。
重ね塗りの回数が少ないので先の7層重ね塗りした外装パーツほど塗装に”味”はありませんが、完成後にほどんど見えなくなる部分としてはこれで充分でしょう。
ということで、この部分はこれで完了です。

ABS製の関節パーツ

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HGUCサザビーは関節部にABS樹脂製のパーツが使用されていますが、ABSは通常のプラモデル用塗料を使用すると溶剤の浸透により割れが発生することがある、とされています。
今回の制作でも、大事を取って早い段階でABS製のパーツにはアクリジョン ベースカラーで下塗りをしておきました。
(アクリジョンはABSにも問題なく使用できると明記されている塗料です。)
アクリジョン ベースグリーンを薄く2度塗りした後、レッドブラウンを2層ほど重ね塗りして下地の色を覆いつくしています。
本体の赤系塗装の際に赤い外装等のパーツと組み合わされていたので、ドライブラシのはみ出しで一部が赤く染まっていますね。
今回はここから塗り足しをして、関節としての色を出していきます。

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ネイビーブルーを上塗り。

なかなか良い感じではないでしょうか。
関節部としてはこれで終了にしても良い気がしますね。
実際の塗膜としては、アクリジョン ベースカラーが2層、レッドブラウンが2層、ネイビーブルーが1層なので計5層の塗膜です。
関節部分はあまり厚塗りにすると可動クリアランスやパーツのはめ込みに影響するという問題もありますので、今回もほどほどにしておきましょう。
下地のレッドブラウンが少し透けていますが、それほど違和感はないと思います。

ホコリが混入…

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と、次のパーツに行く前にここでホコリの混入を発見してしまいました。
こちらは同じくABS製のパーツで、肩関節の内部ですね。
写真で正面に写っている部分で、ハッキリとホコリを巻き込んでいるのが分かるでしょうか。

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ホコリの対処としては、より厳密にやるなら目の細かいペーパーで削り取ることになりますが、今回はよりお手軽なアートナイフプロを使用しました。
曲線刃の刃先でホコリを巻き込んだ箇所を慎重に削り取ります。
もちろん、塗膜は完全に乾燥していることが前提ですよ。
塗装中にホコリを発見した場合、その場でピンセットで取り除くことができなければ、先ずは一旦乾燥させてからの対処をしていくことが重要です。

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塗膜表面ごと、ホコリを削り取った状態。
削った個所は下地に塗ってあるアクリジョン ベースグリーンの明るい緑が見えていますね。
ここからもう一度ネイビーブルーをリタッチして仕上げます。

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傷の部分を中心にネイビーブルーを上塗り。
こちらは塗った直後の状態です。
まずは焦らず乾燥させましょう。

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塗料が乾燥すると、下地の傷が少し透けて見えてきましたね。
ここはもう少しの重ね塗りが必要です。

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ということで、ネイビーブルーを二度目のリタッチ。
少し良くはなりましたが、まだ透けはあります。
もう少しという感じですね。

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3度目のリタッチ。
今回は2度目までよりも少し濃い目の希釈で塗っています。
完全に平滑ではありませんが、違和感はかなり少なくなったのではないでしょうか。
このくらいなら、完成後に見ればほとんど気にならない程度だと思います。
ということで、このパーツも終了。

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バーニアのパーツ

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続いて、バーニア(ロケットの噴射ノズル)のパーツです。
このパーツは成形色では黒一色ですが、設定ではノズルの内側が黄色系の色で塗装されていることになっています。
細かい上に数も多くて大変なのですが、内部の塗り分けも含めて塗装工程を見ていきましょう。

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一色目はミドルストーン。
黒の成形色にサフレスで黄色という、塗料の隠ぺい力を考えるとかなりの悪条件ですが、ここでも基本に忠実に地道に塗装をしていきましょう。
2.5倍に希釈した塗料を薄く一度塗りしたのが上の写真の状態です。
かなり下地の透けがありますが、焦らずに薄く塗膜を重ねることが重要です。
(ただし、ミドルストーンは普通の黄色よりは隠ぺい力のある色です。)

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別のバーニアパーツ。
キットの状態でもノズルの内側にも細かな彫刻が入っているので、塗装の際は手間がかかりますね。
平筆だけでなく面相筆も併用して、厚塗りにならないように気を付けながら少しずつ色を付けていきましょう。

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ノズルの内側は細かい上に入り組んでいるので、筆の穂先に含ませた塗料が多すぎると、塗料の垂れや泡立ちが容易に発生します。
乾燥前なら筆で多すぎる塗料を吸い取って修正することもできますが、普段の塗装以上に穂先の塗料の量の管理には気を遣った方が良いでしょう。
(キムワイプを使って穂先の塗料を充分に減らしてからパーツの塗装に入りましょう。)

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二色目はウッドブラウン、明るめの茶色ですね。
割と色が乗ってきたようにも見えますが、まだまだ透けはあります。
焦らずに乾燥を待ち、次の色へ進みましょう。

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3色目、ワインレッド(マルーン)。
本体の塗装などでも今回かなり多用している色です。
かなり塗料の色が発色してきた感じがありますね。
もちろん薄塗りを繰り返しているのは同じですよ。

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次に、ここでもう一度ミドルストーン。
これはバーニアの内側と外側での塗り分けのためなので、内側だけを塗るようにします。
暗い色や濃い色の上に黄色を発色させるのは大変なので、早めに下地の準備をしておくと作業がスムーズに進みますね。
この段階ではやはりかなり下地の透けがありますが、乾燥させてからもう一度塗り重ねましょう。

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ノズルの内側にだけ、ミドルストーンをもう一度塗りました。
下地の透けもほぼなくなり、かなり黄色に近い色が発色しましたね。
また、下の色が透けたとしてもワインレッドなので、黒の成形色がそのまま透けるような違和感はないと思います。
ミドルストーンは黄色としてはかなり彩度が低いので、最終的にはもう少し色味を調節した方が良いかもしれませんが、とりあえずここでは一区切りとし、ノズル外側を塗り上げてバーニアの塗装を仕上げていこうと思います。

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次はバーニアの外側を塗っていきますが、ここでは内側のミドルストーン部分になるべくはみ出さないように塗っていきたいので面相筆で細かく塗るようにしています。
(はみ出したとしても後で修正すれば良いんですけどね。)

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パーツの外側をネイビーブルーで塗った状態。
重ね塗りの色としては4色目ですね。
内側との塗り分けもでき、良い感じに仕上がったのではないでしょうか。

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別のバーニアパーツ。
こうして見ると、やはりノズル内側の黄色が地味すぎる(彩度が低すぎる)気もしますが、それは必要なら後で修正することにします。
とりあえず、バーニアパーツの塗装もここで終了としましょう。

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おしまい

赤色の外装パーツが塗り終わり、残す塗装もあと少し…と思いきや意外と量がありましたね。
今回の内容は「その他の塗装」としてまとめるつもりだったのですが、記事の量が多くなりすぎたので次回の記事と分割しています(汗)。
重ね塗りの回数が多いのも記事が長くなる原因かもしれませんが、コテコテの重ね塗りで仕上げた模型には手間をかけただけの”味”が生まれますので、黒など重ね塗りの効果が分かりづらい色でもどしどし塗り込んでいきますよ。

一応、次回の記事で各パーツの塗装作業は大まかには終了となります!

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基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編6.「ハイライト・シャドウの描き込みとドライブラシによる筆ムラの馴染ませ」

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前回に引き続き、赤色パーツの塗り足しをしていこうと思います。
ここまでで基本となる赤色は塗り終わっているので、今回は最終的な味付けとしてハイライトとシャドウを描き込んでみることにしました。
最終的にドライブラシで全体を馴染ませれば(ある程度は)どうとでもなるので、気楽にペタペタ塗っていきましょう。
とはいえ、ここでもやはりセオリーというものはあります。
まずはそのお話から…

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シェパード・ペイン氏の「停止信号のルール」

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模型製作の古典的名書として知られる「シェパード・ペインのダイオラマの作り方」という本があります。
海外モデラーのシェパード・ペイン氏(なお、既に故人となってしまわれたようです…)の著書で、国内でも日本語に翻訳されたものを入手することができます。
この本はタイトルの通り、ダイオラマ(ジオラマ・情景模型)やミリタリー系を中心とした模型・フィギュアの製作方法が主な内容なのですが、多くの素晴らしい作例と共に模型作りの本質を捉えた考え方が数多く提示されており、他ジャンルのモデラーにとっても非常に得るものが多い内容となっている名書なのです。
もちろん、ガンプラに応用できる内容も多々あります。

そんな本書の中で解説されている方法論の一つが「停止信号のルール」。
まずは次の図を見て下さい。

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この図は、横向きに置いた八角柱に上から光を当てた状態をイメージしたものです。
このとき、八角柱のそれぞれの面に対する光の当たり方の差から、それを見た人間の目に見える明るさにも面ごとに差が生まれます。
そしてその明るさの順に番号を振って整理をすることで、立体に生まれる明暗の差を分かりやすく捉えることができ、模型の塗装においても自然なハイライトとシャドウを描き込むための根拠とすることができるのです。

この考え方を「停止信号のルール」と呼んでいて、本書の中では(スケールモデルの)フィギュアに明暗の差を付けながら塗装をする方法として紹介されているものなのですが、今回はこれをガンプラに当てはめて考えてみることにします。

ハイライト・シャドウを描き込み

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こちらは、前回までの工程で基本塗装が終わったサザビーのMS(モビルスーツ)本体を仮組みしたもの。
これに「停止信号のルール」を当てはめて光の当たり方を考えてみます。

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大雑把にですが、「停止信号のルール」を参考に面に番号を振ったところ。
実際の模型では真横や縦といったラインは意外と少なく、2番と4番が多くなっていますね。
今回は1番と2番にハイライト、4番と5番にシャドウという大まかな分け方にして、2色で描き込みを加えてみたいと思います。

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用意した2色は、基本塗装と同じ水性ホビーカラーから。
パープルがシャドウでセールカラーがハイライトになりますね。

実際の描き込みを見ていきましょう。

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光の当たる面、当たらない面を考えながら2色で描き込みを加えた状態。
本来、ハイライトとシャドウに使う色は基本色をベースに明度を調節した色を用いる方が自然な仕上がりになるのですが、管理人はこの後に基本色でドライブラシをかけて描き込んだ色も含めて全体を馴染ませる塗り方をするので、この段階では基本色から大きく離れた色を塗っています。
こうして見ると、この段階ではけっこう違和感がありますね。

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背面を別角度から。
本来のシャドウを入れる部分とは別になってしまうのですが、肩アーマー等にある凸ディテールの周囲にもパープルで縁取りをするように描き込みを入れています。
こうした部分は単色ベタ塗りでは輪郭が分かりづらくなり、ボンヤリとした印象になってしまうので、この時点で形を強調するような描き込みをしておくと効果的です。
多少不自然に見えてもドライブラシ前提ならば最終的にはかなり馴染んでくれるので、気ままにペタペタ塗っていくのが良いと思いますよ。

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面全体へのドライブラシ

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ハイライト・シャドウの描き込みでは色の調和を無視して不自然な状態で塗装を終わっているので、ここからはドライブラシを全体にかけて違和感を和らげようと思います。
使うのは豚毛の平筆。
通常の塗装に使う筆よりも毛先が固いので、ドライブラシの手法を用いたぼかし塗装に向いています。
このような用途の場合、写真のように毛先を2/3から1/2程度に短く切っておくと使いやすくなりますね。

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新品の1/2程度を目安に毛先を切りそろえた筆。
もう少し長めのほうが使いやすかったかもしれませんが、今回はこの筆を使ってドライブラシをかけていこうと思います。

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筆の穂先に塗料を含ませたら、塗料皿のフチでよくしごいて毛先の塗料を減らしておくのは通常の塗装と同じです。
写真では塗料皿の中に他の色が残っていますが、筆に付けた塗料はレッド(赤)にフラットベースを混ぜたもので、基本塗装の最終段階で塗った赤と同じものです。
なお、ここではフラットベースは水性ホビーカラー用のものを使って、つや消し具合はしっとりめで調節しています。

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そして拭き取り。
キムワイプで筆先の塗料を拭き取り、筆の穂先をカサカサにしてから実際の塗装を行います。
この拭き取り具合がドライブラシの一番の肝ですね。
エッジやディテールを強調する場合などで、基本色と明度差の大きいドライブラシをかける場合(黒の基本塗装にシルバーやグレー、ホワイトでドライブラシなど)、やり過ぎたドライブラシはあからさまな不自然を感じさせてしまうので、「少なすぎると思う状態から更に穂先の塗料を減らすくらい」の拭き取り具合が丁度良い塩梅だったりするのですが、今回のような基本塗装と同じ色を全体に擦り付けて色を馴染ませるのが目的の場合、ドライブラシとしては少し残しめくらいの拭き取り加減でも大丈夫です。
とはいえ、穂先がカサカサなのには変わりなく、色は少しずつ少しずつ載せていくことにはなりますね。

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こちらは前腕のパーツ。
「停止信号のルール」に沿ってハイライトとシャドウを描き込んだので縞々模様になっています。
ここにドライブラシをかける様子を見てみましょう。

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パーツ全体を一巡するような感じでつや消し赤のドライブラシをかけた状態。
ハイライトとシャドウの二色が少し赤く染まってきましたね。
とはいえ、まだまだハッキリと縞模様が見えているのでもう少し塗り足していきます。

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もう一回、全体を一巡するようにドライブラシ。
更に全体が赤く染まりましたが、もう少しという感じですね。
この調子で色やムラの違和感がなくなるまで塗り足しをしていきましょう。

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更に全体が赤くなり、ハイライトとシャドウで塗り足した二色は、よく見るとうっすらと透けて見えるくらいになりました。
このくらいになれば、色の違和感としてはかなり和らいだ感じになっているのではないでしょうか。
このパーツは一先ずここで終了としましょう。

ちなみにですが、ドライブラシの塗装工程では手袋をするようにした方が良いと思います。
特に今回のような面全体にドライブラシをかけるような塗り方では、通常の塗装とは違ってパーツ表面を叩くように塗っていくため、棒状の持ち手では塗装時にパーツを支えきれません。
必然的に利き手でない方の手でパーツを直接持って塗装をすることになるのですが、ドライブラシのラフな塗り方と相まってどうしても指先に塗料が付いてしまうのです。

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上の写真はいくつかのパーツの塗装が終わった状態の左手。
パーツを持っていた指先にも塗料が付いてしまっていますね。
素手だった場合は作業終了後に石鹸などで手をよく洗って塗料を落とす必要がありますが、これがけっこう大変なんです。

手袋をしていれば、汚れと一緒にサッと脱ぎ捨てればそれでおしまいですからね。
最低限パーツを持つ方の手(管理人の場合は右利きなので左手)だけでも手袋をしておくと、塗装の後片づけがかなり楽になりますよ。
指先にピッタリとフィットする薄手のゴム手袋を選ぶようにすれば、指先の細かな感覚も邪魔をされることがなく、かなり素手に近い感覚で作業をしていくことができます。
逆に、台所用品としてよくあるラフに被せるタイプのビニール製手袋だとゴワゴワしてしまって細かな作業はやりづらくなるので注意ですね。

管理人が使っているのは医療用のゴム手袋で、100枚の箱入りタイプ。
台所や水回りの用品としてスーパーでも同等品を売っていることが多いようです。
各種サイズがありますが、管理人はSサイズを使用。
男性としては手が小さめなのでこれが丁度良いのですが、一般的には男性ならMサイズ以上のほうが無難だと思います。(こればかりは人によるので何とも言えませんが…)

購入時は値段が少し高いと思うかもしれませんが、一度にそう何枚も使うものではないので100枚あればかなり長く使っていくことができますし、模型用途に限定しなくても、もちろん日常生活の中で台所や水回りの掃除をするときにも使うことができるので無駄にはならないと思いますよ…!
(ただし、医療用を個人で購入するのは自己責任ですが…Amazonでは医療従事者かどうかの確認を求められます。)

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さて、そしてこちらは別パーツの例。
リアのスカートアーマーです。
この段階では筆ムラも多いですが、ドライブラシによって色とともにムラも馴染んでくれるので気にする必要はありません。

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右半分だけドライブラシをかけた状態。
もちろん、このパーツも色の違和感がなくなるまで何回かに分けてドライブラシしています。
下の色がかなり大胆に塗ってあったとしても、基本色でのドライブラシをかけるとかなりのところまで色が馴染んでいってくれます。
むしろ、これくらいだと塗り足しの効果がやや分かり辛いので、ハイライトとシャドウはもっと大胆に塗ってあっても良いくらいだったかもしれませんね。

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左半分にもドライブラシをかけて、パーツとして塗り終わった状態。
色の差と、筆ムラも全体的に馴染んでくれた感じがします。
塗膜の表面がやや荒れてきてはいますが、これはこの塗り方をする以上、ある程度は仕方のないところ。
あからさまに不自然な程の荒れでなければ、ここでは塗装の色の馴染みを優先させましょう。
どの程度まで馴染ませるか…というのは製作者の感性による部分も大きいのですが、筆ムラについては完全に消してしまうよりも、うっすらと見えるくらいは残しておいた方が模型の”味”になってくれると思います。

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ドライブラシ完了!

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ドライブラシまで完了したMS本体。
基本塗装だけの時にはまだ残っていた筆ムラが馴染んだのと同時に、塗装色の中にハイライト・シャドウの二色が混ざったことで若干ながら色に深みが出た、と思います…こうして見ると本当に若干ですが。

後からの振り返りなのですが、ハイライトとシャドウは一色ずつではなく、停止信号のルールに沿ってそれぞれ二色を使って細かく塗り込むようにしていれば、尚良い結果が得られたのかもしれませんね。
それと色の選択としても、ハイライトにはもう少し違う色を使った方が効果的だったかもしれないという反省点もあります。
最終的に基本色で馴染ませるとは言っても、その基本色との調和を考えて今回のハイライトはオレンジやピンク等、赤と調和が取れる色を選んだ方が無難だったかもしれません。
このあたりは次回以降の課題といったところですね…

おしまい

今回のドライブラシで筆ムラもうまく馴染んでくれたので、これで赤色部分の塗装は終了です。
メインの塗装色が塗り終わると、全体の終わりも見えて来た感じがしますね。
ドライブラシでムラを誤魔化すのが前提というのは筆塗りとしてはある意味逃げの方法ではありますが、ドライブラシのぼかしで馴染んだ下塗りの微妙な明暗の具合がけっこう好きな表現だったりするので、管理人としては多用している塗り方です。
黒立ち上げの塗装では、明度を上げる重ね塗りの各段階ごとを全てドライブラシで塗っていくやり方もありますが、最終段階のみのドライブラシならば塗膜もそこまで荒れずに仕上げていくことができるのもメリットですね。

さて、次回は赤以外のパーツ…本体の黒色部分や関節などの塗装を行っていきます。

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基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編5.「水性ホビーカラー筆塗りで黒立ち上げ・2色目以降の重ね塗り」

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塗装編5回目、本体の上塗りに入ります。
前回までで暗色に塗りつぶした上から段階的に明色を重ねて目的の色に近づけていく、所謂「黒立ち上げ」と言われる塗装方法ですね。

管理人は純粋な黒の塗料は使わないので個人的には「暗色立ち上げ」と呼んでいるのですが…このような塗装法は下地にマホガニー等の黒ではない暗色を使う場合でも「黒」立ち上げと呼ぶ場合が多いようです。
そういえば、かつて一世を風靡したMAX塗りでも下地はベースグレーであって黒ではないですからね。
言葉の定義というのも難しいものです、、、

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上の写真は1色目の下地塗装として「暗緑色(濃緑色)(2)」で全体をベタ塗りした本体を仮組みしたもの。
ここから色を重ねて、少しずつに目的の色に近づけていきますよ。

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重ね塗りの計画

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サザビーのメインカラーは赤なので、段階的に明るい赤になるように重ね塗りをしていきます。
暗色の下地に塗ること、また塗料を薄く重ねていくことから、上塗りは塗料そのままの色としては発色しませんが、下地との兼ね合いで生まれる微妙な色の加減もこの塗装方法の味なのです。
実際に塗ってみないとどんな色になるのか分かり辛い部分もあるので、ある程度はその場その場の感覚で調整していくことになりますね。
まあ、イメージと違ったらその都度どんどん塗り足していけば良いので…基本的には難しく考えず気楽にペタペタ塗っていくのが楽しいと思います。
気を付けるのは一度に厚塗りしないようにすることだけ。
塗料は1色目の時と同じく、各段階で2.5倍程度まで薄めて下地を透かせながら薄く薄くを意識して塗膜を重ねていきます。

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2色目、レッドブラウン

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レッドブラウン。
所謂「こげ茶」ですが、今回は赤系統の暗色として選びました。
下地の一色目と同じく2.5倍(塗料:溶剤=1:1.5)を目安に薄めて薄く重ねます。
希釈に使う溶剤は、今回も水性ホビーカラー純正うすめ液を水道水で2倍に割った「1/2うすめ液」です。

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左側のパーツが希釈したレッドブラウンを一回塗りしたもの。
写真ではもうほとんど下地の緑を覆いつくしているように見えますが、実際はまだまだ下地の透けがある状態です。
1色目の時は4~5層ほど重ね塗りして下地のプラを(ほぼ)完全に覆うようにしましたが、2色目以降は下地色の透けを活かしながら重ね塗りをしていくので、塗膜は各色ごとに一層(一回塗り)だけに留めておきます。

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上2つの写真も、同様にレッドブラウンを一回塗りしたもの。
肉眼ではかなり緑がかった色に見えているのですが、写真では撮影時の光の当て方や角度によってかなり色の見え方が変わってしまうので、微妙な色のニュアンスを伝えるのが難しいですね…
まだこの時点では下地の緑がかなり透けているのが分かるでしょうか。
この「透け」を残しながら上塗りを繰り返すことで塗装に味が出るのです。

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こちらはパーツの裏側。
完成後に見えてしまう部分は影色で塗りつぶしておきたいので、こういう箇所にもレッドブラウンを塗っておきます。
ここも下地の暗緑色から塗っているので、塗膜が若干緑がかっていますね。
影色はつや消し黒などの単色をベタ塗りで良いという考え方もありますが、管理人としてはメインのカラーリングに合わせた暗色を2~3色程度薄く重ねて塗る方が色味にも変化があって良いと思います。

ヒケを発見…仕方ないので表面処理に戻ります

2色目以降は一回塗りなので、各色ごとにサッと次の塗装色に移りたいところなのですが…何とここでヒケの見落としが発覚しました。
正確には接着剤の揮発が不十分で後からパーツが歪んできたようです。
下の写真のパーツを見てください…

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左右のフロント・スカートアーマーです。
左右とも事故した車のように表面に大きな凹みがあるのが分かります。
これより前の途中写真を見ると、このパーツは平滑に処理できていたようなので、時間が経つにつれて後からヒケが出てきたようですね。
そういえば、このパーツは裏のスカスカ部分を埋めるためにプラ板を溶剤系接着剤たっぷりで貼り付けています。
どうやら接着剤の乾燥時間が不十分だったようですね…

このままでは見栄えが悪いので、塗装作業中ですがこの部分だけササッと処理をしてしまうことにしましょう。

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当て木をした400番のペーパーで表面を削ったところ。
凹んだ部分が削れずに残っているのでヒケの状態が良く分かりますね。
これは思ったよりも重症でした。笑
ここまで酷いと削りだけで対応するのは難しいのでパテ等での充填が必要です。
今回は口コミの評判が良いので以前から気になっていた、フィニッシャーズのラッカーパテを使ってみます。

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このパテは手に入りやすいタミヤのラッカーパテ等とは異なりビンに入っているんですね。
実は管理人、フィニッシャーズの製品って模型誌の記事で名前を見たことはあっても実際に触れるのはこれが初めてだったりします。
秋葉原とかに行けば実店舗で買えるんでしょうか?
現代は何でも通販で手に入るから便利になりましたよね。。。

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さて、このパテ。
タミヤやクレオスのチューブに入ったラッカーパテを想像していると面食らいます。
硬化前のパテの粘度がそれらのパテとは全く異なりますね。
写真はビンの中身を爪楊枝ですくい取ってみたところですが、イメージとしてはマーガリンくらいの硬さ。
ビンの中身の半固形状のパテを爪楊枝やヘラ等ですくい取って、充填したい部分に擦り付けるように使うようです。
一応専用のシンナーも発売されているようなので、もっとドロドロの粘度が良い人はお好みで調整して使うのでしょうか。

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爪楊枝でパーツのヒケた部分にパテを擦り付けたところ。
緑色のパテというのが何か新鮮ですね。
かなりボソボソしますがプラへの食い付きは中々良いようです。

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パテが硬化後にペーパーがけ、更にクレオスのビンサフ(Mr.サーフェイサー1000のビン入りタイプ)を一部筆塗りしてペーパーがけで仕上げた状態。
ラッカーパテの硬化時間は厳密に検証していませんが、体感では3~4時間も乾燥させればもう十分なようでした。
ビンサフを上塗りしてもパテ盛り部分がヒケて来る様子もありませんね。
これはウワサ通り、かなり”使える”予感ですよ。

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そして…一つ前のの写真で気づいた方も居たかもしれませんが、今回ヒケの整形作業中に誤ってパーツ上部の凸ディテール部分を傷つけてしまったので、潔く全て削り落とした後に改めてプラ材で作り直しています。
写真は加工作業が終わった状態。
工作の手順としては、以前の「工作編9.「やさしめディテールアップ加工・その3(プラ材を使った改修)」で扱った内容と同じですね。
この後は削りカスを落としたら再び下地の暗緑色から塗り直します。

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こちらは2色目のレッドブラウンまでを塗り終わったところ。
ヒケを埋めた部分や作り直した凸ディテールも違和感なく馴染んでいると思います。
このパーツは修正作業はこれで終了です。

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ABSパーツも塗っておきます

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こちらはアクリジョン ベースグリーンで下塗りをしたABS製の関節(股関節フレーム)パーツ。
ベースグリーンが思っていたよりも明るい青緑(?)という、何とも形容しがたい色だったので…早めにレッドブラウンで塗りつぶしてしまうことにします。
こんなことなら、下塗り色はベースグレーにしておいて後から他の色で色味を加えていった方が良かったかもしれませんね。

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希釈したレッドブラウンを筆塗り。
写真右のパーツが一回塗り、左は更にもう一回塗り重ねた二回塗りです。
右の一回塗りでは下地の緑(?)が透けていますが、ベースグリーンの緑が明るすぎるので暗緑色から塗り重ねた場合と違って色味には違和感しかありません…
色味の追加は更なる上塗りに任せることにして、ここはもうレッドブラウンで殆ど全てを塗りつぶしてしまうことにしました。
2回塗り程度でも、ほぼ下地の透けがない程度まで塗れてしまうのはレッドブラウンの隠ぺい力の高さゆえでしょうか。

ちなみに、アクリジョン ベースカラーの上に水性ホビーカラーを上塗りするのはとても塗りやすかったです。
塗膜の割れや溶け出し、上塗り塗料の弾きといった異なる塗料の組み合わせで起こりそうなトラブルも特に感じず、むしろベースカラーの塗膜が粗目のつや消し面になることも手伝ってか、普通のプラ地に塗るよりもかなり塗りやすく感じました。

ベースカラー自体も、ビンの中で顔料と溶剤の分離が激しいため使用時には優に100回以上(!)の攪拌が必要だったり(笑)、希釈しすぎるとうすめ液を使っていてもプラ地に弾かれてしまったり…と、若干のクセはあるものの概ね扱いやすいように思います。
プライマーのスプレーができない水性筆塗りモデラーのABSパーツ対策として、アクリジョン ベースカラーはなかなか使えるマテリアルとなってくれそうですよ。
(あとは取り扱い店舗がもう少し増えれば、、、)

2色目、レッドブラウン 今度こそ終了

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ヒケの処理など想定外のトラブルもありましたが、赤い外装パーツを全てレッドブラウンで一回塗りしたものを再び仮組み。
こげ茶色で全身が覆われたように見えますが、これは写真の撮り方が良くないですね。
(光量が足りない?)

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角度と照明の状態を変えて取り直した写真。
塗膜はひとつ前の写真と同じ状態ですが、一層目の緑色が透けることで単純なこげ茶にはなっていないことが分るでしょうか。
このような感じで、これから先の重ね塗りも下地の透けを残しつつ塗っていきます。

3色目、ワインレッド(マルーン)

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3色目、ワインレッド(マルーン)。
赤が強めに出そうな色ですが、レッドブラウン下地への上塗りではどのように発色するでしょうか。

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写真は腰回りのパーツ。
写真の右側がマルーンを上塗りしたもの。
2色目のレッドブラウン以上に茶色を感じさせる色に変化しましたね。
写真では分かりづらいですが、これでもまだ下地の色は透けています。

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基本的には一色ごとにパーツ全体を満遍なく塗りつぶしていきますが、この段階からパーツ裏の暗色部分は塗り残すようにしておきます。
パーツがこげ茶と赤で塗り分けられることで、装甲の外と内がイメージできるような感じになってきましたね。
このような塗り分けはフリーハンドでもそれほど難しくはないですが、はみ出した部分があっても最後に修正すれば良いので気楽に塗っていきましょう。

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今まで特に触れていませんでしたが、ディテールや細かな凹凸の多いパーツは、入り組んだ部分を先に面相筆で塗り込んでおくとキレイに全体を塗っていくことができます。
写真は足の裏のパーツですが、このようなパーツに薄めに希釈した塗料を平筆で塗っていこうとすると、塗装面で気泡が発生しやすいんですよね。
もし塗面で気泡が発生してしまったら、乾燥する前に筆先で上手く泡を逃がしてやる必要があります。
最悪そのまま乾燥してしまったら、アートナイフプロの曲線刃でピンポイントに泡の塗膜を削り取って面相筆で塗り足しですかね。
やはり失敗の修正は面倒なので、分かり切っているトラブルはなるべく予防をしていきましょう。

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ワインレッドで塗ったパーツを仮組み。
光沢色なので全体にツヤが出てきていますね。
だんだんと赤色に近づいてサザビーらしくもなってきました。
この調子で更に重ね塗りしてきます。

ちなみにこの写真、肩パーツの前後を間違えて付けていますね…
(言わなきゃバレないかも?笑)

4色目、あずき色(赤2号)

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こんどは「あずき色」です。
ビンのフタの色からは先程のワインレッドとあまり変わらない色のように見えますが、実際にはより明るい赤の塗料です。
今まで同様、各パーツを上塗りしていきましょう。

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塗装前後の色の比較。
左側が「あずき色」を塗ったパーツで、右側はワインレッドまでの塗装状態です。
より明るい赤(朱色に近い?)が発色して来ているのが分かるでしょうか。
また、この写真だと各段階でかなり下地を透けさせながら薄めの塗料を塗っていることも読み取れると思います。

黒立ち上げ法で塗装していく場合、明色の上塗りをするときにはパーツのエッジやディテールの周囲を塗り残すようにして強めの陰影を付けるという方法もありますが、今回は各色ごとに全体を塗りつぶすように塗っています。
個人的に、暗色を塗り残していく方法だとコントラストが強すぎてしまうと感じるからなのですが、このあたりの感覚は完全に好みの問題ですね。

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これまた全体を組み上げた状態。
パーツ形状やディテールを意識しない全体へのベタ塗りですが、薄く希釈しての1回塗りなので筆ムラによる微妙な陰影が生まれています。
全体的にかなり赤色が発色してきています。
もう一息という感じですね。

5色目、モンザレッド

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モンザレッドはHGUCサザビーのキット指定色でもあり、水性ホビーカラーの通常ラインナップの中にある赤系の中でもかなり明るい色となっています。
この色を上塗りした時点である程度完成形がイメージできるくらいの色味になっていれば良いのですが…
とりあえずは、今までと同じく薄塗りで塗膜を重ねて様子を見てみましょう。

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塗装前後の比較ですが、ここでは少し大型のパーツで比較をしてみました。
シールド(左)がモンザレッド塗装後で、リア・スカートアーマー(右)が前段階のあずき色までを塗ったものです。
単体で見ると右のあずき色でも十分に赤くなっているように見えるのですが、こうして並べてみるとやはりモンザレッドを上塗りした方は色味が全く変わっていますね。
赤色が一段階明るくなったことで、よりサザビーのイメージに近づいた印象を受けます。

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仮組みした全体を見てみると、なかなか良い雰囲気になってきたと思えますね。
フラットベースを入れていないのでツヤが出てしまっていますが、それはこの後で調節しましょう。

ツートーンの赤を塗り足そうとしたが…

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サザビーの赤色は、明暗2色が使われたツートーンが指定色です。
今までは特に気にせず全体を同じ色で塗ってきたので、明るい赤のパーツはここから更に塗り足しをしてみました。

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明るい赤で塗り足す必要があるパーツの一覧です。
頭・肩・胴・足首など、全身の各部に少しずつ配置されていますね。
とりあえずは、もう一段階明るい色を上塗りして様子を見ることにします。

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ここではシャインレッドを用意しました。

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写真は左のパーツがシャインレッドを塗り足したもの。
右側は5色目の塗装そのままですね。
見比べてみると…差が全く分かりません…

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暗色のトーンが強く残っている下地に邪魔されて上塗りの色が発色していない可能性があるので、明色を間に挟むことにします。
今回使ってみたのは水性ガンダムカラーのシャア専用機ピンクです。
別にシャア専用じゃなくても良いのですが、たまたま手元にあったので、、、

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塗料皿に中身を取り出して希釈しているところ。
右側の肌色がかったピンク(?)がこの色ですね。

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こちらは積みプラ中(笑)のシャア専用ザク(REVIVE)の色指定。
この色は、ピンク50% + シャインレッド 40% + イエロー 10% を混ぜて作るようです。
純粋なピンクとはかなり異なるようですね、、、

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パーツに塗ってみると、この色は一度塗りでもかなり下地を覆ってしまいます。
白や黒が入っている色はやはり隠蔽力が高いです。

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そして、シャア専用ピンクの上から、今度は5色目に使ったモンザレッドをもう一度塗り重ねてみます。
鮮やかさは上がったように思えますが、なんだかイメージしていた色と違ってオレンジが強いですね、、、
計画では、赤が強く発色したモンザレッドの上からシャインレッドを重ねて色味を調整しようと思っていたのですが、これではちょっと話が違ってきます。
シャインレッドで色がオレンジっぽくなるならまだ分かるんですけどね。

どうやら、モンザレッド自体がかなりオレンジよりに調整された塗料のようです。
ともかく、もういちど全体を仮組みして様子を見てみましょうか。

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塗り足した部分、やはりオレンジが強く出ていてとても違和感があります。
それと色味の問題もありますが、シャア専用ピンクを塗った時に黒立ち上げの陰影をかなり塗りつぶしてしまった部分があり、結果として塗り足し部分の彩度が高くなりすぎて「色が前に出てきすぎている(他の部分から浮いている)」のも問題です。
これはちょっと計画を誤った感じがありますね、、、

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とりあえず、オレンジになってしまったパーツの色を一旦落ち着かせてみることにしましょう。
後から彩度と落とす方向に調節するには上からグレーを薄く重ねるという方法があります。
今回は手元にあったRLM74 グレーグリーンを使ってみることにしました。

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希釈率は3倍より少し薄いくらいで、かなり薄めに調整してウォッシング風味にグレーを全体に重ねます。
右側がグレーを塗ったパーツですが、全体が曇った感じになり彩度が落ちたことで色が落ち着きましたね。

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オレンジになってしまったパーツは、グレーの上掛けによって色が曇り、また彩度が落ちたことで色の自己主張が弱くなりました。
オレンジが色として前に出て来過ぎている状態では違和感がありましたが、とりあえずはこれで全体の色味が少し馴染んだ感じがします。

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ところで、キット指定色のはずのモンザレッドで塗装面がオレンジになってしまったのがどうにも解せないので、ここでちょっと色を比べてみることにしました。
手元にリニューアル前の水性ホビーカラーのモンザレッドがあったので、現行品との色比べです。
旧版はグンゼ産業時代のラベルなので20年以上前のものでしょうか?
左から「新版・レッド(赤)」「旧版・モンザレッド」「新版・モンザレッド」「新版・シャインレッド(朱色)」です。

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写真では色が伝わりづらい部分があるかもしれませんが、裏から見たビンの中身です。
旧版のモンザレッドは純粋な赤に近く、新版のモンザレッドはオレンジというか印鑑の朱肉みたいな色ですね。
「(朱色)」と但し書きが付いているシャインレッドとの差が殆ど分かりません。

そういえば、水性ホビーカラーが新版に切り替わったのは2018年、HGUCサザビーの発売は2008年ですから…もしかしたらキット指定色のモンザレッドというのは旧版のことで、新版でいえば3番レッドの方が色が近いのかもしれませんね。
これは気が付きませんでした…

ということでの6色目、レッド(赤)

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ということで、塗装計画の変更です。
全体に「レッド(赤)」塗り重ねて、パーツの色味をオレンジ系から純粋な赤に近づけ、違和感を軽減することにします。
「レッド(赤)」を上塗りすることでサザビーのイメージに近い赤になってくれるはず、、、

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左側がレッド(赤)を塗り重ねたパーツ。
右側の前段階のパーツと比べると、塗装面の色からオレンジっぽさが減った感じがします。
今回はタミヤアクリルのフラットベースを添加して強めのつや消しにしているので、色の変化以上に印象が変わって見えますね。

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塗料皿に残った色(左)との比較。
下地を活かしての薄塗りなので、ここでもやはり塗料の色そのままでは発色していませんが、一塗りごとに少しずつ色味は変化しています。

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前回を仮組みして様子を見ます。
前段階と比べると、オレンジ色の浮いた感じはなくなり全体が赤系統の色で馴染んだ印象になりましたね。
グレーを塗り足したパーツも特に違和感なくまとまっています。

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同じ状態で、撮影方法を変えてもう一枚。
サザビーのイメージに近い、純粋な赤に近い色が発色してきているのが分かるでしょうか。
今回は最後に更に赤でドライブラシをして全体を馴染ませる予定なので、メインの赤の塗装としてはここまでできれば終了で良いと思います。

あとは、ツートーンの赤をどうするかなのですが…
色々と考えた結果、今回これ以上の塗り足しはせずに、ここで赤系統の基本塗装は一区切りとすることにしました。

今回、途中でオレンジになってしまった塗装色の修正などを行う過程で予定以上の塗り足しをしているので、ここまででも重ね塗りの回数がかなり多くなってしまっているんですよね。(最も多い部分で14~15層程度の重ね塗り…!)
一回一回の塗膜はごくごく薄く…を心がけてはいるのですが、仮にこれ以上の塗り重ねで塗膜がボテッと厚ぼったくなってしまうようなことがあると一気に見栄えが悪くなるので、ここは程々で撤退…という判断です。

仮に、どうしてもこれ以上の色味の変化が欲しければドライブラシの段階でも微調整はできますからね。
何とか形にまとまったこの状態を基本に、今回は仕上げに入っていきたいと思います。

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おしまい

今回見ていったような「黒立ち上げ」法、技法としてはかなり古くからあるもので、元々はスケールモデルの塗装法だったものがアニメモデルに輸入され、発展していったという経緯のようです。
このような塗装法では、上塗りの明色を塗っていく時にエッジやディテールの周囲を少し塗り残し、暗色を残しつつグラデーションをかけて塗り上げていく方法が一般的です。

そう言った意味では、今回のような、全体をベタ塗りで塗りつぶしながら明色を発色させていく塗り方は、広く知られた黒立ち上げ塗装法のセオリーからは少し外れているのかもしれません。
ハッキリとしたグラデーション塗装は写真写りこそ良いのですが、場合によっては少々クドく感じてしまうことがあるため個人的には苦手な表現で、現在の管理人なりの塗装法としては今回のような塗り方に落ち着いている…というところです。
なので、今回の完成品は見る人によっては「黒立ち上げの割にはあっさりし過ぎている」…と感じるかもしれませんね。
一応、この後に軽くハイライトとシャドウを描き込んでいくので、上の写真の状態よりは若干クドく仕上がる予定です…(笑)

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基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編4.「再度の仮組みと塗り残しチェック」

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前回までで、塗装の取り掛かりとして赤色のパーツとABS製パーツの下地塗装を済ませたHGUCサザビー。
ここで再び仮組みをして塗り残しがないか全体のチェックを行い、必要部分には再塗装をしていきます。
再塗装の過程で関節部分のABS製パーツにも水性ホビーカラーが付着する可能性があるため、パーツを保護する目的でABSの下地塗装は先に済ませてしまった…という訳です。

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水性ホビーカラーの「濃緑色(暗緑色)(2)」で塗りつぶしたのは赤い外装パーツ。
関節部分を担当するABS製パーツ、一部には黒い成型色のパーツも組み合わせることで写真の状態にまで組み立てることができました。
全体が深緑に染まったことで、かなり印象が変わりましたね。
まずはこの状態で全体をチェックしていきましょう。

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各部の「塗り残し」を発見していく

パーツを組み立てたことで、完成状態で装甲裏などがどこまで見えるのかを確認することができます。
各パーツを分解したまま塗っていくと、意外と塗り残している部分があるんですよね。

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まずヒザ裏。
塗っていない部分は成形色そのままの鮮やかな赤なのですぐに分かりますね。
こういう部分を完成後に発見すると後からの塗り直しが大変なので、この時点でチェックして下地色を塗り足すようにしていきます。

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手首が収まる前腕の装甲裏にも塗り残しがありました。

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これは胴体を背中側から見たところ。
角度によっては胸の装甲の裏が見えるのでここも塗り足すことにします。

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こちらも胴体の背中側。
腰回りの動力パイプを固定する部分も微妙に赤の成形色が見えているので、塗り足しの対象にしました。
ここは動力パイプのパーツを固定すると見えなくなる可能性もありますが、念のため…

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肩アーマーの内側です。
ここは二つのパーツを組み合わせる構造ですが、はめ合わせ部分がディテールとして処理されるようになっています。
中央の凸モールドは下側のパーツから貫通している構造で、塗り残しがあるので成形色がそのまま見えていますね。

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肩の小型バーニアが取り付けられる装甲裏も、バーニアパーツの隙間から成形色が見えそうな構造です。

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腰まわりの装甲。
フロント・スカートアーマーの接続ピン部分、ボールジョイントの基部ですが、ここに成形色が見えています。
これは本体正面なので見落とすと完成後に目立つ部分ですね。

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足首パーツを外したところ。
角度によっては前側の装甲裏が見えそうなので、ここも塗っておくことにしました。
ここは、ふくらはぎの装甲で実際はほとんど見えなさそうではありますが、一応。

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表面処理の荒れをチェック

もう一つ、この時点でチェックするのは表面処理で荒れが残ってしまった箇所です。
サーフェイサーを使っていないので、下地色を塗ったことで改めて見えてくるアラをチェックします。
特に、プラ材やパテを使って補修や改造をした部分には注意が必要ですね。

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ということで、やはりありました。
足裏のパーツのカカト部分、肉抜きをプラ板で埋めて瞬間接着剤で隙間を修正した箇所ですが、表面にうねりが見えていますね。
ここは再度、表面処理をやり直します。

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400番のペーパーで表面をならした状態。
塗膜がハゲて修正した部分の下地が見えましたが…プラ板とパーツの境目に大きめの穴が開いているのが見えます。
写真では分かりづらいですが、その他にも細かな気泡が顔を出していて、処理が大変そうです。
これは割と重症ですね…

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パテ類を使って一つ一つ処理するのが面倒だったので(汗)、今回は薄手のプラ板で全体を覆ってしまうことにしました。
写真は0.5mm厚のプラ板を貼り付けたところ。
貼り合わせタイプの溶剤系接着剤でガッチリと接着します。

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乾燥後に余白を切り取って、ペーパーがけで整形。

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隣接する面も、合わせ目消しの要領で平滑に処理しておきます。

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細かな傷や凹みができてしまったので、ビン入りのサフ(クレオスのサーフェイサー1000)を筆塗りして更にペーパーがけ。
近くのスジ彫りディテールも浅くなってしまうので彫り直しています。

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スジ彫り工具はシモムラアレックのホーリー(0.1mm)を使いました。
エッチングノコのノコ刃が先端に一つだけ付いているような形状の工具で、キットに元からあるスジ彫りを彫り直すような作業を非常に簡単かつキレイにこなすことができますよ。
世間はスジ彫り工具といえばタガネ一色ですが…このホーリーは非常にオススメできます。
(ただし生産数がそれほど多くないのか、再生産の時期を逃すと手に入りづらくなってしまうようです。)

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表面処理をした部分に同色の塗料を塗り足した状態。
横着してやや濃いめの塗料を塗ってしまったので、よく見ると若干ボテっとしていますが…
これ以上は上塗りで誤魔化すことにして、今回はこれで次に進むことにしました。
とりあえず、作業前のようなあからさまな凹凸は見えなくなったのでヨシとしましょう。

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おしまい

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上の写真は今回の塗り足し作業で追加塗装したパーツ。
意外と多くのパーツに塗り残しがありましたね。
とりあえず見える部分は下地色で塗りつぶしておくようにすれば、その後の基本色が十分塗れていなくても影色のようには見えるので、完成後にもそれ程違和感を感じないと思います。

これで一番下地の深緑が塗れたので、次からは色を変えて重ね塗りをしながら基本色の赤色を発色させていきましょう。
今回の記事は簡単ですが、とりあえずここで一区切り…

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基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編3.「アクリジョン ベースカラー筆塗りでABSパーツの下地塗装」

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下地塗装の続きです。

工作でも扱いの難しいABS製パーツですが、塗装においても溶剤の浸透による「割れ」の危険があるとされています。
ラッカー系はもちろん、水性アクリル系の水性ホビーカラーにおいてもそれは同じですね。

GSIクレオスの塗料パンフレット。
右上の注意書き「ABS樹脂パーツの塗装について」という項目に注目。

ABSに安全に塗装ができるとされているのはラッカー・水性アクリル・エナメルという既存の模型用塗料3系統のどれにも属さない「水性エマルジョン塗料」である「アクリジョン」。

管理人は出戻り系モデラーなので最近のABSパーツを使用したキットの塗装経験が今回初だったりするのですが、「割れ」のリスクはできるだけ避けたいと思い、今回アクリジョンでの筆塗り塗装に初挑戦してみました。
下地塗装に丁度良い「アクリジョン ベースカラー」なる塗料も発売されていますしね。

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アクリジョン ベースカラー、まずは攪拌

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管理人にとって完全に未知の塗料「アクリジョン」…通常タイプも使ったことがないのに、こちらは「ベースカラー」という特殊なタイプです。
メーカーサイトで情報を確認すると、「粘性が高い」「顔料の粒子が大きい」等の特徴があるようですね。
もちろんABS樹脂に使用できることも明記されています。

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ビンのラベルにも「ABSやレジンに塗装する際のプライマーとして~」との記載がありますね。

早速フタを開けて中身を見てみると…

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写真では少し分かりづらいかもしれませんが、顔料成分と溶剤の分離がかなり激しいです。
ビンの底に、まるで「煮凝り」のようになった顔料の塊が沈殿しているので、攪拌はかなりよく…念入りに行った方が良いですね。
水性ホビーカラーも「ホワイト」などはビンの中での顔料の分離が激しかったりしますが、アクリジョンベースカラーはそれ以上の分離・沈殿ぶりです。
ビン入りのサーフェイサーに近い状態と言った方が良いかもしれません。
今回、まずはビンの中身が均一になるように調色スティックで何十回もかき混ぜました。
管理人の体感としては、100回以上の攪拌をしてようやく普通に使用できるような印象です。

希釈して筆塗り

実際の塗装では、塗料の希釈率についてはかなり迷いました。
ネットや雑誌で色々調べても、公式・非公式、プロ・アマを問わず色々なことを言っている人がいて、どうすれば良いのか良く分からないんですよね(笑)

結局、「プラモをビン生の塗料で塗装するのは抵抗がある」という自分の感覚を信じてうすめ液で希釈する方法を選択。
用意したうすめ液は「アクリジョン エアブラシ用うすめ液 改」です。

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「リターダー」や、通常タイプの「うすめ液」は塗料に対する溶剤添加の割合が「少量」と指定されていたので、メーカー公式でより薄くの希釈ができるとされている「エアブラシ用・改」を選びました。
それでも「塗料:うすめ液=1:0.3」の割合が指定されているので(しかもエアブラシ使用時)、水性ホビーカラーの感覚で考えるとかなり濃い状態で使うことにはなりますね。

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こちらが実際にABSパーツに筆塗りで1層目を塗ったもの。
アクリジョン ベースカラーのベースグリーンという色ですね。
希釈率は「塗料:うすめ液=1:0.5」で、メーカー推奨の「1:0.3」よりはやや薄めといったところです。
若干の透けはありますが、1層目の塗膜だけで殆ど下地を覆いつくしていますね。
(もの凄い隠ぺい力!)
希釈してこれですから、ビン生では1回塗りで十分なくらいなのでしょうね。

本当はもっと薄めて重ね塗りをする塗り方をしたかったので、他の希釈率も試してみたのですが…「塗料:うすめ液=1:1」の2倍希釈程度でも、このアクリジョン ベースカラーには薄すぎるようでした。
薄め過ぎると、何故か塗装面での「弾き」も発生しますね。(うすめ液を使っているのに!)

ただ、何とか1層目に薄くでも塗膜ができれば、それ以降の重ね塗りでは格段に塗りやすくはなるようです。
このあたりの感覚は水性ホビーカラーなどにも近いものがあります。

今回は「弾き」のリスクを負ってまで薄塗りすることはないと考えて「塗料:うすめ液=1:0.5」の希釈率で塗っていくことにしました。
隠ぺい力が高いので、それでも2層程度を塗れば終わりにできそうな感じです。

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こちらはその2層目を塗った状態。
やはり2回塗り程度で、下地のプラはほぼ覆いつくされたようになりますね。
この上から通常の塗料(水性ホビーカラー)を塗って仕上げる前提なので、下地としてはここまで塗れていれば十分でしょう。

塗装したパーツを見てみると、顔料粒子が大きいというか、タミヤアクリルのつや消し色以上に表面がガサガサになっていますね。
まぁ、裏を返せば筆ムラが気になりにくく、上塗りの塗料の乗りが良いということでもありますが…

乾燥も適度に早く、他のパーツを塗って一巡してくるころには最初に塗ったパーツが乾いている感じです。
それでこの隠ぺい力ですから、作業効率はかなり良いと言えるでしょう。

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こちらは細かなパーツたち。
ABS製パーツは関節部などに多く使われているため、必然的にディテールが入り組んだパーツも多くなりますね。
サッと一通り塗ってみた感じでは、塗膜でディテールが埋まったりダルくなる感じも心配していたほどではないようです。

多少、下地が透けていたりするパーツもありますが、これはあくまでも下地なので、今回はホドホドで終わりにしておくことにします。

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アクリジョンの後片づけにも、やっぱりマジックリンが効く

塗装が済んだら後片付け…なのですが、水性アクリル系塗料で定番のマジックリンは果たしてアクリジョンにも有効なのでしょうか?
塗料皿の上で乾燥して固まってしまったアクリジョンにマジックリンを吹きかけてみました。

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しっかりと落ちてくれます!
マジックリンが浸透すると乾燥した塗料も溶け出し、塗料皿の上でまとまった固まりになっていた塗料は層状の塊となって剥がれていきました。
ここまでの溶解力があれば後片付けはかなり楽ができそうです。

有機溶剤を使わなくても良いというのはやはり大きな安心感になりますね。
(※なお、マジックリン使用時は手袋推奨です。念のため…)

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おしまい

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アクリジョン ベースカラーで下地塗装をしたABS製のパーツたち。
関節部などが中心なのでパーツ割れのリスクはできるだけ避けたいところ。

今回はアクリジョン ベースカラーについて、簡単にですが使用感を記事にしてみました。
新しいマテリアルは癖を掴むまでが試行錯誤の繰り返しで難しいですね!

とりあえず、あまり薄めの希釈には向かないということは感じられるので、しばらくは今回のような「塗料:うすめ液=1:0.5」の割合で使っていこうと思っています。

さて続いての内容ですが、今度は再度の仮組みを行います。
早い段階で関節部に多用されているABS製パーツを塗ったのはそれが理由でもあるのです。
詳しくはまた次の記事で…

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基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編2.「水性ホビーカラー筆塗りの基本と下地塗装」

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今回から実際にパーツを塗っていきます。

暗い色から段階的に明るい色を塗り重ねて発色させていく塗り方(黒立ち上げ)をしていくので、まずは下地塗装として暗色で全体を塗りつぶしていきましょう。
また、管理人なりの筆塗り法についても説明をしていこうと思います。

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塗料の撹拌と希釈。筆塗りに適した希釈率は?

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今回使うのは水性ホビーカラーのH-60「濃緑色(暗緑色)(2)」。
サザビーは赤がメインのカラーリングですが、重ね塗りのための下地として赤の補色である緑系の暗色を下地に塗ります。
次に塗る「レッドブラウン」(赤系統の暗色)と合わせて、影色として濁った色の下地を作ることが目的です。

塗り始める前に、まずはビンの中に入っている塗料を調色スティックでよくかき混ぜましょう。
分離している成分が均一になるまで混ぜられたら、調色スティックの先端に付いた塗料を1滴、2滴…と数えながら塗料皿に落とします。
そして、次にスポイトで滴下数を数えながらうすめ液を1滴、2滴…と加えていくことで、おおよその希釈率を考えながら塗料を薄めていきましょう。

希釈に使う溶剤は水性ホビーカラー用の純正うすめ液と水道水を1:1で混ぜ合わせた「1/2うすめ液」。
純正のうすめ液をそのまま使うと溶解力が強すぎるため、重ね塗りした際に下地の塗膜が剥がれてしまうことがあるんですよね。
うすめ液自体を「水割り」してやることで適度に溶解力を落とすことができ、また体感的にですが若干乾燥も遅くなるので希釈した塗料が扱いやすくなりますよ。

この「うすめ液の水割り」については別記事で検証を行いました。

水性ホビーカラーを水で薄める!…のは無理なので「うすめ液の水割り」で快適に筆塗りをしよう

管理人の感覚では、水性ホビーカラーの場合、2.5倍程度の希釈率が筆塗りには最適だと思います。
塗料:1/2うすめ液1:1.5の割合で混ぜ合わせるということですね。
調色スティックから塗料皿に塗料を滴下する数で見当を付けるので、例えば塗料6滴に対してうすめ液を9滴加える…といった感じですね。
(厳密には調色スティックに付着した分の塗料などで濃度が微妙に変化するので希釈率はあくまでも「大体」といった感じです。塗りながら体感で合わせる部分も大きかったりします。)

塗りにくいと感じたら、1/2うすめ液を1滴、様子を見ながら加えても良いですが、薄め過ぎると一気に塗りづらくもなるので過度の希釈には慎重になった方が良いでしょう。
実際に塗装したときの感覚的な目安としては、塗料皿の縁で筆先をしごいた時に流れ落ちる塗料に少し引っ掛かりがある程度…塗料が全く抵抗なくサラリと流れていくような濃度では薄すぎるので、それよりは一歩手前という感じですね。
サラサラでのびのびと塗り広げていけるような濃度まで薄めると一見塗りやすいようにも思えますが、そこまで希釈すると塗料の「垂れ」が起きやすく、また塗装面のディテール部分で気泡が出てきたりもして逆に扱いづらかったりします。

この最適な希釈率というものは人それぞれな部分もあって本当に難しいのですが、「自分が扱いきれる中でできるだけ薄く」希釈するのが一つの目安にはなると思います。

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ムラのない筆塗りのための筆運びのコツ

塗料の希釈ができたら、筆に塗料を含ませてパーツを塗っていきます。
使う筆はタミヤ・モデリングブラシHG 平筆の小サイズ。
性能・価格・入手性のバランスを考えて選ぶと、現状これがベストの筆ではないでしょうか。
穂先は天然毛の馬毛で、毛のコシはやや弱めです。

実際にパーツを塗装する前に、筆への塗料の含ませ方と筆運びについてイメージしておきましょう。

まず筆は乾燥したままではなく、溶剤(今回は「1/2うすめ液」)で穂先を湿らせてから使うようにします。
スポイトに含ませた溶剤を穂先に垂らしてから、余計な溶剤分は少し拭き取っておくようにすれば良いですね。
あらかじめ穂先を湿らせておくことで、塗料の馴染みがよくなり、筆運びもスムーズになりますよ。

そして筆の毛に希釈した塗料を含ませたら、塗料皿のフチで筆先をよくしごいて穂先の塗料をできるだけ落とすようにします。
今回のように薄めの濃度にまで塗料を希釈した場合、筆先の塗料が多すぎると塗装面で流れてしまい、ひどいムラの原因になってしまうからです。
筆塗装において筆ムラは必ずしも悪いものではないのですが、必要以上に多いムラは避けるべきですね。

実際には筆先をしごいただけでは穂先に含んだ塗料がまだ多すぎる場合も多いですから、手元に拭き取り用のキムワイプを用意しておき、その上で筆先をサッと撫でて塗料の量を更に減らしてからパーツへの塗装に移るのが良いと思います。

塗り始めのふき取りに使うキムワイプ。(これは違う色を塗っている時のものですが)
筆の穂先に含んだ塗料が多すぎると上手く薄塗りをしていくことができません。
1「筆の毛をうすめ液で湿らせる」、2「筆に希釈した塗料を含ませる」、3「塗料皿のフチで筆をしごいて塗料を減らす」、4「キムワイプの上で筆の穂先を撫でるようにして含んだ塗料を更に減らす」…という手順を塗り始めの基本にすると、抜群に筆のコントロールがしやすくなりますよ。

パーツ表面での筆運びにおいては、筆を塗装面に押し付け過ぎず、筆の穂先でサッサッと軽く払うようなイメージで短いストロークの塗りを繰り返してパーツに色を付けていきます。
ドライブラシでディテールを強調する場合の塗り方に近い筆運びと言うか…とにかく「少しずつ」塗っていくのがコツです。
なお、筆を動かす方向はできるだけ一方向で。
(方向を変えて塗っていくとかえって筆目が出やすいと思います。)

手間はかなりかかりますが、この塗り方では筆ムラをかなり抑えることができると思いますよ。

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実際のパーツへ塗装

それでは、実際のパーツに塗装をしていく過程を見ていきましょう。
パーツ表面は400番のペーパーで水研ぎをして表面処理をした状態で、サーフェイサーも吹いていません。
今回のようにプラ地に直接塗装をする場合、最初の一層目の塗装が下地としてサフの代わりにもなります。
一層目はやや塗りづらく感じることもありますが、最初に薄くでも塗膜が形成されればその後の二層目からはとても塗りやすくなりますよ。

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こちらは塗装前のパーツです。
工作が一通り終わった後、中性洗剤で洗って自然乾燥させています。
ここに塗装をしていくとどうなるか…写真をややアップで掲載しますので、比較をしながら見ていってください。

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1層目の塗膜。
1/2うすめ液で2.5倍に希釈した塗料を平筆で1回塗りしたものです。
筆の穂先に付ける塗料は極力少なくして、毛先を使った短いストロークで塗っていきます。
実際に塗っている時の感覚としては「塗る」というよりは筆先でプラ表面を「湿らせる」というくらい、少量ずつ塗料を載せていきます。
塗料の希釈の薄さ、筆の穂先に残す塗料の少なさ、また筆圧をかけずに塗っていることが写真から感じられるでしょうか?

筆のストロークに沿って「多く塗れたところ」「少なく塗れたところ」に差ができて表面がまだら模様になっていますが、この段階では深追いしないこと。
「厚塗り」「流れた塗料」「気泡」を避けて表面が薄い塗膜で覆えれば、この段階は成功と言えます。

表面が乾燥して、手で触れるくらいになったら(実際には触りませんよ!念のため…)次の段階の重ね塗りをしていくようにしましょう。
今回のような塗り方では乾燥時間も割と早めで、塗ってから5~10分程度で表面はかなり乾燥してきているはず。
実際の作業では複数のパーツを並行して塗っていくことになりますが、他のパーツの塗装を済ませて一巡する頃には最初に塗ったパーツは充分に乾燥した状態になっていると思います。

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2層目の塗膜。
1/2うすめ液で2.5倍に希釈しているのはここから先も同じです。

塗料皿に出した塗料も時間が経つと溶剤が揮発してどんどん濃くなっていくので、「濃い」と感じたら1/2うすめ液をその都度1滴追加して濃度を調節するようにしましょう。
ただし、薄め過ぎは厳禁ですね…
薄過ぎる塗料は液だれや気泡が発生しやすくなって扱いが難しいので、最初の2.5倍希釈の感覚を覚えておき、追加で希釈する時にもなるべくその濃度に近づけることをイメージすると良いと思います。
(塗料の濃度は、塗料皿のフチで筆をしごいたときに塗料が流れ落ちる速さでイメージしておくと同じ濃さを保ちやすいです。)

2層目の塗装では1層目を塗ったことでプラの表面が薄い塗膜で覆われているので、先ほどよりも筆先や塗料が模型の表面により馴染むような感覚で塗っていくことができますよ。
なお、筆を動かす方向は基本的に変えず、1層目の時と同じ向きで塗っていきます。

普通のうすめ液でシャバシャバ希釈の塗料を塗り重ねていくと、2層目以降の塗装では先に塗った塗膜が溶けて剥がれてしまうことがあるのですが、今回のように「うすめ液の水割り」で溶解力を落としてやれば、下地剥がれのリスクはかなり下げることができますね。

1層目と同じく「厚塗り」「流れた塗料」「気泡」を発生させないように薄く全体を一回り塗れればこの段階も終了。
筆のストロークで発生した色の濃淡やまだら模様は後からの重ね塗りで何とでもなるので気にしないこと!
サッと全体を一通り塗ったら乾燥させてから改めて3層目を塗りましょう。

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3層目の塗膜。
だんだんと全体に色が付いてきましたね。
水性ホビーカラーを2.5倍という薄め方は実際かなり薄めではあるので、塗料の隠ぺい力も低くなり、塗装をしても必ず下地が透けてきます。
しかし、隠ぺい力が低いからと言っても塗ったものが全く発色しないという訳ではなく…
一見塗れていないように見えていても、少しずつ確実に色は乗ってくるのです。
今回はこの3層目で一気に緑がかったようになりましたね。
薄い塗膜は下地との相乗効果で重ねるほどに色が乗るので特に最初は耐えるのが肝要です。

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4層目の塗膜。
まだ少し下地の赤いプラが透けてはいますが、全体的にかなり緑が発色しましたね。
完全に緑を発色させるならこの後にまだ塗り重ねて行っても良いのですが、これはまだ下地塗装の段階でこの後にも色々な色を重ねていく予定ですから、多少の透けがあるこの段階でもこの色の塗装は終了とすることにしました。

1層ごとに乾燥させながら薄い塗膜を少しずつ塗っていくことで、ここまで塗っても筆ムラもかなり抑えることができています。
塗装のコツとしては、とにかく焦って結果を出そうとせず、「厚塗り」「流れた塗料」「気泡」を避けて薄く薄く塗っていくことですね…
もっと早く下地を覆いつくしたい!という助平心を出して穂先に塗料を多く含ませたり、濃い塗料で厚塗りをしてしまうと、塗膜がボッテリとしてしまって取り返しがつきません…!

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作業中も「筆洗液アプト」で穂先の状態をきれいに保つ

実際の筆塗り作業では、筆を水で洗いながら使っていくことになります。
溶剤である水を無限に使うことができるのが水性アクリル系塗料の大きなメリットですよね。

しかし、塗装作業が長引いてくると一部乾燥してしまった塗料が筆の穂先に残ってしまい、完全には洗い落とせなくなってくるもの。
乾燥した水性アクリル系は水では溶かせなくなりますからね…

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そこで登場するのが「筆洗液アプト」です!
界面活性剤を含むトロリとした液体で、これを使うと筆先で固まってしまい水では落とせなくなった塗料も洗い落とすことができるのです。
有機溶剤を含んでいないので安心して使えますし、筆の毛先に悪そうな(笑)マジックリンとは違って「毛質の痛みがありません」と明記されているのも心強いです。
ちなみに、本来は画材用品のようですね。

写真の120ml入りの容器のものは、そのまま筆洗いに使うことができるものです。
容器の中の「アプト」液に筆を浸し、液が浸透してくると塗料が表面から溶け出してくるので、そのまま容器の底やフチで筆の穂先をこすり付けるようにして洗います。
容器の底にはなだらかな凹凸が付いていて、洗い作業がしやすいようになっていますね。

この筆洗液アプト、使った後は水でよくすすいでトロミのあるアプト液を洗い落とすことが必要です。
この点から、メーカーサイドでは「製作中の筆洗いには使用しないでください」という説明がされていたりもしますね。
しかし…水性アクリル系塗料を使う場合に限り、このアプトを作業中の筆洗いにも使っていくことができるのです。
(※管理人の主観や経験則によるものなので、この点については一応自己責任とさせてください)
水洗いした後の穂先がまだ湿っていても、そもそも塗料やうすめ液自体に水を含んでいる水溶性の水性アクリル系塗料に悪影響はありませんからね。

水ですすいでアプトを落としたら水分をよくふき取り、更に溶剤(今回の場合は「1/2うすめ液」)で穂先の毛を再度少し湿らせておくようにすれば万全でしょう。
塗装作業中、落としきれなかった塗料で穂先のコンディションが悪くなってきても、これでいつでも簡単に筆を復活させることができますよ。

この筆洗液アプト、模型用品としては「ブラシエイド」という商品名で同等品が流通しているようですね。
中身はどちらも同じもののようですので、購入の際には手に入りやすい方を選べば良いかと思います。

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ここでは、アプトを使った筆洗いの実際も見ておこうと思います。
これは重ね塗りで赤を塗っている時のものですね、、、
上の写真のものは水で筆を洗った状態ですが、穂先の塗料も落とし切れていませんし、根元の金具にも塗料がこびりついています。
水性塗料といえど、塗装作業が長引いてくると筆はこんな状態になりがちです。
これではキレイな塗装を行うのも難しくなってくるので、筆洗液アプトで塗料をさっぱりと落としてみることにしましょう。

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アプトの液に浸して柔らかくなった穂先の塗料を落としていきます。
写真では調色スティックを使って根元の金具に付いた塗料をこすり落としているところ。
アプトは液が汚れても洗浄力に変わりはないので、落とした塗料はそのまま容器の中に入れてしまって大丈夫です。

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キレイになりました!
写真はアプト液を水ですすいで穂先を整えたところですね。
有機溶剤を使わなくても固まった塗料をここまで落とすことができるのは本当にお手軽便利です。
これでまた、穂先の状態の良い筆で塗装を行っていくことができますね。
このアプトはマジックリンと並び、水性アクリル系使い(特に筆塗り派)なら持っていて損はない一品かと思いますよ。

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失敗した時は”マジックリン塗装はがし術”で何度でもリセット

模型製作には失敗はつきもので、塗装作業でもどうしても失敗をしてしまうことはあります。
多少の筆ムラやホコリの混入は上塗りをしていくうちに馴染んで”模型の味”になることもありますが、やり直したくなる程の失敗をしてしまうこともあるもの。

そんな時は”マジックリン塗装はがし術”の出番です。
まぁ名前のままなんですが…水性アクリル系塗料を溶かすマジックリンの性質を使って、失敗した塗装をリセットするという方法があります。
ただし塗料を溶かすということは、塗装した全ての塗料が溶け落ちてプラの下地が露出するまでになりますから、文字通りのリセット…そのパーツはゼロから塗装をやり直すことになるので、マジックリンを投入するかどうかは、その点をよく考えて決めた方が良いですね。

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こちらは上手く塗装できなかったパーツ。
塗料を薄め過ぎ、また筆に塗料を多く含ませ過ぎていたためにパーツ表面で塗料が流れてしまい、縞模様のようなムラになっていますね。
これを上塗りでリカバリーしようとすると不自然に塗膜が厚くなってしまうと思われるため、ここは思い切ってゼロからやり直すことにしました。

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マジックリンを直接パーツに吹きかけた状態。
早速、塗膜が溶け始めているのが分かりますね。
塗料の落とし方としては、ここから筆でパーツ表面を撫でるようにして塗料を洗い落としていきます。

(※ちなみにですが、マジックリンは使用時に手袋を着用するように指定されています。
注意書きをよく読み、皮膚を傷めないよう気をつけて使用してください。)

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だいぶ塗料が落ちてきましたね…あと一息という感じです。
適宜マジックリンを新たに吹きかけながら筆で洗い落としていきます。

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かなりキレイになりました。
まだ少し、ディテールなどの奥まった部分に塗料が残っている感じがしますが、パーツの平面部分の塗膜はほとんど落とすことができたので、今回はこれくらいで洗い落し終了としました。
あとは水で良くすすいでから乾燥させておきましょう。

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まだ少し水分が残ってはいますが、こちらは洗い終わりのパーツ。
マジックリンは乾燥した塗膜も溶かしてしまう力があるので、ここまでキレイに塗装を落とすことができます。
このような場合にも有機溶剤を使わずに塗料を洗い落とせるのは水性アクリル系の扱いやすいところですね。

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パーツが乾燥したら再び塗装をしていきます。
最初の失敗があるので、塗料の希釈率や筆運びに注意して塗っていきました。
この写真は再度、1層目の塗膜を塗り終わった状態。
繰り返しになりますが、「塗料の薄さ」「筆先に付ける塗料の少なさ」また「筆圧をかけずに塗っていること」を写真から読み取ってもらえたらと思います。

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2層目。
先ほどの例と同じですが、順を追って塗装手順を見ていきましょう。
筆ムラを防ぐには、薄く薄くを重ねていくことになるので色の付き方も実にゆっくりじっくりです。
それでも層を重ねるごとに確実に色は載っていきますね。
とにかく、焦らないことが肝要です。
ちなみに、昔ながらの縦横に方向を変えての重ね塗りは必要ありませんよ!
じっくりと薄い塗膜を重ねていけば自然とムラは目立たなくなるものです。

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3層目。
まだかなり下地が透けています。
スジ彫りの周りの色が少し濃いのは、先に縁取り的にその部分だけ色を塗っているからですね。
細かなディテールがあるパーツなどは、面相筆も使って先に縁取りを塗っておくと良いと思います。
このパーツの場合はあまり細かい部分がないので、平筆(小)でそのまま塗っています。

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4層目。
かなり緑が発色してきましたが、それでもまだ下地が透けています。
塗料の色を完全に発色させるにはもう少し重ね塗りが必要ですね。

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5層目。
パーツ色の赤が隠蔽され、塗装した濃緑色もかなり発色しています。
よく見るとまだ若干の透けやムラはあるのですが、今回はあくまで下地塗装なのでこの段階までで仕上がりとしました。
比較的大きな平面があるパーツですが、薄い塗膜を少しずつ重ねていったことで今度は筆ムラもそこまで気にならない程度に収めることができたと思います。

このように、”マジックリン塗装はがし術”を使うと失敗した塗装をやり直すことができるのですが…
洗い作業から乾燥時間を挟んでの再塗装というのはかなり時間もかかってしまう上、「一度やったことをやり直す」という作業はモチベーションの維持が難しい面もあったりします。

「失敗してもやり直せる」方法を知っておくことは安心感に繋がる部分もあるのですが、ゼロからの塗り直しというのはやはりできればやりなくない作業工程ではありますね…
「物理的な状態は元に戻せても、やる気は完全に元には戻らない」という点は意識し、塗装はがしは方法論として過信し過ぎない方が、完成に向けた模型制作がスムーズに進むと思います。

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塗膜にホコリが混入!削り落としてみたが…

マジックリン塗装はがしからの塗り直しで、割と上手く塗れたように見える先程のパーツ。
しかし…
写真では分かりにくいのですが、よく見ると塗膜にホコリが混入しています。
そう、筆塗り塗装では空中を舞うホコリを塗膜に巻き込みやすいのです。

ホコリを取り除くには、完全に乾燥してから番手の細かいペーパーで削り落とすという方法もありますが、今回はお手軽にアートナイフプロの曲刃を使ってピンポイントで削り取ってみました。

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発見したホコリに刃先を当てて、塗膜ごと削り落とします。
なるべく余計な部分にはキズをつけないように…

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こちらは曲刃を装着したアートナイフプロの刃先。
通常のアートナイフで使う直線刃よりもピンポイントで狙った部分だけを削ることができます。

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画像中の矢印のあたりに付いていたホコリを塗膜ごと削りました。
削った部分は赤いプラ地が見えているのでリタッチします。

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面相筆の穂先にビン生の塗料をチョン付けして、削れた塗膜を埋めました。
この時点では少し浮いているように見えますが、この後の上塗りで馴染んでくれることに期待して、この段階はここまでで留めておくことにします。
最悪、塗装の最終段階まで塗ってみてもまだ違和感があったなら、面にドライブラシをかけて馴染ませてしまえば良いでしょう。
まぁコンテストに出すような作品でもないので…多少のアラは”味”と割り切ると気持ちが楽になります(笑)

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おしまい

今回は実際の塗装作業の取っ掛かりとして、管理人なりの水性ホビーカラーの扱い方・塗り方についてできるだけ丁寧に解説をしてみました。
筆塗りのやり方も本当に人それぞれで、管理人のように薄めた塗料を重ねていく方法が好きな人もいれば、ビン生が一番塗りやすいという意見の方もいたりして、「モデラーの数だけ正解はある」というのが本当のところなのかもしれませんね。

さて…次回の記事も引き続きの下地塗装となります。
扱いがやっかいなABSパーツを初挑戦のアクリジョンで塗ってみましたが、その結果や如何に…

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基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編1.「塗装の準備~塗装道具を一覧で紹介」

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こちらは前回までの工作で一通り仕上がったサザビーのMS本体を再び仮組みしたところ。
基本工作と簡単なディテールアップのみなのでキットを活かした仕上げといったところですね。
まだヤスリやペーパーがけをした時の削りカスが残っているので、今回はパーツ洗浄をしてキレイにしてから塗装に入ります。

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パーツの洗浄について

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写真は洗い終わったパーツたち。
本体を分解する時は、写真のようにパーツをユニット毎、更に塗装色毎に分けて管理すると分かりやすいと思います。
洗い作業は台所用の中性洗剤と歯ブラシを使い、よくゆすいでおきましょう。

パーツ洗浄の目的としては、「作業中に付いた手の脂分を落とす」ことと「ヤスリ等の削りカスを落とす」ことだと思いますが、手の油分については通常そこまで気にしなくても良いと思います。
水性塗料とはいえ、溶剤(うすめ液)で希釈する場合にはそこまでパーツ表面での「弾き」は起こらないものです。
管理人は小中学生時代に旧版の水性ホビーカラーを水で薄めて苦労した記憶が強いので(笑)塗装前には毎回洗浄をしてしまうのですが、削りカスがきれいに取れていれば洗浄の過程は省いても良いくらいだとは思いますよ。

塗装道具の紹介

洗浄したパーツが乾燥したら早速塗りはじめ…なのですが、今回はまず管理人が使っている塗装道具類の紹介をしていこうと思います。
実際の塗装作業は次回の記事からになりますね。
管理人は筆塗りしかしない人なのでエアブラシや缶スプレーは出てきません!念のため…

水性ホビーカラー

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メインの塗料は水性ホビーカラーを使います。
数年前にリニューアルして性能が向上した「新版」ですね。
現在店頭で購入できるのはほぼ新版だけだと思いますが、間違えて旧版を買わないように…
旧版は乾燥が遅いのと、塗膜にも妙な柔らかさがあって扱いづらいので今から手に入れるメリットはありません。
上の写真のものが現行の新版ですね。
旧のものはラベルが違うので見分けがつくと思います、、、

管理人は基本的に混色をしないで、ビンの色そのままで塗っていきます。
これは塗装作業が途中で中断したとしても、続きを塗るときに前回と同じ色で塗っていくためです。
社会人モデラーは一度に長時間の作業を行うことが難しい場合が多いですが、ビンの色そのままを使えば少しの時間でも作業の再開・中断が可能になりますよ。

もっとも、予めスペアボトルにまとまった量の調色した塗料を用意しておいても良いのですが、、、
塗料を切らしても新しいものを買ってくれば全く同じ色が用意されているというのはやはり安心感が大きいので、今回は基本的に市販の色をそのまま使うことにしました。

上の写真の5色は基本の赤色を塗っていくためのもの(の一部)。
写真の左のものから右にかけて、暗色からの重ね塗りでグラデーション効果を狙います。
混色をしないでこの塗り方をしようとすると、使用する塗料ビンの数がかなり多くなってしまうのですが、便利さのためにはある程度仕方のないところ…

もちろん、今回の機体は赤一色ではないので他の色も使いますよ。
その他の色は実際の塗装過程を追いながら、その都度紹介していこうと思います。

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水性ホビーカラーとタミヤアクリル、それぞれのフラットベース

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塗料には適宜フラットベースを添加してつや消しの仕上げとしていきますが、フラットベースは水性ホビーカラー用のものに加えてタミヤアクリルのものも使用します。
タミヤアクリルのつや消し色はかなりつや消し感の強いカリカリの塗膜が特徴ですが、水性ホビーカラーにタミヤアクリルのフラットベースを混ぜることによって、水性ホビーカラーにこの強いつや消し具合を与えることができるのです。
違うメーカー同士なので使用は自己責任となりますが、水性ホビーカラーとタミヤアクリルは相互に混ぜることができ、溶剤も互換性があります。
フラットベースは水性ホビーカラー用・タミヤアクリル用のどちらを使うか、またどのくらいの量を添加するかによってもつや消し具合が変わってくるので、作品の仕上げのイメージや好みによって調節をしましょう。
今回は本体の赤色塗装の最終段階でタミヤアクリルのフラットベースを使用、それ以外は水性ホビーカラーのフラットベースを使用しています。

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水性ホビーカラーうすめ液

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塗料はビン生ではなく希釈をしてから使います。
濃い塗料を塗ると少ない回数で発色はしますが、塗膜が厚く不自然なムラも出やすくなるので、原則塗料は希釈してから塗った方が良いですね。
水性ホビーカラーは水性塗料といえど、水で希釈すると塗装面での弾きが発生し、極端に扱いづらくなるので専用の溶剤は必須と思っておいた方が良いです。
ただし、その溶剤もそのまま使うと重ね塗りの際の下地の溶け出し(下地泣き)が強めなので、実際には「うすめ液を水で割ったもの」で塗料を希釈していくのがここ最近の管理人流。

(この「水割りうすめ液」の性能については別記事で検証を行いました。)

作業中は大量に消費するので、うすめ液と水道水を1:1で混ぜ合わせた「1/2うすめ液」として、大きめのスペアボトルにまとまった量を用意しておきます。

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アクリジョン ベースカラーとうすめ液

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今回のHGUCサザビーには一部にABS製のパーツがあるので、大事を取ってアクリジョン・ベースカラーも用意しました。
ABS製パーツは塗料の溶剤が浸透することで割れが発生する「らしい」です。(出戻りモデラーの管理人はABSの塗装自体が今回初だったりします)
水性ホビーカラーにもABSパーツには使用できないというメーカー公式の注意書きがありますね。

店頭で配布されているGSIクレオスの塗料パンフレット。
水性ホビーカラーのページには右上に「ABS樹脂パーツへの塗装について」という注意書きがありますね。
ABS樹脂は水性ホビーカラーによるパーツ割れの危険があるため、塗装をしないよう指示されています。

今回はABSも塗れるという触れ込みのアクリジョンから、ベースカラーシリーズのベースグリーンをABSパーツ保護目的で下塗りに使用。
アクリジョンの筆塗り法については、今回ネットや雑誌でいろいろと調べてみても今一つピンと来るものがなかったので、これもまた自己流になりますが、うすめ液で希釈してから塗ることにしました。
用意したうすめ液は「エアブラシ用うすめ液 改」。

実際の使用感については後の製作記事中で解説します。

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使う筆は3本。
平筆、面相筆、ドライブラシ用の筆がそれぞれ1本ずつあれば充分です。

・平筆…タミヤ「モデリングブラシ HG 平筆」の小サイズ

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 天然毛(馬毛)の平筆。
 とりあえずメインの筆はこれ1本だけだけあれば良いです。
 今回、塗装の9割以上はこれで塗っています。
 塗料の含み、強すぎない適度なコシ、毛先のまとまり、抜け毛の少なさ、等々…非常に扱いやすい筆です。
 タミヤ製品なので取り扱い店舗が多く、グレードの高い筆としては比較的値段が安めなのも良いですね。
 筆塗り入門にどれを選べば良いか分からないという初心者の方は、とりあえずこれを買っておけば間違いないと思いますよ。
 模型雑誌等に掲載される商業ベースのHowToだけではなく、ネット上の個人ブログなど、各所でおすすめされる機会が非常に多い筆でもあるようです。
 極小・小・中の3サイズが発売されていますが、ガンプラ用には4mm幅の「小」が使いやすいですね。

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「小」サイズの穂先の幅は約4mm。
なお、この写真の筆は新品のものです。

・面相筆…Too「セーブル長峰 No.1

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 塗装のほとんどは平筆でこなしていくことができるので、面相筆は補助的に使います。
 大きなパーツの塗装においてはパーツのエッジやディテール部分など、平筆では穂先が届きにくい場所を予め塗っておくようにすると、塗り残しも防げ、またパーツ表面での塗料の泡立ちや垂れも防ぐことができますね。
 その他、細かな部分の塗り分けとして基本塗装が終わった後で各部の小バーニアやダクトなどの細部に色を入れていくのにも使います。
 
 管理人が使っている「セーブル長峰 No.1」は、イラストレーター・プロモデラー等として活躍されている横山宏さんが著書「Ma.Kモデリングブック」の中で紹介していたもので、界隈では「一番筆」などとも呼ばれ愛用者も多いもののようです。

 穂先が長いので塗料の含みが良く適度なコシもあり、細部の塗分けからタッチを活かした平面の塗装まで広く使っていくことができます。

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Ma.Kモデリングブックは全ページ目からウロコの大変楽しい模型本。
とりあえず筆塗りモデラーは全員必読!
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セーブル長峰No.1の穂先は、面相筆としてはやや長めの約15mm。
もちろん毛先のコシを活かして細部の塗り分けにも充分使っていくことができる性能を持っています。

・ドライブラシ用の筆…豚毛の平筆(文房具店で入手した画材用品)

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文房具屋で買ってきた豚毛の平筆。
写真のものはドライブラシ用として穂先を半分程度にカットしています。

 一口にドライブラシと言っても色々と塗り方はあるのですが…
 今回は面を叩くように塗っていくドライブラシなので、このような場合には豚毛の平筆が向いています。
 管理人は文房具店の画材コーナーで入手した筆を使っていますが、100円ショップでも手に入る場合があるようです。
 ドライブラシ用の筆は模型用品メーカーから発売されているものもありますが、これでも充分使っていくことができますよ。
 毛先は短い方が使いやすいので、半分程度にカットして使っています。
 今回使用したものはぺんてるの豚毛筆…平4号という小さめのもの。

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新品の筆を買ってきたら、穂先を2/3から1/2程度を目安にバッサリカット。
ニッパーで毛先を揃えて一気に切りましょう。
切った後は紙やすりの上で穂先を払って抜け毛を取り除いておくと良いですね。

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塗料皿

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塗料皿は画材店で購入できる陶器の「とき皿」を使います。
模型用品としてよくある薄手の金属でできたお皿よりも重さがあって安定しますし、塗料を混ぜたり薄めたりする際にも使いやすい大きさになっています。
白色なので取り出した塗料の色の具合を見やすいのも良いですね。
模型用品として売っている塗料皿よりは高めですが、長く使えるものなので買って損はないでしょう。
2枚1組で用意しておくと、1枚は裏返してフタとしてかぶせておけるので便利です。

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スポイト

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スポイトは、お皿に取り出した塗料を希釈するのに使います。
作業中にはうすめ液を1滴ずつ滴下して濃度を調節する必要があるので、これも絶対に必要なものですね。
模型用品としても発売されていますが、文房具店やホームセンターで購入できる汎用品でも充分に使えるものです。

ホームセンターのケミカル用品コーナーにビーカーやフラスコなどと一緒に大きめのものが売られていますが、模型用には写真のような小サイズのものが使いやすいと思います。
小さめサイズのスポイトは、書道用品としてスーパーやホームセンターの文房具売り場、また100円ショップ等で売られていますね。

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タミヤの調色スティック

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模型用の塗料はビンの中で顔料と溶剤成分が分離しているので、使用前には必ず中身をかき混ぜなければいけません。
ランナーの切れ端でも代用できなくはないのですが、ここはやはり専用品が使いやすいですね。
筆塗りでは一度に使う塗料の量もそれほど多くはないので、この調色スティックでかき混ぜた塗料を1滴、2滴…と数えながらお皿の上に垂らして使います。
また工作編の表面処理の記事でも紹介したように、ヘラになっている方にペーパーを貼り付けて簡易ヤスリとしても使えたりと、プラモデル製作の全般に渡って出番がある一品。
定番のタミヤ製を入手しておくと長く使えると思います。

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パーツの持ち手

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作業中にパーツを浮かせておくための「持ち手」です。
筆塗り塗装とはいえ、やはり持ち手はあった方が断然良いですからね。

この手の製品は様々なメーカーから色々なものが出ていますが、写真のものはHIQPARTSから発売されている軸がステンレス製のもので、安定感が高く、また金属の軸は木製のものよりも細いので後述の猫の爪とぎ(パーツ立て)に差し込む際にも段ボールの穴とのサイズ感が丁度良く、使い勝手が良いものとなっています。

この製品は20本セットでしたが、筆塗り塗装では一度にそれほど多くのパーツを塗ることができないので、とりあえずはこれだけあれば充分に使っていけると思いますよ。

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パーツ立て(猫の爪とぎ)

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持ち手を付けたパーツを差し込んで、塗料が乾くまで浮かせておくものです。
写真のものは「猫の爪とぎ」として販売されていた段ボール製のペット用品。
模型メーカーから類似の専用品も発売されていますが、これでも充分に使っていくことができます。
管理人はディスカウント系スーパー(トライアル)で購入しましたが、この大きさ(実測で約12cm×48cm)で100円強とかなりの安さ…当記事執筆時に価格調査に行ったところ、税込み129円となっていました。
(以前の購入時は100円以下だった記憶があるのですが…ここ最近の物価高の影響(?)で少し値上げしたようです)
付属のまたたびはいらないので少し安くして下さい…(笑)

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塗装作業中の写真。
パーツの持ち手棒をダンボールの穴に差し込んで固定します。
厚みは実測で約2.4cm程度ですが、差し込んだ持ち手の自重で倒れるようなこともありません。

ほこりとりブラシ

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タミヤの「モデルクリーニングブラシ 静電気防止タイプ」という製品。
塗装作業前にパーツに付いてしまったホコリを払うのに使うブラシです。
大きめサイズのブラシで、パーツ全体をサッサッと払っていくことで手早くホコリを落とすことができます。

部屋に舞っているホコリというものは意外と多く、パーツを持ち手につけて準備をし、さあ塗装…というタイミングで、もうホコリが付着していることもあったりします。
そんな時にもこのブラシでサッとホコリを払ってやれば安心ですね。

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持ち手の部分のキャップを外すと、小さ目サイズのコシのあるブラシが出てくるので、入り組んだ箇所に付いたホコリや、こびり付いたパーツの削りカス等もこちらで払い落とすこともできますよ。
地味だけど、意外と便利な一品です。
一つ持っていれば塗装場面における使用頻度はかなり高いかと思います。

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Mr.キャップオープナー

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テコの力を使い、プラ製のレンチでビンのフタを開けるアイデア商品。
青い方は滑り止め用のボトルグリップです。

ある意味では水性アクリル系使いにとっての最重要アイテムとも言える、クレオスのキャップオープナーです。

プラモデル用塗料を使っていると、ビンのフタを閉めるスクリュー部分に塗料が固着してしまい「ビンのフタが開かない…!」というトラブルに必ず遭遇します。
しかも、水性ホビーカラーやタミヤアクリルといった水性アクリル系塗料は乾燥した塗料の固着具合が非常に強く、どうやってもフタが開かないという事態になりがちなのです。
対策として、フタを閉める前にビンのフチについた塗料を拭うようにするなどできることはありますが、それでも開かなくなる時には開かなくなるもの。

手袋をして力をかけたり、マイナスドライバーでこじ開けようとしてみたり、隙間からうすめ液を垂らしてみたり…と手を尽くしてもフタが開かず途方に暮れたという経験、ある程度プラモデルを作っている方なら誰もがあると思います笑

そこで、この「キャップオープナー」です。
パッと見は100円ショップのヘンテコグッズみたいですが、見た目からは信じられないほど便利な一品。
プラ製のレンチをビンのフタにはめこみ、テコの力を使って固着したフタを開けることができます。
ただそれだけなのですが、その性能は単純にして強力。
フタのスクリュー部分で塊状になって固着していた塗料がバキバキと音を立てて剥がれていく様子は実に気持ちがいい。笑

もはや水性アクリル系使いでキャップオープナーを使っていないモデラーはモグリと言っても良いくらいの革命的一品です!
水性ホビーカラーはもちろんタミヤアクリルのビンにも対応。
これ一つあるだけで、ビンのフタが開かなくて指の皮がむけるような今までの苦労から一気に解放されますよ。

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キムワイプ

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ケバ立たないティッシュ、といった感じの紙製ウエスです。
筆先を拭ったりするのに使います。
ティッシュは手軽な反面、細かい繊維が付くのでこのような用途には向きません。
入手は通販が安くて便利ですが、街のホームセンターでも売っていることが多いと思います。
ホコリ対策として、これもできれば用意した方が良いでしょう。

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100円ショップのケース

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分解したパーツを部位毎に分けて保管しておくのに使います。
ガンプラなら「胴体」「腕部」「脚部」などとパーツを分類しておくと、各作業工程や、再組立ての際にもパーツを探す手間が少なくて済みますよ。
フタの開閉が簡単なものを選ぶと作業がスムーズに行えると思います。
本記事冒頭の写真でも紹介しましたが、今回のHGUCサザビーでは小型のケース8つに分けてパーツを分類しました。

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写真のものは和泉化成株式会社という会社の製品。

単なるケースなので、これに限らず好みのものを使えば良いのですが、この製品はフタにロック機構がなく開け閉めが簡単なので作業中の扱いが楽でオススメです。
管理人の地元ではダイソーとセリアの両方に同じものが置いてありましたので、100円ショップに広く卸されている商品のようですね。

洗面器

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作業中に筆を洗うための水を入れておくのに使います。
もっと小さい筆洗い容器でもいいのですが、せっかくなのでモノは大きく使うと作業にも余裕ができますよ。
「筆洗いの溶剤(水)を無限に使える」のが水性塗料の最大のメリットなのですから…!

お風呂場で使っているものとは分けて、模型専用の洗面器を一つ用意しておくと良いですね。
筆洗いとして使う以外に、表面処理でパーツを水研ぎする場合などでも水を張った洗面器を机の上に用意しておくと作業がやりやすいですよ。

マジックリン

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家庭用の洗剤ですが、水性アクリル系塗料を溶解する特性があるため後片付けや道具洗いに使います。
かなり強い溶解力で、完全に乾燥した塗料皿や筆先の塗料を溶かしながら洗い落とすことができるため、これがあるだけで後片付け時の安心感がまるで違います。
また、塗装に失敗してしまった時はパーツにマジックリンを吹きかけることで塗膜を剥がし、塗装前の状態にまでリセットする…という使い方もできたりします。
水性塗料使いなら、とりあえず持っておいて損はないでしょう。
ドラッグストア等で入手可能な日用品のため、価格も非常に安いです。

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食器洗い用のスポンジ

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前述のマジックリンと合わせて、作業が終わった後に陶器の塗料皿を洗うのに使います。
安物で充分ですが、台所で食器洗いに使っているものとは完全に分けて必ず模型専用として用意すること!
塗料というのは人体にとって「有害」です。(常識かと思いますが、一応…)

写真のものはスーパー(イトーヨーカドー)の台所用品コーナーで売っている中で一番安かったもの。
5個入で100円弱という安さですが、基本的に消耗品ですしこんなものでも充分でしょう。

後片づけ用筆洗液 アプト

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こちらも水性塗料(や、その他塗料も)を溶解する特性のある液体。
マジックリンやその他の家庭用洗剤と同様に界面活性剤を含んでいますが、有機溶剤ではないので匂いを気にせずに使っていけるのが嬉しいですね。

マジックリンと同じく水では落とし切れない段階まで乾燥してしまった塗料を溶解できるので、これを後片付け用に用意しておくと便利です。
使い方はマジックリンとは異なり、つぼ型の容器の中に直接筆を突っ込んで毛先の塗料を洗い落とします。
基本的に筆専用の洗い液と考えた方が良いですね。
使用後には水でのすすぎが必要となるので「後片付け用」となっていますが、水性塗料の場合は穂先が水で濡れたまま使っても問題ありませんから、作業中の筆洗いにも問題なく使っていくことができますよ。
その場合は、この「アプト」液を水で良く洗い落してから、更に水性ホビーカラー用のうすめ液で穂先を少しゆすいでおくようにすれば良いですね。

先述の通り有機溶剤を含まない無色無臭の液体で、筆のトリートメント効果もあるという触れ込みです。
実際の作業時は筆は主にこのアプトで、塗料皿はマジックリンで…と使い分けるのが良さそうですね。
容器の中の洗浄液が汚れてきても洗浄力はあまり変わらない印象で、かなり長く使い続けることができコストパフォーマンスも抜群です。

※模型用品としては別メーカーからブラシエイドという商品が出ていますが、実際には両者は同じもののようです。(「アプト」は美術用品として流通しています。)

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筆用コンディショナー

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タミヤから発売されている筆用のリンスです。
毛荒れを予防し、乾燥後は穂先をノリで固めることによって筆の型崩れを防ぐことができるというものです。

管理人の体感では、毛先がある程度荒れてしまった筆に使っても若干は状態が改善するようですが、基本的にはまだ状態の良い筆に対して予防的に使う方が効果があるようです。
とはいえ結果を数値で示すことができないので、効果の「ある」「ない」はどうしても感覚的なものになってしまいますね…
それでも筆の毛先がピシっと揃っているのは気持ちが良いものなので(笑)、筆塗り派モデラーは持っておいても損はない一品かと思います。

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新聞紙

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机の上に敷いておく新聞紙。
気を付けていても、塗料や溶剤をこぼしてしまうことはありますから、作業スペースを覆うように敷いておくのが良いでしょう。

アートナイフプロと曲線刃

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こちらは工作でも多用するアートナイフの大型タイプ「プロ」です。
プロ専用の替え刃「曲線刃」を取り付けて、塗膜に入り込んだホコリやダマを削り取るのに使います。
曲線刃を使うと、通常の直線の刃先よりもピンポイントで削りたい箇所に刃を当てることができますよ。
削った個所は小さなキズになってしまうので、より綺麗にホコリを削り落とすなら目の細かなペーパーを使ったほうが良いのですが、修正箇所を上塗りで馴染ませることができるような塗装計画の場合なら、お手軽なナイフでの修正も有りだと思います。
本体を買うと曲線刃もセットになっているので、お試しで少し使ってみる程度なら最初は別売りの替え刃は買わなくても良いでしょう。

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神ヤス!の8000番(または高番手の耐水ペーパー)

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ごく目の細かいスポンジやすり。
今回は塗装に失敗し、厚塗りになってしまった塗膜を削るのに使いました。
神ヤス8000番の水研ぎでは、パーツのエッジなどヤスリが当たりやすい部分は割と簡単にプラ地が露出するまで削れてしまうので、より慎重に行くなら10000番といった更に高番手のものを使うのも手かもしれません。
ただ、研ぎ出しをするでもない塗り直し前提の塗膜の削りなら、8000番くらいの削り味の方が作業効率が良いと思います。

塗装に失敗した厚塗り部分の対処としては、マジックリンで塗膜を溶かしてリセットする方法もありますが、それだと文字通り全てがリセットされて最初からのやり直しになってしまうため、そこまでしたくない場合やパーツの一部分の塗膜だけを何とかしたい場合などは高番手でペーパーがけをした方が良いでしょう。

神ヤス!は様々な番手が少しずつ入ったお試しセットも発売されているので、最初はそれで各番手の感覚を試してみるのも良いですね。
塗膜を水研ぎする程度なら高番手の神ヤスは長持ちするので、お試しセットに入っている分だけでも充分に作業ができると思いますよ。

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ある程度以上高級なピンセット

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工作では細かなパーツの取り付けや細部のペーパーがけに便利なピンセットですが、塗装作業においては不意に塗膜に付着したホコリを乾燥前に掴み取るのが主な使い方です。
対象がホコリでは非常に細かな作業となるので、先端の精度が保証された、ある程度以上のグレードのピンセットがあると作業時の安心感がまるで違います。

管理人が主力として使っているのはゴッドハンドのパワーピンセット 、先広タイプ。
ワンランク上のピンセットとして精度や剛性感の高さを感じることができる一品です。

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この先広タイプは先端が約2mmの平面となっている珍しいタイプのピンセットで、デカールやシールを傷つけずに掴むことができるというのがキャッチコピーですが、その幅広の先端がホコリの端を掴み取るのにも丁度良くて気に入っています。
もちろん、今回の制作ではシールを扱う際にも活躍してくれました。

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医療・介護用など、ピッチリタイプのゴム手袋

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手が汚れないように付けておく手袋。
通常は持ち手に付けたパーツに色を塗っていくことになるので、筆塗りの場合そうそう手が汚れるものではないのですが、一番これが必要になるのはドライブラシの工程です。
ドライブラシでは、特に今回のように豚毛筆でガシガシと塗膜を擦るような塗り方をする場合、棒状の持ち手では全く強度が足りないためにパーツを直接手で持って塗ることになります。
そうすると、必然的にパーツを持っている方の手ははみ出した塗料で汚れてしまうことになるので、予め手袋をしておくのが無難と言えますね。

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使い捨ての手袋としては台所用品等として売っている大き目のものもありますが、手の指にぴったりフィットしないタイプはゴワゴワして作業効率や精度の大きな妨げとなるので、模型用にはピッチリタイプの手袋を用意したほうが断然良いと思います。
管理人が使っているのは、医療用として売られている使い捨てのゴム手袋。
ピッチリタイプの手袋は手先の感覚の妨げになることはなく、手袋を付けた状態でも非常に精密な動作が可能です。

管理人は男性としては手が小さめなのでSサイズがピッタリフィットしますが、このサイズ感は人によるので何とも言えません。
基本的に100枚入りなどの箱で買うことになるのでサイズ違いを買ってしまうと悲劇ですが、自分の手の大きさに合うサイズさえ分かればこれ程使いやすいものはないと思います。
手の汚れ防止のほか、マジックリンを扱う際の防護用として使うこともできますよ。
(※ラベル裏の注意書きより、マジックリン使用時は換気と手袋の着用が必要となっています。)

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マジックリン裏面の注意書き。
換気が必要なことと、保護眼鏡と手袋の着用が指示されていることには注意した方が良いでしょう。

1箱100枚入りというのが多すぎると思うかもしれませんが、日常生活の中でも水場の家事や虫退治(笑)といった場面で使っていくことができるので、意外と無駄にはならないでしょう。
夏場にエアコンのない室内で着用すると異常に蒸れて最悪なのと、ラテックスなどゴムのアレルギーがある人は使用できない可能性があるので、そこだけは注意が必要ですね。

入手するには、まずスーパーで台所用や介護用などと銘打った品物が手に入ることがあるようです。
他に、ネット通販では医療用のものも売られていますね。
Amazon扱いの医療用は、「このページには、医療従事者のみが購入できる医療機器情報が含まれています。あなたは医療専門家ですか?はい/いいえ」という確認ページを経ないと商品のページに入れないようになっています。
ということは、購入は自己責任ということになってしまうので、管理人としてはここでこれ以上のコメントをすることはできませんが…

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マスキングテープ

msn-04
タミヤのマスキングテープはホコリを防ぐケースに入っているので便利です。
右のものは詰め替え用のテープ。ケースを使いまわせば安く使い続けることができますね。

塗料を付けたくない部分を覆っておく(マスキングする)ための、粘着力の弱いテープです。
エアブラシなどでスプレー塗装をする場合はマスキングが大きなポイントになりますが、筆塗りではそこまで重要な要素ではありません。
細かな塗り分けは面相筆で描き込むことになりますし、多少のはみ出しも逆側から面相筆で上塗りをすることで修正をしていくことができるからです。

今回の制作では、粘着力が弱い「貼ってはがせる」特性を活かし、マーキングシールを貼る際の位置決めの目安となるガイドを作るのに使いました。
一つ買うならタミヤのケース入り10mm幅が無難かと思いますが、今回のような場面では広い幅は必要ない(むしろ細い方が良い)ので、カッターマットの上で細切りにしてから貼り込んでいます。

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おしまい

以上、管理人が筆塗り塗装に使う道具一覧の紹介でした。

プラモデルの筆塗り塗装ってどうしても、今一つ取っつきにくいイメージがありますよね。
原因の一つとして「塗料の希釈率」「筆の選択」「塗り方(筆の動かし方)」といった各要素がプロ・アマ問わず人によって違いすぎるので、画一的なお手本を提示しづらい…といったことがあるのではないでしょうか。

そういう意味ではここで紹介する内容も数多くある方法論のうちの一つには過ぎないのですが、使っている道具や作業中に考えていることなどの管理人なりの考えを、記事を通して丁寧に発信していけたらと考えています。

さて、それでは次回からは実際に塗り始めですね。
まずは下地の暗色から。
管理人なりの筆塗り法の基本にも触れていきたいと思います。

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水性ホビーカラーを水で薄める!…のは無理なので「うすめ液の水割り」で快適に筆塗りをしよう

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2019年11月にリニューアルされ、使い勝手が良くなった水性ホビーカラー
タミヤ・アクリル塗料とともに、模型用塗料の一つ「水性アクリル系塗料」の代表的な銘柄として多くのモデラーに親しまれています。

そんな水性ホビーカラーですが、扱いにややコツが必要であるのもまた事実。

・ビン生や濃い目の希釈では乾燥が早い。というか早すぎて筆塗りでの伸びが悪い。
・かといって溶剤で薄めに希釈して重ね塗りを繰り返すと、下地に塗った塗料が剥がれることがある。
・水で希釈すると伸びは良くなるが、薄めすぎると塗装面の微妙な油分に反応して容易に弾かれるようになる。
・水希釈で弾かれない濃さの範囲が体感ではかなり分かりづらく、希釈率のコントロールが難しい。

…ええと、これらは完全に管理人の主観ではあるのですが。
塗料を扱う第一歩、希釈からしてまず難しい。

雑誌のHowToを参考にしようにも、水性アクリル系塗料の筆塗りは商業ベースの解説記事では扱われることが少なく、たまに雑誌の特集が組まれても今一つ参考にしきれない…「コレジャナイ感」の強い内容が多かったりします。(スミマセン)

そんなこんなでなかなか正解にたどり着けない水性ホビーカラー希釈方法なのですが、ある日ふと思いつきました。
「うすめ液そのものを水で割って使えば、(有機)溶剤と水との良いとこ取りになるのでは…?」

ということで早速試してみました、「水割りうすめ液」…!!!

今回の記事は、うすめ液水割りすることによって「塗料の溶解力」「希釈して塗装した場合の弾き耐性」といった性能がどう変化し、それによって実際の使い勝手は変わってくるのかを実験・検証してみたものです。

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まずは各種うすめ液の溶解力をチェック

それではまず実験の手始めに、各種のうすめ液が水性アクリル系の塗膜に対してどれくらいの溶解力を発揮するのかを確認しておくことにします。

対象の塗料は水性ホビーカラーと、参考までにタミヤアクリルも用意しました。
用意したうすめ液は「」「水性ホビーカラーうすめ液」「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」「消毒用エタノール」の4つです。

各種のうすめ液について一応、管理人なりの説明を。

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普通の水道水。
水性アクリル系塗料は乾燥前なら水で希釈や用具洗いができます
(※もちろん乾燥後は耐水性)
ただし、水性アクリル系塗料、特に水性ホビーカラーは水で薄めると塗装面に弾かれるようになってしまうために扱いが難しく、希釈には基本的に後述の(有機溶剤成分の入った)うすめ液を使った方が良いでしょう。
(※ただしタミヤアクリルについては「水溶きアクリル」という技法が存在し、本も出ています。)

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水性アクリル系塗料の「水で希釈や用具洗いができます」という謳い文句は言葉通りには受け取らず、(水溶きアクリル法の場合を除き)水は用具洗い限定で使った方が良いですね。
またそれも万能ではなく、実際の作業場面では乾きかけの塗料が水では完全に洗い落とせない…ということも多いですから、洗い作業には筆洗液アプトマジックリンも併用すると作業がよりスムーズに進められると思いますよ。

筆洗液アプト(左)とマジックリン(右)。
乾燥して落ちにくくなった塗料を溶かすことができるので、水性アクリル系使いの必須アイテムとして是非用意しておきたい2品。
水性アクリル系塗料なら「アプト」を作業中の筆洗いにも使っていけるので便利です。
完全に乾燥した塗料の塊が溶け出してくる様には感激…!

水性アクリル系塗料の「(乾燥前なら)水に溶ける」という特性はメリットであると同時に、希釈や用具洗いを水だけで済ませようとすると、かえって作業が難しくなる場合もあるという罠でもあるので注意が必要です…!

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水性ホビーカラーうすめ液

GSIクレオスから発売されている水性ホビーカラーの純正うすめ液。
成分は「水、有機溶剤」とのことですが、有機溶剤の種類や濃度は非公表。
使用は自己責任ですがタミヤのアクリル塗料とも互換性があり、相互に使用可能です。

ラッカー系のものほどではないですが、有機溶剤である以上、特有の刺激臭も発生します。
安全を売りにしている水性アクリル系塗料でも家族から苦情が入る程度の溶剤臭は発生しますから、必ず換気は必要ですよ。

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タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A

こちらはタミヤ・アクリル塗料の純正うすめ液。
メーカーが違うので当然使用は自己責任ですが、水性ホビーカラーとも互換性あり。
というか、昔は水性ホビーカラーの純正うすめ液が発売されていなかった時代があり、その当時は水性ホビーカラーをこのタミヤアクリルの溶剤で希釈して使うのが公然のテクニックとなっていました。
成分表記が「水、有機溶剤」で有機溶剤の種類や濃度が非公表なのも水性ホビーカラー用のうすめ液と同様。
両者の違いは…フィーリングで判断するしかありません(汗)

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※新旧の水性ホビーカラーについて

完全に余談ですが、管理人の手元に純正うすめ液が発売される前の時代の古い水性ホビーカラーがあったので比較写真を撮ってみました。
右のものが見慣れた現行品で、左のものは当時モノの旧版ですね。
記憶によると、この旧版を購入したのは1996年頃。
昭和を感じるラベルデザインですが、ちゃんと平成時代のものです(笑)。

旧版のラベル裏面。
「使用方法」の欄に希釈に関する内容はなく、「用具の手入れ方法」としても「塗料が乾かないうちに水で洗うこと」という記載しかありません。
この時代には水性ホビーカラーの純正うすめ液は発売されていませんでした。
当時はタミヤアクリルの溶剤や、裏技的に消毒用エタノールを使う方法が一般的だったと思います。
道具の洗浄にマジックリンが使えることを知っていればどれだけ楽ができたことか…笑

こちらは現行品のラベルの裏面です。
使用方法として「塗料の粘度が高く塗りにくいときは、水または水性ホビーカラー専用うすめ液で少し薄めて使用すること。」という記載が追加されています。
「用具の手入れ」の欄は「塗料の乾燥前は水で洗浄できます。乾燥後は水で溶解しないので、Mr.ツールクリーナー改で洗浄して下さい。」とありますね。
現在は水性ホビーカラーの純正うすめ液が発売されているので、現行品ではしっかりと自社製品を使うように案内されています。
うすめ液をはじめ、この20年で模型用品は本当に充実しましたね…

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消毒用エタノール

ドラッグストア等で売っている消毒用のアルコールです。
これで水性アクリル系塗料を希釈するという裏技的テクニックがあると大昔にどこかで見聞きした覚えがあるのですが、管理人は実際に使ったことはありません。
令和の現代では、コロナ対策の消毒用としてどこのご家庭にも常備されているものですよね。
今回は溶解力を試す良い機会なので、他との比較用として用意してみました。

消毒用エタノールにはきちんと成分分量が明記されています。
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溶解力を試す実験

それでは実際に塗装したサンプルを用いて各種うすめ液の溶解力を試してみたいと思います。

サンプルは100円ショップのプラスチック製スプーンに直接筆塗りで塗装をしたものです。
塗料は手持ちにあったものから適当に。(色の違いはご容赦を…)
平筆の穂先をうすめ液で湿らせて、ビン生の塗料をそのまま塗っています。
(ここ最近の模型雑誌などでよく紹介されている塗り方ですね。)
塗料本来の色が発色するように数回重ね塗りしています。

サンプルの乾燥時間は約1時間。
塗膜表面は乾燥していて直接手で触ることができる状態です。

「タミヤアクリルの塗膜」に「水」

実験としては、綿棒を各種うすめ液でひたひたに湿らせてサンプルの塗膜を擦ります。
こちらはタミヤアクリルの塗膜を水で湿らせた綿棒で擦ったもの。(赤矢印の部分)
塗膜の溶解はしていないように見えるものの、極わずかに綿棒に色が付きました。
ただ、タミヤアクリルは塗膜の弱さからか乾いた綿棒で強めに擦っても若干の色ハゲがあったので、水で塗膜が溶解したというよりは、単純に塗膜強度が弱いことによるハゲなのかもしれません。

「タミヤアクリルの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」

同様に、こちらはタミヤアクリルの塗膜をタミヤアクリル溶剤の原液で擦ったもの。
一旦乾燥した塗膜も溶剤を付けると簡単に柔らかくなるような感触があり、数回擦るだけで完全に剥がれてしまいました。
筆塗りの際も、コシの強い筆を使うと下地に影響が出そうな感じです。

「タミヤアクリルの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」

水性ホビーカラーうすめ液でも塗膜は簡単に剥がれました。
タミヤアクリル溶剤との違いは特に分かりませんでしたが、こちらも強力な溶解力です。

「タミヤアクリルの塗膜」に「消毒用エタノール」

消毒用エタノールも強力な溶解力を発揮し、塗膜は簡単に剥がれました。
しかし、こちらは専用の溶剤とは違って一つ問題が…

実験を行った部分の周囲、消毒用エタノールが付着した部分の塗膜が乾燥後に白く曇ってしまいました。
消毒用エタノールで水性アクリル系塗料を希釈するということは古くから裏技的に語られてきた方法ですが、実際の使用には専用の溶剤とはまた違った注意が必要なのかもしれませんね。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「水」

今度は水性ホビーカラーの塗膜で同様の実験を行っていきます。
まずは水で湿らせた綿棒ですが、これは塗膜には全く影響しません。
(写真の矢印のあたりを擦っています)
タミヤアクリル同様、水性ホビーカラーも乾燥後には完全に耐水性になりますからね。
塗膜の弱いタミヤアクリルとは違い、水性ホビーカラーには綿棒で擦ったくらいでは剥がれない充分な塗膜強度があるのが心強いです。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」

タミヤアクリルの溶剤で擦ると、水性ホビーカラーの塗膜も簡単に剥がれます。
さしもの水性ホビーカラーも溶剤に対する強さはタミヤアクリルの塗膜と大差がないように感じますね。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」

こちらは水性ホビーカラーの純正うすめ液で擦ってみたところ。
ちょっと写真が分かりづらいですが、溶剤によって塗膜が溶け、擦った部分は剥がれています。

こちらも同じ部分の写真です。
プラの表面が見える程度にまで塗膜が剥がれていますね。
感触としてはタミヤアクリルの溶剤を使った場合と同じです。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「消毒用エタノール」

これも写真が分かりづらいですね…!
矢印の部分あたりを擦っていますが、こちらも塗膜が溶けて下地が見えています。
溶けた塗料で、綿棒にはしっかりと色が付いていますね。

同じ部分の別写真です。
塗料が溶けて、剥がれていることが分かるでしょうか?
また、こちらもエタノールの乾燥後に塗膜が白く曇る現象が起きています。
どうやらタミヤアクリル・水性ホビーカラー共に、消毒用エタノールでの希釈や拭き取りには注意が必要なようですね…
(溶解力は問題ないのですが…)

水で割ったうすめ液の溶解力も試してみる

それではいよいよ今回の本題。
「うすめ液を水で薄めたもの」(ややこしい)では塗膜がどれくらい溶けるのか実験です。
(消毒用エタノールの水割りについては、実際の塗装作業で使うことがなさそうなので省略しました。)

「タミヤアクリルの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」の2倍希釈(溶剤:水=1:1)

まずはタミヤアクリルの溶剤から、水で薄めたものを綿棒につけて擦ります。
こちらは1:1での2倍希釈です。
擦った部分は塗膜が溶けて下地のプラが見えるまで剥がれていますが、水で有機溶剤の成分が薄まったせいか塗膜の溶け方が若干弱い感触がありました。
うすめ液を水割りすることで溶解力を下げる効果は確かにあるようですね。
この調子で他の組み合わせも見ていきましょう。

「タミヤアクリルの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」の3倍希釈(溶剤:水=1:2)

うすめ液をさらに水で薄めた3倍希釈。
2倍希釈と同様に溶け方は若干弱い程度の印象で、塗膜そのものは割と簡単に剥げました。
体感的には2倍希釈とそれほど違いは感じられず。

「タミヤアクリルの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」の2倍希釈(うすめ液:水=1:1)

水性ホビーカラー用のうすめ液を水で2倍に希釈したもの。
溶剤を水で薄めたことによって塗膜の溶け方が若干弱くなるのはタミヤアクリルの溶剤と同じですが、こちらは溶けきれない塗料が若干の「ダマ」になって拭き取った部分の周囲に残っています。
擦った部分の塗膜自体は剥がれてはいるものの、タミヤアクリルの溶剤を水で薄めたものよりも更に溶解力が弱くなっている印象ですね。
綿棒に付いた塗料もかなり少なくなっているのが分かるでしょうか?

「タミヤアクリルの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」の3倍希釈(うすめ液:水=1:2)

水性ホビーカラーのうすめ液を3倍に希釈したものでは、2倍希釈よりも塗膜の溶け方が更に弱くなり、溶けきれない「ダマ」も多くなっています。
一応、塗膜を溶かすこと自体はできるものの、溶解力はかなり弱くなっているようです。
拭き取りに使った綿棒の塗料汚れも写真ではほとんど分からないくらいに少なくなっていますね。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」の2倍希釈(溶剤:水=1:1)

水性ホビーカラーの塗膜と2倍に薄めたタミヤアクリル溶剤の組み合わせ。
塗膜に対する溶解力はかなり弱く、綿棒で軽く拭き取ったくらいでは溶け出しがありません。
強めに数回擦っていくと塗膜が柔らかくなってくる感触があって、だんだんと剥がれが生じてきます。
水性ホビーカラーの塗膜には、タミヤアクリルの塗膜に対するものよりも溶剤の効きがかなり弱い感じがしますね。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」の3倍希釈(溶剤:水=1:2)

タミヤアクリル溶剤を3倍まで希釈すると、水性ホビーカラーの塗膜はほとんど溶かすことができませんでした。
強めに擦っても綿棒にはほんの少し色が付くだけで、塗膜自体の剥がれは生じていません。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」の2倍希釈(うすめ液:水=1:1)

水性ホビーカラーうすめ液の2倍希釈と水性ホビーカラー塗膜の組み合わせでも、やはり溶解力はかなり弱くなります。
タミヤアクリル溶剤を水割りした場合と同様、綿棒で何度か擦ることで溶剤成分が浸透して、塗膜が柔らかくなることで剥がれが生じてくるようです。
剥がれ方そのものもタミヤアクリル溶剤の2倍希釈を使った場合と比べてもさらに弱く、擦った部分の中心の地肌が少し見える程度にしか剥がれていません。
綿棒に付着した塗料の量もタミヤアクリルの場合よりも控えめになっていますね。
タミヤアクリルとは違い、塗膜の溶け残りによる「ダマ」は出ていませんが、これは塗料の性質の違いによるものでしょうか。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」の3倍希釈(うすめ液:水=1:2)

水性ホビーカラーうすめ液の3倍希釈では、水性ホビーカラーの塗膜にほとんど影響を与えることができません。
綿棒で強めに擦っても、ほんの少し色が付くだけ…写真では全く分からない程度ですね。
タミヤアクリル溶剤の3倍希釈の場合と同様、ここまで薄めてしまうと水性ホビーカラーの塗膜に対しては溶かす力が全くと言って良いほど無くなってしまうようです。
感触としては、水性ホビーカラーうすめ液の方がタミヤアクリルの溶剤以上に溶解力が弱い感じを受けました。

うすめ液を水割りすると確かに溶解力は弱くなる

以上、うすめ液(溶剤)の溶解力を試す実験でした。

塗膜自体の溶剤耐性は水性ホビーカラー>タミヤアクリル
純正うすめ液の溶解力はタミヤアクリル溶剤>水性ホビーカラーうすめ液

といった結果でしたね。

有機溶剤成分を含んだ「うすめ液」を水で薄めると、塗膜に対する溶解力は確かに弱くなるようでした。
うすめ液を水割りした場合は「水性ホビーカラーうすめ液」「タミヤアクリル溶剤」に共通して、特に水性ホビーカラーの塗膜に対する溶解力に大きな変化が見られましたね。

・うすめ液の原液………水性ホビーカラーの塗膜を割と簡単に溶かす。
・うすめ液2倍割り……水性ホビーカラーの塗膜を溶かすことはできるが、その力はかなり弱い。
・うすめ液3倍割り……水性ホビーカラーの塗膜を溶かす力はほぼゼロになる。
・水………………………水性ホビーカラーの塗膜には全く影響しない。


試した中では「うすめ液2倍割り」程度の薄め方でも、塗膜に対する影響はかなり弱くなっていました。
「3倍割り」まで薄めると溶解力という点ではほとんど「水」そのものに近い特性になってしまいましたから、「うすめ液(原液)」「水」中間的な性質の溶剤を作るなら「2倍割り」程度の希釈率が妥当そうです。

水割りのうすめ液では塗装面の「弾き」を防げるか?実験

それでは続いて、実際に塗料を希釈して筆塗りした時の弾き具合を見ていきますが、今回はより厳しい条件にしたいのでちょっと一工夫…
試し塗りに使う100円ショップのプラスチックスプーンにあらかじめ顔の脂を付けた指先(ちょっとキタナイですが…)で塗装面をペタペタと触って表面を脂まみれ(…!)にしておきます。

水性ホビーカラーを水そのもので希釈した場合の弱点である塗料弾きが、今回試す水割りうすめ液ではどの程度生じるのか…この悪条件の下で確かめてみたいと思います。
(まぁ実際の塗装作業では、ここまでパーツを手脂でベタベタにすることはそうそうありませんが…)

水割りのうすめ液としては、先程と同じく2倍割り3倍割りのものを用意。
今回はいずれも水性ホビーカラーの純正うすめ液を薄めたものです。

なお、便宜上ここからは「うすめ液の2倍割り(うすめ液:水=1:1)を”1/2うすめ液”「うすめ液の3倍割り(うすめ液:水=1:2)を”1/3うすめ液”と呼ぶことにします。

水性ホビーカラーを”水”で3倍希釈

水性ホビーカラーのつや消しブラックをで3倍(塗料:水=1:2)程度に薄めて、手脂ペタペタのプラスプーンに塗ってみました。
これは予想通りというか、塗装面で完全に弾かれてしまって話になりません。
3倍にまで希釈した塗料はもうかなりシャバシャバなので、この実験は油の上に水を塗っているようなものですからね…

やはり水性ホビーカラーの水希釈はダメ!ですね。
どうしても水そのもので希釈をしたい場合、もっと希釈率を下げるしか方法はないと思います。
(ちなみに、タミヤアクリルを用いる「水溶きアクリル」法では、塗料に対する水の割合は3割程度と指定されています。)

水性ホビーカラーを”1/2うすめ液”で3倍希釈

同じく水性ホビーカラーのつや消しブラックを用いて、今度は「1/2うすめ液」で塗料を3倍に薄めたものを塗ってみます。
面相筆の穂先で細かく塗ったのでかなり筆ムラは出ていますが…どうやら塗装面での「弾き」は起こらないようですね。
(もちろんプラスプーン表面が手脂ペタペタなのは同じです。)
この悪条件下でもシャバシャバの3倍希釈が普通に塗れてしまうのであれば、通常の塗装場面で弾きが問題になることはまずないでしょう。
これはなかなか良い結果が得られたと思います。

水性ホビーカラーを”1/3うすめ液”で3倍希釈

水性ホビーカラーのつや消しブラック、「1/3うすめ液」で塗料を3倍に薄めたものでも同様に実験。
プラスプーン表面は今までと同じく手脂ペタペタの悪条件ですが、こちらも塗装面での塗料弾きはありませんね。
1/3はさすがにうすめ過ぎかとも思いましたが、塗装面に塗料を馴染ませる有機溶剤としての力は充分に残っているようです。

水割りうすめ液で塗料を薄めても「弾き」は起こらない

手脂ペタペタのプラスプーンに希釈した塗料を塗ってみる実験では、「1/2うすめ液」「1/3うすめ液」ともに、水そのもので希釈した場合のような弾きは起こらないという結果になりました。

少なくとも希釈に使う溶剤の1/3程度には元のうすめ液成分が含まれていれば、3倍程度のシャバシャバ希釈でも水希釈で問題となるような弾きは起こらないと考えて良い…と思います。

水性ホビーカラーの弾き対策として「うすめ液の水割り」を使った希釈「アリ」なのではないでしょうか。

「1/2うすめ液」で筆塗りはもっと快適に…!!!

今回は”うすめ液自体の水割り”という思い付きのキワモノネタを管理人なりに真面目に検証してみましたが、これがなかなかどうして良い結果が得られたと思っています。

これまで水性アクリル系塗料の希釈というと、「うすめ液(原液)」そのものか「水」のどちらかで薄めるという固定観念がありましたが、水性アクリル系塗料「うすめ液」は、そもそもの成分表記が「水、有機溶剤」となっていますから、水の含有率を変えてやることで「うすめ液」の特性を変えることができる訳ですよね。
(当然、使用は自己責任ですが…)

細かな部分は途中の実験結果を見てもらうとして、ざっくりまとめてしまうと…
「1/2うすめ液」は水性ホビーカラーに対して「(有機)溶剤と水との良いとこ取り」といった性質を持つ、と言ってしまって良いかと思います。

・筆塗りの筆圧くらいでは下地に影響しない程度に溶解力が弱くなる。(ただし、全く溶解力がない訳ではない)
・塗料をシャバシャバ(3倍程度)に希釈しても、パーツ表面の油分には影響されず弾かれない筆塗りが可能。


といったところですね…

さらに「1/2うすめ液」で塗料をシャバシャバに希釈して筆塗りの実験を続けてみたところ、この記事の冒頭で挙げたような扱いづらさはほとんどが克服できたように感じられました。
以下、「1/2うすめ液」水性ホビーカラーを希釈し、筆塗りしてみた時の使用感です。

・「うすめ液(原液)」を使って希釈した場合よりも乾燥が遅く塗料の伸びが良い。水希釈に近い使用感。
・溶解力が弱いためか、重ね塗りを繰り返しても下地の剥がれが起きることはなかった。
・3倍以上のシャバシャバ希釈でも塗装面で塗料が弾かれることはない。
・感覚的な問題だが、適切な希釈率を把握しやすい。気がする。
 →管理人的には2.5倍希釈(塗料:1/2うすめ液=1:1.5)くらいがベスト


完全に管理人の主観ではありますが…「1/2うすめ液」を使うことで水性ホビーカラー弱点はかなりの部分で克服できていると思います。

製作中のHGUCサザビーより、塗装中のパーツ。
1/2うすめ液で2.5倍程度に薄めた水性ホビーカラーを薄く薄く、4層ほど重ね塗りした状態。
こんな塗装方法でも下地のズル剥けは一切なし!
ごく薄い塗膜を重ねていくことで筆ムラもかなり抑えられていますね。

この記事を見に来てくれた水性ホビーカラー筆塗り派のモデラーさんも、もし塗料の希釈方法で悩んでいたらうすめ液の水割りを試してみるのも良いのではないでしょうか…!

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※ちなみに、うすめ液を水で割る時は大きめのスペアボトルで作り置きをしておくと便利です。
 タミヤの容量46ccのものが丁度良い大きさで使いやすいですね。
 目盛りも付いているし、ビンの口が大きいのでスポイトを差し込みやすいのもヨシ。

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