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海洋堂 1/35 三式光武 工作編9.「工作編まとめ~ディテールアップと改造・改修箇所の振り返り」

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各部の改修を経て、工作の工程が終了した三式光武。
ここまで来ればあとは塗装を残すのみ…!

工作編のまとめとして、ここでは再度の仮組みを通して各部の振り返りをしていきたいと思います。

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素組みとの比較

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キットのまま(素組み)と、工作完了した状態の比較。
小スケールながらもディテールは良く入っているキットですが、リベットやスジ彫りといったモールドの甘い部分を修正したことで各部が引き締まり、メリハリがついた印象ですね。

また、足首に可動軸を追加したことで接地性が向上し、立ちポーズにも安心感が感じられるようになりました。

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右手首の指の角度を変更したことで、抜刀し太刀を構えるポーズもより自然に取れるように。
キービジュアルのような見得を切るポーズは取れませんが、これはこれで様になっているように思えます。

細かな部分

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細かな部分も簡単におさらいをしていきます。

まず、今回工作の初手として念入りに処理したのはパーティングライン。
特に胴体中央、光武の『顔』に相当するパーツには真正面に目立つパーティングラインが入っているので、優先的に処理をしておきたいところ。

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キットのスジ彫りは設定と比べるとかなり省略されているようですが、それでもスケール感を考えると不足を感じないレベルで良く入っています。
曲面主体のデザインである光武の辛いところで、部分的に彫りが浅くなっていたり、またモールド断面が斜めになっていたり…と、インジェクションキットの仕様と言える限界はどうしてもあるので、修正して彫り直しておくだけでも印象が良くなりますね。
また、塗り分けの境目になることが分かっている逆エッジは、あらかじめニードルなどで軽く彫りを入れておくと塗装の段階で少し楽ができますよ。

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凹ディテールはスジ彫りに比べるとピンポイントで配置されていますが、やはり浅く歪んでいるものが多いので、彫り直しておくと良いですね。
彫り直しに必要となる0.3mm等の極小ノミは、持っていなければこの機会に揃えてしまっても良いかと思います。
腰アーマーのダクトは管理人が新規導入したウワサの超性能工具、BMCタガネで彫り込んでみました。
こういう部分をシャープに加工しておくと全体もより引き締まる感じがしますね。



凸ディテールも歪んでいる部分が多いですが、特に目立つのはやはり顔パーツ。
前頭部の突起は作り直しておくと効果が高いと思います。



あとは、全身のリベットをどうするかですが…
今回はヒートペンを使って無限にリベットを作ることができたので(ほぼ)全身のリベット貼り替えが実現しましたが、市販パーツのR・リベット等を使うとなると…数が多すぎて現実的ではないですよね。
管理人としては、サクラ好きのモデラーには是非ともヒートペン(と、オプションビット)の入手を勧めておきます。
過去のサクラ大戦系の雑誌作例を見ていると、リベットの貼り替えはプロでも省略する場合があるようなので、ヒートペンが入手できない場合は無理に手を入れる箇所でもないのかもしれません。

胴体正面パーツの、キットのまま(ゲートカットのみ)とディティールアップ改修後の比較。
やはりキットそのままではパーツの正面中央で段差になっているパーティングラインが一番目立つポイントでしょうか。
その他のディテールアップも一つ一つは地味ですが、細かな作業の積み重ねが確実に完成度を高めてくれます。

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手首と持ち手。
指の角度を変更する改造はポーズ付けに有効ですが、どうしても強度が犠牲になるので良く考えてから行った方が良いかもしれません。
装備武器の太刀はパーツとしても軽いので、例えばガンプラにおける長物の銃火器のように、武器の重さで手首に負担をかけることはありませんが、万が一破損した場合はかなり細かな部分なので修正は面倒です。

そして、手首に付いているナックルガードのようなパーツ。
管理人としては、ここの改造はお勧めしません…!(汗)
細かすぎるのでパーツ自作の難度が高く、その上がんばって改造したとしてもそれほど目立つ部分でもないような気がしますね…
今回は安易に手を出して大変な目に合いました。(笑)
左右ナックルガードの作り直しと、それに付随する手首の修正だけで、実に10時間以上の時間を浪費しています。
(時間がかかるのは管理人の経験や技量の問題もありますが)
挑戦するには覚悟を持って臨む必要がありますね…!

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このキットでは関節部の修正や改修はもはや必然との覚悟をしておいた方が良いかもしれません。
よほど気を付けていない限り(気を付けていたとしても)、制作の中でどこかしらの関節は破損することになるでしょう。

管理人は肩アーマーと膝関節だけの被害で済みましたが、肩関節も膝と同様の構造のため危険です。
また肘関節のボールジョイントも受け側に微細なクラックが入っていたので、実は内心ヒヤヒヤしていました。
アルミ線接続による補修は比較的簡単にできるものですが、できることなら破損は避けたいものですよね。

足首にはアルミ線による横ロール可動を仕込みましたが、パーツが無垢だったので切断や加工は少し大変でしたね。
(このキット、腕や足などもプラの無垢で成型されている部分が多いようです。)
また、破損の補修による副次的な効果ですが、肩アーマーもアルミ線接続に改造した影響で、腕を可動させると『下がり肩』になる欠点が解消されてています。

おしまい

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工作が終わり、『やっとここまで来た』という感じです。(笑)
このキットを作るにあたって、改造や改修は最低限にするつもりだったのですが、気が付けば全身に渡ってかなり手を入れてしまいましたね。
基本的なディテールアップばかりではあるのですが…それでも作業量としてはかなりのものになっています。

改めて水性ホビーカラーのビンと比較してみると、この小ささですから。
小スケールキット故の難しさというものも実感しましたね。
管理人の技量的に、現状これが精一杯という感じです。

キットとしては素組みレビューなどでも触れた通り、体型やディテール等を含め、素性の良いモノであることは確か。
大きな形状変更は一切せず、ディテールアップと一部関節の改修だけでここまでカッコ良い光武の立体物が手に入るのは、これはキットそのものの造形の良さがあってのものですからね。

あとは、塗装で色が入ればまた良い雰囲気になりそうです。
エアブラシ環境のない管理人は常に筆塗りですが、この小ささでは例え基本色を吹き付けで済ませたとしても、かなりの部分を筆で塗り分けていかなければならないでしょう。
筆塗りモデラーは細部まで丁寧に塗り分けて仕上げていきたいところですね…!

と、言うことで…次回からは塗装編です。

(引き続き、塗装編は作業が完了し次第の更新となります)m(__)m

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海洋堂 1/35 三式光武 工作編2.「押さえておきたい基礎工作~極小パーティングラインの削り込みと便利なお助け工具たち」

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今回は表面処理、主にゲートやパーティングラインの処理を見ていきます。
プラモデル工作では基本中の基本とも言える工程ですが、ここでもやはりというか、このキットでは近年の親切設計ガンプラのように簡単にはいきません。

光武は曲面主体なデザインの上に小スケールキットということで、加工する個所に工具が当てづらいんですよね。
丁寧な工作を心がけるのはもちろん、作業の難度を下げるために手持ちの特殊な工具もどしどし投入していきましょう。
道具に投資できる余裕があれば、これを機会に細部加工用の工具を増やしてしまうのも良いかもしれません。
今回の記事では管理人の作業手順と共に、使った道具についても見ていきましょう。

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1/35三式光武とパーティングライン

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例として出したのは本体の前面、頭部がないデザインの光武にとっては顔になる部分のパーツです。
ピンクの成形色で状態が確認しづらいですが、パーツのど真ん中にパーティングラインが出ています。

このキットでは(太刀の鞘を除き)合わせ目消しが要らないパーツ構成となっている代わりに、パーティングラインはパーツ中央の目立つ部分に堂々と配置されている場合が多いです。
途中に段差やディテールがあってもお構いなし!
基本的な形状だけはカッコ良く造形しておくので、後はモデラー側で処理してください…という、初心者の方にとってはスパルタ的とも言えるキットとなっています。

しかし、一つ一つ丁寧に加工をしていけば大丈夫。
また、現代では細部まで攻め込める便利なお助け工具も各メーカーから数多く発売されています。
道具の力も上手く利用しながら効率的に処理を進めていきましょう。

パーティングラインの削り込み

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先程のパーツを例に実際の削り込み作業を見ていきましょう。
最初はナイフやノミなどの刃先でカンナがけをして粗削りをするのが良いですね。

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ここで使っているのはGSIクレオスの「Mr.バリ取り棒G」…変な名前の工具ですが、要はカンナがけ専用に作られた3mm幅の平ノミです。
本体と一体成型された肉厚の刃先は安定感が高く、切削力もかなり高いものとなっています。
アートナイフでも同じ作業はできると思うかもしれませんが、これがあるとないとでは作業効率がまるで違ってきますね。
パーティングラインや合わせ目消しの粗削り程度なら、驚くほど簡単に削り込んでいくことができますよ。
価格もそこまで高くないので、ぜひ試して欲しい工具です。

ナイフのように持ち手に対して刃先が斜めに付いている工具では細かな形状のパーツに攻め込めない場合がありますが、これは平ノミのように刃が正面方向に付いているので、このような小スケールモデルのパーツにもかなりの部分で対応することができます。
今回の制作では、刃が当てられる個所ではほとんどこの工具で粗削りをしました。

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また、このパーツにはパーティングライン上にゲート痕もあるため、そちらはヤスリで削ります。
この金ヤスリはゴッドハンドの「かまぼこヤスリ 8mm(単目 細目)」。

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金ヤスリとしては比較的マイルドな削り味で、重量のある本体を活かして力加減のコントロールもしやすいため、ゲートを慎重に削るような作業には向いています。
かまぼこ形状によって側面を傷つけにくいというキャッチコピーの工具ですが、管理人的にはそこはオマケ的な要素かと、、、

同サイズの普通の平ヤスリよりも倍以上はあるかと思われる、本体の重さによるコントロールのしやすさがこのヤスリ最大の売り。
単純な切削力という点での性能的には可もなく不可もなく、、、な割に価格が高めなので強くはおすすめしませんが、工具に投資できるなら常備する金ヤスリとしては扱いやすい部類でしょう。

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パーティングラインの削りに戻りますが、逆エッジのキワは三角ヤスリで削ります。
力を入れすぎると簡単にえぐれてしまうので、ごくごく軽く…慎重に削りましょう。

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このヤスリは上野文盛堂の三角ヤスリ・超精密です。
模型用の金ヤスリとしては古くから発売されている定番的なモノかと。
このヤスリ、目が細かいのは良いのですが、その分削りカスでの目詰まりもしやすいです。
そこは一長一短というところですね。

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(参考リンク)ゴッドハンド かまぼこヤスリ 8mm 単目 細目 中目 直販限定 平ヤスリ 金属ヤスリ 模型用

(参考リンク)ヨドバシ.com – 上野文盛堂Y205 精密ヤスリ 三角 [プラモデル用工具]

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三角ヤスリである程度まで削ることができたら、再びバリ取り棒に戻って表面を軽く整えつつ形状を仕上げます。
バリ取り棒は刃先のエッジも鋭く仕上げられているので、逆エッジのキワにも切り込みやすいですね。

なお、この写真で刃先を当てている辺りにはリベットの凸モールドがありましたが、パーティングラインと一緒に削り落としてしまいました。
再生が簡単なモールドは後から作り直すことを前提で、一旦削ってしまった方が表面処理はスムーズに作業できる場合も多いです。

この後の、表面の最終仕上げはやはりペーパーがけで。
このような曲面のパーツには神ヤスのようなスポンジヤスリも使いやすいですね。
番手は400番だけでも十分でしょう。

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このパーツでは中央にスリット(カメラアイの可動レール)がありますが、パーティングラインは容赦なく周辺ディテールを横断する形で出ています。
サイズが小さいこともあって、ここの削り込みは少し大変ですね。
まずは作業中に形状が見やすくなるように、水性の筆ペンでパーティングラインの周囲に色を付けました。

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極小サイズのヤスリがあれば、このような個所の粗削りも捗ります。
ここで使っているのは「シャインブレードUNO」、1mm幅の金ヤスリですね。

1mmという幅は小スケールモデルのパーツにとっては意外と大きく、これでヤスリを当てられる形状は割と限られていたりもするのですが、使える個所はこのヤスリで削り込んでしまいます。

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「シャインブレードUNO」。
幅1mmで狭い箇所の削りにも対応できるのかと思いきや、厚さも1mmあるために小回りが効かず、細かな部分には差し込めないことも多いです。
それでも使える形状の削りには便利で、他では代替が利かない便利工具ですね。
ヤスリ面は表と裏で粗さが違うのですが、表面処理では主に細かい方の目を使うことになると思います。
切削力自体はかなり高く、またシャインブレードシリーズ共通の特徴として、削りカスの除去が圧倒的に楽で目詰まりとはまるで無縁なのもヨシ。

使用頻度は高くはないですが、持っていればピンポイントで活躍する逸品です。

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スリットの中を跨ぐパーティングラインもしっかり削りましょう。
狭く、奥まった形状なので工具が届きにくいですが、ここはパーティングラインの出ている部分が小さな段差になってしまっているので、しっかりと処理をしておかないと見栄えが悪いです。

また、このスリット部分は光武の「目」にあたるカメラアイの近辺なので、人が完成品を見た時にまず目線を送る場所で、ここがきちんと処理できているかどうかは作品全体の印象にも大きく影響します。
(人間の本能として、人が人型の物体を見た時には、まず無意識的に「顔」に当たる部分を探すため)

このような狭い隙間を削るにはプラバンの細切りや調色スティックのヘラ部分に耐水ペーパーを貼り付けた簡易ヤスリが定番ですが、今回はここでもお助け工具を使っています。

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これはスジボリ堂のテーパーダイヤモンドヤスリ、2.5mm幅の400番。
サイズやヤスリ目の粗さによって数種類が発売されていますが、とりあえず買うなら一番小さい2.5mm幅が使いやすいと思います。
番手は、通常のスチロール樹脂を削るなら400番が良いですね。

このヤスリは先端に向かって板厚が薄くなるようなテーパー形状となっていて、狭い隙間にも差し込みやすくなっています。
今回のような形状のパーツには正にうってつけ。
地金の側面や先端にも砥粒が接着されているので、それらを活かすことで様々な形状の削り込みにも対応します。
これも工具箱に加えておくと、細部加工の際には大活躍してくれると思いますよ。

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という訳で、パーティングライン加工前後の比較です。
成形色がピンクなので状態が見にくいかもしれませんが、パーツの中央部分を横断するように縦に入っていたパーティングラインを削っているのが分かるでしょうか。
加工前は小さな段差になっていたカメラアイ用スリット部の変化が分かりやすいかもしれませんね。

一つ一つの変化は地味ですが、このような基礎工作をしっかりとこなすことで完成品の見栄えは断然変わってきますよ。
頑張って加工しましょう…!

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(参考リンク)スジボリ堂 テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 400番 [TEPA020]

各部の注意したいパーツ形状

太もも

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違うパーツも見ていきましょう。
こちらは太モモにあたるパーツ。
縦に走るパーティングラインが見えていますね。
このように、このキットではほとんどのパーツに堂々と目立つパーティングラインが出ています。
ここもかなり細かく、逆エッジもあるため加工には注意が必要そう、、、

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曲面を削るお助け工具といえば、シモムラアレックの「Rボコ2」もありますが、ここでは意外と使いにくいです。

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パーツが小さすぎて工具の刃も当てづらいですし、力加減のコントロールも難しく、効率的に削ることができません、、、

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これくらいの小さなパーツには曲面であっても「バリ取り棒」の方が使いやすいかと。
「バリ取り棒」は表面処理においては割と万能工具で使用頻度もかなり高いです。

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「テーパーダイヤモンドヤスリ」の2.5mm幅も良いですね。
使っているのは400番です。
ヤスリの側面でも削ることができ、逆エッジもある程度はこれで大丈夫です。

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処理しやすい場所にあるゲートは「かまぼこヤスリ」で削ります。

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「かまぼこヤスリ」が当てられない場所にあるゲートは「三角ヤスリ」で削ります。
同じ作業でもパーツ形状によって工具を使い分ける必要がありますね。

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仕上げのペーパーがけ。
ここでは「神ヤス!」の400番を使っています。
水砥ぎの方がペーパー面は長持ちするのですが、今回はパーツ表面の状態を把握しやすくする目的で空研ぎをしています。

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下腿

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下腿の下側など、入り組んだ個所にあるパーティングラインは「テーパーダイヤモンドヤスリ」の先端部分で慎重に削ります。
「テーパーダイヤモンドヤスリ」なら他の工具ではなかなか攻め込めない狭所にも対応できることが多々ありますよ。

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こちらは400番のペーパーを「折らないで」隙間に差し込んで削り作業をしているところ。
本当に狭い隙間にはペーパーを1枚単独で差し込まないといけない場合もあります。
とはいえ、そこまで狭い箇所はこのキットでも珍しいパターンだと思います。

サイド・スカートアーマー

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サイド・スカートアーマーのパーツではゲートがこんなところに付いています。
周辺のディテールに邪魔をされて削りにくい形状ですね、、、

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こんな場合は、まずアートナイフでゲートをギリギリまでそぎ落とします。
パーツをえぐらないよう慎重に、、、

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また、刃の先端方向に押さえる側の指を置かざるを得ないので、オーバーランしてザックリといかないようにも気を付けて、、、
対策としては、新品の切れ味の良い刃に交換しておき、極力、力をかけないで作業をするようにした方が良いですね。

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ナイフの作業ではゲートを少し残す程度までに留めておき、次はテーパーダイヤモンドヤスリの先端部分を使っていきます。
なるべく余計な部分にヤスリを当てないように、また小さな円運動を意識してヤスリを動かし、細かなストロークで削りましょう。

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幅が合えば三角ヤスリも使っていけますが、こちらは力加減をミスすると容易にパーツがえぐれるので慎重に。

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ゲート処理前後のパーツを比較。
周囲の余計な場所を傷つけないように、慎重に作業をして仕上げましょう。

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フロント・スカートアーマー

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フロント・スカートアーマー、股関節の前に付く装甲ですね。
パーティングラインが中央に入っているのは他のパーツと同様ですが、曲面で構成された逆エッジがあったりして難しい形状です。
先程までの例と重複する作業内容もありますが、こちらも順を追って見てみましょう。

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まずは処理をしやすい部分から攻めていくことにします。
ゲートがあるのはパーツのフチにあたる装甲断面なので、ここは大型の工具でも対応できます。
お馴染みのかまぼこヤスリでゲートを粗削り。

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テーパーダイヤモンドヤスリの先端で仕上げます。

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パーティングラインの粗削りはバリ取り棒で。
バリ取り棒は小回りも効いて切削力もあるので使いやすいですね。

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逆エッジのキワぎりぎりのパーティングラインはノミで軽く彫り込むように削ります。

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使っているのはハセガワトライツールの1mm幅の平ノミ。
こちらも上野文盛堂のヤスリと並んで、昔からの定番中の定番といった感じの工具ですね。

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テーパーダイヤモンドヤスリで仕上げ。
細かな部分は小さく折りたたんだペーパー片をピンセットでつまんで削ったりしても良いのですが、ダイヤモンドヤスリを使ってしまうのも手軽です。

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リベットモールドの一部はパーティングラインと干渉しているので、一旦削り落としてから後で再生することにします。
ここは幅1mmの金ヤスリ、シャインブレードUNOでリベットごとパーティングラインを削ります。
シャインブレードは切削力が高いので少ない回数の削り込みで整形をすることができ、細かな部分のコントロールもしやすいです。
とはいえ、不要部分にヤスリ面を当てるとパーツ表面が容易にえぐれるのは他の金ヤスリと同じですね。
…それにしても本当に細かい!

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また写真だと状態が分かりにくいのですが、加工前後の比較。
逆エッジの処理は制作者の技量の差が出やすいポイントなので気を遣いたいところです。

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前腕

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前腕はここまで1パーツによる成形。
ここにも容赦のないパーティングラインがあり、またサイズ自体もかなり小さいです。
画像では水性筆ペンで薄く線を引いていますが、逆エッジ・曲面・凸ディテールを跨ぐのは当然のこと、更にここでは幅の狭い凹ディテールの中にもパーティングラインが出ています。
これはなかなか難しそうですね、、、

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取っ掛かりの粗削りはやっぱりバリ取り棒で。
削れるところはこれで削ってしまいましょう。

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ヤスリも併用すると効率よく削っていくことができますね。

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こちらは「シャインブレードfina」、幅3mmのヤスリです。
先に紹介した幅1mmの「シャインブレードUNO」とはパーツ形状によって使い分けましょう。

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その「シャインブレードUNO」も、もちろん使っていきます。
これは逆エッジのキワを横から削っているところ。
幅が狭すぎると流石のバリ取り棒も使いづらいので、ヤスリも併用した方が良いですね。
このような特殊な金ヤスリがない場合は、『プラバンの細切りにペーパーを貼り付ける』『細かく折りたたんだペーパー片をピンセットで掴んで当てる』などで対応できるかと思います。

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ちなみに、シャインブレードは金ヤスリとしては切削後がかなりきれいに仕上がるようです。
上の画像はこのパーツのゲートをシャインブレードで削った状態ですが、これだけでかなり滑らかな表面になっていますね。
これなら仕上げのペーパーがけも楽になりそう。

シャインブレードは表と裏で粗さの違うヤスリ目が入っていますが、ここはシャインブレードfinaの細かい方(#1000相当)で削っています。
感覚的にペーパーの1000番よりは粗い気がしますが、滑らかな削り痕なのは確かですね、、、
目が細かくても切削力もきちんとあり、削っている際の手応えもしっかりと手に伝わってきます。
プラを削る程度なら目詰まりもまずしないですし、総じて扱いやすいヤスリかと思います。
(ただし、この手の高性能工具の例に漏れず高価格で、普通のヤスリの3倍くらいの値段がしますが、、、)

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パーティングラインの処理に戻ります。
こちらはこのパーツ最大の難所、凹モールドの中に走るパーティングラインです。
ここを直接ヤスリで削るのは不可能なので、極細のノミやスジ彫り用の工具も利用して整形するのが良いですね。
上の画像ではスピンブレードの0.5mmをノミとして使用し、パーティングラインを削り取っているところ。

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最初は刃先を押す方向に動かしてパーティングラインの余計な出っ張りを削り、あとは軽く引く方向に動かして刃先のカンナがけで表面を整えましょう。

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カンナがけの段階では0.5mm幅のラインチゼルも使っていくことができますが、こちらは力加減によっては切削面が荒れやすいので注意が必要ですね。

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タガネやカーバイトなどの超硬合金系のスジ彫り工具なら、もっとシャッキリクッキリ削れるのでしょうか?
管理人はそれらを未所持のため、今回はスピンブレードとチゼルのみ使用です、、、

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最後はペーパーがけで仕上げます。
こちらは「つまようじヤスリ」の先端に付けたペーパーを縦に当てているところ。
凹ディテールの幅が0.5mmなので、ペーパー1枚なら溝の中に差し込んで側面を削ることができますね。

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処理が終わったパーツ。
凹モールドの中にあったパーティングラインもきれいに消すことができました。
削り取った凸モールドは後で再生することにしましょう。

ある程度は工具が充実していないと処理が大変な形状ですが、ない場合はペーパーの細切りなどで何とか対応したいですね。
その場合は作業性を重視して、表面処理では標準的な400番よりも、もう少し粗目の番手のペーパーを使用しても良いかもしれません。

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手首

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手首は指の側面にパーティングライン。
指にパーティングラインが出ているのはガンプラ等でもお馴染みなので、ある程度慣れているモデラーさんならルーチンで処理していける部分なのかもしれません。
関節部分の凹みが少し厄介なだけで、基本は他のパーツの処理と変わりませんね。

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ということで、ここでは要点として便利工具の紹介だけ。
指関節の凹み部分を削るのには極細のダイヤモンドヤスリがあると作業が捗ります。

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スジボリ堂の極細ダイヤモンドヤスリ四角。
0.6mm×0.5mmという極細の四角柱形状をしたダイヤモンドヤスリです。

同社のテーパーダイヤモンドヤスリよりも更に細かな個所に攻め込むことができる逸品です。
これなら指関節のような細かな凹ディテールも楽に削ることができますよ。
この工具で対応できないこれ以上の狭所には、目立てヤスリなどスジ彫り用の工具を使っていくことになると思います、、、
400番相当と600番相当の2種類が発売されていますが、今回は切削性の良い400番相当を使用しました。

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関節だけでなく、指の股などもこれなら削りやすいですね。

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仕上げはやっぱりペーパーがけ。
曲面なので神ヤスで、、、といきたいところですが、指の間などは狭くて神ヤスが入らないため折りたたんだペーパーで削っています。
ここでは400番のペーパーを2つ折り、空研ぎで使用。

(参考リンク)スジボリ堂 極細ダイヤモンドヤスリ 四角 0.6×0.5 400番相当 [GOKU020]

マフラー

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霊子甲冑・光武の特徴であるマフラーです。
霊子甲冑は『蒸気併用霊子機関』という謎動力(笑)で動いているため、排気のためのマフラーが機体の特徴ともなっています。

そのマフラーですが、このキットでは片側2本分が1パーツでの成形。
当然のようにここにもパーティングラインが出ているのですが、ここではそれ以外にも、もう一つ注意したい点が。

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最近のキットでは珍しくなったバリが出ていますね。
昔はガンプラ等でもバリは良く見かけたものですが、最近は各メーカーの金型技術が上がったせいなのか、管理人はバリ自体を久しぶりに見たような気がします。

形状自体は薄皮の成形不良部分なので、ナイフで削ぐようにすれば良いだけですね。
このバリはキットの個体差かとも思ったのですが、ホビージャパンwebに掲載されている作例でもこれと同じ場所にバリが出ているのが確認できますので、これはキットの仕様なのかもしれません。

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そして、そのバリとパーティングラインを整形したパーツがこちら。
マフラーの先端方向から見ると、微妙につぶれた円形になっているのが分かります。
これは管理人がヤスリがけをミスして一部を平らにしてしまったのではなく、このパーツは最初からこのような形状になっています。
恐らくインジェクションキットの限界かと、、、

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一応、表面処理の過程で膨らみが足りない部分にはパテ盛りをして出来る限りの修正を試みましたが、完全な真円を出すにはパーツ自体の作り直しが必要だと思います。

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ただ、このマフラーパーツは、テーパー・逆テーパーが組み合わされた形状で、自作は非常に困難です。
管理人の経験・技量では形状修正のための工作の選択肢が出てきませんでした、、、
と言うことで、今回はここまでの加工に留め、深追いはしません。

上の画像は本体のパーツにマフラーを組み合わせてみたところ。
意外と違和感はない、と思います、、、
言われなければ分からない程度の歪みでしょうか、、、?

太刀

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装備武器の太刀です。
柄、鍔、刀身の3パーツによる構成ですが、それぞれにパーティングラインがあります。
上の画像は刀身のパーティングライン処理後。
刀の刃や峰にあたる部分をぐるりと回り込むようにパーティングラインが出ていました。
削り込み自体は簡単な形状ですが、インジェクションキットの限界なのか刀身の刃にあたる面が分厚く、刃物というよりは鈍器のような造形なので、後でディテールアップの一環としてシャープに削り込んでも良いかもしれません。

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そして、これまた処理が難しいと思われるのが刀の柄にあたるパーツ。
細かな凹凸が繰り返されたディテールの真ん中を跨ぐようにパーティングラインが走っていて、これまた処理が大変そうです。
この写真はややアップで載せていますが、下に置いているカッティングマットの1マスが1cmですから、その細かさが分かるでしょうか。
幅1mm以下の凹モールドの中を削らなくてはならないので、ここでもまたスジ彫り用の工具を使うなど、道具を工夫する必要がありそうです。

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ここは順を追って見ていきましょう。
ゲートは削りやすい形状なので、かまぼこヤスリで普通に処理します。
ここは特に問題ないですね。

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パーティングラインの処理では、まずは削りやすい凸部から攻めていきましょう。
三つ折りにした400番のペーパーを空研ぎで使っています。

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凹ディテールの中を除いて削り込みが済んだ状態。
ここまでは簡単なのですが、問題は凹部をどうやって削っていくかですね、、、

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パーツ自体がかなり小さいので、ノミでの掘り込みはパーツをバイス等でしっかり固定するなどしないと難しいと思います。
ここはヤスリ系の工具で削り込むのが良さそうですね。
幅1mm以下の狭所に対応できるヤスリは、管理人の手持ちの中ではこの3種類あたり。

この中では、ゴッドハンドのスジ彫りヤスリが最も細い隙間の削りに対応できます。

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それぞれの切っ先の比較。
左から『極細ダイヤモンドヤスリ 四角』『匠之鑢・極 玄人 刀刃』『スジ彫りヤスリ 極小』です。
左の二つはアップで見ると少し太めにも見えますが、HGのガンプラ等ではあると使いやすいサイズ。

『刀刃』のヤスリも持っていると、ジオン系MSの動力パイプの溝にあるパーティングラインを削る際などに、サイズが丁度良いかと思います。

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今回は最も細く削れるゴッドハンドのスジ彫りヤスリ(極小)を使いました。
流石スジ彫り用の工具だけあって、かなりの細い線が引けます。
こんな極細凹モールドの中を削るのにも丁度良いですね。

他では代替できない性能なのでこちらも是非入手を、、、と言いたいところなのですが、こちらは如何せん価格が高すぎて気軽には勧められません、、、
使いやすいことは確かなので、工具に投資ができるなら。

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最後に全体を軽くペーパーがけして金ヤスリの毛羽立ちを取り除いておきましょう。
ここでは神ヤスの400番を使用。

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かなり細かなパーツでしたが、何とか削り込みが完了。
ここは工具の力に助けられたという感じですね。

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(参考リンク)スジボリ堂 極細ダイヤモンドヤスリ 四角 0.6×0.5 400番相当 [GOKU020]

(参考リンク)ゴッドハンド スジ彫りヤスリ 各種 日本製 目立てヤスリ ディテール スジボリ モールド彫り スジボリヤスリ

鞘の合わせ目消し

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太刀の表面処理に続いて、鞘の方も見ていきましょう。
この鞘は、このキットで唯一合わせ目消しが必要な部分です。
(上の画像は貼り合わせるパーツの内側面を見ています。)

パーツ分割は潔い中央でのモナカ割り。
表面にはディテールが多いですが、ここでもパーティングラインと同様に細かく削り込んで処理していきましょう。

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接着の前に、まずはゲートをきちんと削っておきます。
後で整形するのが前提とは言え、余計な削り作業は少なくしておきたいところです。
ディテールの間でかなり狭いので、ここでは幅1mmのシャインブレードUNOを使用。
ヤスリの幅が1mmだと、ゲート痕からもずれてしまいやすいので慎重に少しずつ削ります。

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テーパーダイヤモンドヤスリの先端で削って仕上げます。

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ゲートが処理できたら、接着の前には「パーツの合い」を確認しましょう。
最近のキットではほとんどありませんが、金型の精度が低かったり、設計の古いキットなどでは、パーツ同士の合い悪くて隙間があったり、接合面がずれてしまったりすることもあります。

その場合は、接着前に接合面をペーパーがけするなどの処理が必要なこともありますね。
幸いこのキットではパーツの合いは良好で、隙間なくぴったりと合っているので、このまま接着してしまっても問題はなさそうです。

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管理人は貼り合わせ系の溶剤系接着剤(普通のプラセメント)でガッチリと接着するのが好みなのですが、今回は新しいマテリアルを試してみよう、、、ということでクレオスの速乾タイプ流し込みを使ってみました。
接着剤自体に黒く色が付いていて、接着した場所が分かりやすいというのも、この接着剤の触れ込みのようです。

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早速、接着してみたのがこちら。
流し込みタイプなので、パーツを組み合わせてから接合面に接着剤を点付けすると、毛細管現象でツーっと流れていきます。
これは黒く色が付いているので、接着剤がどこまで流れたかは確かに分かりやすく、その点は良いですね。

しかし、流し込み系接着剤の常で、接合面を埋めるための所謂『ムニュ』は少なめ。
きちんと合わせ目が埋まっているか不安になりますね。
管理人は必要な時以外はサーフェイサーを使わない制作スタイルなので余計に心配です。

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ということで、合わせ目の処理には瓶サフとラッカーパテも使用。
上の画像はヤスリがけまで終了した状態です。

どんな接着剤を使うかは制作者の好みといったところですが、このように大面積の合わせ目を消す必要があるパーツの場合は、初めから多めの『ムニュ』で隙間をしっかり埋めることができる貼り合わせ系接着剤の方が良いかもしれません。
もちろん、ヤスリがけ自体の量が少なくて済む、乾燥が早いなど、流し込み系接着剤ならではの利点もあります。
この接着剤の場合は、接合面が黒く着色されているのも分かりやすくて良いですね。

ヤスリがけ自体は、凹凸の多いディテール部分(上の画像で右側の部分)の整形がやや大変といったところですが、これまで見てきた狭所のパーティングライン処理に比べれば、難度は並程度。
凹ディテールの幅も約1mmといったところなので、合わせ目の『ムニュ』もシャインブレードUNOで無理なく削っていくことができました。
仕上げは400番のペーパーがけで。
入り組んだディテール部分は「つまようじヤスリ」や、折りたたんだペーパーの角などを使って整形しましょう。

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頭頂部のハッチ

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頭頂部のハッチのようなパーツです。
ここには一目で分かる大きなヒケが出ているので表面処理の段階で埋めておきます。
ヒケも小さなものならペーパーがけだけで消えてしまう場合もありますが、これくらいの大きな凹みにはパテ埋めも併用した方が良いでしょう。

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盛り付けたのはフィニッシャーズのラッカーパテ。
つまようじの先端で刷り込んでいます。

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幅の合う平ノミでパテ部分のみを狙って軽くカンナがけするように粗削りします。

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これはハセガワトライツールの3mm幅の平ノミ。
模型用ノミとしては定番的な工具です。

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更に瓶サフで細かなキズを埋めます。
ここでは、つまようじの先端で刷り込みました。
使用したサフはGSIクレオス『Mr.サーフェイサー1000』の瓶入りタイプ。

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つまようじヤスリ(つまようじの先端にペーパー片を接着したもの)で磨き込んで仕上げ。
ペーパーは400番です。

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ヒケを処理した状態。
このキットでパテ埋めまで必要な大きなヒケはこの部分だけでしたが、ヒケの見落としは塗装後に目立つので、しっかりと処理しておきたいところですね。

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ラッカーパテと瓶サフ。
フィニッシャーズのラッカーパテ(左)は肉ヤセも少なくてきめも細かく、扱いやすいパテですね。
盛り付ける際には少しボソボソするので、好みで溶剤を足しても良いかもしれません。
瓶入りというのも使用する分だけをつまようじ等で掬って盛り付けることができ、手軽で良いと思います。

サーフェイサーについては、管理人もかつて模型用語を覚えたばかりのまるで初心者の頃には、盲目的に缶スプレーのサフを吹き付けて表面処理をしていた時期もありましたが、、、
現在では、サフは必要がある時に最小限に留めて使い、基本的には必要がないという考え方に落ち着いています。
筆塗りモデラーにとっては、サフだけだとしてもスプレーを使うのは大変だったりしますしね。

今回のように表面処理の段階で瓶入りタイプを補助的に使うことはあっても、基本的にはサフレスで塗装に入ります。
見落としたキズが塗装工程で見つかることもありますが、、、それはそれで、その段階で処理していけば良いという考えです。

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その他

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こちらは頭頂部に付く小パーツ。
仮組みの段階ではゲートごとランナーに付けておき、整形・塗装後に切り離す予定でしたが、、、
パーティングライン処理の過程でゲートが千切れてしまったので、止む無く切り離して整形しました。

塗装の際のパーツ保持などが大変になってしまう予感がありますが、それは後で考えることにしましょう。
また、切り離した後のパーツは非常に細かいので、紛失にも注意したいところです。

おしまい

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表面処理が一通り終わったパーツ全景。
こうして見ると、パーツ数としてはそれほど量は多くもないような気がしますが、とにかく細かなパーツが多く、作業中は終始パーティングラインとの格闘、、、といった感じでした。

ディテールを跨ぐパーティングラインの処理は大変ですが、小スケールだけに表面処理の粗は相対的に目立ってしまうので、ここはしっかりとこなしておきたいところです。

この後は、表面処理のために削り落としてしまったモールドの再生と、気になる部分のディテールアップをしてから塗装に入ろうと思います。

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海洋堂 1/35 三式光武 工作編1.「仮組みまでに気を付けたいポイント」

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海洋堂の1/35 三式光武、制作過程を見ていきます。
まずはパパッと仮組み…と行きたいところなのですが、近年のガンプラなどの親切設計なキットを基準に考えていると一筋縄ではいかない部分もままあるのが困ったところ。
工作編の第一回として、まずは気を付けたいポイントを確認しながら仮組み完了を目指しましょう。

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パーツの切り出し

まずはゲートカットですが、小スケールなキットでパーツも小さいので、ランナーからの切り出しもいつも以上に慎重に。
管理人はこのキットに限らずなのですが、ゲートは3度切りで処理しています。

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ゲートカット一度目の切り込みはパーツからかなり離れた位置で、ランナーごと切り取ります。
ランナーの太い部分を切断するので、ニッパーは耐久力の高いタイプが適していますね。
この段階ではハセガワトライツールのエッチングニッパーを使用。

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2度目の切り込み、これもトライツールのエッチングニッパーです。
ゲート部分で余計なランナーを切り落とします。
この段階ではゲートはかなり多めに(2~3mm程度)残しておくようにすると、パーツ側にかかる負担を減らすことができます。
なお、管理人はここから先のパーツ際でのカットにはアルティメットニッパーを使用しますが、もちろん無理に高いニッパーを使わなくても大丈夫です。

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そしてゲートカット3度目の切り込み。
パーツの表面ぎりぎりで余計なゲート部分を切り取ります。
仕上がりを考えると、この段階ではアートナイフでゲートをそぎ落とすのが良いですね。
管理人は奮発してアルティメットニッパーを買ってしまったので、ここではそちらを使用します。

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こちらがアルティメットニッパーで切断したゲート。
新品のアートナイフの刃で削ぎ切りをしたように抵抗なくゲートをスライスすることができるため、ニッパーでありながらパーツ側にかかる負荷を最小限に抑えることができます。

アートナイフを使って一つ一つ加工をしていけば結果としては同じことなので、高いニッパーを使うかどうかは個人の価値観によりますが…
時間をお金で買うという意味では、思い切って買っても損はしない工具だとは思いますよ。
(だけどやっぱり高いです。笑)

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細かなパーツやランナーが入り組んだパーツは一度に切り取ろうとせず、まずはランナーを大まかに切り出しましょう。
これも基本事項ですね…

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段階を踏んでパーツを切り出すようにすれば、ゲート部分で無理な力をかけてパーツを破損してしまうような事故も防ぐことができます。

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やはりゲートを残してランナーをカット。
このパーツはもう一回のカットでゲートを切り落とします。

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4回に分けた切り取りでゲートカットしたパーツ。
入り組んだゲートはパーツを破損しやすいだけでなくニッパーにも無理な力が加わりやすいため、アルティメットニッパーのような刃先が繊細な高価格帯のニッパーには破損の危険があって危険です。
このように少しずつ切り取るようにすればゲートもきれいに切り取れて、道具も労わることができますね。
ここでも最終段階のパーツ際でのカット以外は耐久力の高いエッチングニッパーを使っています。
段階ごとに、道具も使い分けていきましょう。

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また、場合によっては塗装後まで切り取らないようにしておいた方が作業がスムーズに進むパーツもあります。
上の写真は頭頂部に取り付けるごく小さなパーツですが、このようなパーツは最後の組み立て時まで一部ゲートは残しておくのも良いかもしれません。

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例によって段階的に切り取り。
この写真で上側になっているゲートは最後まで残します。

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このパーツの切り取りはここまで。
ゲートとパーティングラインを処理して、塗装後に残しておいた方のゲートを切り取ってから本体に取り付けます。
細かすぎるパーツは無暗にバラしてしまうと管理や扱いがしにくくなってしまいますから、このパーツはこのような加工方法の方が楽ができると思います。
パーツの形状や大きさによってはこのような判断も必要になってきますね、、、

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パーツの差し込みクリアランスの調整

このキットは接着剤不要で組み立てができるように設計されています。
しかし、パーツを差し込む部分の調整がやや甘く、組み立て時にモデラー側での微調整を要求されるのが厄介なところ。

差し込みがきついパーツもあれば緩いパーツもあり…
きついパーツは削り込み、緩いパーツは接着を前提に考えて仮組み時はマスキングテープで固定をするなどの対応を考える必要があります。
ここではそれらのパーツの対応を見ていくことにしましょう。

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上の写真のパーツは膝関節の可動部ですが、ここは中央の凹凸を組み合わせてはめ込むことで可動する関節を作るようになっています。
管理人が組んだキットでは受け側の穴が小さく、差し込む側のピンを入れることができなかったので、穴を削って拡張することで調整をしました。

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受け側の穴の入り口を軽く斜めに削った状態。
球形ビットをピンバイスに装着して、様子を見ながら慎重に削ります。
削りすぎるとはめ合わせが緩くなるので気を付けて…

ここでは2mm径のビットを使用。
受け側の穴を削る場合、穴の径よりもほんの少しだけ大きいサイズのビットを使うと良いですね。
球形ビットがなければ普通のドリルでも可能ですが、受け穴の底まで穴を拡張してしまうと確実にはめ合わせが緩くなるので、少しずつ様子を見ながら入口を少しだけ削るようにしましょう。

これで問題なくピンを差し込むことができるようになりました。
もし削りすぎて関節がユルユルになってしまったら、潔く接着してしまうか、ピットマルチなどのゴム質の糊をはめ合わせ部分に少し塗ることで関節の保持力を上げて対処しましょう。

※球形ビットについて
管理人はスジボリ堂の通信販売で手に入るブッシュ社製スチールバーを使っています。
各サイズのものをある程度まとめ買いしておくと様々な工作に余裕を持って対応することができるのでおすすめです。

(参考リンク)
スジボリ堂「ブッシュのスチールバー カーモデル、ガンプラ、フィギュアに使用できます。

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膝関節にも同様の問題があります。
こちらは下腿(膝と足首の間)パーツの関節の軸を差し込む受けの穴なのですが、ここの穴がきつ過ぎて関節軸が差し込めません。
ここも少し削って対応をしましょう。

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受けの穴を削った状態です。
ここは穴の入口を3mmの球形ビットで軽く拡張した後、穴の底までを2mmのビットで軽くさらうようにして径を微調整しました。
これで関節軸の差し込みがスムーズに行えるようになりました。
今回の加工では保持力も充分なものでした。
差し込み部分を緩くし過ぎず丁度よい保持力に加工にするには、少しずつ削っては合わせ…というように慎重に少しずつ削っていくようにするのが良いですね。

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ちなみに下腿パーツの反対側、足首と接続するボールジョイントはキットのままでも問題なく取り付けが可能でした。
ただし、左右のパーツでボールジョイントの硬さに差があるのですが…
と言っても、緩い方のパーツも保持力には問題ありません。
素組みレビューでも触れましたが、この部分の可動範囲はほぼゼロ(汗)なので、取り付けたパーツが外れない保持力さえあればここは特に問題とはならないでしょう。

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後で分解できるように加工しながら組み立てる

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こちらは肩の関節。
キットのままでもはめ込みは可能でしたが、組み立て後に分解できるようにスナップフィットを緩くする要領で削り込み加工を行いました。
ここでは3mmの球形ビットをを使っています。
受け側の穴を割と大きく削りましたが、ここはこれくらい削っても十分な保持力があります。

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足裏には蓋をするようにパーツをはめ込む構成です。
ここは構造上、足裏のパーツを付けてしまうと取り外せなくなると思われます。
仮組みでは足裏を足首本体には取り付けないようにしておき、塗装後の最終組み立てではめ込むようにした方が良いでしょう。

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膝アーマーの取り付け部も加工します。
ここは膝アーマー側の四角い出っ張りを削ることではめ合わせを緩くしましょう。

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右が加工後。
完成後に見えなくなる部分なのでニッパーなどで割とラフに削っています。
凸側を少しずつ削っては受け穴の側と合わせ…というように少しずつ加工して丁度良いはめ込み具合に調整しましょう。

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ただし、管理人が組んだキットではこの加工が必要なのは右膝だけで、左膝は無加工でも付け外しがスムーズに行えるきつさになっていました。
この差が金型の設計によるものなのか、また製品のロットなどにもよるものなのかは分かりませんが、実際にこのキットを組む時には人の情報を鵜呑みにはせず、自分ではめ込み部分のテンションを一つ一つ慎重に判断する必要があるかもしれませんね。

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胴体のパーツも後でばらせる様に加工。
ここはガンプラ等でお馴染み、スナップフィットの非スナップ化といったところですね。
差し込み側のピンを竹やり状に削る方法が最も簡単ですが、管理人は受け側の穴を球形ビットで拡張する方法がお気に入りです。

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こちらが受け穴を削った状態。
穴の入り口をすり鉢状に加工するこの方法は、保持力と外しやすさの両立が簡単なのでスナップフィットのガンプラ等でも有効な方法です。

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続けて見ていきましょう。
胴体パーツの別部分、こちらは右側が差し込む側のパーツですが、ここは差し込み側を削っています。
見えない部分なのでニッパーでバキバキです。

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胴体の股関節取り付け部分。
本体は四角い穴の取り付け部が多いですね。
ここも右の差し込み側パーツをニッパーでバキバキ切り取ってきつさを調節しています。

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胴体の上側には、取っ手付きの蓋パーツが付きますが、ここは取っ手部分がかなり細かいので破損の危険があります。
パーツのつけ外しで無理な力を加えなくても良いように、取り付け部分はかなり緩めに調整した方が良いでしょう。
写真は加工後の状態ですが、胴体側、蓋側の双方をニッパーでバキバキと切り込んでいます。
取り付け部は完成後には見えなくなる部分なので、ここもこんな加工で大丈夫です。

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今度は腰回りの装甲…ガンプラで言うところのサイド・スカートアーマーです。
ここもキットのままでは凸側が受けの穴に入らないので接続部の削りが必要なパターンなのですが…

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接続部の凸側をアートナイフで削ってみます。
ここの凸側のピンは奥行きが短くて調節の加減が難しいですね、、、

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ということで、案の定削り過ぎてしまったようです。(汗
接続部を削り過ぎたパーツはユルユルですぐに外れてしまうので、ここはマスキングテープの細切りで仮固定しています。
幸い可動はしないパーツなので、塗装後に接着してしまえば問題はないでしょう。

また、この写真では肩関節の上下に付く動力パイプも取り付けていますが、このパーツはキットのままでも外れやすくてすぐにポロリします。
今回のサイド・スカートアーマーのように削りすぎて固定が緩くなったパーツはもちろん、このキットでは可動に関係しない箇所は基本的に全て接着して組み立てるつもりでいた方が良いようです。

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あとは武器ですね。
太刀の鞘は唐竹割りのモナカ分割なので、あとで接着して合わせ目消しができるようにスナップフィットのピンを緩くしておきましょう。
やはり受け側の穴をサイズの合う球形ビットで軽く削って加工します。

太刀の本体はこのサイズながら驚異の3パーツによる構成。
刀身に柄を差し込む構造ですが、これはキットのままで問題なく抜き差し可能です。
ここも最終的には接着した方が良いですが、加工は特に必要ないでしょう。

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仮組み完成~再度ばらして表面処理へ

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一部そのままでははめ込めないパーツもありましたが、必要な工作も基本的には簡単な削り加工で対応可能な範囲でしょう。
ここまで見てきた通り、ニッパーとアートナイフに加えて最低限ピンバイスがあれば基本的な組み立て自体は可能だと思います。
できればピンバイスにはドリルではなく球形ビット(スチールバー)を装着して使いたいところですが、そこは手持ち工具や予算、好みと相談といったところです。
緩くしすぎたパーツや可動に関係のないパーツは塗装後に接着することになるので、そこも全体の計画の中でよく考えておく必要がありますね。

そうしてとりあえず一通り仮組みができたら、またパーツをばらして次は表面処理等の基礎工作に移ります。

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仮組み後のバラシでは、できれば100円ショップのプラケース等を用意しておき、その中にパーツをまとめておいた方が良いでしょう。
管理人も昔は作りかけのプラモはキットの元箱に入れておくだけだったりしたのですが、特に今回のように小スケールで細かい部品が多いキットの場合は、管理をしっかり行わないとパーツの紛失につながるため危険です。
バンダイのガンプラなどはパーツ単位で部品請求ができる場合もありますが、今回の海洋堂ではパーツが請求できるかどうかは不明…
(少なくともインストにはパーツ請求に関する記載はありません)

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写真のものは100円ショップで見つけた透明なプラケース。
管理人の地元ではダイソー、セリアの両方で同じものが売っていたので色々なところで手に入るのかもしれません。

このケースは蓋にはロック機構がないのですが、それが逆に作業中の開け閉めには便利だったりしてパーツ管理用のプラケースとして使いやすいものです。
不意に落としてしまった場合のことなどを考えると蓋がロックできる方が安心かもしれませんが、そこは好みといったところですね…

おしまい

というわけでの海洋堂1/35三式光武、仮組みするだけでも一手間というところですが、本来プラモデルってそういうものですよね。
(最近のガンプラは親切設計過ぎるので感覚が麻痺してしまいますが…)
造形的には決して素性の悪いキットではないので、最終的に塗装をして細かい色が入ればかなり印象が良くなる予感はしています。

次は基礎工作、表面処理を見ていきます。

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基本工作で作るHGUCサザビー 工作編9.「やさしめディテールアップ加工・その3(プラ材を使った改修)」

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ディテールアップ加工の続きです。
今回はプラ板、プラ棒といったプラ材を加工してキットに手を加えていきますよ。

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歪んだ凸モールドの作り直し

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画像は前回の記事から。
HGUCサザビーは肩、脚部などの外装各部の凸モールドが成型の都合で形が歪んでいます。
ここを手直しするには元からあるキットのモールドを削り落とし、プラ材などで作ったモールドを貼り付けることになりますね。
順を追って見ていきましょう。

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作業の手順として、まずはキットの凸モールドを削り落とす前に大きさを測っておき、プラ材でモールドを作り直す際の目安にします。
これはディバイダーという、両側が針になったコンパスのような道具。
写真のように、針を当てることで二点間の距離を写し取ることができます。

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こちらはノギス。
ディバイダーよりもより正確に二点間の距離を計測することができます。
今回は各モールドの長さをこのノギスを使って測りました。
計測結果は別途メモしておきます。

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モールドを削り落とすとプラ材で新造したモールドを貼り付ける位置も分からなくなってしまうので、鉛筆で目安を描き込んでおきます。
新しいモールドを貼り付けた時に違和感がなければ良いので、この目安の描き込みにはそこまで精度を求めなくて大丈夫です。

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ここまで準備ができたら、既存の凸モールドを削り落とします。
鉄ヤスリを使って、完全に平らになるまで削り込みましょう。
写真で使っているのはゴッドハンドのかまぼこヤスリ8mm幅、複目タイプ。
削りあとはきれいなのですが、このような大きな削り込みには少し時間がかかるので、もう少し切削力の高いヤスリを使っても良いかもしれません。

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ヤスリでモールドを削り落とし、ペーパーがけで仕上げた状態。
もし鉄ヤスリの傷が残ってしまったら、この段階できれいに処理しておきましょう。
鉛筆のガイドも消えてしまっていますが、これはまた描き直します。

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一か所の凸モールドを削る毎に、ガイドの線もその都度描き直していきます。
この線が再生したモールドを貼り付ける目安になりますね。

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同じ作業を繰り返し、パーツ全体の凸モールドを削り落としました。
パーツ側の準備はこれで終了です。
あとはプラ材で凸モールドを新造して貼り付けます。

(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド かまぼこヤスリ 8mm 単目 細目 中目 直販限定 平ヤスリ 金属ヤスリ 模型用 | 工具・作業ツール,金属ヤスリ,平 | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

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凸モールドの再生にはウェーブの半丸形状のプラ棒を使います。
かまぼこのような形をしたプラ棒で、1.0mmから各種サイズが発売されています。
特殊形状のプラ材といえば昔からエバーグリーン製が有名ですが、ウェーブのものは国内メーカーの製品なので価格や入手難度的にも手が出しやすいですね。

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プラ棒そのままではかまぼこのような半月型の断面形状なので、端を削って丸くします。
まずはアートナイフで粗削り。
完全フリーハンドでの作業になりますが、完成形をイメージしながら少しずつ削っていきましょう。

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アートナイフで大まかな形が出せたら、鉄ヤスリでさらに形状を整えます。
ナイフで削った部分の角を丸めるように、こちらも完成形をイメージしながら削っていきます。

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先端が丸くなったプラ棒。
写真では分かりにくいですが、まだ少し角が残っているのでここからペーパーがけで仕上げます。
曲面の仕上げなのでスポンジヤスリが便利ですね。
今回はゴッドハンドの神ヤス!400番を使用しました。

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ペーパーがけで仕上げた状態。
これでこの部分は完成です。
あとは反対側も同じ作業を繰り返してパーツとしての形を作っていきます。

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反対側を作るため、ここでプラ棒の切り出しを行います。
いきなり短く切り出してから削り加工をするより、片側は長いプラ棒のままで削ってしまう方が作業がやりやすいです。

あらかじめメモしておいた長さにノギスを合わせ、プラ棒に当てて印を付けます。
ノギスは先端が尖っているので、上の写真の状態で少し強く押し付ければプラ棒に目印のキズを付けることができますよ。

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ノギスで付けたキズを目安に、アートナイフの押し切りでプラ棒を切断します。

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切り出したプラ棒。
あとは同じ手順で切り出した側の断面を丸く加工すればこの部分は完成です。
作り直す凸モールドの数だけ同じ作業を繰り返して、貼り付け用のプラ棒を作っていきます。

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両側が丸く加工出来たら、キットのパーツに貼り付けて凸モールドを再生しましょう。
写真では、マスキングテープの細切りで仮止めしてから流し込み接着剤で固定しています。
プラ用の接着剤を使うことができるのがプラ材加工の良い点ですね。

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左側のパーツがそれぞれの凸モールドをプラ材で作り直した状態です。(右側はキットのまま)
キットのものより形状も整い、また立体的になった感じがしますね。
貼り付けたプラ棒の周囲に少々接着剤のはみ出しがありますが、そこはペーパーがけで仕上げておきます。

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こちらは肩アーマーのパーツ。
同じように凸モールドをプラ棒で作り直しました。
ここでは1.0mmの半丸棒を使っています。
サイズが小さいことでより細かな加工になりますが、作業の手順としては同じです。

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肩アーマーの内側にあるバーニアカバーのようなパーツ。
ここも1.0mmの半丸棒を加工して凸モールドを作りました。
ここはかなり細かいのでナイフやヤスリでの加工が大変ですが、ほかの部分と同様にきちんとペーパーがけまでして仕上げます。

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省略された装甲の裏を埋める

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続いて別の部分も見ていきましょう。

写真は腰回りのパーツを下から見たところ。
写真の下側、フロントのスカートアーマーは裏がスカスカになっているのが分かりますね。
それらしくモールドが入ってはいますが、こういうところはチラリと見えた時に「プラモデルっぽさ」を感じてテンションが下がる部分なので、今回は裏側を埋めてみることにしました。

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フロント・スカートアーマーの裏側です。
スカスカ部分を埋めたいのですが、写真の矢印で示した部分にある出っ張りが邪魔なので、まずはここを削り取ってしまうことにしました。
ニッパーで大まかに切り取り、平ノミで削って仕上げます。

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余計な出っ張りを削り取った状態。
見えなくなる部分なので、表面処理まではしなくても大丈夫です。
左上にあるボールジョイントの軸の強度が若干犠牲になりますが、軽いパーツなので大きな問題にはならないでしょう。
出っ張りを削る前よりもパーツ裏の形状が単純になったので、裏側を埋める加工もより単純に考えていくことができます。

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今回はパーツの内側に沿った形でプラ板を切り出したいので、型紙を使うことにしました。
パーツ裏にマスキングテープを貼り付け、指でよく馴染ませます。
写真でもうっすらとパーツの輪郭が透けて見えているのが分かりますね。

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パーツ裏の内側の形状に沿ってマスキングテープを切り出します。
金属製の定規を当てて直線を出しながら、アートナイフの刃先で切り込んでいきましょう。
先に不要な出っ張りを削っておいたことでパーツの裏側も平らになり、このような作業もやりやすくなります。
アートナイフの刃は新品に交換しておくと良いですね。

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パーツの形状をマスキングテープで写し取ることができました。
このテープを型紙にしてプラ板を切り出していきます。

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大まかに切り出したプラ板に型紙のマスキングテープを貼り付けたところ。
あとはテープに沿ってプラ板を切り出せば、パーツ形状に沿ったプラ板を作ることができます。
今回は0.5mm厚のプラ板を使いました。

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プラ板の切り出しにはPカッターが便利ですね。
金属定規を当てて直線をしっかり出しながらミゾを彫っていきます。

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今回プラ板の切り出しに使用したPカッター、ハセガワトライツールのラインエングレーバー(太彫用)です。
スジ彫り用の工具として発売されているものですが、プラ板の切り出し用としても使いやすいものです。
通常のPカッターよりも刃先が絞り込まれた形状になっていて、細かな作業がしやすいように考えられているものですね。
ただし、刃先の交換はできません…

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型紙に沿ってスジ彫りされたプラ板。
あとはスジに沿って不要な部分を折り取ったり、アートナイフでさらに切り込んでいけば良いですね。

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切り出したプラ板です。
さっそく元のプラパーツに合わせてみると…

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元のパーツの裏側に収めるには少し大きめだったようです。
ここからは現物合わせで削り込んで形や大きさを合わせていくことになります。

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各辺を少しずつ削り込んで、キットパーツの内側に収まる大きさに調整しました。
とりあえず片側はこれで完成としましょう。

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目的のフロント・スカートアーマーは二つあるので、切り出したプラ板も二つ用意しなければいけません。
今度は一つ目のパーツを型紙の代わりにしてプラ板を切り出します。
まずは両面テープを切り出したプラ板に貼りましょう。

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両面テープでガイドになるプラ板を固定し、Pカッターで切り出します。
この作業、昔の模型雑誌では「瞬間接着剤の点付けで…」なんて書かれていた記憶がありますが、管理人としては両面テープを使った方が簡単だと思います。
作業中にガイドがずれるようなこともなく、貼り付け強度も十分なものです。

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プラ板を切り出し両面テープを剥がせば、同じ形状のプラ板をもう一枚作ることができます。

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切り出したプラ板はペーパーがけをして仕上げます。
Pカッターで切断した断面だけでなく、面の部分にもペーパーがけをしておきましょう。
プラ板の面にペーパーがけをするには、机の上にペーパーを固定してプラ板側を動かして削るようにすると良いですね。

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プラ板の準備ができたら早速貼り付け…といきたいところですが、切り出したプラ板を貼り付けるスカートアーマーの裏は少し深さがあるので、まずはそれを測ります。
写真のようにノギスのお尻の部分を使うと凹んだところの深さを測ることができますよ。
測定の結果、スカートアーマーの裏には3.70mmの深さがあったので、今回は3.0mmほどかさ上げをしてから切り出したプラ板を貼り付けることにしました。

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1.0mmのプラ板を3枚重ねて貼り付けてかさ上げします。
見えなくなる部分なので、ここで使うプラ板の形は本当に適当です。

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かさ上げしたプラ板の上から、パーツ形状に沿って切り出したプラ板を貼り付けたところ。
パーツの面と完全に面一ではありませんが、近い高さでプラ板を固定することができました。

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加工前後の比較。
プラ板の貼り付けによって、キットそのままのスカスカ感は解消できたのではないでしょうか。
今回はシンプルにしたかったのでプラ板一枚だけの仕上げとしていますが、ここからディテールを追加したい場合は、同形状のプラ板をもう一枚切り出して加工したものを重ねて貼り合わせたり、スジ彫りを追加したり…といった工作をしてもいいかもしれませんね。

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肉抜きを埋める

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こちらは足の裏になるパーツ。
写真で上側の部分、カカトにあたる部分に穴が開いていますね。
以前掲載した素組みレビューでは「肉抜きなのか、元々そういう形状なのか判断できない」と書きましたが、今回やはりこの部分は肉抜きと判断して埋めておくことにしました。
肉抜きを埋めるにはエポキシパテを使っても良いのですが、ここは形状が単純なので今回はプラ板で埋めてみることにします。
方法としてはフロント・スカートアーマーの裏を埋めたのと一緒で、パーツ形状に沿ったプラ板を切り出して接着します。

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かさ上げをするためにプラ板を下に接着するのも同じ。
ここではプラ板の切りくずを適当に詰め込めば大丈夫です。

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形を合わせて切り出したプラ板を接着した状態。
貼り付けたプラ板と元のキットパーツの間に微妙な隙間があることで、プラ板部分が別パーツのような雰囲気になっていますね。
これはこれで良いのですが、今回は隙間を埋めて仕上げてみることにします。

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写真では変化が分かりづらいですが、プラ板とキットパーツの隙間を瞬間接着剤で埋めてペーパーがけで仕上げた状態。
プラ板で埋めた部分との境目は塗装すれば分からなくなるでしょう。
この部分もこれで終了です。

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おしまい

今回で3回に渡って見てきたディテールアップ加工も終了となります。
今回は古くからのセオリーに則り、キットを活かす方向での加工を加えてみました。
「基本工作」としてどこまでやるか…という問題もありますが、基本的な表面処理と全面塗装だけで作品を仕上げる場合でも簡単なディテールアップを加えてやると完成品の見応えも全然違ってくると思いますよ。

さて、いよいよ次回からは塗装編ですね。
今回は水性ホビーカラーの筆塗り、黒立ち上げでこってり仕上げていこうと思います。

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基本工作で作るHGUCサザビー 工作編8.「やさしめディテールアップ加工・その2(ノミを使った彫り込み)」

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今回の製作もディテールアップ的な改修工作の続きです。
ノミを使って比較的大きく彫り込んでいくので、前回の内容より少し難しい改造加工になりますが、順を追って見ていきましょう。

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「成型の都合で歪んだ部分」とは?

まずは概念的な説明から。
今回加工していくのは「成型の都合で歪んだ部分」です。
具体的にはどういうことか…次の図を見てください。

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手書きで恐縮ですが、プラモデルが成型される際のパーツと金型のイメージ図です。
基本的にはタイヤキのように、両側からパーツが成型される空間を挟み込むような形で型が作られます。
パーツの表面に凹凸がある場合でも、この図のように、型に対して垂直の方向なら問題はないのですが…

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型に対して斜め方向に凹凸のある形状はプラモデルとして再現することができません。
そこで、形状を型に合わせて変形させることでパーツの成型を可能にしている場合があります。
出来上がったパーツは本来再現したいデザインとは形状が異なってしまいますが、総合的なパーツ数を抑えられる設計のため、このパターンで歪んだパーツは価格の安いHG系のキットなどでよく見ることができますね。

今回の製作ではセオリー的なディテールアップとして、この「歪み」をなるべく自然に見えるように修正・改修していこうと思います。

形状が歪んだパーツの例

さて、今回製作しているHGUCサザビーでも歪んだ形状のパーツをちらほら見ることができます。
例としていくつか見てみましょう。

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まずは腰部前面の下部、小型バーニアの噴射ノズルです。
上側は問題ありませんが、下側は斜めに引っ張られたような形状になっています。
写真でも、上のノズルとは明らかに形が違うのが分かるでしょうか。

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こちらはフロント・スカートアーマーを下側から見たところ。
四角いノズルが見えますが、上方向に向かって歪んだような形状になっていますね。

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続いてふくらはぎの装甲にある凸ディテール。
曲面に凸が配置された形状となっているため、それぞれの凸部分ごとに歪みがあったり、高さが低くなっていたりします。
特に上の写真の矢印で示した部分は、他のものより凸が潰れたように成型されているので不自然に見えます。

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胸部左右の装甲、下側部分。
凹凸が浅くなっている部分としては、こちらも同様です。
矢印部分にある横長のスリットはかなり浅い造形で、スリットの両端は斜めに歪んでいるのも分かります。

歪んだ凹モールドの彫り込み

ここからは実際の加工の様子を見ていきます。
まずは凹モールドの彫り込み…胸部下面のスリットから。

浅く、歪みもあるスリットの彫り込み


横長のスリットの形を整えながら、もう少し深くなるように彫り込んでみようと思います。

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まずはスリット端の形状を作ってしまいます。
位置がずれないよう、最初にニードルで下穴を開けてガイドにします。

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ニードルで開けた下穴をガイドにして、ピンバイスに取り付けた球形ビットで丸穴を彫ります。
球形ビットは各サイズごとに揃えておくと、こんな工作にも便利に使えますね。

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反対側にも球形ビットで丸穴を彫ったら、あとは二つの丸穴を繋ぐようにノミで彫っていきます。
今回ノミとして使用したのはクレオスのラインチゼルとゴッドハンドのスピンブレード。
ラインチゼルはスジ彫り用工具として発売されているものですが、太めのサイズも持っておくとこのような場面でノミとして使うことができます。
スピンブレードも細部の加工用として、できれば0.5mmから0.9mmまでの各サイズを揃えて持っておくと便利ですね。

残りのスリットについても、この繰り返しで彫り込みをしていきます。
上の写真ではまだ仕上がりが荒いですが、形状が仕上がったら小さく切ったペーパーの角やつまようじヤスリなどで切削箇所を整えておくようにします。
細かな毛羽立ちについては、流し込み接着剤を塗ることで表面を落ち着かせる方法もありますね。

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加工後のパーツ。
加工前よりもスリットが深く、形も整ったのが分かると思います。
このような部分のディテールアップとしては、スリット部分を貫通させた上で裏から薄手のプラ板やメッシュシート等を貼る方法もありますが、彫り込みだけでも一味違った見た目にすることはできますよ。

(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド スピンブレード 単品 0.5~0.9mm 各種 1mm未満 直販限定 彫刻刀 刃 | すべての商品 | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

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歪んだノズルの形状修正

続いて、歪んだノズルも彫り込みでそれらしく見えるように修正してみます。
腰部前面とフロント・スカートアーマーに付いている四角いノズル部分の加工をそれぞれ見ていきます。

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また手書きですが、腰部前面の下側ノズルの断面図イメージです。
凹んだ部分が本来の形状に対して斜めになっているので、ここを削ります。
図で赤くなっているところがノミで削り取る部分。
中央部のノズル内側部分の凹みは、後でピンバイスのドリルを入れれば簡単に修正できるので、まずはノズルの外側から攻めていくことにします。

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下側のノズル、四角い枠の内側をある程度まで彫り込んだ状態。
中央のノズルは円形なので、外形が歪(いびつ)にならないよう、円をイメージしながら慎重に削ります。
四角い枠の内側、この写真で上側の部分をやや彫り過ぎてしまいましたが、これは後で修正することにしましょう。

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円形ノズルの内側はドリルで穴を深くすると同時に角度も修正。
穴を開けたい方向に対してドリルが垂直になるように当てています。

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円形ノズル、穴の内側を修正できました。
このノズルは円柱部分の上面も斜めになっているので、ここから更に削ります。

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ここではスピンブレードの2.5mmが丁度良い幅だったので、平ノミとして用いて円形ノズル上面の形状を削って整えています。
スピンブレードも数多く揃えると結構な出費になってしまいますが、任意のサイズで平ノミを使い分けられるというのはやはり便利です。
とりあえず最初に買うなら1.0mmから3.0mmまで、0.5mm刻みの5本がセットになった基本セットと、極小サイズとして0.5mmあたりがあると良いでしょうか。
(欲を言えば、極小サイズは0.5mmから0.9mmまでの0.1mm刻みで、5本が揃っているとなお良いです。)

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刃物類での加工が粗方終わったら、ペーパーをかけて仕上げます。
写真は細かく折りたたんだペーパーの角を差し込んで削っているところ。
ここでは横着して手で直接持っていますが、ペーパーはピンセットで保持した方がより確実なコントロールができますね。
ペーパーの番手は、ここでもやっぱり400番です。

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続いて、削り過ぎた部分の修正…ということで、以前の記事でも使用した瞬間接着剤とベーキングパウダーです。
中粘度の瞬間接着剤(ここで使用しているのはタミヤのイージーサンディング)に増粘剤としてベーキングパウダーを添加したものをパテとして使用します。
写真はノズルの凹みの上側に盛り付けたところ。
後で削るのが前提とはいえ、なるべく削る量が少なくなるように…盛り付けはできるだけ少量で済むようにします。

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瞬間接着剤で補填した部分を削り込んで形状を整えたところ。
この手の削り込み加工に失敗は付き物なので、失敗を修正するための方法を知っておくといざという時も安心できますね。
とはいえ、先ずは失敗しないように慎重に彫っていくことが大切ですが…

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彫り込みが終わったら、最後にもう一手間。
前回の記事で紹介した方法と同様に、中央の丸ノズルをシャープに加工しています。
丸ノズルのフチはピンバイスに取り付けた球形ビットで削り込み、中央はドリルで貫通させています。
上側のノズルも同様に加工して、この部分は終了です。

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加工前後の比較です。
加工前のノズルは「いかにもプラモデル」という感じですが、加工後はより自然に周囲の形状に馴染んで見えるようになりました。
手間の割に地味な工作ですが、塗装までして完成させた時にこういう部分の一つ一つが効いてきて、作品はより見応えのあるものになっていきますよ。
ある程度の工具類への投資は必要ですが、順を追ってじっくり作業をしていけば決して難しい加工ではない…と思います。

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同様にフロントのスカートアーマー下部に付いている四角ノズル、こちらは左が加工後のパーツです。
先ほどの例と同様、斜めに成型された部分を修正するように彫り込みました。
切削した部分のキワはノミで切り込んでいますが、このような形状は凹み部分をなぞるように太めのラインチゼルで彫っていくのが簡単です。
四角ノズル内側の横長スリット部分で、幅0.5mmのラインチゼルが丁度良い感じですね。
0.1mm、0.3mmなど、加工する部分によってラインチゼルの刃先を使い分けていきます。
先ほどのノズル以上に細かい作業になるので時間がかかりますが、焦らずに加工していきましょう。

今回使用した工具の紹介

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最後に、今回使用した工具をダイジェスト的に紹介しようと思います。
ノミは彫り込みたい部分の幅に合わせて丁度よい刃幅のものがあると作業がしやすいので、同じ形状の工具でも必然的に複数本を持つことになりますね。
ラインチゼルやスピンブレードなどは各サイズの刃先を思い切って「大人買い」しても、今回のようなディテールアップ工作をする人にとっては充分価値のある買い物になると思いますよ。

[ハセガワトライツール] モデリング スクライバー (模型用けがき針)

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模型用工具の定番、ハセガワトライツールから発売されているニードルです。
金属の無垢で持ち手から針先まで一体成型されていて、非常に安定感のある作業ができます。
模型用のニードルは針先が交換式の工具や、文房具を流用したアイデアなども古くから紹介されてきたりと選択肢も多いですが、管理人としてはやはり定番のコレがおすすめ。
長く販売されているものには売れるだけの理由がある…と思います。
今回は球形ビットでくぼみを彫る前のアタリ付けに使用。

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[ハセガワトライツール] モデリング チゼル1 (模型用 ノミ 平細)

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同じくトライツールから発売の平ノミ、刃幅は1.0mmです。
今回の彫り込みは極小さな部分が対象だったので、後に紹介するスピンブレードと並んで工作のメインはこの工具でした。
これでも刃先が入らない場所には、スピンブレードの0.5mmなど、更に刃先が細かな工具を使っていくことになります。
持ちやすい長めのグリップ、取り回しの良い軽い本体、固定式の刃先ならではの安定感と三拍子そろった優良工具。
同サイズのスピンブレードを持っていたとしても、これはこれで持っていたい工具です。

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[ハセガワトライツール] モデリング チゼル4 (模型用 ノミ 幅3mm平)

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こちらもトライツールの平ノミ、刃幅は3mmのタイプ。
今回は刃先のサイズ的にあまり出番はありませんでしたが、刃先が入る場所ならこれも使いやすい工具です。
適材適所で使い分けましょう。
「モデリングチゼル」シリーズは基本的に同じような作りなので、これも工具としての質は高いです。

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[ハセガワトライツール] モデリング チゼル2 (模型用 ノミ 丸細)

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丸棒を斜めにカットしたような、竹やり的な形状をしたノミ。
ゆるいカーブを描いた底面の溝が彫れます。
今回は胸部下側にある横長スリットの彫り込みで、補助的に使用しました。

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[ハセガワトライツール] モデリング チゼル3 (模型用 ノミ 三角細)

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四角柱の棒を斜めにカットした形状のノミ。
名称の「三角細」は、先端が三角という意味かと思われます。
彫り込んだ凹モールドの内側をシャープに整えるのに使用しました。
逆エッジの削り込みなどで、一本あると痒い所に手が届く工具です。
このシリーズの工具で、平ノミの次に何かを買うならコレがおすすめ。

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[ゴッドハンド] スピンブレード

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上が0.5mm、下が2.5mm幅の刃先をそれぞれ取り付けたところ。
刃幅を0.1mm刻みで選べる模型用の平ノミは現状これだけです。
「ナンバーワン」ではなく「オンリーワン」という、非常にゴッドハンドらしい製品。

刃先が交換式の平ノミ。(兼、丸モールドを彫る工具)
刃幅の選択肢が非常に充実していて、最小は0.5mmから最大は4.5mmと豊富なラインナップから選ぶことができます。
特に0.5mmから0.9mmまでの極小サイズが「平ノミとして」手に入るのは貴重で、他に1.0mm以下の切削工具を探そうと思うと、ほぼスジ彫り用ツールになってしまいます。
ディテールアップ工作に挑戦するなら0.5mm等のサイズは是非とも入手したいところ。
今回の記事で紹介した工作では、刃先が入る箇所にはトライツールの1.0mm幅の平ノミを、さらに狭い箇所にはスピンブレードの0.5mmを使って彫り込みをしていきました。
その他、補助的に0.6mmと0.7mm、それに大き目サイズの2.5mmも使用しています。
なお、刃先を装着するホルダーとしてはウェーブの「HGマルチハンドル細」がおすすめです。
ピンバイスでは重く扱いづらいのですが、このホルダーに装着して使うと一気に取り回しがしやすくなりますよ。
(管理人は2本購入しました。)

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左が0.5mm、右が2.5mm幅の刃先。

(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド スピンブレード 単品 0.5~0.9mm 各種 1mm未満 直販限定 彫刻刀 刃 | すべての商品 | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

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[GSIクレオス] Mr.ラインチゼル

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この写真では0.5mm幅の刃先を装着しています。

GSIクレオスからの発売で入手しやすいスジ彫り用工具です。
普通の平ノミが刃先を押して対象を削り取るのに対し、こちらは手前側に引くことで刃幅に合わせた溝を彫ることができます。
原理としては「Pカッター」と同じですね。
今回のようなディテールアップ工作においては、同サイズの平ノミと併用して細かな彫り込みを行っていきます。
0.5mm幅の刃先などはスジ彫り用としてはかなり太めにも思えますが、「引いて使うノミ」として考えると使える場面はかなりありますよ。
これも各サイズを揃えて持っておきたい工具です。

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[ブッシュ] スチールバー ブッシュ No1

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写真は0.7mmサイズのビットを取り付けたところ。
小さくて分かりづらいですが、先端に球形のカッターがついています。

当ブログで再三「球形ビット」と呼んでいる工具がこれです。
回転させることで球形の窪みを彫ることができるというものですね。
本来はモーターツール(電動工具)に取り付けるためのものですが、ピンバイスに取り付けて使うことでより繊細な加工に使うことができます。
管理人は「スジボリ堂」の通信販売で扱っている、ドイツ「ブッシュ」社製のスチールバーを使っています。
先端の形状によっていくつもの製品がありますが、「No1」が先端が球形になっているものですね。
各サイズが揃っていてはじめて効果的に工作を行えるものなので、導入するなら複数本の大人買いで。
使用頻度が高いと思われる0.3mmから4.0mmまでの9本をまとめて買っても1,636円(税込、送料別)です。(※記事執筆時)

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こちらも0.7mmサイズのビット。
先端が球形になっているのが分かるでしょうか?

(参考リンク)
スジボリ堂「ブッシュのスチールバー カーモデル、ガンプラ、フィギュアに使用できます。」のページ

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[ゴッドハンド] ドリルビット

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タミヤのピンバイスに取り付けたところ。
製品としては、もちろん「ドリル部分だけ」ですよ。念のため…

ピンバイスに取り付けるドリルです。
…って、それ自体は普通ですが、この製品はピンバイスのチャックに取り付ける部分の径が各ドリルで共通のものに統一されていて「ドリルを違うサイズに交換する時、ピンバイスのコレットを交換しなくても良い」…というものです。
一見地味ですがこれが非常に便利で、これに慣れるともう普通のドリルは面倒で使えなくなってしまいます。
管理人はこのシリーズで0.5mmから3.0mmまで、0.1mm刻みの全種類を買い揃えました。
ピンバイスのドリルも、使い始めは0.5mm刻みの基本セットで充分に感じるのですが、少し工作に慣れてくると0.1mm刻みで微妙なサイズ違いのドリルが使いたくなってきます。
このドリルで各サイズを揃えるようにすれば、「このコレットは○mmから〇mmまで対応で…」などと覚える必要もなく、作業がスムーズになりますよ。

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ピンバイスに取り付ける部分が太くなっているのが分るでしょうか?
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管理人所有のドリルコレクション(笑)
0.1mm刻みで各サイズを揃えておくと、微妙な加減の工作にも融通が利くようになりますよ。
今回の工作でも1.1mmのドリルを使っています。
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[タミヤ] イージーサンディング

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中粘度の瞬間接着剤ですが、削り過ぎた部分の修正に使う充填剤、パテとして使用します。
となりにあるビン入りの白い粉はベーキングパウダーです。
瞬間接着剤にベーキングパウダー(など粉状のもの)を混ぜて、粘度を高めてから盛り付けるという古典的テクニックですね。
開封後の瞬間接着剤は、チューブの中で固まって使えなくなってしまうことが心配ですが、写真のように乾燥剤と一緒にジップロックの袋に入れて保管すると長持ちさせることができます。
実際の盛り付けや削りでは、瞬間接着剤の種類によって使用感がかなり異なるようですが、管理人はこの「イージーサンディング」が気に入って使っています。
ベーキングパウダーとの混ぜ合わせでも、強度・切削性ともに丁度よく、特に問題なく使うことができますね。

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[GSIクレオス] Mr.グルー・アプリケーター

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「接着剤やパテ等がくっつきづらいヘラ」です。
瞬間接着剤をベーキングパウダーと混ぜ合わせたり、盛り付けたりするのに使用。
便利なのですが、繰り返し使用していると写真のようにヘラの先端がほころんできます。
硬化した接着剤がキレイにペリっと剥がれてくれない時があって、ナイフ等でこそぎ落とそうとするとだんだん先端が痛んでくるんですよね…
完璧な製品ではないですが、便利なことは確かなので管理人が瞬間接着剤を扱うときには、いつもこれを使います。
写真にはないですが、塗料皿のような形状をした同素材の小さなお皿も付属します。
(管理人はガムテープの上で接着剤を混ぜてその都度使い捨てにしているので、お皿は使っていません…)

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耐水ペーパー 400番

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ホームセンターで入手できる、普通の耐水性紙やすり。
ノミ等で彫り込んだ箇所はやはり表面が荒れてしまうので、細かくペーパーを当ててやることで形状が落ち着きます。
ディテールアップの仕上げとしてのペーパーがけは、普通の表面処理と違ってごく細かな箇所にペーパーを当てる必要があるので、切り取ったペーパーのフチを差し込んだり、細かく折りたたんだペーパー片をピンセットでつまんで使ったり…といった工夫も必要になってきます。
ごく細かな個所のペーパーがけでは、表面の状態が確認しづらくなるのと水滴が作業の邪魔になることがあるので、水は付けずに「空研ぎ」で使った方が良いでしょう。
ペーパーの番手は、ここでもやっぱり400番を使います。

(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド ニッパー型ピンセット 刃がないニッパー 日本製 | ゴッドハンドオリジナル,ピンセット | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

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おしまい

以上、ディテールアップ工作の2回目でした。
前回の記事で紹介した加工に比べてやや難しい内容もあったかもしれませんが、改造加工の基本として、素組みから一歩踏み出して手を入れる箇所としてはセオリー的なものです。
ガンプラを塗装までして仕上げるモデラーなら、ほとんどの人が行うであろう表面処理と違って、ディテールアップ加工は製作者の好みや考え方によって「やる・やらない」、またやるとしても「どこをやるか・どうやるか」といったところが大きく分かれますから、プラモデルを「自分だけの作品」として仕上げる上でやりがいもまた大きな部分ですね。

さて、今回の記事も思いの外長くなってしまったので一旦一区切り…次回もまたディテープアップ加工の続きとなります。

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基本工作で作るHGUCサザビー 工作編7.「やさしめディテールアップ加工・その1(簡単な削り込み)」

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表面処理が終わったMS本体を再度、仮組み。
もちろん、このまま塗装しても充分見られる作品になります!

前回までの製作で一通りの表面処理できたので、特に気になるところがなければこのまま塗装に入っても良いのですが、今回は工作編の仕上げとして軽めに改修…ディテールアップをしてみようと思います。
部分的な改造工作となりますが、基本工作の延長でできるセオリー的なポイントに絞って見ていきますよ。

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ツノの”フラッグ”を削る

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まずは簡単な部分から。
写真は頭部パーツですが、頭頂部から後ろに伸びているツノ(?)の先端に安全上の配慮から余剰ブロック(通称「フラッグ」)が付いているので、これを削ります。
この「フラッグ」は、よくガンダムタイプMSの頭部V字アンテナの先端に付いていることが多いですが、細いV字アンテナの加工をする場合にはパーツを折ってしまわないように細心の注意が必要です。
今回のサザビーの場合は元々のツノも太さがあってパーツの強度も充分なので、加工の際に誤って折ってしまう危険も少なそうですね。

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「フラッグ」が付いているパーツを分解したところ。
右上の「フラッグ」、余剰ブロック部分を削りますが、形状も単純なので加工も容易です。
ニッパーとアートナイフで大まかに切り取り、鉄ヤスリで微調整すれば良いでしょう。
最後はもちろんペーパーがけで仕上げますよ。

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加工後の状態…この部分はこれで完了です。
ディテールアップなどでパーツの形状を弄る場合には、加工した部分がキットの元々の部分と違和感なく馴染むようにすることが重要です。
この部分は加工も容易なので自然とそのようになりますが、改造加工の基本として「加工した部分が浮いていないように」を常に心がけながら工作を進めます。

(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド かまぼこヤスリ 8mm 単目 細目 中目 直販限定 平ヤスリ 金属ヤスリ 模型用 | 工具・作業ツール,金属ヤスリ,平 | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

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バーニアノズル、砲口などの削り込み

バーニアの噴射口や武器の発射口なども簡単な加工で効果が高い部分です。
実物(があれば…)はシャープな形状をしているはずなので、模型でもそのように加工してやりましょう。

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写真は肩アーマーの前側です。
黄色い部分に小型のバーニアノズルがありますが、噴射口の形状がダルいので削り込んでみます。

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このような場所は、ピンバイスにモーターツール用の球形ビットを取り付けて削ります。
元のノズル形状がガイドになってくれるので工具を当てる場所がブレることもなく、加工の難度としては非常に低いです。
道具さえ揃えてしまえば簡単で効果が高いので、この手の加工はディテールアップ入門としてもおすすめですね。

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噴射口の中央は細めのドリルで貫通させてしまいます。
ここは小さいノズルなのでなるべく細いドリルを使いたいところですが、極細ドリル刃は折れる危険も高く取り扱いに気を遣うので、ホドホドでも良いでしょう。
今回は0.5mm径のドリル刃を使っています。

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最後に一回り大きな球形ビットで噴射口のフチを軽くさらって形状を整えます。
大きなビットで削りすぎると形状が大きく崩れて取り返しがつかないので、ここだけは慎重に…

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上側のバーニアノズルの加工が完了した状態。
未加工の下側と比べると、形状がシャープでより立体的になっているのが分かるでしょうか。
残りのノズルも同様に加工していきます。

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場所が変わって、こちらはリアのスカートアーマー。
サイドに小型のノズルが付いていますが、一体成型なのでここもディテールがダルいです。

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先ほどの例と同様に、球形ビットとドリルで加工をした状態。
ノズル部分を丸ごとくり抜いて別パーツに置き換えた場合には敵いませんが、別売りパーツを使いたくない場合には有効な方法だと思います。

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こちらはサイドのスカートアーマー内側、独立したバーニアのパーツ。
左側が加工後の状態、右側はキットそのままです。
やはりフチをシャープに削り込んでいます。
ここは大きめの球形ビットを使いましたが、丁度いいサイズのビットがない場合はアートナイフでバーニアのフチをぐるりと削って加工しても良いでしょう。

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武器類の砲口もバーニアと同様、シャープに加工をすると実感が増します。
写真は胴体中央に内蔵されているメガ粒子砲の発射口。
砲口は黄色の別パーツになっていますが、やはりディテールが甘いのでここも削り込みます。

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加工後の状態です。
中央の円形ノズル状部分は球形ビットで削り込み、中心はピンバイスで貫通…と、基本的に先に紹介したバーニアノズルと同様の方法で加工しています。
ここではさらに、外側のフチ部分も薄く削り込んでみました。
加工前よりも立体感が増したように見えるでしょうか?

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順番が前後しますが、メガ粒子砲パーツの外枠を削っているところ。
アートナイフでもいいのですが、ここではクレオスの「Mr.バリ取り棒G」を使いました。
肉厚の刃先で力がかけやすいので、このような加工にも使いやすい工具です。

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スジ彫りの彫り直し

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スジ彫りを掘り直すのもディテールアップ加工として定番のものですね。
何もないところにスジ彫りを追加するのは難度が高いですが、キットに元からあるスジ彫りをなぞるように彫り直すだけならそれほど難しくはありません。
とはいえ、HGUCシリーズは比較的シンプルなアレンジなのでスジ彫りもそれほど多くはないですね。
今回のサザビーでも、スジ彫りディテールはリアスカートくらいにしかありませんでした。
上の写真は未加工の状態。

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元からあるスジをなぞるようにしてラインチゼルで彫り込んでいきます。
元のスジ彫りがガイドになるので刃先はブレにくいですが、スジ彫り加工のセオリー通りに最初は力を入れず、撫でるような感じで彫り始めてから徐々に深く彫り込んでいくようにしましょう。

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スジ彫りを彫り直した状態。
キットそのままよりも深く、シャープになりました。
製作者の考え方にもよりますが、スジ彫りの一つの理想形は「スミ入れをしなくても影が落ちる状態」です。
可能ならば、スジ彫りは貫通させるくらいの気持ちで深く彫り込んでおくと良いと思います。

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おしまい

「基本工作」としてディテールアップは必要か?…という考え方もあるのでしょうが、今回紹介した内容は道具さえあれば比較的簡単に加工していける工作内容だと思います。
基本的な表面処理だけやって塗装に入ってももちろん良いのですが、”もうひと手間”をかけてあげることで作品の完成度も上がり、より思い入れのある完成品になると思います。

それでは次回も引き続き、ディテールアップ工作の続きを見ていきますよ。

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基本工作で作るHGUCサザビー 工作編6.「表面処理・その3(ABS製パーツの処理、その他)」

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表面処理の3回目です。
ABS製パーツの処理のほか、クリアーパーツの扱いや補足的な内容も見ていきます。
表面処理が一段落すると、製作もやっと終わりが見えてきますね。

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ABS製パーツの表面処理

ABSはプラモデルの一般的な素材であるスチロール樹脂よりも強度が高く粘りがあるため、ガンプラの関節部などに使用されていることがある素材です。
半面、その粘りのある特性のため加工性には癖があり、工具の刃の通りやヤスリがけの感触などはスチロール樹脂製のパーツとはかなり異なります。
今回制作しているHGUCサザビーでも関節部にABSが多用されているので、ここではその表面処理について見ていくことにします。

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ABSの大まかな削りには、タミヤのハードコートヤスリPROが使いやすいです。
これは粗削り用のヤスリですが、ABS製のパーツは切削力の高いヤスリを使わないと思うように削ることができません。

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こちらは肩関節のパーツ、左が処理後です。
中央にパーティングラインがあるのでハードコートヤスリPROで削りました。
更に400番のペーパーで水研ぎをして仕上げたのが左の状態。
スチロール樹脂製のパーツならこの程度のパーティングラインはいきなりペーパーがけに入っても大丈夫そうですが、ABS製パーツは金属ヤスリも併用しないと加工がかなり辛いです。
素材が持つ粘りに邪魔されて、ナイフやノミによる「カンナがけ」もほとんど通用しません。

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襟元にある動力パイプもABS製。
ここはハードコートヤスリPROと、細かな部分なので一部はテーパーダイヤモンドヤスリで削りました。
ABSにはダイヤモンドヤスリの240番が丁度いい削り心地ですね。
上の写真は処理後の状態。

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動力パイプのミゾの中にあるパーティングラインは特殊形状の金属ヤスリで削ります。
ここで使っているのはGSIクレオスの「匠之鑢・極 玄人 刀刃」という製品で、「刀刃」というのはその名の通り日本刀のような形状のヤスリ。
上の写真でパーツに当てている側が「刀の刃」にあたる部分です。

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刀刃のヤスリを「刀の刃」の方向から見たところ。
「刀の刃」にあたる極細い面と、その左右の面にはヤスリ目が刻まれていますが、反対方向の刀の峰にあたる面にはヤスリ目がありません。
金属ヤスリとしてはあまり一般的ではない形状ですが、一本持っていると今回のように幅の狭い溝を削る場合などに便利なこともあります。

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こちらは脚部の関節パーツ。
処理する必要のある合わせ目はありませんが、パーティングラインが出ているので同様に削ります。
写真が分かりづらいですが、左がヤスリがけをした状態です。
広い面はハードコートヤスリPROでいいのですが、細かな面にはやはりテーパーダイヤモンドヤスリの240番を使いました。

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こちらは手首。
指の横側にはパーティングラインが見えていますね。
ABS製な上に形状も細かく複雑なので処理が大変なパーツです。
合わせ目消しの必要がないだけまだマシとも言えますが…

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ここも同じくテーパーダイヤモンドヤスリで削り込み。
これまでの例と同様、幅2.5mmの240番を使っています。
テーパーダイヤモンドヤスリは先端や側面方向にも研磨粒子が付いているので、この写真のような向きでの削りにも対応できて便利ですね。

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パーティングラインを削り落としたところ。
かなり細かな部分ですが、手首は顔(頭部)と並んで完成品を見た時に目が行きやすいポイントなので、ゲートやパーティングラインはしっかりと処理しておきたいところです。
表面の毛羽立ちが気になる場合は、この後に400番のペーパー水研ぎで整えてやれば良いでしょう。

(参考リンク)
スジボリ堂 公式通販「テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 240番」のページ
スジボリ堂 公式通販「テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 400番」のページ
スジボリ堂 公式通販「テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 600番」のページ

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スジ彫りを横断するパーティングライン

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今度はABSパーツから変わり、写真はスチロール樹脂製の動力パイプです。
ここにもスジ彫りを横断するパーティングラインがあるので、部分的に彫り直して仕上げます。
ちなみに上の写真は処理後のパーツです。

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目立てヤスリでスジ彫りをなぞって削り込みをしているところ。
スジ彫り部分を削るときは、元のスジの幅に合わせて工具を使い分けると良いですね。
元々あるミゾにヤスリを沿わせるだけなので簡単な加工ですが、ごくごく軽く…力を入れずに少しずつ削って様子をみるようにします。
スジの幅が細い上に、動力パイプはやや軟質なプラで成型されているので、力を入れると簡単に削れ過ぎてしまいますよ。

(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド スジ彫りヤスリ コバ 直販限定 日本製 スジボリ モールド彫り | 工具・作業ツール,金属ヤスリ | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

C面の修正

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表面処理でパーツの面部分にペーパーがけをしていると、気を付けていてもパーツのC面(極細の面取り部分)の形状が変わってしまうことがあります。
上の写真の例では、C面に接する面のエッジを削り過ぎたため、矢印部分にあるC面が元よりも細くなり形状も少し歪んでしまいました。
ここを削り直して修正しようと思います…が、C面の修正はやや難度が高いので、無理をしないでこれ以上触らないというのも一つの選択肢かと思います。

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セラカンナでC面を削り込んでいるところ。
セラミック刃の工具は金属刃よりも切れ味が鈍く、削れ過ぎないのでこのような微妙な加減が必要な加工にも向いています。
パーツと工具を保持する指と手首をそれぞれ必要以上に動かさず、パーツに当たる刃の角度がずれないように注意しながら、奥側へスライドさせて削りましょう。

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削り込みが終わりました。
C面の修正は失敗したときのリカバリーも難しいので非常に気を遣います。
そもそも論ですが、一番良いのはあらかじめペーパーがけの段階で削り過ぎに注意しておくことですね。
加工に挑戦する場合は、決して力をかけ過ぎずに軽く削ること…慎重に慎重に作業しましょう。

(参考リンク)
造形村 セラカンナ(甲刃) | ボークス公式 ホビー天国オンラインストア

クリアーパーツの表面処理

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クリアーパーツも表面処理が難しいパーツの一つですね。
今回のHGUCサザビーでもビーム・サーベルやビーム・トマホークのビーム刃エフェクトがクリアーパーツで成型されています。
形状が凝っているのは良いのですが、それはペーパーがかけづらいということでもありますね…
プラパーツである以上、当然ゲートやパーティングラインが存在するので表面処理が必要ですが、流石に「400番のペーパーで削って終わり!」では表面が曇りガラスを通り越して傷だらけになってしまうので、ここだけはもう少し細かな番手が必要です。

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上の写真はビーム・サーベルのクリアーパーツを側面から見たところ。
パーツ側面の全周に渡ってパーティングラインが出ています。

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クリアーパーツの表面処理では、余計なキズを避けたいのでナイフでのカンナがけは行わず、最初からペーパーがけで削ります。
使うペーパーの番手も通常のプラパーツと同じ400番ではキズが付きすぎるので、もっと細かな番手から始めた方が良いですね。
今回は800番のペーパー水研ぎでパーティングラインを処理しました。
当て木を使うことで、これくらいの番手でも意外としっかり削っていくことができます。

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パーティングラインがあるパーツ側面に沿ってペーパーをかけた状態。
面としては面一(つらいち)になりましたが、ペーパーが当たった面は光沢が消え、すりガラス状になっています。
とりあえず、800番のペーパーならこんなものでしょう。
それよりも今回はここで新たな問題が発生しました…!

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写真では分かりづらいかもしれませんが、パーツの表面に不要なキズが多数付いています。
ガンプラのビーム・サーベルに使われるクリアーパーツは軟質なプラとなっているので、ペーパーがけの時にパーツを持っていた手の爪が食い込んでしまったようですね。
とりあえず、このままでは不格好なので何とか修正を試みます。

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キズの付いた面を1000番のペーパーで水研ぎ。
クリアーパーツの光沢は消えてしまいますが、ここではキズを目立たなくすることを優先します。

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下側が1000番で処理したパーツ。
キズは上手く馴染んでくれましたが、ペーパーがけをしたことで全体がすりガラス状になっていますね。
ここから光沢や透明度を復活させたい場合は、さらにペーパーの番手を上げながら磨き込みを行っていくことになります。

ただし、今回はこのままの状態で終了とすることにしました。
ビーム・サーベルは光沢のあるクリアーパーツそのままではいかにもオモチャっぽいので、あえてペーパーがけで全体をすりガラス状にしてしまう…という考え方もあるので、ここではお手軽に終わらせることにします。

今回は結果的に全体にペーパーがけせざるを得ない状況になってしまいましたが、こういう場合は気楽に「最初からそうするつもりでした(笑)」くらいに考えておく方が、趣味として模型を楽しむ上で健全なのかもしれませんね。

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ペーパーがけ前後のパーツに光を当ててみた比較。
すりガラス状に処理したビーム・サーベルは、発光しているような雰囲気がありアニメ劇中の印象にも近いです。
ここはこんな方法もあるよ、ということでひとつ。

おしまい

3回に渡って見てきた表面処理も今回でやっと終了しました。
地道で細かな作業が続きましが、苦労した分は作品の完成度に確実に反映されるのでがんばってペーパーがけしましょう。
さて、次回は工作の最終段階として、簡単にディテールアップをしてみようと思います。

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基本工作で作るHGUCサザビー 工作編5.「表面処理・その2(合わせ目消し)」

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前回に引き続き、今回の製作解説は表面処理の続きです。
HGUCサザビーではビームライフルのみ「合わせ目消し」が必要なパーツ割りとなっていますね。
今回は合わせ目消しからそれに伴うディテールの修正まで、ビームライフルの表面処理を通して見ていきます。

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ビームライフルの合わせ目消し

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1/144スケールながら、モビルスーツの本体部分には合わせ目が出ない(!)という驚きのパーツ構成となっているHGUCサザビー。
ただし武器のビームライフル(設定上の名称は「ビーム・ショット・ライフル」)は所謂モナカ割りとなっていて、流石に処理が必要です。
それでも分割線がライフル上部の動力パイプ部分を避けるように設定されていたり、銃口が別パーツになっていたりと配慮された分割になってはいますね。

接着

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それでは実際の合わせ目消しの手順について、順を追って見ていきます。
まずは貼り合わせタイプの溶剤系接着剤でガッチリと接着してしまいましょう。
接着剤をパーツの両面に二度塗りしてから「ムニュ」付けしますよ。
このビームライフルは基本的にはモナカ割りなのですが、部分的に分割線が逆エッジ部分に寄せられていてそのままディテールとして処理できる箇所もあるため、パーツの全周に接着剤を塗布する必要はありません。
パーツ構成をよく見て、接着剤を付ける部分と付けない部分を見極める必要がありますね。

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接着剤でパーツ同士を貼り合わせ、接着面の「ムニュ」で分割線が埋まった状態。
まずは不足なく接着剤を塗布し、しっかりとパーツ同士の隙間を埋めることが合わせ目消しの第一歩です。
この状態で3日以上は乾燥時間を取ります。

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まずは各種工具で粗削り

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完全に乾燥したら、まずは粗削りです。
写真で使っているのは童友社のきさげカッターで、刃を立ててカンナ削り。
きさげは刃先に安定感があって使いやすいのですが、アートナイフでも充分といえば充分…

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こちらはハセガワトライツールのモデリングチゼル。
入り組んだ部分には、このようなノミ系の工具が便利です。
ここでは刃先で切り込んで接着剤のはみ出しを削っています。

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曲面のパーツは粗削りで一部分だけを平面にしてしまわないように注意が必要です。
ここではお助け工具を使ってしまいました。
シモムラアレックの「Rボコ2」というもので、パーツ表面の曲面を維持したままカンナがけを行うことができます。
見た目はただの板ですが(笑)案外サクサクと良く削れます。

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入り組んだ形状や逆エッジにはスジボリ堂のテーパーダイヤモンドヤスリが便利です。
ここで使っているのは幅2.5mmの400番。
あくまでも下処理なので削りすぎないように…

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こちらも同じくテーパーダイヤモンドヤスリ。
写真のように、かなり狭い隙間にも入り込んで削っていくことができます。

(参考リンク)
スジボリ堂 公式通販「テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 240番」のページ
スジボリ堂 公式通販「テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 400番」のページ
スジボリ堂 公式通販「テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 600番」のページ

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ペーパーがけで仕上げていく

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各種工具での粗削りが済んだら、やはりペーパーがけで仕上げます。
上の写真は400番のペーパーを三つ折りにしてゆるい曲面を削っているところ。
この調子で、まずは削りやすい大きな面を全周に渡って処理してしまいます。

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入り組んだ面や奥まった個所はそのままではペーパーを当てることができません。
上の写真は、三つ折りにしたペーパーの角を使って小さな面を削っているところ。

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つまようじヤスリも活用。
こんな狭い面にもペーパーを当てることができて便利です。

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こちらは調色スティックのヘラ部分に耐水ペーパーを貼ったもの。
古典的な方法ですが、こんな場所にはやはり有効。
力もかけやすく、狭い場所でもしっかりと削っていくことができます。

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さらに細かな箇所は、細かく三つ折りにしたペーパーをピンセットでつまんで削ります。
使っているのはゴッドハンドの「ニッパー型ピンセット 刃がないニッパー」という工具で、ニッパーのように見えますが…これでもちゃんとしたピンセットです。
名前の通り、本体はニッパーそのものなので普通のピンセットよりもかなり強力に対象をつまむことができ、このような使い方にも向いていますね。
ただし、(錆びが心配なので)水研ぎができないのはかなりのデメリット…!
空研ぎではすぐにペーパーが目詰まりするので、こまめに面を変えながらペーパーの削れる部分を維持して作業しましょう。
ペーパーも含め、切れ味の鈍った工具を使うのは失敗の元です!

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三つ折りのペーパー片をつまんでいるところ。
この写真ではペーパーを1mmくらいの幅で折りたたんで使っていますが、このピンセットならかなりしっかりと保持することができます。

(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド ニッパー型ピンセット 刃がないニッパー 日本製 | ゴッドハンドオリジナル,ピンセット | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

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なめたエッジの修正

気を付けてペーパーがけをしていても、どうしても失敗をしてしまうこともあります。
パーツのエッジを不用意に削ったことで形状が不格好になるのもよくある失敗の一つですね。
加工に失敗したパーツを無理に削りだけで修正しようとするとパーツ形状をどんどん歪めてしまうので、削りすぎた部分はパテやプラ材などで補填してから修正をしていくことになります。

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今回はパテの代わりに、盛り付けには瞬間接着剤を使います。
瞬間接着剤はタミヤのイージーサンディングという製品ですが、粘度としてはトロリとした感じ…分類的には中粘度くらいなので、高さのある盛り付けにはやや向かなそうです。
ここでは、古典的な裏技的テクニックとして瞬間接着剤とベーキングパウダーを混ぜ合わせて粘度を高めてから盛り付けを行ってみます。
上の写真はそれぞれをガムテープの上に取り出したところ。
表面がツルツルしたものなら何でも良いです。

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二つを混ぜ合わせているところ。
粉の量が多すぎるとボソボソするので、添加量はほどほどに…
先ほどの写真くらいの混合比に留めておくのが無難だと思います。
混ぜ合わせるとすぐに硬化が始まるので盛り付け作業は手早く行わなければいけません。
体感で、作業可能時間は20~30秒程度…といったところです。

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写真の角の部分に粉入り瞬間接着剤を盛りつけました。
元々はペーパーがけでエッジを落としてしまった部分です。
盛り付けた瞬間接着剤はものの数分で完全に硬化するので、すぐに削り作業に入れます。
切削性も良好です。

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アートナイフで不要部分を大まかに削り、400番のペーパーで仕上げたところ。
修正前の写真がありませんが、欠けてしまったエッジを元通りにすることができました。
盛り付け部分の接着性、強度ともに問題なさそうです。
やや白っぽくなってはいますが、これは塗装をすれば完全に分からなくなります。
この部分はこれで完了です!

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消えたスジ彫りを復活させる

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パーツの合わせ目がスジ彫りなどのディテールを跨ぐ場合、一連の合わせ目消し作業でディテールが消えてしまうことがあります。
上の写真の例では、合わせ目を跨ぐようにスジ彫りがあったために、合わせ目消し後にはスジの一部が埋まってしまいました。
このままでは本来のパーツ形状を損ねているので修正をすることにします。

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まずは残っているスジ彫り部分をガイドにしてアートナイフで切り込みを入れます。
少し幅のあるスジなので、V字断面をイメージして両側から切り込み、不要部分を切り取るような感じです。

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一応スジは繋がりましたが、少し形が歪(いびつ)ですね。
更に修正します。

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Mr.ラインチゼルでスジ彫りを整えつつ、少し深く彫り込みます。
ここで使っているのは0.3mm幅の刃先。

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更に、目立てヤスリをスジに沿わせて形を整えます。
使っているのはゴッドハンドの製品で、繊細な作業ができて使いやすいのですが、ちょっと価格がお高め…

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修正作業完了!
段階を踏んで工作をすることで、元のスジ彫りと彫り直した部分を違和感なく繋げることができました。

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同様に、パーティングラインをまたぐスジ彫りディテールも表面処理の段階でスジが浅くなってしまうことがあります。
上の写真は目立てヤスリでスジ彫りをなぞって修正しているところ。
パーティングラインの処理程度では元のスジ彫りが完全に消えてしまうことはないので、浅くなったスジを軽くなぞるだけで大丈夫です。
このような作業にも目立てヤスリが向いていますね。

(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド スジ彫りヤスリ コバ 直販限定 日本製 スジボリ モールド彫り | 工具・作業ツール,金属ヤスリ | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

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その他、細かなディテール

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細かな部分ですが、こちらは銃床にある丸モールド。
モールド自体は合わせ目を避けるように配置されているのですが、モールドの上下に隣接する部分で合わせ目消しをしたので形がやや歪んでいます。
ここも少し修正してみました。

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写真では変化が分かりづらいですが、丸モールドの中を平ノミでカンナがけし、つまようじヤスリでペーパーがけをした状態。
今回は何とか修正を試みましたが、この例のように小さなモールドの整形は難しい場合も多いので、無理に直そうとするよりもパテや瞬間接着剤などでモールド自体を埋めてしまい「なかったこと」にした方が全体がキレイに仕上がる場合もあります。

(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド スピンブレード 単品 0.5~0.9mm 各種 1mm未満 直販限定 彫刻刀 刃 | すべての商品 | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

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おしまい

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様々な工作を経てビームライフルの表面処理が終わりました。
ガンプラの武器パーツはモビルスーツ本体以上に形状が複雑で細かく、加工が難しい場面も多いですね…
適材適所で工具を使い分けて、効率よく作業を進めていきましょう。

さて、次回も表面処理が続きます。
今度はABS製パーツのヤスリがけなど…加工に癖があるので厄介な作業過程となりますが、丁寧に加工をしていきたいところ。

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基本工作で作るHGUCサザビー 工作編4.「表面処理・その1(基本的なペーパーがけ)」

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前回は工具紹介でしたが、製作過程の続きとして表面処理を見ていきます。
今回制作するHGUCサザビーは「本体部分に合わせ目がない」というモデラーに配慮された構成となっているので、表面処理としては「ゲート跡」「ヒケ」「パーティングライン」「突き出しピン」といった部分の処理が主な工作内容となります。
なお、手持ち武器の「ビーム・ショット・ライフル」はモナカ構造の貼り合わせなので合わせ目消しの必要がありますよ。
そちらについては次回の記事で見ていくことにします。

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作業を始める前に

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作業の前に、まずは計画を立てましょう。
パーツ数の抑えられたHGUCシリーズとはいえ、一度に全てのパーツをバラバラにすると収拾がつかなくなります。
そこで今回は本体をユニット毎に分けてから、各ユニットを1つずつ処理していくことにしました。
これなら、分解・再組立ての際にも一度に扱うパーツ数が多くなり過ぎないので作業がしやすいですよ。

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上の写真は片足分のパーツを分解した状態。
これくらいのパーツ数なら、作業中にも扱いやすいですね。
一つのユニットが処理し終わったらその都度組み立て直しておき、分解するのは処理中のユニットだけにしておくと管理がしやすいと思います。

ゲート跡の処理

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ここからは実際の作業を紹介、まずはパーツを切り出した時にできるゲート跡です。
写真は仮組み状態のものですが、管理人は切り出し時に軽くヤスリがけまでしてしまうので、この時点でまあまあキレイになっていますね。
作業手順としては、まず最初はパーツから離れた位置にニッパーを入れてゲートをランナーの一部ごと大まかに切り出し、次にパーツの表面スレスレでもう一度ニッパーの刃を入れてゲートを切り取り。(二度切り)
今回は一度目に切り出しに耐久力の高いエッチングニッパー、二度目の切り取りには切り口がキレイなアルティメットニッパーを使いました。
まぁ…工具に投資できるのは大人の特権(フル・フロンタル)ということで。
もちろん普通のニッパーで二度切りしても大丈夫ですよ。
※ただし、一度目の切り取りからいきなりパーツのキワで切り込むのはパーツを破損する危険があるため厳禁です。

ゲートからパーツを切り出せたら、少し残ったゲート跡は単目の鉄ヤスリで「軽く(重要!)」削っておきます。
それが上の写真の状態です。
段差や欠けもなく平滑な表面になっているので、鉄ヤスリのヤスリ目をペーパーがけで磨けば終了です。
このパーツは曲面なので、3つ折りにした耐水ペーパーか神ヤス!(スポンジヤスリ)で水研ぎします。

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同様に別のパーツの例。
今度はパーツの平面部分にゲート跡があるので、ペーパーがけの際にはエッジをなめないように細心の注意が必要です。
三つ折りにした耐水ペーパーでも慎重に作業すればできなくはないですが、素直に当て木を使った方が良いでしょう。
管理人は「タイラー」に貼り付けたペーパーで水研ぎをしました。

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中央の平面部分にペーパーがけをした状態。
当て木を使うことで、フリーハンドよりも確実な平面を出すことができます。
このパーツは、この後は「ヒケの処理」で他の面にもペーパーがけをすることになりますが、同様に元からある面を崩さないよう慎重に作業をしていきます。

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ヒケの処理

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続いて「ヒケ」の処理です。
プラスチック成形品の宿命として各パーツの表面には微妙な「うねり」があり、それが本来はないはずの部分的な凹みになっている場合があります。
パーツの表面に軽くペーパーがけをすると、部分的にペーパーが当たらない部分があることが確認できますね。
基本的に、外装の見える部分は全て400番のペーパーをかけ、「ヒケ」を消しておきます。
上記「ゲート跡の処理」に続けて、パーツ全体にペーパーをかけていきますよ。
エッジ(角の部分)を舐めないように(丸めてしまわないように)注意して作業するようにするのはゲート処理と同様です。

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こちらはビーム・サーベルのグリップになるパーツに軽くペーパーをかけたところ。
写真の右側の部分が見事にヒケていますね。
この凹みが平らになるまで削っていきます。
あまりにも大きな凹みの場合はパテも併用した方が良いこともありますが、最近のキットならほとんどの場合そのまま削っていっても大丈夫でしょう。

実際のペーパーがけ作業

ゲートとヒケを処理するため、表面処理の工程ではパーツの表面を「一皮むく」ようなイメージでペーパーをかけます。
実際の作業手順を改めて見ていきましょう。

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平面部分には当て木を使います。
写真の上にある黄色いものは「タイラー」という市販の当て木。
最初から付いているペーパーはすぐに使い終わるので剥がしてしまい、自分で新しいペーパーを貼り替えながら使います。
ペーパーには両面テープの「貼ってはがせるタイプ」が適度な粘着力で便利ですね。
初心者の方は「耐水ペーパーは何番まで使う?」と番手の選択に迷うかもしれませんが、ガンプラのつや消し筆塗り塗装ならとりあえずは400番だけあれば充分です。

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「タイラー」には15mm幅のテープが丁度いいサイズです。

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両面テープで耐水ペーパーを貼り付け、ペーパー面に水を付けたところ。
「水研ぎ」では洗面器などに水を用意しておき、指先でペーパー面に水を塗るようにして付けながら使います。
一度に付ける水の量はこれくらいで大丈夫。
作業中も適宜、指先でペーパーに水を付けながら作業しましょう。

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ペーパーをかける前のパーツ。
ゲート痕を単目の鉄ヤスリで軽くヤスっただけの状態です。

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ペーパーがけ中。
作業中はエッジをなめないよう(ヤスる面が必要以上にエッジに触れないよう)注意して作業します。
また、ペーパーは円を描くように動かしながらかけるようにするとキレイに削りやすいです。
パーツの形状的な制約で円運動のペーパーがけができない場合を除いて、原則、ペーパーは円を描くようにかけるようにすると良いでしょう。

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ペーパーがけの途中の様子。
水研ぎのメリットは、摩擦熱が抑えられてパーツ表面に余計なキズが付きづらいことと、削りカスの粉が飛び散りづらいこと。
また、ペーパー自体も空研ぎよりも長持ちします。
削りカスのプラスチック紛がペースト状になっているのが分かりますね。
カスの取り除きを兼ねて、適宜ペーパー面に新しい水分を補給しながら作業をしましょう。

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一つの面にペーパーをかけ終わった状態。
面の全体にペーパーが当たり、ゲート跡やヒケも見えなくなっているので、この面はこれで大丈夫です。
ここまでできたら次の面のペーパーがけに移ります。

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曲面にはペーパーの当て方を変えます。
写真は三つ折りにした耐水ペーパーを使って、指の弾力を活かして曲面にペーパーを当てているところ。
スポンジヤスリがあればそちらを使ってもいいですね。
模型用に発売されているスポンジヤスリ「神ヤス!」は使いやすいですが(耐水ペーパーと比べて)ランニングコストの高さが気になるところ…

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400番でペーパーをかけ終わったパーツ。
ここまでできればこのパーツは終了です。
基本的にはこれを繰り返し、「完成時に外から見える部分」には全てペーパーをかけます。
場合によってはこの後にペーパーの番手を上げて(より細かいペーパーを使って)さらに磨き込みをし、「ペーパーがけで付いたキズを消す」作業をするというのも一つの考え方ですが、管理人は基本的に400番のペーパーがけだけで表面処理を終了としています。
ガンプラのつや消し筆塗り塗装なら、この程度のペーパーキズが埋まるくらいの塗膜は載せることになるからです。
筆塗りの場合、これ以上の番手でのペーパーがけは、労力に見合った成果が得づらいと思います。

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「エッジを出す」ではなく「エッジをなめない」加工を

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近年のガンプラ制作のトレンドとして、「スジ彫り(の追加)」と並ぶものに「エッジ出し」があるようですね。
この「エッジ出し」はプラモデルの縮小模型としてのリアルさを追求するための工作方法の一つで、「実際には小さなアールが付いた角でも離れて見ると角が立って見える」ことを表現するために「プラモデルのパーツの角(エッジ)は極力シャープに尖らせた方が良い」…とする考え方によるものです。
最近では猫も杓子もエッジバキバキ、用品メーカーも「エッジ出しがしやすい」ことを売りにした工具を出す始末。
だけどちょっと待ってください…その「エッジ出し」、本当に必要ですか?
管理人としては、「エッジ出し」は基本レベルではなく改造工作の範疇だと考えています。
他のディテールアップと組み合わせて考えた時に、表現方法の一つとして選択するかどうかを決めることであって、ただ闇雲にやれば良いというものではありません。

今回の制作記では管理人の考える「基本工作」に則り、特別なエッジ出しは行っていません。
それよりも、基本レベルでは「エッジをなめない」ことを意識してペーパーがけをした方が良いです。
実際、パーツの面部分にペーパーが当たってヒケが消えていれば、パーツ形状としてはそれなりに見えるものです。
それどころか下手にエッジ付近に手を出し、形状を崩してしまった場合…結果は悲惨なことになります…
上の写真では、パーツのエッジ付近にはペーパーを当てず、わざと削り残すようにしました。
写真のパーツのような鈍角のエッジは、漫然とペーパーがけをしているとエッジをなめやすい形状なので、自分の技量や表現したいものと相談して、このような選択をするのも一つの方法かと思います。

パーティングラインの処理

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さて、続いては「パーティングライン」の処理。
パーツによっては、表面にスジ状の余計な出っ張りがあるのでこれを削ります。
プラスチックが成型される時に出来る、金型の合わせ目の跡ですね。
最近のキットでは、設計の工夫により見えづらい位置に設定されていることもありますが、パーツ数の抑えられたHGUCなどではどうしても限界があります。
上の写真では横一直線にスジ状となって見えていますね。

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一体成型のバーニアなどもパーティングラインが出ていることが多いパーツ。
写真は「Mr.バリ取り棒G」で粗削りしているところ。
このような作業では非常に扱いやすい工具です。

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狭い隙間にはペーパーを差し込んで削ります。
削りにくい形状ですが丁寧に…

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円柱状のパーツはパーティングラインに沿って一部分だけを削ると、そこだけが平らになってしまって不格好です。
パーツを回転させながら円断面を意識して削れば良いのですが、お助け工具も出ています。
写真で使っているのはシモムラアレックの「Rボコ2」というもの。
表面のアールを維持したままの削りが楽にできるので便利ですね。

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パーティングラインの粗削りをしたパーツ。
この後はヒケの処理と同様、全体にペーパーをかけて表面を整えれば作業完了です。

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突き出しピン跡の処理

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上の写真の矢印の部分、丸いくぼみが付いています。
これが「突き出しピン」の跡と言われるもので、プラスチックが成型され型から外される時に付くものです。
パーツの裏など、完成後には目立たない部分に配置されていることが多いですが、設計の限界で表に出てしまうこともあります。
写真のパーツは肩装甲の裏側ですが、ここは完成後に見える部分なので処理が必要です。

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同様に、シールドの裏。
いくつものピン跡が確認できますが、完成後に見えるのは写真の中央、矢印の部分にあるものだけです。
この部分を例にピン跡処理の作業を見ていくことにします。

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まずは「Mr.バリ取り棒G」で粗削り。
このような奥まった場所での作業には、ナイフ系の工具よりも持ち手に対して先端方向に刃が付いているノミ系の工具の方が向いています。
バリ取り棒は肉厚の刃先で安定感のある加工ができるのでおすすめです。

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「バリ取り棒」だけでここまで削りました。

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スジボリ堂の「テーパーダイヤモンドヤスリ」幅2.5mm、400番で更に削ります。
このヤスリは側面や先端方向にも研磨粒子が付いているので、細かな部分の削りにもかなり対応することができます。

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「テーパーダイヤモンドヤスリ」で凸ディテールで囲われた小さな面全体が均一になるように削りました。

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最後は「つまようじヤスリ」で水研ぎ。
これは、つまようじの先端にペーパー片を接着した自作工具です。
一部のネット上で人気…のようですね。
実際使ってみると確かに便利ではあります。
使用しているペーパーの番手は400番。

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作業終了。
ピン跡は完全に分からなくなりました。
ペーパー跡は残っていますが、この程度なら塗装すればほぼ分からなくなるでしょう。

おしまい

今回は基本レベルの表面処理について、順を追って見ていきました。
やはり難しいのは細かく入り組んだ面や奥まった個所で、そのような部分を削る時には道具の工夫や慎重な作業が必要になってきます。
くれぐれも、功を焦って雑な作業をしてしまうことだけはないように…
「面倒だからちょっと適当にやってみよう」と魔が差したなら、もうその日の作業は終了した方が良いことのサインです。
そんな時は日を改めて、別の日に気持ちを落ち着けてから作業を再開すると、良い結果が得られることも多いですね。
精神論的ですが、ある意味究極的な「レベルアップのコツ」ではないかと思います。

さて、表面処理はまだ終わりません。
次回の記事では「ビームライフルの合わせ目消し」を行っていきます。

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基本工作で作るHGUCサザビー 工作編3.「表面処理で使う工具・一覧レビュー」

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製作の途中ですが、今回は工具の紹介です。

作業としては前回の「仮組み」に続いて表面処理に入っていきます。
面倒な作業も多く時間もかかりますが、模型工作の基本にして製作者の技量差が反映されやすい部分でもあるので、丁寧にこなしていきたいところですね。

振り返ると使った工具も多くなってしまったので、今回はツールレビュー的にそれらを紹介していこうと思います。
実際の作業は次回の記事からとなります。

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今回使った工具の紹介

突き詰めればアートナイフと400番の耐水ペーパーだけでほとんどの作業を行うことができるとも言えるのですが、近年では便利なお助け工具も多く発売されていますので、手持ちのものはどしどし使っていきます。
高価な道具も含まれていますが、上手く取り入れることで作業時間の短縮や工作精度の向上を狙うことができますよ。

[オルファ] アートナイフ

tools

モデラーの基本工具、オルファのアートナイフ。
表面処理の工程では、主に刃を立ててのカンナがけに使用します。
合わせ目やパーティングラインの処理で活躍するのはもちろん、使い方によってはスジ彫りまでこなすことが可能。
とりあえずこれがないと始まらない一本です。
刃先は交換式なので、切れ味が落ちてきたと感じたら早めに交換しましょう。

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[童友社] 凄!きさげカッター 短刃タイプ

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こちらもナイフの一種ですが「きさげ」は刃に厚みがあり、カンナがけをする際にも刃先のブレない安定した作業をすることができます。
作業内容的にはアートナイフでも足りるのですが、こちらもあればあったで便利…「持っているなら使う」といった感じです。

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管理人が所有している短刃タイプのほか、刃先の長い通常タイプ、丸みを帯びた笹刃タイプもあり。

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[造形村] セラカンナ

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セラミックの刃先でカンナがけをするための工具です。
最近では刃先が交換式のものも発売されていますが、こちらは肉厚の刃先が固定されたタイプの製品。
刃の厚みがあるので刃先の「ビビり」が少なく、作業に安定感があります。
セラミック刃は金属製のナイフ系工具よりも「鈍い切れ味」がミソで、「削れ過ぎない」切削性能でC面の整形作業がやり易いです。
刃先の形状が違う数種類が発売されていますが、管理人は「甲刃」タイプを所持。

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(参考リンク)
造形村 セラカンナ(甲刃) | ボークス公式 ホビー天国オンラインストア

[GSIクレオス] Mr.バリ取り棒G

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こちらもパーツ表面にカンナがけをするための工具ですが、ナイフ系の工具とは刃の向きが違い、パーツに対して垂直に刃先を当てることができます。
要は「肉厚で刃先に角度が付いた3mm幅の平ノミ」ですね。
持ち手から刃先まで金属の無垢で一体成型されているために、本体は非常に安定感があり刃先のブレは皆無。
この安定感を活かし、力のかけ方を変えて削れ具合をコントロールすることもできますし、また刃のキワにも鋭さがあるため逆エッジの削り込みにもある程度は対応可能など、想像以上に応用が効く工具です。
持ち手に対して刃が斜めに付いているナイフ系の工具とは使い勝手の面で競合するものではなく、「どちらが良い」というよりは用途によって使い分けるのが便利だと思います。
管理人自身、購入前は使用感について半信半疑だったのですが、購入後に評価が大きくプラスに変わった工具です。
この工具は「バリ取り棒」という名前でイメージ的に損をしていると思います…管理人的には購入後に必携工具の一つになりました。
おすすめ!

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[GSIクレオス] Mr.ラインチゼル用替刃 コブラブレード

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スジ彫りツール「ラインチゼル」のホルダーに装着して使う角度の付いた平ノミです。
上記の「Mr.バリ取り棒G」と似た形状ですが、こちらは刃幅も狭く削り跡も荒いため通常の表面処理には使えません。
奥まった場所にある段差や突起などを粗削りしたい場合には有効。
実際の作業では「コブラブレード」で粗削りをした場合、「Mr.バリ取り棒G」で表面をならしてからペーパーがけをするのがスムーズだと思います。
なくても良いけど、持っていればたまに役に立つ場面もある…と言った感じ。

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[ハセガワ] モデリング チゼル4 (模型用 ノミ 幅3mm平)

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ハセガワトライツールの模型用ノミ。
発売はかなり古く、模型用工具としては定番的なものの一つですね。
上記「バリ取り棒」と同じく、持ち手の先端方向に刃が付いている工具なので、ナイフ系の刃先が入らない場所の切削ができます。
今回は合わせ目にはみ出た接着剤の「ムニュ」跡を削るのに3mmの平を使用しました。

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[ハセガワ] モデリング チゼル1 (模型用 ノミ 平細)

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上記3mm幅のノミと同じシリーズで発売されている工具で、こちらは幅1mmの平ノミ。
刃幅の広い工具では入り込めない場所にはこちらを使うことになります。
3mm幅のノミとセットで入手しておくと、工作により融通が利くようになって良いです。
これで対応できない場所には、次に紹介するスピンブレードの極小サイズで。

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[ゴッドハンド] スピンブレード

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ピンバイスに装着して使うタイプの平ノミです。
この工具は刃先を回転させて円形の凹モールドを彫り込むための道具という面もありますが、もちろん小型の平ノミとしても使用可能。
刃幅は0.5mm幅から0.1mm刻みでラインナップされているので、1mm以下の平ノミが欲しい場合はこれを入手するのが良いと思います。
平ノミとして使う場合はホルダーがピンバイスでは重くて使いづらいので、管理人はウェーブの「HGマルチハンドル 細」に装着して使っています。
今回は刃幅0.8mmのものを極小ノミとして使用しました。
1.0mm以下の平ノミの使用頻度は多くはないですが、工具箱に入れておくと「ここぞ」という場面で活躍すると思いますよ。

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(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド スピンブレード 単品 0.5~0.9mm 各種 1mm未満 直販限定 彫刻刀 刃 | すべての商品 | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

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[シモムラアレック] 職人堅気 精密R面切削ツール Rボコ2

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これまた「なくても困らないけど、あると便利」な工具。
曲面のパーティングラインや接着面を整形する場合、普通のナイフのような刃先が直線的な工具で削り込むと「一部分だけ平ら」になってしまう失敗がよくあります。
この工具は刃先に初めからアールが付いているので、パーツの曲断面を崩さずに削り込みができる…というもの。
プロペラントタンクや武器の銃身など、曲面のパーティングラインを削らなければいけない場面はガンプラ制作において必ずあり、持っていれば活躍の機会もそれなりにあるでしょう。
見た目としては0.5mm厚程度の金属板で、板のエッジ部分を斜めに当ててスライドさせることでプラパーツを削ります。
削り味としては文句なし。
余裕があれば持っていても良いかな?という感じの工具です。(評価が難しい…)

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[ゴッドハンド] かまぼこヤスリ 8mm 単目

tools

単目の平ヤスリです。
ゲート跡やパーティングラインなどを大まかに削るのに使用。
かまぼこヤスリの特徴としては、本体に厚みと重さがあるので削り作業の際にブレが少なく力のかけ方のコントロールもしやすいこと、かまぼこ断面の平部分にだけヤスリ目がついているので側面で余計なキズを付ける心配がないことでしょうか。
ヤスリ目が一方向にだけ入っている「単目」は削り跡がきれいなので表面処理用のヤスリとして適しています。
(複目のヤスリではキズが付きすぎる)
使い勝手は良いのですが、ゴッドハンド製品の例に漏れず値段が高い…!
「単目の平ヤスリ」であれば同じように使うことができるので、新しく購入する場合は、この製品だけでなく色々なものを比較検討してみるのが良いと思います。

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(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド かまぼこヤスリ 8mm 単目 細目 中目 直販限定 平ヤスリ 金属ヤスリ 模型用 | 工具・作業ツール,金属ヤスリ,平 | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

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[タミヤ] ハードコートヤスリ PRO 半丸 7.5mm幅

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表面がメッキされた金属ヤスリで、ヤスリ面のパターンは複目。
特徴は切削力の高さと、目詰まりのしにくさ。
特に目詰まりのしにくさについては他製品とは別格で、ヤスリ面を歯ブラシで払うだけでほぼ完全に削り粉が落ちます。
一方の切削力についてはちょっと削れ過ぎるほどで、プラパーツの表面処理に使用するとヤスリ目が付きすぎるので控えたほうが良さそうです。
ただ、(素材に粘りがある)ABSパーツの切削には相性が良いようで、ゲート跡やパーティングラインをサクサクと削ることができ、またヤスリ目もプラパーツほどには目立ちません。
ABSパーツの表面処理はこのヤスリで大まかに削り込んだ後、400番のペーパーで水研ぎをすれば良さそうです。
ただし、それなりに大きさがあるので細かい部分の削りには対応できず、そういった箇所には別の工具を使用することになります。
総括としては、粗削り用のヤスリとしてはかなり高性能ですので、持っていて損はない一本でしょう。

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[上野文盛堂] 超精密 三角ヤスリ

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細かい部分の削りに対応できる三角形状のヤスリ。
ヤスリ目のパターンは複目ですが、目がかなり細かいので表面処理にも使用できます。
(もちろん、このヤスリで削った後にペーパーがけは必要です)
三角ヤスリは一本持っていると逆エッジなどの入り組んだ形状にも対応できるので、工具を揃えていく上での優先度は高いと思います。
基本レベルの工具として、とりあえず持っておきたい一本。

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[GSIクレオス] 匠之鑢・極 玄人 刀刃

tools

クレオスから発売されている特殊形状の金属ヤスリ。
ヤスリ目のパターンは目の細かな複目で、粗削りよりは仕上げ向きに考えられているようです。
「刀刃」は模型用ヤスリとしてはあまり目にしないもので、これはその名の通り日本刀のような形状をしたヤスリ。
イメージとしては三角ヤスリを平たく潰したような形なのですが、「刀の刃」にあたる部分には単目のヤスリ目が刻まれた極細い面があり、それを活かしてミゾ状の削り込みをすることが可能。
反対側の「刀の峰」にあたる面にはヤスリ目はありません。
今回は「刀の刃」の部分で太めのミゾの中にあるパーティングラインを削るのに使いました。
三角ヤスリに近い使い方もできますが、あればあったで局所的に役に立つ…という性格の工具だと思います。

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「刀刃」ヤスリ先端の拡大写真。
写真手前側が「刀の刃」にあたる部分です。

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[スジボリ堂] テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm

tools

極小サイズのダイヤモンドヤスリ。
幅とヤスリ目の粒度によって数種類ラインナップされていますが、今回は幅2.5mmの240番と400番を使用。
ビームライフルなどのガンプラの手持ち武器は形状が複雑な上に細かく、通常の金属ヤスリや耐水ペーパーでは削りにくい場合がありますが、このヤスリならかなりの場面に対応可能。
プラパーツなら400番でも良いですが、ABSパーツの切削には240番が使いやすいです。
値段はそれなりにしますが、持っていると工作の幅が広がります…ということで、これもおすすめ工具。

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先端部分の拡大写真。
先端や側面の方向にも研磨粒子があるので、このヤスリなら対応できる…という形状は多いです。

(参考リンク)
スジボリ堂 公式通販「テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 240番」のページ
スジボリ堂 公式通販「テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 400番」のページ
スジボリ堂 公式通販「テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 600番」のページ

[GSIクレオス] Mr.ラインチゼル

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スジ彫りを彫るためのノミの一種で、かぎ爪のような刃先を引くように動かすことで凹断面のスジ彫りを彫ることができます。
近年各社から様々な種類が発売されているスジ彫り用工具の中でもこれは比較的安価、かつクレオスからの発売で入手がしやすいものです。
特にこだわりがなければ、スジ彫り系の工具はまずこれを入手するのが良いのではないでしょうか。
今回は合わせ目消しで消えた(キットに元々ある)スジ彫りを修正する作業で使いました。
ホルダー本体とのセットに付属する刃先は0.3mm幅のものだけなので、その他のサイズの刃先も数種類買い揃えておくと作業がスムーズです。

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[ゴッドハンド] スジ彫りヤスリ 右手用 極小

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「目立てヤスリ」という種類の金属ヤスリで、模型製作においてはヤスリの縁(ふち)を使ってキズを付けるように「スジ彫り」を彫るために使います。
これはゴッドハンドから模型専用に発売されている製品で、ホームセンター等で入手できる一般的な目立てヤスリよりもサイズが小さく、繊細なスジ彫りを入れることができるように考えられているものです。
表面処理においては、ヤスリがけやペーパーがけによって浅くなってしまったスジ彫りを復活させるために使用します。
とはいえ、使用頻度を考えるとかなり高価なので入手の優先度は高くないかと思います。
極論、アートナイフでもスジ彫りはできますからね…
値段なりの性能はしっかりとあるので、思い切って買っても損はしない…とは思います。

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※なお、ノーマルのスジ彫りヤスリは品切れ(?)のようなので、同様に使える「コバ」タイプのリンクを貼っておきます。
(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド スジ彫りヤスリ コバ 直販限定 日本製 スジボリ モールド彫り | 工具・作業ツール,金属ヤスリ | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

[月世] 絶対プラモヤスリ タイラー 400

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プラ製の持ち手にペーパーが貼られた製品ですが、元々のペーパーを剥がして汎用の当て木として使用します。
厳密にはヤスリ面が平面ではなく少ししなった形状で、この「しなり」によってエッジをなめにくいというのが謳い文句の製品です。
管理人的には、先端の少し反った部分が細かい部分のペーパーがけの際に有効だったりするので気に入っていますね。
また、サイズ感もペーパーを頻繁に張り替えるための当て木として使いやすいものです。

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耐水ペーパーを貼るための両面テープは15mm幅のものがちょうど良いサイズで、「貼ってはがせるタイプ」を使用すると、ペーパーの貼り替えもスムーズです。
(もちろん、水研ぎをしてもペーパーがけの途中に両面テープが剥がれてしまうようなこともありません)

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価格も安いので、ペーパーの当て木を決めかねている場合にも気軽に試せるものだと思います。
管理人はちょっとお試し…のつもりで使ったみたものが気に入って、それ以来ペーパーの当て木はずっとこれがメインです。
最初から貼られているペーパーはかなり強力に貼り付けられているので、剥がすのが少し大変かもしれません。
それさえクリアできれば、半永久的に使えるペーパー当て木として非常におすすめの一品です。

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耐水ペーパー 400番

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表面処理には工具もいろいろ使いますが、最終的には耐水ペーパーの水研ぎで表面を仕上げることになります。
そう言った意味では最も基本的な工具と言えるかもしれません。
消耗品なので、管理人は入手性の良いホームセンター扱いのものを使っています。
タミヤのフィニッシングペーパーなどよりも性能は劣るのかもしれませんが、これでも充分に使用できますよ。
管理人は当て木として上記のタイラーを使用するので、あらかじめ「タイラー3つ分」の大きさに切ってクリップでまとめています。
曲面や細かい部分のペーパーがけには、古典的な「ペーパー3つ折り」でも使用しますが、その際もタイラー用にカットしたペーパーを3つ折りにすると、手持ちにちょうど良いサイズとなるので使いやすいです。
管理人は基本的には400番しか使いません…
ガンプラのつや消し筆塗り塗装なら、400番のヤスリ傷が埋まるくらいの塗膜は載せることになる…という考えだからです。
エアブラシの吹き付け塗装などで仕上げる場合は、もう少し細かい番手までペーパーがけをした方が良い場合もあるのかもしれませんね。

【追記】
クリアーパーツのパーティングライン等を削る場合には、もっと細かな番手が必要です。
今回はビーム・サーベルのクリアーパーツに800番と1000番を使いました。
詳しくはこの後の記事【工作編6.「表面処理・その3(ABS製パーツの処理、その他)」】にて。

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[ゴッドハンド] 神ヤス!

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スポンジヤスリの一種ですが、ホームセンター等で入手できる3M製のものとはかなり性質が異なり、模型用として使いやすいように考えられた製品です。
スポンジ部分の密度が高く対象により細かく馴染む上、ヤスリ面には「布ヤスリが貼り付けられている」ので、通常の研磨粒子が接着されたタイプのスポンジヤスリよりも、より細かい磨きが可能です。
「曲面に良く馴染む、高耐久の耐水ペーパー」といった感覚で使うことができ、曲面の表面処理をかなり効率良く行うことができます。
もちろん水研ぎも可能。
耐久性が高いとはいえ消耗品には変わりなく、ランニングコストの高さはデメリットですが、この使い心地の良さはクセになります…
スポンジ部分の厚みと布ヤスリ部分の粒度によってラインナップが分かれていますが、今回は400番の2mm、3mm、5mmをそれぞれ使用しました。
(製品としては、この他に10mm厚のものもあります。)

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[タミヤ] 調色スティック

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塗料を撹拌するための金属棒ですが、表面処理の工程では片側のヘラ状になった部分に耐水ペーパーを貼り付けてヤスリがけをするために使います。
ヘラ部分の幅は5mmなので、薄さも活かして狭い部分のペーパーがけに威力を発揮。
上記「タイラー」のような当て木や、三つ折りにしたペーパーの手持ちなどでは攻め込めない箇所でも、これならばペーパーをかけられる場合が多々あります。
それ以上に細かく入り組んだ箇所は、下記の「つまようじヤスリ」や「ニッパー型ピンセットで保持したペーパー」も併せて使っていくことになりますが、金属の当て木だけあって狭所のペーパーがけに使うツールの中では安定感のあるペーパーがけをしやすい方なので、こちらも積極的に使っていきましょう。(もちろん水研ぎも可能)
ちなみに…昔の模型誌の記事などでは「瞬間接着剤でペーパーを貼り付けて使う」と紹介されていたこともあったと記憶していますが、耐水ペーパーの貼り付けには両面テープを使った方が簡単です。
両面テープは、やはり上記「タイラー」の項でも紹介した「貼ってはがせるタイプ」がちょうどいい粘着力で便利ですね。

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つまようじヤスリ

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一部のインターネット上で人気(?)の自作工具です。
その名の通り、つまようじの先に瞬間接着剤で耐水ペーパーの小片を接着したもの。
ペーパー部分の面積は小さくすぐに削れなくなるので、あらかじめ大量に作っておき、湯水のように使い捨てていくことになります。
意外と先端にしっかり力をかけてヤスることができ、入り組んだ箇所のペーパーがけには非常に有効です。
また、先端のペーパー片に耐水ペーパーを使って作ればもちろん水研ぎにも対応。
ペーパーがけで細かい部分まで攻め込めない…とお悩みの方は、一度試してみる価値はあります。
管理人は先端ペーパー片のサイズを2mm×3mm、400番の耐水ペーパーで作りました。
瞬間接着剤は100円ショップの使い切りタイプで充分です。

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[ゴッドハンド] ニッパー型ピンセット 刃がないニッパー

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これはマイナーな工具かもしれません。
その名の通り、ニッパーの形をした重量級のピンセット。
普通のピンセットと比べると先端の安定感が段違いで、細かなモノをかなりしっかりと掴むことができます。
表面処理においては、この「しっかりと掴める」特性を活かし、折り畳んだペーパーの小片を掴んで極細かな部分のペーパーがけを行うことができます。
ニッパーがベースの重量級の本体なので、このような削り作業でも安定感は抜群、力もかけやすいです。
上記の「調色スティック」「つまうようじヤスリ」と使い分けることで、細かく入り組んだ部分のペーパーがけの際、かなり攻め込むことができるようになりますよ。
錆が怖いので水研ぎができないことだけは、この使用方法のデメリット。
ゴッドハンド製品なので値段はお高めですが…管理人的にはおすすめの工具です。
「安定感のある重量級ピンセット」というコンセプトにピンと来た方は、是非入手を検討してみてください…!

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(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド ニッパー型ピンセット 刃がないニッパー 日本製 | ゴッドハンドオリジナル,ピンセット | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

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瞬間接着剤

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開封した瞬間接着剤は湿気を避けて冷蔵庫に入れて保管するのが理想的とされています。
管理人は室温保管ですが、乾燥剤と一緒にビニル袋に入れて密閉しておくと大分長持ちする印象です。

ヤスリがけによってパーツに不要なキズを付けてしまった場合や、ペーパーがけでエッジを舐めてしまった場合…
そのまま無理に修正しようとするとパーツ形状を大きく損ねてしまうことになります。
このような場合には、欠損した部分にパテなど何らかの充填を行ってからの削り込みが必要です。

今回パテとして使用したのは瞬間接着剤、タミヤの「イージーサンディング」です。
その名の通り、硬化後の切削性を売りにした製品で、特性としては中粘度くらいでしょうか?
少しトロッとした感じで、浅いキズならこれで埋めることができそうです。

高さのある盛り付けをする場合は一工夫。
瞬間接着剤の古典的な裏技的テクニックとして「(少量の)ベーキングパウダーと混ぜ合わせて」からパーツに盛り付けることで粘度を高め、通常よりも高く盛り付けることができます。
混ぜ合わせてからの作業可能時間は20~30秒程度といったところ。
手早く作業する必要がありますね。

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増粘剤として使用するベーキングパウダー。塗料の空きビンに移し替えて使っています。

今回はペーパーがけでなめてしまったエッジの修正に使用。
粉を混ぜたことで脆くなったりすることもなく、切削性・強度ともに良好です。

混ぜ合わせる粉はベーキングパウダーに限ったものではなく、ベビーパウダーを使うなどいろいろな流派(?)があるようです。
管理人は古くなってしまったベーキングパウダーを模型用に拝借…
確か大昔にクッキーを焼こうとして買ったんですけど、ベーキングパウダーって絶対余りますよね.。

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プラセメント

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前項の瞬間接着剤といい、工具というか材料ですが一緒に紹介します。
モデラーお馴染みのプラセメント、溶剤系の接着剤です。
スナップフィットが標準になった近年のガンプラでは、ただ組み立てるだけでは必要ありませんが、合わせ目を消してしっかり製作する場合には接着剤が必須となります。
管理人は貼り合わせタイプを両面に二度塗りしてからしっかりと「ムニュ」付けするスタイルなので流し込みタイプはあまり使いません。
流し込みタイプの他、瞬間接着剤を使って合わせ目消しをする方法もあるので、この辺りは完全に好みですね。
溶剤系の接着剤を使った場合は、最低でも1日…できれば3日以上の乾燥時間が必要です。
タミヤやGSIクレオスといった主要な模型用品メーカーから発売されている他、貼り合わせタイプはセメダイン製のものがホームセンターでも入手できる場合があります。
製品によって粘度や乾燥速度に若干の違いがあるようですが、基本的には手に入りやすいものを使えば良いと思います。

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おしまい…!

改めて見てみると随分と工具を買い込んだものです(汗)
ホント工具はハマり出すと「沼」ですな…
道具に頼りすぎて手段と目的が逆転するようでは本末転倒ですが「良い道具は良い仕事をしてくれる」面も確かにあるので、訪問者の皆さんも今回の工具レビューをぜひ参考にしてみてください…!

次回は表面処理の実際の作業について見ていきます。

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基本工作で作るHGUCサザビー 工作編2.「スナップフィットの処理」

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HGUCサザビー、製作の2回目。
前回はパーツの切り出しとゲートの整形を行ったので、今回はスナップフィットを緩く加工しながら組み立てていきます。
スナップフィットの「非スナップ化」には幾つか方法がありますが、今回はピンバイスと球形ビットを使って受け側の穴を面取りし緩く加工しますよ。

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ピンバイスでダボを加工

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上の画像のパーツを例に作業過程を見ていきます。
右側のパーツが左側のパーツにハメ込まれることで固定される構造です。
パーツ形状が大きく力のかかる部分なので、固定用のダボは軸側・受け側とも太いパイプ状になっていますね。
ここでは左側の「受け側」にあたる穴を面取り加工して緩くします。

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加工前後のパーツを断面図で示すとこんなイメージです。
受け側の穴の入り口を球形ビットでスリバチ状に削ります。

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ピンバイスに球形ビットを装着した状態。
管理人が使っているビットはスジボリ堂の通販で買ったブッシュのスチールバーという品物です。
ピンバイス本体は20年以上前(!)に今は亡きハローマックで購入したタミヤ製のものですが、内部にゴッドハンドのディープコレットを入れて使っています。
ディープコレットはビットをよりしっかりと固定できる…というものだそうですが、今回のような軽めの加工では今ひとつ効果を実感できず…
(もっと力をかけて使うと違うのかな?)

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ピンバイスを受け側の穴に合わせて回転させて削ります。
元々開いている穴を拡張するだけなので楽々削ることができます。

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画像の左側、大きいパイプ状の受け穴3つをスリバチ状に削りました。
この画像くらいまで削れば適度な保持力を保ったまま後からバラすこともできる状態になります。

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プレート状のピンによるダボを加工

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次は画像のパーツです。
プレート状のピンが受けの穴に差し込まれることで固定される構造です。

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加工前後、それぞれの画像です。
プレート上の差し込みピンを山型に加工することで差し込みを緩くしています。
ここはニッパーで適当に切り飛ばすだけで大丈夫です。

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また、このパーツは画像の矢印部分がピン受けの穴にもなっています。
こちらは穴側に切り込みを入れることでハメ合わせを緩くすることにしました。
ここもニッパーで大まかに切り込んでいます。

小型のパーツにも注意

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画像のパーツは赤い装甲パーツに黄色の小型バーニアをハメ込む構造ですが、小型バーニアが枠状に囲われた部分にスッポリ収まることになるので掴める部分がなく、スナップフィットの処理だけをしても後から外すことは難しくなってしまいます。
左側の加工後パーツでは、スリバチ状に加工した受け側の穴の底を更にピンバイス(ドリル)で貫通させておき、裏から小型バーニアのパーツを押し出して外せるようにしています。
裏側は完成後に見えなくなる部分なので貫通させてしまっても問題ありません。
この部分のようにただダボを加工していくだけではなく、パーツの形状を見ながら外すときのことを考えて作業を進めていく必要がありますね。

おしまい・・・!!

スナップフィットのダボ加工「非スナップ化」には、ピン側を竹ヤリ状に斜めにカットする方法や受けの穴に切り欠きを入れる方法など幾つかやり方があると思います。
今回紹介した球形ビットで受けの穴を面取り加工する方法は、適度な保持力と外しやすさを簡単に両立できるので管理人おすすめの方法です。
球形ビットはサイズごとに揃えておくと、一体成型されたバーニアのモールドを彫り込むのにも使えたりするので便利ですよ。

さて、スナップフィットの処理ができればその都度パーツを組み立てていき、仮組みまでは特に問題なく進めることができると思います。
この後は表面処理と(多少の)ディテールアップを施して塗装に入っていきます。

仮組み状態は別記事で素組みレビューとしてまとめているので、そちらも参考にしてみて下さい。

次はからは表面処理に入っていきます。
まずは使う道具の紹介から。

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基本工作で作るHGUCサザビー 工作編1.「パーツの切り出しとゲートの処理」

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今回からHGUCサザビーの製作に入っていきます。
まずはパーツの切り出しとゲートの処理から・・・

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設定全高が25.6mと大型の機体なので1/144でもボリュームがありますが、細かすぎないパーツ分割で組み立てはスムーズに進められると思います。
このキットの特徴として、合わせ目消しが必要無い!ということがあります…!(ライフルは除く)
仮組みの時にはゲートの処理とスナップフィットの緩め加工だけをしておけば、後は表面処理としてヒケやパーティングラインを消してすぐ塗装に入れますね。
後ハメ加工をしなくて良いので、工作ではかなり楽ができそうです。

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パーツの切り出し

まずはランナーからパーツを切り出していきます。
今回は抜群の切れ味で作業の手間を節約できるアルティメットニッパーを使いますが、刃先に負担をかけないように耐久力の高いニッパーも併用します。

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まず使用したのはハセガワトライツールのエッチングニッパー。
本来はエッチングパーツ(薄い金属板のパーツ)の切り取り用なので、高い耐久力を活かしてランナー部分でのカットでも非常に安心感があるニッパーです。
もちろん、このニッパーのままゲート付近を切り取ることもできます。
名前こそ「エッチングニッパー」ですが、普通のプラモ用ニッパーと同様に刃先は片側が平らになっているので、高耐久のプラモ用ニッパーとして使っていくことができますよ。

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パーツ切り出しの第一段階。
ゲートのかなり手前、ランナー部分でカットしています。

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つづいて、今回はゴッドハンドのアルティメットニッパーを使用しました。
繊細な刃先で、ゲートにギリギリまで近づいて切っても比較的キレイに仕上げることができます。
仕上がりとしてはアートナイフでゲートを削ぐ方法のイメージに近いかもしれませんが、ニッパーを持ち替えて普通にカットするだけなのでナイフ系ツールに比べて作業の効率が良いですね。

もちろん、無理にこんな高い工具を使わなくてもアートナイフでゲート跡を削ぐようにすれば同じことですよ。
アートナイフを使う場合は、ゲートをもう少し切り詰めてからナイフでのそぎ落とし作業に移った方がゲートに負担がかからずキレイなカットができると思います。

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アルティメットニッパーは二枚の刃が「刃とまな板」で構成されているので、パーツ面に刃を添わせて切ることで「まな板」部分の厚みを利用してゲートをほんの少し残した状態でカットすることができます。
アルティメットニッパーは、この状態でのカットが簡単にできるので時短ツールとして優れていますね。
アートナイフでゲート処理をする場合も、ゲート跡はこれくらい残してカットしておき、最後はヤスリがけで処理するようにします。
手間は少しかかりますが、ナイフの場合でもやっていることは同じです。

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管理人の場合、ゲート跡は仮組みの段階でヤスリまでかけて面一(ツライチ)にしておきます。
今回使用したのはゴッドハンドのかまぼこヤスリです。
単目で目の細かいヤスリなら何でも良いかとは思いますが、かまぼこヤスリは競合製品よりも「重さ」があり、力加減のコントロールがしやすいので気に入っています。

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鉄ヤスリ共通の基本事項として、「押す方向」だけで削ります。
ヤスリも刃物なので刃の向きがあり、削れる方向が決まっていますよ。
力むと削れ過ぎて修正が大変なので最初はごくごく軽く…撫でるようにヤスリを当てます。
削れ具合を見ながら極微量ずつ込める力を増やしましょう。
「力を入れない」ことが鉄ヤスリを上手く扱うコツかと思います。

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矢印の位置がゲートのあった場所です。
写真では少し跡が残っているように見えますが、形状的には完全に平らになっています。
ヤスリがけでついたキズは表面処理の時に#400のペーパーで磨くので、仮組みの段階ではここまででゲート処理は終了です。

(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド かまぼこヤスリ 8mm 単目 細目 中目 直販限定 平ヤスリ 金属ヤスリ 模型用 | 工具・作業ツール,金属ヤスリ,平 | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店

※Amazonのリンクは5mm幅のタイプ。
かまぼこヤスリは8mm幅の方が自重を活かして削ることができるので扱いやすいと思います。

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注意が必要なゲート

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上の画像はフロントのスカートアーマーのパーツです。
ゲートがC面(パーツの際にある面取り部分)に付いているのでラフに作業すると簡単にパーツ形状を崩してしまいます。
慎重な作業が要求されますね・・・

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前の例と同じように、アルティメットニッパーでゲートを「ほんの少し」残して切り取ったところ。
繰り返しですが、アートナイフで処理する場合でも同じようにゲートは少し切り残します。

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単目の金属ヤスリ(この例ではかまぼこヤスリ)でヤスリがけ。
広い面にゲートが付いている他のパーツ以上に繊細な力加減のコントロールが必要です。
撫でるような力から始めて、ヤスリの背面に沿わせた右手人差し指を軸に徐々に力を込ていきます。
一度で結果を出そうとして、いきなり強く削ることは絶対にやめること!

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ゲート処理が終わったパーツ。
削る力が大きすぎると簡単にC面が崩れてしまいますが、上手くC面の幅を変えずにゲートだけを削ることができました。

このようなゲートの付き方は、他にもリアのスカートアーマーやシールド(というかBランナーの全て)といった箇所が該当します。
崩れたパーツ形状を修正するのはなかなか大変なので、慎重に慎重に・・・じっくりと作業しましょう。

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もう一点、注意するべきポイントとして曲面に付いたゲートがあります。
写真はプロペラントタンク(の一部)になるパーツ。
円柱形状が1パーツで成型されたパーツですが、局面のタンク側面にゲートがあります。
このような部分は平面のヤスリで削りすぎると、そこだけ平らになって不自然になってしまいます…

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上の画像はヤスリをかけた状態です。
ヤスリをパーツ形状に沿って回しながらかけ、元の曲面を極力崩さないようにしています。
最終的にペーパーで仕上げるつもりで、鉄ヤスリでの作業は少し削り残すくらいのつもりで止めておいた方がいいかもしれませんね。
このパーツにはゲート跡に隣接してパーティングラインも入っていますが、鉄ヤスリの作業では無理をせずにゲート跡の部分だけを狙って削るに留めています。

今回はここまで…!

パーツの切り出しとゲート処理、プラモデル制作の第一歩にあたる作業ですが、後の表面処理につながる部分なので丁寧に作業をしておきたいところです。
また鉄ヤスリは便利なのですが、今回使ったような目の細かい単目のものでもパーツ表面にはどうしても細かなキズがついてしまうので、やはり最終的にはパーツ表面は全てペーパーがけをするくらいのつもりでいた方が良いと思います。
(ちなみに管理人は#400のペーパーで終わりにして塗装に入ります)
また記事中でも触れましたが、不必要なキズをつけないように極力力まずにヤスリを扱う感覚も重要ですね…

さて、次回はスナップフィットの非スナップ化…一度組み立てたガンプラを作業しやすいよう、またバラせるようにハメ合わせのピンを加工する作業です。

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