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基本工作で作るHGUCサザビー 塗装編1.「塗装の準備~塗装道具を一覧で紹介」

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こちらは前回までの工作で一通り仕上がったサザビーのMS本体を再び仮組みしたところ。
基本工作と簡単なディテールアップのみなのでキットを活かした仕上げといったところですね。
まだヤスリやペーパーがけをした時の削りカスが残っているので、今回はパーツ洗浄をしてキレイにしてから塗装に入ります。

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パーツの洗浄について

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写真は洗い終わったパーツたち。
本体を分解する時は、写真のようにパーツをユニット毎、更に塗装色毎に分けて管理すると分かりやすいと思います。
洗い作業は台所用の中性洗剤と歯ブラシを使い、よくゆすいでおきましょう。

パーツ洗浄の目的としては、「作業中に付いた手の脂分を落とす」ことと「ヤスリ等の削りカスを落とす」ことだと思いますが、手の油分については通常そこまで気にしなくても良いと思います。
水性塗料とはいえ、溶剤(うすめ液)で希釈する場合にはそこまでパーツ表面での「弾き」は起こらないものです。
管理人は小中学生時代に旧版の水性ホビーカラーを水で薄めて苦労した記憶が強いので(笑)塗装前には毎回洗浄をしてしまうのですが、削りカスがきれいに取れていれば洗浄の過程は省いても良いくらいだとは思いますよ。

塗装道具の紹介

洗浄したパーツが乾燥したら早速塗りはじめ…なのですが、今回はまず管理人が使っている塗装道具類の紹介をしていこうと思います。
実際の塗装作業は次回の記事からになりますね。
管理人は筆塗りしかしない人なのでエアブラシや缶スプレーは出てきません!念のため…

水性ホビーカラー

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メインの塗料は水性ホビーカラーを使います。
数年前にリニューアルして性能が向上した「新版」ですね。
現在店頭で購入できるのはほぼ新版だけだと思いますが、間違えて旧版を買わないように…
旧版は乾燥が遅いのと、塗膜にも妙な柔らかさがあって扱いづらいので今から手に入れるメリットはありません。
上の写真のものが現行の新版ですね。
旧のものはラベルが違うので見分けがつくと思います、、、

管理人は基本的に混色をしないで、ビンの色そのままで塗っていきます。
これは塗装作業が途中で中断したとしても、続きを塗るときに前回と同じ色で塗っていくためです。
社会人モデラーは一度に長時間の作業を行うことが難しい場合が多いですが、ビンの色そのままを使えば少しの時間でも作業の再開・中断が可能になりますよ。

もっとも、予めスペアボトルにまとまった量の調色した塗料を用意しておいても良いのですが、、、
塗料を切らしても新しいものを買ってくれば全く同じ色が用意されているというのはやはり安心感が大きいので、今回は基本的に市販の色をそのまま使うことにしました。

上の写真の5色は基本の赤色を塗っていくためのもの(の一部)。
写真の左のものから右にかけて、暗色からの重ね塗りでグラデーション効果を狙います。
混色をしないでこの塗り方をしようとすると、使用する塗料ビンの数がかなり多くなってしまうのですが、便利さのためにはある程度仕方のないところ…

もちろん、今回の機体は赤一色ではないので他の色も使いますよ。
その他の色は実際の塗装過程を追いながら、その都度紹介していこうと思います。

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水性ホビーカラーとタミヤアクリル、それぞれのフラットベース

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塗料には適宜フラットベースを添加してつや消しの仕上げとしていきますが、フラットベースは水性ホビーカラー用のものに加えてタミヤアクリルのものも使用します。
タミヤアクリルのつや消し色はかなりつや消し感の強いカリカリの塗膜が特徴ですが、水性ホビーカラーにタミヤアクリルのフラットベースを混ぜることによって、水性ホビーカラーにこの強いつや消し具合を与えることができるのです。
違うメーカー同士なので使用は自己責任となりますが、水性ホビーカラーとタミヤアクリルは相互に混ぜることができ、溶剤も互換性があります。
フラットベースは水性ホビーカラー用・タミヤアクリル用のどちらを使うか、またどのくらいの量を添加するかによってもつや消し具合が変わってくるので、作品の仕上げのイメージや好みによって調節をしましょう。
今回は本体の赤色塗装の最終段階でタミヤアクリルのフラットベースを使用、それ以外は水性ホビーカラーのフラットベースを使用しています。

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水性ホビーカラーうすめ液

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塗料はビン生ではなく希釈をしてから使います。
濃い塗料を塗ると少ない回数で発色はしますが、塗膜が厚く不自然なムラも出やすくなるので、原則塗料は希釈してから塗った方が良いですね。
水性ホビーカラーは水性塗料といえど、水で希釈すると塗装面での弾きが発生し、極端に扱いづらくなるので専用の溶剤は必須と思っておいた方が良いです。
ただし、その溶剤もそのまま使うと重ね塗りの際の下地の溶け出し(下地泣き)が強めなので、実際には「うすめ液を水で割ったもの」で塗料を希釈していくのがここ最近の管理人流。

(この「水割りうすめ液」の性能については別記事で検証を行いました。)

作業中は大量に消費するので、うすめ液と水道水を1:1で混ぜ合わせた「1/2うすめ液」として、大きめのスペアボトルにまとまった量を用意しておきます。

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アクリジョン ベースカラーとうすめ液

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今回のHGUCサザビーには一部にABS製のパーツがあるので、大事を取ってアクリジョン・ベースカラーも用意しました。
ABS製パーツは塗料の溶剤が浸透することで割れが発生する「らしい」です。(出戻りモデラーの管理人はABSの塗装自体が今回初だったりします)
水性ホビーカラーにもABSパーツには使用できないというメーカー公式の注意書きがありますね。

店頭で配布されているGSIクレオスの塗料パンフレット。
水性ホビーカラーのページには右上に「ABS樹脂パーツへの塗装について」という注意書きがありますね。
ABS樹脂は水性ホビーカラーによるパーツ割れの危険があるため、塗装をしないよう指示されています。

今回はABSも塗れるという触れ込みのアクリジョンから、ベースカラーシリーズのベースグリーンをABSパーツ保護目的で下塗りに使用。
アクリジョンの筆塗り法については、今回ネットや雑誌でいろいろと調べてみても今一つピンと来るものがなかったので、これもまた自己流になりますが、うすめ液で希釈してから塗ることにしました。
用意したうすめ液は「エアブラシ用うすめ液 改」。

実際の使用感については後の製作記事中で解説します。

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使う筆は3本。
平筆、面相筆、ドライブラシ用の筆がそれぞれ1本ずつあれば充分です。

・平筆…タミヤ「モデリングブラシ HG 平筆」の小サイズ

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 天然毛(馬毛)の平筆。
 とりあえずメインの筆はこれ1本だけだけあれば良いです。
 今回、塗装の9割以上はこれで塗っています。
 塗料の含み、強すぎない適度なコシ、毛先のまとまり、抜け毛の少なさ、等々…非常に扱いやすい筆です。
 タミヤ製品なので取り扱い店舗が多く、グレードの高い筆としては比較的値段が安めなのも良いですね。
 筆塗り入門にどれを選べば良いか分からないという初心者の方は、とりあえずこれを買っておけば間違いないと思いますよ。
 模型雑誌等に掲載される商業ベースのHowToだけではなく、ネット上の個人ブログなど、各所でおすすめされる機会が非常に多い筆でもあるようです。
 極小・小・中の3サイズが発売されていますが、ガンプラ用には4mm幅の「小」が使いやすいですね。

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「小」サイズの穂先の幅は約4mm。
なお、この写真の筆は新品のものです。

・面相筆…Too「セーブル長峰 No.1

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 塗装のほとんどは平筆でこなしていくことができるので、面相筆は補助的に使います。
 大きなパーツの塗装においてはパーツのエッジやディテール部分など、平筆では穂先が届きにくい場所を予め塗っておくようにすると、塗り残しも防げ、またパーツ表面での塗料の泡立ちや垂れも防ぐことができますね。
 その他、細かな部分の塗り分けとして基本塗装が終わった後で各部の小バーニアやダクトなどの細部に色を入れていくのにも使います。
 
 管理人が使っている「セーブル長峰 No.1」は、イラストレーター・プロモデラー等として活躍されている横山宏さんが著書「Ma.Kモデリングブック」の中で紹介していたもので、界隈では「一番筆」などとも呼ばれ愛用者も多いもののようです。

 穂先が長いので塗料の含みが良く適度なコシもあり、細部の塗分けからタッチを活かした平面の塗装まで広く使っていくことができます。

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Ma.Kモデリングブックは全ページ目からウロコの大変楽しい模型本。
とりあえず筆塗りモデラーは全員必読!
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セーブル長峰No.1の穂先は、面相筆としてはやや長めの約15mm。
もちろん毛先のコシを活かして細部の塗り分けにも充分使っていくことができる性能を持っています。

・ドライブラシ用の筆…豚毛の平筆(文房具店で入手した画材用品)

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文房具屋で買ってきた豚毛の平筆。
写真のものはドライブラシ用として穂先を半分程度にカットしています。

 一口にドライブラシと言っても色々と塗り方はあるのですが…
 今回は面を叩くように塗っていくドライブラシなので、このような場合には豚毛の平筆が向いています。
 管理人は文房具店の画材コーナーで入手した筆を使っていますが、100円ショップでも手に入る場合があるようです。
 ドライブラシ用の筆は模型用品メーカーから発売されているものもありますが、これでも充分使っていくことができますよ。
 毛先は短い方が使いやすいので、半分程度にカットして使っています。
 今回使用したものはぺんてるの豚毛筆…平4号という小さめのもの。

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新品の筆を買ってきたら、穂先を2/3から1/2程度を目安にバッサリカット。
ニッパーで毛先を揃えて一気に切りましょう。
切った後は紙やすりの上で穂先を払って抜け毛を取り除いておくと良いですね。

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塗料皿

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塗料皿は画材店で購入できる陶器の「とき皿」を使います。
模型用品としてよくある薄手の金属でできたお皿よりも重さがあって安定しますし、塗料を混ぜたり薄めたりする際にも使いやすい大きさになっています。
白色なので取り出した塗料の色の具合を見やすいのも良いですね。
模型用品として売っている塗料皿よりは高めですが、長く使えるものなので買って損はないでしょう。
2枚1組で用意しておくと、1枚は裏返してフタとしてかぶせておけるので便利です。

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スポイト

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スポイトは、お皿に取り出した塗料を希釈するのに使います。
作業中にはうすめ液を1滴ずつ滴下して濃度を調節する必要があるので、これも絶対に必要なものですね。
模型用品としても発売されていますが、文房具店やホームセンターで購入できる汎用品でも充分に使えるものです。

ホームセンターのケミカル用品コーナーにビーカーやフラスコなどと一緒に大きめのものが売られていますが、模型用には写真のような小サイズのものが使いやすいと思います。
小さめサイズのスポイトは、書道用品としてスーパーやホームセンターの文房具売り場、また100円ショップ等で売られていますね。

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タミヤの調色スティック

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模型用の塗料はビンの中で顔料と溶剤成分が分離しているので、使用前には必ず中身をかき混ぜなければいけません。
ランナーの切れ端でも代用できなくはないのですが、ここはやはり専用品が使いやすいですね。
筆塗りでは一度に使う塗料の量もそれほど多くはないので、この調色スティックでかき混ぜた塗料を1滴、2滴…と数えながらお皿の上に垂らして使います。
また工作編の表面処理の記事でも紹介したように、ヘラになっている方にペーパーを貼り付けて簡易ヤスリとしても使えたりと、プラモデル製作の全般に渡って出番がある一品。
定番のタミヤ製を入手しておくと長く使えると思います。

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パーツの持ち手

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作業中にパーツを浮かせておくための「持ち手」です。
筆塗り塗装とはいえ、やはり持ち手はあった方が断然良いですからね。

この手の製品は様々なメーカーから色々なものが出ていますが、写真のものはHIQPARTSから発売されている軸がステンレス製のもので、安定感が高く、また金属の軸は木製のものよりも細いので後述の猫の爪とぎ(パーツ立て)に差し込む際にも段ボールの穴とのサイズ感が丁度良く、使い勝手が良いものとなっています。

この製品は20本セットでしたが、筆塗り塗装では一度にそれほど多くのパーツを塗ることができないので、とりあえずはこれだけあれば充分に使っていけると思いますよ。

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パーツ立て(猫の爪とぎ)

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持ち手を付けたパーツを差し込んで、塗料が乾くまで浮かせておくものです。
写真のものは「猫の爪とぎ」として販売されていた段ボール製のペット用品。
模型メーカーから類似の専用品も発売されていますが、これでも充分に使っていくことができます。
管理人はディスカウント系スーパー(トライアル)で購入しましたが、この大きさ(実測で約12cm×48cm)で100円強とかなりの安さ…当記事執筆時に価格調査に行ったところ、税込み129円となっていました。
(以前の購入時は100円以下だった記憶があるのですが…ここ最近の物価高の影響(?)で少し値上げしたようです)
付属のまたたびはいらないので少し安くして下さい…(笑)

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塗装作業中の写真。
パーツの持ち手棒をダンボールの穴に差し込んで固定します。
厚みは実測で約2.4cm程度ですが、差し込んだ持ち手の自重で倒れるようなこともありません。

ほこりとりブラシ

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タミヤの「モデルクリーニングブラシ 静電気防止タイプ」という製品。
塗装作業前にパーツに付いてしまったホコリを払うのに使うブラシです。
大きめサイズのブラシで、パーツ全体をサッサッと払っていくことで手早くホコリを落とすことができます。

部屋に舞っているホコリというものは意外と多く、パーツを持ち手につけて準備をし、さあ塗装…というタイミングで、もうホコリが付着していることもあったりします。
そんな時にもこのブラシでサッとホコリを払ってやれば安心ですね。

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持ち手の部分のキャップを外すと、小さ目サイズのコシのあるブラシが出てくるので、入り組んだ箇所に付いたホコリや、こびり付いたパーツの削りカス等もこちらで払い落とすこともできますよ。
地味だけど、意外と便利な一品です。
一つ持っていれば塗装場面における使用頻度はかなり高いかと思います。

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Mr.キャップオープナー

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テコの力を使い、プラ製のレンチでビンのフタを開けるアイデア商品。
青い方は滑り止め用のボトルグリップです。

ある意味では水性アクリル系使いにとっての最重要アイテムとも言える、クレオスのキャップオープナーです。

プラモデル用塗料を使っていると、ビンのフタを閉めるスクリュー部分に塗料が固着してしまい「ビンのフタが開かない…!」というトラブルに必ず遭遇します。
しかも、水性ホビーカラーやタミヤアクリルといった水性アクリル系塗料は乾燥した塗料の固着具合が非常に強く、どうやってもフタが開かないという事態になりがちなのです。
対策として、フタを閉める前にビンのフチについた塗料を拭うようにするなどできることはありますが、それでも開かなくなる時には開かなくなるもの。

手袋をして力をかけたり、マイナスドライバーでこじ開けようとしてみたり、隙間からうすめ液を垂らしてみたり…と手を尽くしてもフタが開かず途方に暮れたという経験、ある程度プラモデルを作っている方なら誰もがあると思います笑

そこで、この「キャップオープナー」です。
パッと見は100円ショップのヘンテコグッズみたいですが、見た目からは信じられないほど便利な一品。
プラ製のレンチをビンのフタにはめこみ、テコの力を使って固着したフタを開けることができます。
ただそれだけなのですが、その性能は単純にして強力。
フタのスクリュー部分で塊状になって固着していた塗料がバキバキと音を立てて剥がれていく様子は実に気持ちがいい。笑

もはや水性アクリル系使いでキャップオープナーを使っていないモデラーはモグリと言っても良いくらいの革命的一品です!
水性ホビーカラーはもちろんタミヤアクリルのビンにも対応。
これ一つあるだけで、ビンのフタが開かなくて指の皮がむけるような今までの苦労から一気に解放されますよ。

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キムワイプ

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ケバ立たないティッシュ、といった感じの紙製ウエスです。
筆先を拭ったりするのに使います。
ティッシュは手軽な反面、細かい繊維が付くのでこのような用途には向きません。
入手は通販が安くて便利ですが、街のホームセンターでも売っていることが多いと思います。
ホコリ対策として、これもできれば用意した方が良いでしょう。

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100円ショップのケース

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分解したパーツを部位毎に分けて保管しておくのに使います。
ガンプラなら「胴体」「腕部」「脚部」などとパーツを分類しておくと、各作業工程や、再組立ての際にもパーツを探す手間が少なくて済みますよ。
フタの開閉が簡単なものを選ぶと作業がスムーズに行えると思います。
本記事冒頭の写真でも紹介しましたが、今回のHGUCサザビーでは小型のケース8つに分けてパーツを分類しました。

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写真のものは和泉化成株式会社という会社の製品。

単なるケースなので、これに限らず好みのものを使えば良いのですが、この製品はフタにロック機構がなく開け閉めが簡単なので作業中の扱いが楽でオススメです。
管理人の地元ではダイソーとセリアの両方に同じものが置いてありましたので、100円ショップに広く卸されている商品のようですね。

洗面器

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作業中に筆を洗うための水を入れておくのに使います。
もっと小さい筆洗い容器でもいいのですが、せっかくなのでモノは大きく使うと作業にも余裕ができますよ。
「筆洗いの溶剤(水)を無限に使える」のが水性塗料の最大のメリットなのですから…!

お風呂場で使っているものとは分けて、模型専用の洗面器を一つ用意しておくと良いですね。
筆洗いとして使う以外に、表面処理でパーツを水研ぎする場合などでも水を張った洗面器を机の上に用意しておくと作業がやりやすいですよ。

マジックリン

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家庭用の洗剤ですが、水性アクリル系塗料を溶解する特性があるため後片付けや道具洗いに使います。
かなり強い溶解力で、完全に乾燥した塗料皿や筆先の塗料を溶かしながら洗い落とすことができるため、これがあるだけで後片付け時の安心感がまるで違います。
また、塗装に失敗してしまった時はパーツにマジックリンを吹きかけることで塗膜を剥がし、塗装前の状態にまでリセットする…という使い方もできたりします。
水性塗料使いなら、とりあえず持っておいて損はないでしょう。
ドラッグストア等で入手可能な日用品のため、価格も非常に安いです。

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食器洗い用のスポンジ

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前述のマジックリンと合わせて、作業が終わった後に陶器の塗料皿を洗うのに使います。
安物で充分ですが、台所で食器洗いに使っているものとは完全に分けて必ず模型専用として用意すること!
塗料というのは人体にとって「有害」です。(常識かと思いますが、一応…)

写真のものはスーパー(イトーヨーカドー)の台所用品コーナーで売っている中で一番安かったもの。
5個入で100円弱という安さですが、基本的に消耗品ですしこんなものでも充分でしょう。

後片づけ用筆洗液 アプト

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こちらも水性塗料(や、その他塗料も)を溶解する特性のある液体。
マジックリンやその他の家庭用洗剤と同様に界面活性剤を含んでいますが、有機溶剤ではないので匂いを気にせずに使っていけるのが嬉しいですね。

マジックリンと同じく水では落とし切れない段階まで乾燥してしまった塗料を溶解できるので、これを後片付け用に用意しておくと便利です。
使い方はマジックリンとは異なり、つぼ型の容器の中に直接筆を突っ込んで毛先の塗料を洗い落とします。
基本的に筆専用の洗い液と考えた方が良いですね。
使用後には水でのすすぎが必要となるので「後片付け用」となっていますが、水性塗料の場合は穂先が水で濡れたまま使っても問題ありませんから、作業中の筆洗いにも問題なく使っていくことができますよ。
その場合は、この「アプト」液を水で良く洗い落してから、更に水性ホビーカラー用のうすめ液で穂先を少しゆすいでおくようにすれば良いですね。

先述の通り有機溶剤を含まない無色無臭の液体で、筆のトリートメント効果もあるという触れ込みです。
実際の作業時は筆は主にこのアプトで、塗料皿はマジックリンで…と使い分けるのが良さそうですね。
容器の中の洗浄液が汚れてきても洗浄力はあまり変わらない印象で、かなり長く使い続けることができコストパフォーマンスも抜群です。

※模型用品としては別メーカーからブラシエイドという商品が出ていますが、実際には両者は同じもののようです。(「アプト」は美術用品として流通しています。)

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筆用コンディショナー

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タミヤから発売されている筆用のリンスです。
毛荒れを予防し、乾燥後は穂先をノリで固めることによって筆の型崩れを防ぐことができるというものです。

管理人の体感では、毛先がある程度荒れてしまった筆に使っても若干は状態が改善するようですが、基本的にはまだ状態の良い筆に対して予防的に使う方が効果があるようです。
とはいえ結果を数値で示すことができないので、効果の「ある」「ない」はどうしても感覚的なものになってしまいますね…
それでも筆の毛先がピシっと揃っているのは気持ちが良いものなので(笑)、筆塗り派モデラーは持っておいても損はない一品かと思います。

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新聞紙

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机の上に敷いておく新聞紙。
気を付けていても、塗料や溶剤をこぼしてしまうことはありますから、作業スペースを覆うように敷いておくのが良いでしょう。

アートナイフプロと曲線刃

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こちらは工作でも多用するアートナイフの大型タイプ「プロ」です。
プロ専用の替え刃「曲線刃」を取り付けて、塗膜に入り込んだホコリやダマを削り取るのに使います。
曲線刃を使うと、通常の直線の刃先よりもピンポイントで削りたい箇所に刃を当てることができますよ。
削った個所は小さなキズになってしまうので、より綺麗にホコリを削り落とすなら目の細かなペーパーを使ったほうが良いのですが、修正箇所を上塗りで馴染ませることができるような塗装計画の場合なら、お手軽なナイフでの修正も有りだと思います。
本体を買うと曲線刃もセットになっているので、お試しで少し使ってみる程度なら最初は別売りの替え刃は買わなくても良いでしょう。

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神ヤス!の8000番(または高番手の耐水ペーパー)

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ごく目の細かいスポンジやすり。
今回は塗装に失敗し、厚塗りになってしまった塗膜を削るのに使いました。
神ヤス8000番の水研ぎでは、パーツのエッジなどヤスリが当たりやすい部分は割と簡単にプラ地が露出するまで削れてしまうので、より慎重に行くなら10000番といった更に高番手のものを使うのも手かもしれません。
ただ、研ぎ出しをするでもない塗り直し前提の塗膜の削りなら、8000番くらいの削り味の方が作業効率が良いと思います。

塗装に失敗した厚塗り部分の対処としては、マジックリンで塗膜を溶かしてリセットする方法もありますが、それだと文字通り全てがリセットされて最初からのやり直しになってしまうため、そこまでしたくない場合やパーツの一部分の塗膜だけを何とかしたい場合などは高番手でペーパーがけをした方が良いでしょう。

神ヤス!は様々な番手が少しずつ入ったお試しセットも発売されているので、最初はそれで各番手の感覚を試してみるのも良いですね。
塗膜を水研ぎする程度なら高番手の神ヤスは長持ちするので、お試しセットに入っている分だけでも充分に作業ができると思いますよ。

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ある程度以上高級なピンセット

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工作では細かなパーツの取り付けや細部のペーパーがけに便利なピンセットですが、塗装作業においては不意に塗膜に付着したホコリを乾燥前に掴み取るのが主な使い方です。
対象がホコリでは非常に細かな作業となるので、先端の精度が保証された、ある程度以上のグレードのピンセットがあると作業時の安心感がまるで違います。

管理人が主力として使っているのはゴッドハンドのパワーピンセット 、先広タイプ。
ワンランク上のピンセットとして精度や剛性感の高さを感じることができる一品です。

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この先広タイプは先端が約2mmの平面となっている珍しいタイプのピンセットで、デカールやシールを傷つけずに掴むことができるというのがキャッチコピーですが、その幅広の先端がホコリの端を掴み取るのにも丁度良くて気に入っています。
もちろん、今回の制作ではシールを扱う際にも活躍してくれました。

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医療・介護用など、ピッチリタイプのゴム手袋

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手が汚れないように付けておく手袋。
通常は持ち手に付けたパーツに色を塗っていくことになるので、筆塗りの場合そうそう手が汚れるものではないのですが、一番これが必要になるのはドライブラシの工程です。
ドライブラシでは、特に今回のように豚毛筆でガシガシと塗膜を擦るような塗り方をする場合、棒状の持ち手では全く強度が足りないためにパーツを直接手で持って塗ることになります。
そうすると、必然的にパーツを持っている方の手ははみ出した塗料で汚れてしまうことになるので、予め手袋をしておくのが無難と言えますね。

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使い捨ての手袋としては台所用品等として売っている大き目のものもありますが、手の指にぴったりフィットしないタイプはゴワゴワして作業効率や精度の大きな妨げとなるので、模型用にはピッチリタイプの手袋を用意したほうが断然良いと思います。
管理人が使っているのは、医療用として売られている使い捨てのゴム手袋。
ピッチリタイプの手袋は手先の感覚の妨げになることはなく、手袋を付けた状態でも非常に精密な動作が可能です。

管理人は男性としては手が小さめなのでSサイズがピッタリフィットしますが、このサイズ感は人によるので何とも言えません。
基本的に100枚入りなどの箱で買うことになるのでサイズ違いを買ってしまうと悲劇ですが、自分の手の大きさに合うサイズさえ分かればこれ程使いやすいものはないと思います。
手の汚れ防止のほか、マジックリンを扱う際の防護用として使うこともできますよ。
(※ラベル裏の注意書きより、マジックリン使用時は換気と手袋の着用が必要となっています。)

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マジックリン裏面の注意書き。
換気が必要なことと、保護眼鏡と手袋の着用が指示されていることには注意した方が良いでしょう。

1箱100枚入りというのが多すぎると思うかもしれませんが、日常生活の中でも水場の家事や虫退治(笑)といった場面で使っていくことができるので、意外と無駄にはならないでしょう。
夏場にエアコンのない室内で着用すると異常に蒸れて最悪なのと、ラテックスなどゴムのアレルギーがある人は使用できない可能性があるので、そこだけは注意が必要ですね。

入手するには、まずスーパーで台所用や介護用などと銘打った品物が手に入ることがあるようです。
他に、ネット通販では医療用のものも売られていますね。
Amazon扱いの医療用は、「このページには、医療従事者のみが購入できる医療機器情報が含まれています。あなたは医療専門家ですか?はい/いいえ」という確認ページを経ないと商品のページに入れないようになっています。
ということは、購入は自己責任ということになってしまうので、管理人としてはここでこれ以上のコメントをすることはできませんが…

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マスキングテープ

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タミヤのマスキングテープはホコリを防ぐケースに入っているので便利です。
右のものは詰め替え用のテープ。ケースを使いまわせば安く使い続けることができますね。

塗料を付けたくない部分を覆っておく(マスキングする)ための、粘着力の弱いテープです。
エアブラシなどでスプレー塗装をする場合はマスキングが大きなポイントになりますが、筆塗りではそこまで重要な要素ではありません。
細かな塗り分けは面相筆で描き込むことになりますし、多少のはみ出しも逆側から面相筆で上塗りをすることで修正をしていくことができるからです。

今回の制作では、粘着力が弱い「貼ってはがせる」特性を活かし、マーキングシールを貼る際の位置決めの目安となるガイドを作るのに使いました。
一つ買うならタミヤのケース入り10mm幅が無難かと思いますが、今回のような場面では広い幅は必要ない(むしろ細い方が良い)ので、カッターマットの上で細切りにしてから貼り込んでいます。

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おしまい

以上、管理人が筆塗り塗装に使う道具一覧の紹介でした。

プラモデルの筆塗り塗装ってどうしても、今一つ取っつきにくいイメージがありますよね。
原因の一つとして「塗料の希釈率」「筆の選択」「塗り方(筆の動かし方)」といった各要素がプロ・アマ問わず人によって違いすぎるので、画一的なお手本を提示しづらい…といったことがあるのではないでしょうか。

そういう意味ではここで紹介する内容も数多くある方法論のうちの一つには過ぎないのですが、使っている道具や作業中に考えていることなどの管理人なりの考えを、記事を通して丁寧に発信していけたらと考えています。

さて、それでは次回からは実際に塗り始めですね。
まずは下地の暗色から。
管理人なりの筆塗り法の基本にも触れていきたいと思います。

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水性ホビーカラーを水で薄める!…のは無理なので「うすめ液の水割り」で快適に筆塗りをしよう

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2019年11月にリニューアルされ、使い勝手が良くなった水性ホビーカラー
タミヤ・アクリル塗料とともに、模型用塗料の一つ「水性アクリル系塗料」の代表的な銘柄として多くのモデラーに親しまれています。

そんな水性ホビーカラーですが、扱いにややコツが必要であるのもまた事実。

・ビン生や濃い目の希釈では乾燥が早い。というか早すぎて筆塗りでの伸びが悪い。
・かといって溶剤で薄めに希釈して重ね塗りを繰り返すと、下地に塗った塗料が剥がれることがある。
・水で希釈すると伸びは良くなるが、薄めすぎると塗装面の微妙な油分に反応して容易に弾かれるようになる。
・水希釈で弾かれない濃さの範囲が体感ではかなり分かりづらく、希釈率のコントロールが難しい。

…ええと、これらは完全に管理人の主観ではあるのですが。
塗料を扱う第一歩、希釈からしてまず難しい。

雑誌のHowToを参考にしようにも、水性アクリル系塗料の筆塗りは商業ベースの解説記事では扱われることが少なく、たまに雑誌の特集が組まれても今一つ参考にしきれない…「コレジャナイ感」の強い内容が多かったりします。(スミマセン)

そんなこんなでなかなか正解にたどり着けない水性ホビーカラー希釈方法なのですが、ある日ふと思いつきました。
「うすめ液そのものを水で割って使えば、(有機)溶剤と水との良いとこ取りになるのでは…?」

ということで早速試してみました、「水割りうすめ液」…!!!

今回の記事は、うすめ液水割りすることによって「塗料の溶解力」「希釈して塗装した場合の弾き耐性」といった性能がどう変化し、それによって実際の使い勝手は変わってくるのかを実験・検証してみたものです。

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まずは各種うすめ液の溶解力をチェック

それではまず実験の手始めに、各種のうすめ液が水性アクリル系の塗膜に対してどれくらいの溶解力を発揮するのかを確認しておくことにします。

対象の塗料は水性ホビーカラーと、参考までにタミヤアクリルも用意しました。
用意したうすめ液は「」「水性ホビーカラーうすめ液」「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」「消毒用エタノール」の4つです。

各種のうすめ液について一応、管理人なりの説明を。

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普通の水道水。
水性アクリル系塗料は乾燥前なら水で希釈や用具洗いができます
(※もちろん乾燥後は耐水性)
ただし、水性アクリル系塗料、特に水性ホビーカラーは水で薄めると塗装面に弾かれるようになってしまうために扱いが難しく、希釈には基本的に後述の(有機溶剤成分の入った)うすめ液を使った方が良いでしょう。
(※ただしタミヤアクリルについては「水溶きアクリル」という技法が存在し、本も出ています。)

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水性アクリル系塗料の「水で希釈や用具洗いができます」という謳い文句は言葉通りには受け取らず、(水溶きアクリル法の場合を除き)水は用具洗い限定で使った方が良いですね。
またそれも万能ではなく、実際の作業場面では乾きかけの塗料が水では完全に洗い落とせない…ということも多いですから、洗い作業には筆洗液アプトマジックリンも併用すると作業がよりスムーズに進められると思いますよ。

筆洗液アプト(左)とマジックリン(右)。
乾燥して落ちにくくなった塗料を溶かすことができるので、水性アクリル系使いの必須アイテムとして是非用意しておきたい2品。
水性アクリル系塗料なら「アプト」を作業中の筆洗いにも使っていけるので便利です。
完全に乾燥した塗料の塊が溶け出してくる様には感激…!

水性アクリル系塗料の「(乾燥前なら)水に溶ける」という特性はメリットであると同時に、希釈や用具洗いを水だけで済ませようとすると、かえって作業が難しくなる場合もあるという罠でもあるので注意が必要です…!

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水性ホビーカラーうすめ液

GSIクレオスから発売されている水性ホビーカラーの純正うすめ液。
成分は「水、有機溶剤」とのことですが、有機溶剤の種類や濃度は非公表。
使用は自己責任ですがタミヤのアクリル塗料とも互換性があり、相互に使用可能です。

ラッカー系のものほどではないですが、有機溶剤である以上、特有の刺激臭も発生します。
安全を売りにしている水性アクリル系塗料でも家族から苦情が入る程度の溶剤臭は発生しますから、必ず換気は必要ですよ。

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タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A

こちらはタミヤ・アクリル塗料の純正うすめ液。
メーカーが違うので当然使用は自己責任ですが、水性ホビーカラーとも互換性あり。
というか、昔は水性ホビーカラーの純正うすめ液が発売されていなかった時代があり、その当時は水性ホビーカラーをこのタミヤアクリルの溶剤で希釈して使うのが公然のテクニックとなっていました。
成分表記が「水、有機溶剤」で有機溶剤の種類や濃度が非公表なのも水性ホビーカラー用のうすめ液と同様。
両者の違いは…フィーリングで判断するしかありません(汗)

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※新旧の水性ホビーカラーについて

完全に余談ですが、管理人の手元に純正うすめ液が発売される前の時代の古い水性ホビーカラーがあったので比較写真を撮ってみました。
右のものが見慣れた現行品で、左のものは当時モノの旧版ですね。
記憶によると、この旧版を購入したのは1996年頃。
昭和を感じるラベルデザインですが、ちゃんと平成時代のものです(笑)。

旧版のラベル裏面。
「使用方法」の欄に希釈に関する内容はなく、「用具の手入れ方法」としても「塗料が乾かないうちに水で洗うこと」という記載しかありません。
この時代には水性ホビーカラーの純正うすめ液は発売されていませんでした。
当時はタミヤアクリルの溶剤や、裏技的に消毒用エタノールを使う方法が一般的だったと思います。
道具の洗浄にマジックリンが使えることを知っていればどれだけ楽ができたことか…笑

こちらは現行品のラベルの裏面です。
使用方法として「塗料の粘度が高く塗りにくいときは、水または水性ホビーカラー専用うすめ液で少し薄めて使用すること。」という記載が追加されています。
「用具の手入れ」の欄は「塗料の乾燥前は水で洗浄できます。乾燥後は水で溶解しないので、Mr.ツールクリーナー改で洗浄して下さい。」とありますね。
現在は水性ホビーカラーの純正うすめ液が発売されているので、現行品ではしっかりと自社製品を使うように案内されています。
うすめ液をはじめ、この20年で模型用品は本当に充実しましたね…

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消毒用エタノール

ドラッグストア等で売っている消毒用のアルコールです。
これで水性アクリル系塗料を希釈するという裏技的テクニックがあると大昔にどこかで見聞きした覚えがあるのですが、管理人は実際に使ったことはありません。
令和の現代では、コロナ対策の消毒用としてどこのご家庭にも常備されているものですよね。
今回は溶解力を試す良い機会なので、他との比較用として用意してみました。

消毒用エタノールにはきちんと成分分量が明記されています。
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溶解力を試す実験

それでは実際に塗装したサンプルを用いて各種うすめ液の溶解力を試してみたいと思います。

サンプルは100円ショップのプラスチック製スプーンに直接筆塗りで塗装をしたものです。
塗料は手持ちにあったものから適当に。(色の違いはご容赦を…)
平筆の穂先をうすめ液で湿らせて、ビン生の塗料をそのまま塗っています。
(ここ最近の模型雑誌などでよく紹介されている塗り方ですね。)
塗料本来の色が発色するように数回重ね塗りしています。

サンプルの乾燥時間は約1時間。
塗膜表面は乾燥していて直接手で触ることができる状態です。

「タミヤアクリルの塗膜」に「水」

実験としては、綿棒を各種うすめ液でひたひたに湿らせてサンプルの塗膜を擦ります。
こちらはタミヤアクリルの塗膜を水で湿らせた綿棒で擦ったもの。(赤矢印の部分)
塗膜の溶解はしていないように見えるものの、極わずかに綿棒に色が付きました。
ただ、タミヤアクリルは塗膜の弱さからか乾いた綿棒で強めに擦っても若干の色ハゲがあったので、水で塗膜が溶解したというよりは、単純に塗膜強度が弱いことによるハゲなのかもしれません。

「タミヤアクリルの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」

同様に、こちらはタミヤアクリルの塗膜をタミヤアクリル溶剤の原液で擦ったもの。
一旦乾燥した塗膜も溶剤を付けると簡単に柔らかくなるような感触があり、数回擦るだけで完全に剥がれてしまいました。
筆塗りの際も、コシの強い筆を使うと下地に影響が出そうな感じです。

「タミヤアクリルの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」

水性ホビーカラーうすめ液でも塗膜は簡単に剥がれました。
タミヤアクリル溶剤との違いは特に分かりませんでしたが、こちらも強力な溶解力です。

「タミヤアクリルの塗膜」に「消毒用エタノール」

消毒用エタノールも強力な溶解力を発揮し、塗膜は簡単に剥がれました。
しかし、こちらは専用の溶剤とは違って一つ問題が…

実験を行った部分の周囲、消毒用エタノールが付着した部分の塗膜が乾燥後に白く曇ってしまいました。
消毒用エタノールで水性アクリル系塗料を希釈するということは古くから裏技的に語られてきた方法ですが、実際の使用には専用の溶剤とはまた違った注意が必要なのかもしれませんね。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「水」

今度は水性ホビーカラーの塗膜で同様の実験を行っていきます。
まずは水で湿らせた綿棒ですが、これは塗膜には全く影響しません。
(写真の矢印のあたりを擦っています)
タミヤアクリル同様、水性ホビーカラーも乾燥後には完全に耐水性になりますからね。
塗膜の弱いタミヤアクリルとは違い、水性ホビーカラーには綿棒で擦ったくらいでは剥がれない充分な塗膜強度があるのが心強いです。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」

タミヤアクリルの溶剤で擦ると、水性ホビーカラーの塗膜も簡単に剥がれます。
さしもの水性ホビーカラーも溶剤に対する強さはタミヤアクリルの塗膜と大差がないように感じますね。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」

こちらは水性ホビーカラーの純正うすめ液で擦ってみたところ。
ちょっと写真が分かりづらいですが、溶剤によって塗膜が溶け、擦った部分は剥がれています。

こちらも同じ部分の写真です。
プラの表面が見える程度にまで塗膜が剥がれていますね。
感触としてはタミヤアクリルの溶剤を使った場合と同じです。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「消毒用エタノール」

これも写真が分かりづらいですね…!
矢印の部分あたりを擦っていますが、こちらも塗膜が溶けて下地が見えています。
溶けた塗料で、綿棒にはしっかりと色が付いていますね。

同じ部分の別写真です。
塗料が溶けて、剥がれていることが分かるでしょうか?
また、こちらもエタノールの乾燥後に塗膜が白く曇る現象が起きています。
どうやらタミヤアクリル・水性ホビーカラー共に、消毒用エタノールでの希釈や拭き取りには注意が必要なようですね…
(溶解力は問題ないのですが…)

水で割ったうすめ液の溶解力も試してみる

それではいよいよ今回の本題。
「うすめ液を水で薄めたもの」(ややこしい)では塗膜がどれくらい溶けるのか実験です。
(消毒用エタノールの水割りについては、実際の塗装作業で使うことがなさそうなので省略しました。)

「タミヤアクリルの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」の2倍希釈(溶剤:水=1:1)

まずはタミヤアクリルの溶剤から、水で薄めたものを綿棒につけて擦ります。
こちらは1:1での2倍希釈です。
擦った部分は塗膜が溶けて下地のプラが見えるまで剥がれていますが、水で有機溶剤の成分が薄まったせいか塗膜の溶け方が若干弱い感触がありました。
うすめ液を水割りすることで溶解力を下げる効果は確かにあるようですね。
この調子で他の組み合わせも見ていきましょう。

「タミヤアクリルの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」の3倍希釈(溶剤:水=1:2)

うすめ液をさらに水で薄めた3倍希釈。
2倍希釈と同様に溶け方は若干弱い程度の印象で、塗膜そのものは割と簡単に剥げました。
体感的には2倍希釈とそれほど違いは感じられず。

「タミヤアクリルの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」の2倍希釈(うすめ液:水=1:1)

水性ホビーカラー用のうすめ液を水で2倍に希釈したもの。
溶剤を水で薄めたことによって塗膜の溶け方が若干弱くなるのはタミヤアクリルの溶剤と同じですが、こちらは溶けきれない塗料が若干の「ダマ」になって拭き取った部分の周囲に残っています。
擦った部分の塗膜自体は剥がれてはいるものの、タミヤアクリルの溶剤を水で薄めたものよりも更に溶解力が弱くなっている印象ですね。
綿棒に付いた塗料もかなり少なくなっているのが分かるでしょうか?

「タミヤアクリルの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」の3倍希釈(うすめ液:水=1:2)

水性ホビーカラーのうすめ液を3倍に希釈したものでは、2倍希釈よりも塗膜の溶け方が更に弱くなり、溶けきれない「ダマ」も多くなっています。
一応、塗膜を溶かすこと自体はできるものの、溶解力はかなり弱くなっているようです。
拭き取りに使った綿棒の塗料汚れも写真ではほとんど分からないくらいに少なくなっていますね。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」の2倍希釈(溶剤:水=1:1)

水性ホビーカラーの塗膜と2倍に薄めたタミヤアクリル溶剤の組み合わせ。
塗膜に対する溶解力はかなり弱く、綿棒で軽く拭き取ったくらいでは溶け出しがありません。
強めに数回擦っていくと塗膜が柔らかくなってくる感触があって、だんだんと剥がれが生じてきます。
水性ホビーカラーの塗膜には、タミヤアクリルの塗膜に対するものよりも溶剤の効きがかなり弱い感じがしますね。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」の3倍希釈(溶剤:水=1:2)

タミヤアクリル溶剤を3倍まで希釈すると、水性ホビーカラーの塗膜はほとんど溶かすことができませんでした。
強めに擦っても綿棒にはほんの少し色が付くだけで、塗膜自体の剥がれは生じていません。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」の2倍希釈(うすめ液:水=1:1)

水性ホビーカラーうすめ液の2倍希釈と水性ホビーカラー塗膜の組み合わせでも、やはり溶解力はかなり弱くなります。
タミヤアクリル溶剤を水割りした場合と同様、綿棒で何度か擦ることで溶剤成分が浸透して、塗膜が柔らかくなることで剥がれが生じてくるようです。
剥がれ方そのものもタミヤアクリル溶剤の2倍希釈を使った場合と比べてもさらに弱く、擦った部分の中心の地肌が少し見える程度にしか剥がれていません。
綿棒に付着した塗料の量もタミヤアクリルの場合よりも控えめになっていますね。
タミヤアクリルとは違い、塗膜の溶け残りによる「ダマ」は出ていませんが、これは塗料の性質の違いによるものでしょうか。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」の3倍希釈(うすめ液:水=1:2)

水性ホビーカラーうすめ液の3倍希釈では、水性ホビーカラーの塗膜にほとんど影響を与えることができません。
綿棒で強めに擦っても、ほんの少し色が付くだけ…写真では全く分からない程度ですね。
タミヤアクリル溶剤の3倍希釈の場合と同様、ここまで薄めてしまうと水性ホビーカラーの塗膜に対しては溶かす力が全くと言って良いほど無くなってしまうようです。
感触としては、水性ホビーカラーうすめ液の方がタミヤアクリルの溶剤以上に溶解力が弱い感じを受けました。

うすめ液を水割りすると確かに溶解力は弱くなる

以上、うすめ液(溶剤)の溶解力を試す実験でした。

塗膜自体の溶剤耐性は水性ホビーカラー>タミヤアクリル
純正うすめ液の溶解力はタミヤアクリル溶剤>水性ホビーカラーうすめ液

といった結果でしたね。

有機溶剤成分を含んだ「うすめ液」を水で薄めると、塗膜に対する溶解力は確かに弱くなるようでした。
うすめ液を水割りした場合は「水性ホビーカラーうすめ液」「タミヤアクリル溶剤」に共通して、特に水性ホビーカラーの塗膜に対する溶解力に大きな変化が見られましたね。

・うすめ液の原液………水性ホビーカラーの塗膜を割と簡単に溶かす。
・うすめ液2倍割り……水性ホビーカラーの塗膜を溶かすことはできるが、その力はかなり弱い。
・うすめ液3倍割り……水性ホビーカラーの塗膜を溶かす力はほぼゼロになる。
・水………………………水性ホビーカラーの塗膜には全く影響しない。


試した中では「うすめ液2倍割り」程度の薄め方でも、塗膜に対する影響はかなり弱くなっていました。
「3倍割り」まで薄めると溶解力という点ではほとんど「水」そのものに近い特性になってしまいましたから、「うすめ液(原液)」「水」中間的な性質の溶剤を作るなら「2倍割り」程度の希釈率が妥当そうです。

水割りのうすめ液では塗装面の「弾き」を防げるか?実験

それでは続いて、実際に塗料を希釈して筆塗りした時の弾き具合を見ていきますが、今回はより厳しい条件にしたいのでちょっと一工夫…
試し塗りに使う100円ショップのプラスチックスプーンにあらかじめ顔の脂を付けた指先(ちょっとキタナイですが…)で塗装面をペタペタと触って表面を脂まみれ(…!)にしておきます。

水性ホビーカラーを水そのもので希釈した場合の弱点である塗料弾きが、今回試す水割りうすめ液ではどの程度生じるのか…この悪条件の下で確かめてみたいと思います。
(まぁ実際の塗装作業では、ここまでパーツを手脂でベタベタにすることはそうそうありませんが…)

水割りのうすめ液としては、先程と同じく2倍割り3倍割りのものを用意。
今回はいずれも水性ホビーカラーの純正うすめ液を薄めたものです。

なお、便宜上ここからは「うすめ液の2倍割り(うすめ液:水=1:1)を”1/2うすめ液”「うすめ液の3倍割り(うすめ液:水=1:2)を”1/3うすめ液”と呼ぶことにします。

水性ホビーカラーを”水”で3倍希釈

水性ホビーカラーのつや消しブラックをで3倍(塗料:水=1:2)程度に薄めて、手脂ペタペタのプラスプーンに塗ってみました。
これは予想通りというか、塗装面で完全に弾かれてしまって話になりません。
3倍にまで希釈した塗料はもうかなりシャバシャバなので、この実験は油の上に水を塗っているようなものですからね…

やはり水性ホビーカラーの水希釈はダメ!ですね。
どうしても水そのもので希釈をしたい場合、もっと希釈率を下げるしか方法はないと思います。
(ちなみに、タミヤアクリルを用いる「水溶きアクリル」法では、塗料に対する水の割合は3割程度と指定されています。)

水性ホビーカラーを”1/2うすめ液”で3倍希釈

同じく水性ホビーカラーのつや消しブラックを用いて、今度は「1/2うすめ液」で塗料を3倍に薄めたものを塗ってみます。
面相筆の穂先で細かく塗ったのでかなり筆ムラは出ていますが…どうやら塗装面での「弾き」は起こらないようですね。
(もちろんプラスプーン表面が手脂ペタペタなのは同じです。)
この悪条件下でもシャバシャバの3倍希釈が普通に塗れてしまうのであれば、通常の塗装場面で弾きが問題になることはまずないでしょう。
これはなかなか良い結果が得られたと思います。

水性ホビーカラーを”1/3うすめ液”で3倍希釈

水性ホビーカラーのつや消しブラック、「1/3うすめ液」で塗料を3倍に薄めたものでも同様に実験。
プラスプーン表面は今までと同じく手脂ペタペタの悪条件ですが、こちらも塗装面での塗料弾きはありませんね。
1/3はさすがにうすめ過ぎかとも思いましたが、塗装面に塗料を馴染ませる有機溶剤としての力は充分に残っているようです。

水割りうすめ液で塗料を薄めても「弾き」は起こらない

手脂ペタペタのプラスプーンに希釈した塗料を塗ってみる実験では、「1/2うすめ液」「1/3うすめ液」ともに、水そのもので希釈した場合のような弾きは起こらないという結果になりました。

少なくとも希釈に使う溶剤の1/3程度には元のうすめ液成分が含まれていれば、3倍程度のシャバシャバ希釈でも水希釈で問題となるような弾きは起こらないと考えて良い…と思います。

水性ホビーカラーの弾き対策として「うすめ液の水割り」を使った希釈「アリ」なのではないでしょうか。

「1/2うすめ液」で筆塗りはもっと快適に…!!!

今回は”うすめ液自体の水割り”という思い付きのキワモノネタを管理人なりに真面目に検証してみましたが、これがなかなかどうして良い結果が得られたと思っています。

これまで水性アクリル系塗料の希釈というと、「うすめ液(原液)」そのものか「水」のどちらかで薄めるという固定観念がありましたが、水性アクリル系塗料「うすめ液」は、そもそもの成分表記が「水、有機溶剤」となっていますから、水の含有率を変えてやることで「うすめ液」の特性を変えることができる訳ですよね。
(当然、使用は自己責任ですが…)

細かな部分は途中の実験結果を見てもらうとして、ざっくりまとめてしまうと…
「1/2うすめ液」は水性ホビーカラーに対して「(有機)溶剤と水との良いとこ取り」といった性質を持つ、と言ってしまって良いかと思います。

・筆塗りの筆圧くらいでは下地に影響しない程度に溶解力が弱くなる。(ただし、全く溶解力がない訳ではない)
・塗料をシャバシャバ(3倍程度)に希釈しても、パーツ表面の油分には影響されず弾かれない筆塗りが可能。


といったところですね…

さらに「1/2うすめ液」で塗料をシャバシャバに希釈して筆塗りの実験を続けてみたところ、この記事の冒頭で挙げたような扱いづらさはほとんどが克服できたように感じられました。
以下、「1/2うすめ液」水性ホビーカラーを希釈し、筆塗りしてみた時の使用感です。

・「うすめ液(原液)」を使って希釈した場合よりも乾燥が遅く塗料の伸びが良い。水希釈に近い使用感。
・溶解力が弱いためか、重ね塗りを繰り返しても下地の剥がれが起きることはなかった。
・3倍以上のシャバシャバ希釈でも塗装面で塗料が弾かれることはない。
・感覚的な問題だが、適切な希釈率を把握しやすい。気がする。
 →管理人的には2.5倍希釈(塗料:1/2うすめ液=1:1.5)くらいがベスト


完全に管理人の主観ではありますが…「1/2うすめ液」を使うことで水性ホビーカラー弱点はかなりの部分で克服できていると思います。

製作中のHGUCサザビーより、塗装中のパーツ。
1/2うすめ液で2.5倍程度に薄めた水性ホビーカラーを薄く薄く、4層ほど重ね塗りした状態。
こんな塗装方法でも下地のズル剥けは一切なし!
ごく薄い塗膜を重ねていくことで筆ムラもかなり抑えられていますね。

この記事を見に来てくれた水性ホビーカラー筆塗り派のモデラーさんも、もし塗料の希釈方法で悩んでいたらうすめ液の水割りを試してみるのも良いのではないでしょうか…!

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※ちなみに、うすめ液を水で割る時は大きめのスペアボトルで作り置きをしておくと便利です。
 タミヤの容量46ccのものが丁度良い大きさで使いやすいですね。
 目盛りも付いているし、ビンの口が大きいのでスポイトを差し込みやすいのもヨシ。

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水性アクリル系塗料とマジックリン 塗料ビンを再生してスペアボトルを作ろう

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タミヤアクリルと水性ホビーカラー…水性アクリル系塗料の洗浄にはマジックリンが効く

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タミヤのアクリル塗料ミニとGSIクレオスの水性ホビーカラー、いわゆる「水性アクリル系塗料」と言われるこの二つ。
主流の「ラッカー系塗料」に比べて使用者が少ないこともあり、今一つマイナー感を感じてしまう人もいるかもしれません。
しかし、この「水性アクリル系塗料」には、家庭用洗剤のマジックリンで溶かすことができるという大きなメリットがあるのです。
完全乾燥した塗料にも有効、もちろんプラスチックにダメージは与えません
入手は普通のドラッグストアやスーパーなどで可能、しかも安価ときています。
水性アクリル系塗料で塗装をした後は、道具をまとめてマジックリンを吹きかければ後片付けはほぼ終了してしまいます!
これは水性アクリル系塗料が持つ他の塗料に対する大きなアドバンテージですね…!

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使い終わった塗装道具をマジックリンで洗っているところ…
これが本当に便利なんです。
ちなみに、マジックリンにも換気は必要です…
そこは仕方がないですね。

マジックリン活用法…古い塗料ビンを洗ってスペアボトルとして再利用

そんな水性アクリル系使いの必須アイテム「マジックリン」ですが、塗装道具の後片付け以外にも色々と活用ができそうです。

そこで、今回の記事ではタミヤアクリルと水性ホビーカラーの古いビンをマジックリンでキレイに洗浄してスペアボトルとして再利用できるようにしてみました。
塗料が固着したかなり古いビンも出てきましたが、果たしてどうなるか…順に見ていきましょう。

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手持ち塗料の中からスペアボトルとして再利用できそうなビンを探してきました。
中身を使い終わったものや、中の塗料が塗料が固まってしまったものなど…今から塗装に使うのは難しそうなものばかりです。
水性ホビーカラーのビンはメーカー表記がグンゼ産業(GSIクレオスの旧社名)だったり、手前一番右のタミヤアクリルには今は亡きハローマックの購入シールが貼ってあったりして年代を感じさせますね。

ちなみにハローマックって知っていますか?
2000年代頃まで、かなりの店舗数を誇っていたおもちゃ屋のチェーンですよ。
管理人の住んでいた地域では一つの街に一つ…というくらいの店舗数がありましたね。
現在ではあんなに気軽に行けるおもちゃ屋はほとんどなくなってしまいました…

古い塗料ビンはMr.キャップオープナーで開ける

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ハローマックの話はさておき(?)、ここで便利アイテムを紹介します。
GSIクレオス「Mr.キャップオープナー」…これも水性アクリル系使いの必須アイテムと言っていいくらいの素晴らしい一品です。

模型用塗料を保管しているとほぼ必ず遭遇するトラブル「ビンのフタが開かない…!!!」
特に水性アクリル系塗料の場合、開かなくなったフタの固着度合いが非常に強く途方に暮れる…というパターンになりがちです。
この「Mr.キャップオープナー」はテコの力で固着したフタを開けることができる優れもの。
使い方は柔らかい素材の青い滑り止めグリップに塗料ビンを入れ、黄色いプラ製レンチをビンのフタにはめて力をかけるだけ。
プラ製レンチの二つの穴が異なる種類の塗料ビンに適合します。
水性アクリル系塗料の場合、二つの穴がタミヤアクリルと水性ホビーカラーそれぞれに対応していますね。
クレオスにとっては他社製品になりますがタミヤアクリルのビンにも問題なく使えますよ!

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マジックリンで塗料ビンを洗浄していく

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ここから実際に、マジックリンで塗料ビンをキレイに洗っていく様子を見ていきます。
まずはタミヤアクリル、これまた古いビンです。
Mr.キャップオープナーのおかげで苦労せずフタを開けることができましたが、フタをねじ込むスクリューの部分にも塗料が固着してしまっていますね。

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ビンの中身を上から。
中の塗料は完全に固まっています。
こうなると、水性アクリル系塗料は溶剤でも溶かすことができません。
果たしてマジックリンではどうでしょうか…?

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と、いうことで早速マジックリンを投入。
後はブラシで水洗いです。

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洗い作業に使う道具です。
上は真鍮ブラシ、毛先が金属ワイヤーのブラシですね。
これでガシガシとこすります。
下はランナーの切れ端の先端を竹ヤリ状に斜めにカットしたもの。
細かく固着した塗料はこれでこすり落とします。

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いきなりですが洗い終わりです。(洗い中は写真を撮れないので…)
完全乾燥した塗料でしたがマジックリンの力で溶解してキレイにすることができました。
塊状になった塗料もマジックリンが浸透すると表面から柔らかくなるようですね。
(爪でこすると塊ごと「パリッ」とビンから剥がれました。)
それではこの調子ででどんどんいきましょう。

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次は水性ホビーカラーです。
これまた古そうなビンですね…

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中身もほぼ固まっています。
これもキレイになるでしょうか?

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マジックリンを吹きかけるの図。
先ほどのタミヤアクリルと同様に、真鍮ブラシでこすり洗いしていきます。

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キレイになりました!
完全乾燥した水性ホビーカラーも問題なくマジックリンで溶解できますね。
ちなみに、この時代の水性ホビーカラーのラベルは紙質が薄いので洗い作業の時に簡単に剥がれてしまいました。
スペアボトルとして考えたらラベルは無い方が良いので、取れてしまってちょうど良いのかもしれません。

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お次も水性ホビーカラーです。
こいつは少々手ごわそう。
と、いうのも…

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ビンの側面に塗料がこぼれて固まっています。
Mr.キャップオープナーのお陰でフタを外すことはできましたが、これもキレイになるでしょうか?

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ビンの中はこんな感じ。
少し溶剤分が残っていはいるようですが全体的に半硬化状態の塗料がこびりついています。

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再びマジックリンを吹きかけるの図。

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マジックリンの泡を吹きかけただけで塗料が溶け出しているようです。
これは期待できます!

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こちらもキレイになりました。
完全に硬化した塗料の塊はマジックリンをかけて軟化させれば「パキッ」とビンから剥がれてくれます。
このあたりはタミヤアクリルの場合と同じですね。

スペアボトル完成…!

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こうして洗い終わった塗料ビンたち。
水性アクリル系塗料に対するマジックリンの溶解力はかなり強く、完全に乾燥した塗料の塊も表面から軟化させてキレイにすることができました。
乾燥した塗料も溶かして洗うことができるというマジックリンの性質は、用具洗いの際にも心強いですね。
またプラキットの塗装に失敗した場合にはマジックリンに漬けることで塗装を洗い落とすことができるので、塗装のやり直しができる…ということも技法の選択肢として覚えておいても良いかもしれません。

さてさて…今回は廃品の再生でキレイな塗料ビンを作ることができたので大満足です。
スペアボトル自体そう高いものでもないので洗う手間を考えれば新品を買ってきても良いのですが…マジックリンの溶解力を再確認できたのは筆者にとっても意義のあることでした。
とりあえず、水性アクリル系使いはMr.キャップオープナーマジックリン、この二つは持っていて損はないですよ。

※ちなみに、マジックリン使用時は換気が必要なことに加え、保護眼鏡等と手袋の着用が指示されています。
記事中の写真では手袋を付けていませんが、素手では皮膚荒れ等の可能性もあるのでマジックリン使用時には注意をした方が良いですね。

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