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水性ホビーカラーを水で薄める!…のは無理なので「うすめ液の水割り」で快適に筆塗りをしよう

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2019年11月にリニューアルされ、使い勝手が良くなった水性ホビーカラー
タミヤ・アクリル塗料とともに、模型用塗料の一つ「水性アクリル系塗料」の代表的な銘柄として多くのモデラーに親しまれています。

そんな水性ホビーカラーですが、扱いにややコツが必要であるのもまた事実。

・ビン生や濃い目の希釈では乾燥が早い。というか早すぎて筆塗りでの伸びが悪い。
・かといって溶剤で薄めに希釈して重ね塗りを繰り返すと、下地に塗った塗料が剥がれることがある。
・水で希釈すると伸びは良くなるが、薄めすぎると塗装面の微妙な油分に反応して容易に弾かれるようになる。
・水希釈で弾かれない濃さの範囲が体感ではかなり分かりづらく、希釈率のコントロールが難しい。

…ええと、これらは完全に管理人の主観ではあるのですが。
塗料を扱う第一歩、希釈からしてまず難しい。

雑誌のHowToを参考にしようにも、水性アクリル系塗料の筆塗りは商業ベースの解説記事では扱われることが少なく、たまに雑誌の特集が組まれても今一つ参考にしきれない…「コレジャナイ感」の強い内容が多かったりします。(スミマセン)

そんなこんなでなかなか正解にたどり着けない水性ホビーカラー希釈方法なのですが、ある日ふと思いつきました。
「うすめ液そのものを水で割って使えば、(有機)溶剤と水との良いとこ取りになるのでは…?」

ということで早速試してみました、「水割りうすめ液」…!!!

今回の記事は、うすめ液水割りすることによって「塗料の溶解力」「希釈して塗装した場合の弾き耐性」といった性能がどう変化し、それによって実際の使い勝手は変わってくるのかを実験・検証してみたものです。

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まずは各種うすめ液の溶解力をチェック

それではまず実験の手始めに、各種のうすめ液が水性アクリル系の塗膜に対してどれくらいの溶解力を発揮するのかを確認しておくことにします。

対象の塗料は水性ホビーカラーと、参考までにタミヤアクリルも用意しました。
用意したうすめ液は「」「水性ホビーカラーうすめ液」「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」「消毒用エタノール」の4つです。

各種のうすめ液について一応、管理人なりの説明を。

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普通の水道水。
水性アクリル系塗料は乾燥前なら水で希釈や用具洗いができます
(※もちろん乾燥後は耐水性)
ただし、水性アクリル系塗料、特に水性ホビーカラーは水で薄めると塗装面に弾かれるようになってしまうために扱いが難しく、希釈には基本的に後述の(有機溶剤成分の入った)うすめ液を使った方が良いでしょう。
(※ただしタミヤアクリルについては「水溶きアクリル」という技法が存在し、本も出ています。)

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水性アクリル系塗料の「水で希釈や用具洗いができます」という謳い文句は言葉通りには受け取らず、(水溶きアクリル法の場合を除き)水は用具洗い限定で使った方が良いですね。
またそれも万能ではなく、実際の作業場面では乾きかけの塗料が水では完全に洗い落とせない…ということも多いですから、洗い作業には筆洗液アプトマジックリンも併用すると作業がよりスムーズに進められると思いますよ。

筆洗液アプト(左)とマジックリン(右)。
乾燥して落ちにくくなった塗料を溶かすことができるので、水性アクリル系使いの必須アイテムとして是非用意しておきたい2品。
水性アクリル系塗料なら「アプト」を作業中の筆洗いにも使っていけるので便利です。
完全に乾燥した塗料の塊が溶け出してくる様には感激…!

水性アクリル系塗料の「(乾燥前なら)水に溶ける」という特性はメリットであると同時に、希釈や用具洗いを水だけで済ませようとすると、かえって作業が難しくなる場合もあるという罠でもあるので注意が必要です…!

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水性ホビーカラーうすめ液

GSIクレオスから発売されている水性ホビーカラーの純正うすめ液。
成分は「水、有機溶剤」とのことですが、有機溶剤の種類や濃度は非公表。
使用は自己責任ですがタミヤのアクリル塗料とも互換性があり、相互に使用可能です。

ラッカー系のものほどではないですが、有機溶剤である以上、特有の刺激臭も発生します。
安全を売りにしている水性アクリル系塗料でも家族から苦情が入る程度の溶剤臭は発生しますから、必ず換気は必要ですよ。

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タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A

こちらはタミヤ・アクリル塗料の純正うすめ液。
メーカーが違うので当然使用は自己責任ですが、水性ホビーカラーとも互換性あり。
というか、昔は水性ホビーカラーの純正うすめ液が発売されていなかった時代があり、その当時は水性ホビーカラーをこのタミヤアクリルの溶剤で希釈して使うのが公然のテクニックとなっていました。
成分表記が「水、有機溶剤」で有機溶剤の種類や濃度が非公表なのも水性ホビーカラー用のうすめ液と同様。
両者の違いは…フィーリングで判断するしかありません(汗)

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※新旧の水性ホビーカラーについて

完全に余談ですが、管理人の手元に純正うすめ液が発売される前の時代の古い水性ホビーカラーがあったので比較写真を撮ってみました。
右のものが見慣れた現行品で、左のものは当時モノの旧版ですね。
記憶によると、この旧版を購入したのは1996年頃。
昭和を感じるラベルデザインですが、ちゃんと平成時代のものです(笑)。

旧版のラベル裏面。
「使用方法」の欄に希釈に関する内容はなく、「用具の手入れ方法」としても「塗料が乾かないうちに水で洗うこと」という記載しかありません。
この時代には水性ホビーカラーの純正うすめ液は発売されていませんでした。
当時はタミヤアクリルの溶剤や、裏技的に消毒用エタノールを使う方法が一般的だったと思います。
道具の洗浄にマジックリンが使えることを知っていればどれだけ楽ができたことか…笑

こちらは現行品のラベルの裏面です。
使用方法として「塗料の粘度が高く塗りにくいときは、水または水性ホビーカラー専用うすめ液で少し薄めて使用すること。」という記載が追加されています。
「用具の手入れ」の欄は「塗料の乾燥前は水で洗浄できます。乾燥後は水で溶解しないので、Mr.ツールクリーナー改で洗浄して下さい。」とありますね。
現在は水性ホビーカラーの純正うすめ液が発売されているので、現行品ではしっかりと自社製品を使うように案内されています。
うすめ液をはじめ、この20年で模型用品は本当に充実しましたね…

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消毒用エタノール

ドラッグストア等で売っている消毒用のアルコールです。
これで水性アクリル系塗料を希釈するという裏技的テクニックがあると大昔にどこかで見聞きした覚えがあるのですが、管理人は実際に使ったことはありません。
令和の現代では、コロナ対策の消毒用としてどこのご家庭にも常備されているものですよね。
今回は溶解力を試す良い機会なので、他との比較用として用意してみました。

消毒用エタノールにはきちんと成分分量が明記されています。
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溶解力を試す実験

それでは実際に塗装したサンプルを用いて各種うすめ液の溶解力を試してみたいと思います。

サンプルは100円ショップのプラスチック製スプーンに直接筆塗りで塗装をしたものです。
塗料は手持ちにあったものから適当に。(色の違いはご容赦を…)
平筆の穂先をうすめ液で湿らせて、ビン生の塗料をそのまま塗っています。
(ここ最近の模型雑誌などでよく紹介されている塗り方ですね。)
塗料本来の色が発色するように数回重ね塗りしています。

サンプルの乾燥時間は約1時間。
塗膜表面は乾燥していて直接手で触ることができる状態です。

「タミヤアクリルの塗膜」に「水」

実験としては、綿棒を各種うすめ液でひたひたに湿らせてサンプルの塗膜を擦ります。
こちらはタミヤアクリルの塗膜を水で湿らせた綿棒で擦ったもの。(赤矢印の部分)
塗膜の溶解はしていないように見えるものの、極わずかに綿棒に色が付きました。
ただ、タミヤアクリルは塗膜の弱さからか乾いた綿棒で強めに擦っても若干の色ハゲがあったので、水で塗膜が溶解したというよりは、単純に塗膜強度が弱いことによるハゲなのかもしれません。

「タミヤアクリルの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」

同様に、こちらはタミヤアクリルの塗膜をタミヤアクリル溶剤の原液で擦ったもの。
一旦乾燥した塗膜も溶剤を付けると簡単に柔らかくなるような感触があり、数回擦るだけで完全に剥がれてしまいました。
筆塗りの際も、コシの強い筆を使うと下地に影響が出そうな感じです。

「タミヤアクリルの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」

水性ホビーカラーうすめ液でも塗膜は簡単に剥がれました。
タミヤアクリル溶剤との違いは特に分かりませんでしたが、こちらも強力な溶解力です。

「タミヤアクリルの塗膜」に「消毒用エタノール」

消毒用エタノールも強力な溶解力を発揮し、塗膜は簡単に剥がれました。
しかし、こちらは専用の溶剤とは違って一つ問題が…

実験を行った部分の周囲、消毒用エタノールが付着した部分の塗膜が乾燥後に白く曇ってしまいました。
消毒用エタノールで水性アクリル系塗料を希釈するということは古くから裏技的に語られてきた方法ですが、実際の使用には専用の溶剤とはまた違った注意が必要なのかもしれませんね。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「水」

今度は水性ホビーカラーの塗膜で同様の実験を行っていきます。
まずは水で湿らせた綿棒ですが、これは塗膜には全く影響しません。
(写真の矢印のあたりを擦っています)
タミヤアクリル同様、水性ホビーカラーも乾燥後には完全に耐水性になりますからね。
塗膜の弱いタミヤアクリルとは違い、水性ホビーカラーには綿棒で擦ったくらいでは剥がれない充分な塗膜強度があるのが心強いです。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」

タミヤアクリルの溶剤で擦ると、水性ホビーカラーの塗膜も簡単に剥がれます。
さしもの水性ホビーカラーも溶剤に対する強さはタミヤアクリルの塗膜と大差がないように感じますね。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」

こちらは水性ホビーカラーの純正うすめ液で擦ってみたところ。
ちょっと写真が分かりづらいですが、溶剤によって塗膜が溶け、擦った部分は剥がれています。

こちらも同じ部分の写真です。
プラの表面が見える程度にまで塗膜が剥がれていますね。
感触としてはタミヤアクリルの溶剤を使った場合と同じです。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「消毒用エタノール」

これも写真が分かりづらいですね…!
矢印の部分あたりを擦っていますが、こちらも塗膜が溶けて下地が見えています。
溶けた塗料で、綿棒にはしっかりと色が付いていますね。

同じ部分の別写真です。
塗料が溶けて、剥がれていることが分かるでしょうか?
また、こちらもエタノールの乾燥後に塗膜が白く曇る現象が起きています。
どうやらタミヤアクリル・水性ホビーカラー共に、消毒用エタノールでの希釈や拭き取りには注意が必要なようですね…
(溶解力は問題ないのですが…)

水で割ったうすめ液の溶解力も試してみる

それではいよいよ今回の本題。
「うすめ液を水で薄めたもの」(ややこしい)では塗膜がどれくらい溶けるのか実験です。
(消毒用エタノールの水割りについては、実際の塗装作業で使うことがなさそうなので省略しました。)

「タミヤアクリルの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」の2倍希釈(溶剤:水=1:1)

まずはタミヤアクリルの溶剤から、水で薄めたものを綿棒につけて擦ります。
こちらは1:1での2倍希釈です。
擦った部分は塗膜が溶けて下地のプラが見えるまで剥がれていますが、水で有機溶剤の成分が薄まったせいか塗膜の溶け方が若干弱い感触がありました。
うすめ液を水割りすることで溶解力を下げる効果は確かにあるようですね。
この調子で他の組み合わせも見ていきましょう。

「タミヤアクリルの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」の3倍希釈(溶剤:水=1:2)

うすめ液をさらに水で薄めた3倍希釈。
2倍希釈と同様に溶け方は若干弱い程度の印象で、塗膜そのものは割と簡単に剥げました。
体感的には2倍希釈とそれほど違いは感じられず。

「タミヤアクリルの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」の2倍希釈(うすめ液:水=1:1)

水性ホビーカラー用のうすめ液を水で2倍に希釈したもの。
溶剤を水で薄めたことによって塗膜の溶け方が若干弱くなるのはタミヤアクリルの溶剤と同じですが、こちらは溶けきれない塗料が若干の「ダマ」になって拭き取った部分の周囲に残っています。
擦った部分の塗膜自体は剥がれてはいるものの、タミヤアクリルの溶剤を水で薄めたものよりも更に溶解力が弱くなっている印象ですね。
綿棒に付いた塗料もかなり少なくなっているのが分かるでしょうか?

「タミヤアクリルの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」の3倍希釈(うすめ液:水=1:2)

水性ホビーカラーのうすめ液を3倍に希釈したものでは、2倍希釈よりも塗膜の溶け方が更に弱くなり、溶けきれない「ダマ」も多くなっています。
一応、塗膜を溶かすこと自体はできるものの、溶解力はかなり弱くなっているようです。
拭き取りに使った綿棒の塗料汚れも写真ではほとんど分からないくらいに少なくなっていますね。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」の2倍希釈(溶剤:水=1:1)

水性ホビーカラーの塗膜と2倍に薄めたタミヤアクリル溶剤の組み合わせ。
塗膜に対する溶解力はかなり弱く、綿棒で軽く拭き取ったくらいでは溶け出しがありません。
強めに数回擦っていくと塗膜が柔らかくなってくる感触があって、だんだんと剥がれが生じてきます。
水性ホビーカラーの塗膜には、タミヤアクリルの塗膜に対するものよりも溶剤の効きがかなり弱い感じがしますね。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「タミヤ・アクリル塗料 溶剤 X-20A」の3倍希釈(溶剤:水=1:2)

タミヤアクリル溶剤を3倍まで希釈すると、水性ホビーカラーの塗膜はほとんど溶かすことができませんでした。
強めに擦っても綿棒にはほんの少し色が付くだけで、塗膜自体の剥がれは生じていません。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」の2倍希釈(うすめ液:水=1:1)

水性ホビーカラーうすめ液の2倍希釈と水性ホビーカラー塗膜の組み合わせでも、やはり溶解力はかなり弱くなります。
タミヤアクリル溶剤を水割りした場合と同様、綿棒で何度か擦ることで溶剤成分が浸透して、塗膜が柔らかくなることで剥がれが生じてくるようです。
剥がれ方そのものもタミヤアクリル溶剤の2倍希釈を使った場合と比べてもさらに弱く、擦った部分の中心の地肌が少し見える程度にしか剥がれていません。
綿棒に付着した塗料の量もタミヤアクリルの場合よりも控えめになっていますね。
タミヤアクリルとは違い、塗膜の溶け残りによる「ダマ」は出ていませんが、これは塗料の性質の違いによるものでしょうか。

「水性ホビーカラーの塗膜」に「水性ホビーカラーうすめ液」の3倍希釈(うすめ液:水=1:2)

水性ホビーカラーうすめ液の3倍希釈では、水性ホビーカラーの塗膜にほとんど影響を与えることができません。
綿棒で強めに擦っても、ほんの少し色が付くだけ…写真では全く分からない程度ですね。
タミヤアクリル溶剤の3倍希釈の場合と同様、ここまで薄めてしまうと水性ホビーカラーの塗膜に対しては溶かす力が全くと言って良いほど無くなってしまうようです。
感触としては、水性ホビーカラーうすめ液の方がタミヤアクリルの溶剤以上に溶解力が弱い感じを受けました。

うすめ液を水割りすると確かに溶解力は弱くなる

以上、うすめ液(溶剤)の溶解力を試す実験でした。

塗膜自体の溶剤耐性は水性ホビーカラー>タミヤアクリル
純正うすめ液の溶解力はタミヤアクリル溶剤>水性ホビーカラーうすめ液

といった結果でしたね。

有機溶剤成分を含んだ「うすめ液」を水で薄めると、塗膜に対する溶解力は確かに弱くなるようでした。
うすめ液を水割りした場合は「水性ホビーカラーうすめ液」「タミヤアクリル溶剤」に共通して、特に水性ホビーカラーの塗膜に対する溶解力に大きな変化が見られましたね。

・うすめ液の原液………水性ホビーカラーの塗膜を割と簡単に溶かす。
・うすめ液2倍割り……水性ホビーカラーの塗膜を溶かすことはできるが、その力はかなり弱い。
・うすめ液3倍割り……水性ホビーカラーの塗膜を溶かす力はほぼゼロになる。
・水………………………水性ホビーカラーの塗膜には全く影響しない。


試した中では「うすめ液2倍割り」程度の薄め方でも、塗膜に対する影響はかなり弱くなっていました。
「3倍割り」まで薄めると溶解力という点ではほとんど「水」そのものに近い特性になってしまいましたから、「うすめ液(原液)」「水」中間的な性質の溶剤を作るなら「2倍割り」程度の希釈率が妥当そうです。

水割りのうすめ液では塗装面の「弾き」を防げるか?実験

それでは続いて、実際に塗料を希釈して筆塗りした時の弾き具合を見ていきますが、今回はより厳しい条件にしたいのでちょっと一工夫…
試し塗りに使う100円ショップのプラスチックスプーンにあらかじめ顔の脂を付けた指先(ちょっとキタナイですが…)で塗装面をペタペタと触って表面を脂まみれ(…!)にしておきます。

水性ホビーカラーを水そのもので希釈した場合の弱点である塗料弾きが、今回試す水割りうすめ液ではどの程度生じるのか…この悪条件の下で確かめてみたいと思います。
(まぁ実際の塗装作業では、ここまでパーツを手脂でベタベタにすることはそうそうありませんが…)

水割りのうすめ液としては、先程と同じく2倍割り3倍割りのものを用意。
今回はいずれも水性ホビーカラーの純正うすめ液を薄めたものです。

なお、便宜上ここからは「うすめ液の2倍割り(うすめ液:水=1:1)を”1/2うすめ液”「うすめ液の3倍割り(うすめ液:水=1:2)を”1/3うすめ液”と呼ぶことにします。

水性ホビーカラーを”水”で3倍希釈

水性ホビーカラーのつや消しブラックをで3倍(塗料:水=1:2)程度に薄めて、手脂ペタペタのプラスプーンに塗ってみました。
これは予想通りというか、塗装面で完全に弾かれてしまって話になりません。
3倍にまで希釈した塗料はもうかなりシャバシャバなので、この実験は油の上に水を塗っているようなものですからね…

やはり水性ホビーカラーの水希釈はダメ!ですね。
どうしても水そのもので希釈をしたい場合、もっと希釈率を下げるしか方法はないと思います。
(ちなみに、タミヤアクリルを用いる「水溶きアクリル」法では、塗料に対する水の割合は3割程度と指定されています。)

水性ホビーカラーを”1/2うすめ液”で3倍希釈

同じく水性ホビーカラーのつや消しブラックを用いて、今度は「1/2うすめ液」で塗料を3倍に薄めたものを塗ってみます。
面相筆の穂先で細かく塗ったのでかなり筆ムラは出ていますが…どうやら塗装面での「弾き」は起こらないようですね。
(もちろんプラスプーン表面が手脂ペタペタなのは同じです。)
この悪条件下でもシャバシャバの3倍希釈が普通に塗れてしまうのであれば、通常の塗装場面で弾きが問題になることはまずないでしょう。
これはなかなか良い結果が得られたと思います。

水性ホビーカラーを”1/3うすめ液”で3倍希釈

水性ホビーカラーのつや消しブラック、「1/3うすめ液」で塗料を3倍に薄めたものでも同様に実験。
プラスプーン表面は今までと同じく手脂ペタペタの悪条件ですが、こちらも塗装面での塗料弾きはありませんね。
1/3はさすがにうすめ過ぎかとも思いましたが、塗装面に塗料を馴染ませる有機溶剤としての力は充分に残っているようです。

水割りうすめ液で塗料を薄めても「弾き」は起こらない

手脂ペタペタのプラスプーンに希釈した塗料を塗ってみる実験では、「1/2うすめ液」「1/3うすめ液」ともに、水そのもので希釈した場合のような弾きは起こらないという結果になりました。

少なくとも希釈に使う溶剤の1/3程度には元のうすめ液成分が含まれていれば、3倍程度のシャバシャバ希釈でも水希釈で問題となるような弾きは起こらないと考えて良い…と思います。

水性ホビーカラーの弾き対策として「うすめ液の水割り」を使った希釈「アリ」なのではないでしょうか。

「1/2うすめ液」で筆塗りはもっと快適に…!!!

今回は”うすめ液自体の水割り”という思い付きのキワモノネタを管理人なりに真面目に検証してみましたが、これがなかなかどうして良い結果が得られたと思っています。

これまで水性アクリル系塗料の希釈というと、「うすめ液(原液)」そのものか「水」のどちらかで薄めるという固定観念がありましたが、水性アクリル系塗料「うすめ液」は、そもそもの成分表記が「水、有機溶剤」となっていますから、水の含有率を変えてやることで「うすめ液」の特性を変えることができる訳ですよね。
(当然、使用は自己責任ですが…)

細かな部分は途中の実験結果を見てもらうとして、ざっくりまとめてしまうと…
「1/2うすめ液」は水性ホビーカラーに対して「(有機)溶剤と水との良いとこ取り」といった性質を持つ、と言ってしまって良いかと思います。

・筆塗りの筆圧くらいでは下地に影響しない程度に溶解力が弱くなる。(ただし、全く溶解力がない訳ではない)
・塗料をシャバシャバ(3倍程度)に希釈しても、パーツ表面の油分には影響されず弾かれない筆塗りが可能。


といったところですね…

さらに「1/2うすめ液」で塗料をシャバシャバに希釈して筆塗りの実験を続けてみたところ、この記事の冒頭で挙げたような扱いづらさはほとんどが克服できたように感じられました。
以下、「1/2うすめ液」水性ホビーカラーを希釈し、筆塗りしてみた時の使用感です。

・「うすめ液(原液)」を使って希釈した場合よりも乾燥が遅く塗料の伸びが良い。水希釈に近い使用感。
・溶解力が弱いためか、重ね塗りを繰り返しても下地の剥がれが起きることはなかった。
・3倍以上のシャバシャバ希釈でも塗装面で塗料が弾かれることはない。
・感覚的な問題だが、適切な希釈率を把握しやすい。気がする。
 →管理人的には2.5倍希釈(塗料:1/2うすめ液=1:1.5)くらいがベスト


完全に管理人の主観ではありますが…「1/2うすめ液」を使うことで水性ホビーカラー弱点はかなりの部分で克服できていると思います。

製作中のHGUCサザビーより、塗装中のパーツ。
1/2うすめ液で2.5倍程度に薄めた水性ホビーカラーを薄く薄く、4層ほど重ね塗りした状態。
こんな塗装方法でも下地のズル剥けは一切なし!
ごく薄い塗膜を重ねていくことで筆ムラもかなり抑えられていますね。

この記事を見に来てくれた水性ホビーカラー筆塗り派のモデラーさんも、もし塗料の希釈方法で悩んでいたらうすめ液の水割りを試してみるのも良いのではないでしょうか…!

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※ちなみに、うすめ液を水で割る時は大きめのスペアボトルで作り置きをしておくと便利です。
 タミヤの容量46ccのものが丁度良い大きさで使いやすいですね。
 目盛りも付いているし、ビンの口が大きいのでスポイトを差し込みやすいのもヨシ。

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コンビニプリントで自作グラデーションペーパー ガンプラ撮影かんたんグレードアップ法

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完成したプラモをネットで公開する機会も増えた昨今…写真の印象は非常に大切ですよね。
模型雑誌に掲載されている写真などで、背景がグラデーション状になっているものを見たことはないでしょうか。

gradation-paper

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このような写真を撮影するには「グラデーションペーパー」という背景用紙が必要です。
…が、このグラデーションペーパー、結構お高い…それにかなりの大きさ!
参考まで既製品ではこんなものが見つかりました

110cmって1メートル10センチですよ、模型の写真撮影用にはちょっと大きすぎるような気がします。
このような製品は人物撮影用に考えられているのでしょうか?
もう少し小さいサイズのものを、できるだけ安く用意できないかなぁ…ということで考えてみました。
タイトルの通り「コンビニプリントで簡易グラデーションペーパー」です。
これを使って撮影すればプラモデルの写真もグレードアップするはず!

作成手順

今回紹介する手順としては以下のようになります。

1.フリーの画像編集ソフトでグラデーション印刷用のデータを作る。
2.印刷用のデータをUSBメモリ(など)に入れてコンビニのマルチコピー機で印刷する。

たったこれだけ!簡単…!
画像編集ソフトは無料で使える「GIMP」を使います。
普段使っていない人はこの機会にダウンロードしちゃいましょう。
(参考リンク:窓の杜の「GIMP」紹介ページ)←クリックすると新規タブで開きます

ちなみに印刷費用はA3用紙としてモノクロが1枚10円、カラーが1枚80円です。
全国どこのコンビニでも同じ値段設定のはず…!

GIMPで印刷用のデータを作る

それでは無料の画像編集ソフト「GIMP」を使ってグラデーションしている画像データを作っていきましょう。
GIMPを起動すると次のような画面になります。

gimp

管理人はGIMPでブログ用の画像編集も行っているため、インストール直後とは左右にあるタブの表示が少し違うかもしれません(;^_^
まずは上部メニュー「ファイル(F)」→「新しい画像(N)…」と選択しましょう。

gimp

「新しい画像を作成」が開きました。
ここで画像データのサイズを指定していきます。
あまりに大き過ぎるとファイルサイズの制限に引っかかるようなのですが、とりあえず幅:4242 高さ:3000で指定してみました。
最終的に印刷するA3規格の縦横比が1:√2なのでこのような解像度になりますよ。
ウィンドウ下部の「OK(O)」を選んで確定します。

gimp

中央の白い部分が目的の画像…この状態では真っ白な画用紙のようなものです。
ここに色をつけていきましょう。
上部メニューから「ツール(T)」→「描画ツール(P)」→「グラデーション(D)」と選択します。

gimp

マウスカーソルが上の画像のように変化するので、そのまま中央の白く表示された画像部分をまたぐようにマウスでドラッグします。

gimp

管理人の場合、以前行った画像編集で描画色と背景色が指定されていたので2色のグラデーションが表示されました。

gimp

画面左上のツールボックスに表示されている描画色と背景色を選べば、その2色でのグラデーション画像になります。
色の付いた四角の部分をクリックすると色の設定画面が開くので、好きな色を選びましょう。

gimp

「描画色の変更」画面は直感的に操作できると思います。
「HTML表記」に6桁の16進数を入力すれば、直接色を指定することもできますよ。
この機能については「HTMLカラーコード」で検索してみてください…

gimp

とりあえず汎用性の高そうな白黒のグラデーションにしてみました。

gimp

なかなか良さそうな雰囲気です。
これを画像ファイルとして保存しましょう。
上部メニューから「ファイル(F)」→「エクスポート(X)」と選び、保存場所とファイル名を指定して「エクスポート(E)」です。
JPEGの設定画面が出ますが、特にいじらずそのままで良いでしょう。
もう一回「エクスポート(E)」でJPEG画像が生成されます。

gimp

あとは色を変えたければ好きな色を指定し直して同様に保存するだけです。
今回は白青のグラデーション画像も作ってみました。

gimp

2度目以降にJPEG画像を保存するときは「名前を付けてエクスポート(X)」を選びましょう。
ちなみに…メニューから「保存(S)」を選ぶとJPEG画像ではなく、GIMPの画像形式として拡張子が.xcfで保存されます。
終了する前にこちらも保存しておくと、後から色を変えて印刷用データを作るときに便利かもしれません。

さて、ここまでできたら画像データをUSBメモリなどに入れてコンビニのマルチコピー機で印刷するだけです。
A3のコピー用紙を折らずに持ち帰る必要があるので、その方法もよく考えておきましょう。
管理人の場合は自宅のすぐ目の前にあるコンビニで印刷して、そのまま手で持って帰りました(笑)。

実際に印刷してきました!

gradation-paper

さっそくコンビニでA3用紙に印刷してきました。
プラモでもなんでも、完成品が出来上がる時はワクワクですね…!
これを使っていざ撮影…と言いたいところですが、まずは仕上がったブツのがっかりポイントから確認します。

がっかり1.印刷にスジ状の模様が入っている

gradation-paper

出来上がったものを見て、すぐに気が付いたのがこれです。
レーザープリンターの限界か…?とも思いましたが、カラー印刷した方はそれほどでもないようです。

gradation-paper

明らかにカラー印刷の青色の方がキレイに見えます。
黒のトナーは多くのお客さんが利用するので機械の内部に汚れや劣化があるのでしょうか?
コンビニのコピー機でカラー印刷をする人なんてそう多くないでしょうから、カラーの印刷の方が機械の状態が良いのかもしれませんね。

がっかり2.印刷に白い汚れが入る

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これはかなりのがっかりポイント。
印刷したものに最初から白い汚れというか、印刷されない小さい点があります。
液晶ディスプレイのドット抜けのような感覚です…
これも内部の汚れが原因でしょうか?
こちらはカラー印刷でも同様の汚れがみられました。

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いくつか店を回って状態の良いコピー機に当たれば、この不具合は回避できるのかもしれませんが…
何回も印刷を繰り返すのは出費が大きくなってしまうので現実的ではないですよね。
A3のカラー印刷は1枚80円ですよ…!
汚れが入ったのは幸いにも撮影時に映らない隅の方だったということもあり、今回はこのまま使用することにしました。

がっかり3.印刷には余白がある

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これはがっかりというか、完全に想定内。
コンビニのマルチコピー機はフチなし印刷ができません。
撮影時には紙の真ん中しか映らないので、これについては問題なしです。

撮影ブースを紹介…!

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いざ撮影…!
の前に管理人が使用している撮影ブースです。
段ボール箱の内側に白い画用紙を貼っただけですが(笑)

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外側はヨドバシの段ボールそのまま。
折りたためない形状にしてしまったので収納時に場所を取るのが難点です。
段ボールなので、面ごとに切り開いて使用するときだけ組み立てる形にしても良かったかもしれません。

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撮影ブースに印刷した紙を敷いてみました。
ペラペラのコピー用紙で心もとないので下に画用紙を引いていますよ。

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紙がずり落ちてしまわないように、目玉クリップで止めておきます。

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撮影時には4灯で照明を当てます。
カメラの設定にもよるとは思いますが、これくらいの光を当てた方が上手く写真が撮れるように感じています。

実際の撮影画像

ここから実際に撮影した画像の紹介を。
ガンプラは素組みのエントリーグレード・初代ガンダムです。

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まずは白黒のグラデーション背景から。
うーん、それっぽくなってはいますが…最大のがっかりポイントである印刷のスジが気になりますね…
これなら単色の背景の方が良いかもしれません。

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この記事の冒頭でも紹介した写真、白青のグラデーション背景です。
これは割といい雰囲ではないでしょうか?
カラー印刷ではスジ状のムラが出ていないので特に問題がないように思えます。

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比較用に白画用紙を背景にした写真を。
やはりグラデーション背景の方が雰囲気があるのではないでしょうか。
これは白い機体に白背景なのでちょっと見づらいということもありますが…

カラー印刷なら割と「アリ」かも

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と、言うことでお金をかけないグラデーションペーパー作製記でした。
コンビニコピー機の白黒印刷の品質があまり良くないことは盲点でしたね…
逆に、カラー印刷でスジなく印刷できればこの方法は割とアリかもと思いました。
模型誌に掲載されている写真のようなグラデーション背景が80円で実現できる簡易グラデーションペーパー、管理人的にはこれからのガンプラ撮影の選択肢に加えていこうと思っています。

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水性アクリル系塗料とマジックリン 塗料ビンを再生してスペアボトルを作ろう

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タミヤアクリルと水性ホビーカラー…水性アクリル系塗料の洗浄にはマジックリンが効く

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タミヤのアクリル塗料ミニとGSIクレオスの水性ホビーカラー、いわゆる「水性アクリル系塗料」と言われるこの二つ。
主流の「ラッカー系塗料」に比べて使用者が少ないこともあり、今一つマイナー感を感じてしまう人もいるかもしれません。
しかし、この「水性アクリル系塗料」には、家庭用洗剤のマジックリンで溶かすことができるという大きなメリットがあるのです。
完全乾燥した塗料にも有効、もちろんプラスチックにダメージは与えません
入手は普通のドラッグストアやスーパーなどで可能、しかも安価ときています。
水性アクリル系塗料で塗装をした後は、道具をまとめてマジックリンを吹きかければ後片付けはほぼ終了してしまいます!
これは水性アクリル系塗料が持つ他の塗料に対する大きなアドバンテージですね…!

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使い終わった塗装道具をマジックリンで洗っているところ…
これが本当に便利なんです。
ちなみに、マジックリンにも換気は必要です…
そこは仕方がないですね。

マジックリン活用法…古い塗料ビンを洗ってスペアボトルとして再利用

そんな水性アクリル系使いの必須アイテム「マジックリン」ですが、塗装道具の後片付け以外にも色々と活用ができそうです。

そこで、今回の記事ではタミヤアクリルと水性ホビーカラーの古いビンをマジックリンでキレイに洗浄してスペアボトルとして再利用できるようにしてみました。
塗料が固着したかなり古いビンも出てきましたが、果たしてどうなるか…順に見ていきましょう。

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手持ち塗料の中からスペアボトルとして再利用できそうなビンを探してきました。
中身を使い終わったものや、中の塗料が塗料が固まってしまったものなど…今から塗装に使うのは難しそうなものばかりです。
水性ホビーカラーのビンはメーカー表記がグンゼ産業(GSIクレオスの旧社名)だったり、手前一番右のタミヤアクリルには今は亡きハローマックの購入シールが貼ってあったりして年代を感じさせますね。

ちなみにハローマックって知っていますか?
2000年代頃まで、かなりの店舗数を誇っていたおもちゃ屋のチェーンですよ。
管理人の住んでいた地域では一つの街に一つ…というくらいの店舗数がありましたね。
現在ではあんなに気軽に行けるおもちゃ屋はほとんどなくなってしまいました…

古い塗料ビンはMr.キャップオープナーで開ける

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ハローマックの話はさておき(?)、ここで便利アイテムを紹介します。
GSIクレオス「Mr.キャップオープナー」…これも水性アクリル系使いの必須アイテムと言っていいくらいの素晴らしい一品です。

模型用塗料を保管しているとほぼ必ず遭遇するトラブル「ビンのフタが開かない…!!!」
特に水性アクリル系塗料の場合、開かなくなったフタの固着度合いが非常に強く途方に暮れる…というパターンになりがちです。
この「Mr.キャップオープナー」はテコの力で固着したフタを開けることができる優れもの。
使い方は柔らかい素材の青い滑り止めグリップに塗料ビンを入れ、黄色いプラ製レンチをビンのフタにはめて力をかけるだけ。
プラ製レンチの二つの穴が異なる種類の塗料ビンに適合します。
水性アクリル系塗料の場合、二つの穴がタミヤアクリルと水性ホビーカラーそれぞれに対応していますね。
クレオスにとっては他社製品になりますがタミヤアクリルのビンにも問題なく使えますよ!

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マジックリンで塗料ビンを洗浄していく

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ここから実際に、マジックリンで塗料ビンをキレイに洗っていく様子を見ていきます。
まずはタミヤアクリル、これまた古いビンです。
Mr.キャップオープナーのおかげで苦労せずフタを開けることができましたが、フタをねじ込むスクリューの部分にも塗料が固着してしまっていますね。

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ビンの中身を上から。
中の塗料は完全に固まっています。
こうなると、水性アクリル系塗料は溶剤でも溶かすことができません。
果たしてマジックリンではどうでしょうか…?

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と、いうことで早速マジックリンを投入。
後はブラシで水洗いです。

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洗い作業に使う道具です。
上は真鍮ブラシ、毛先が金属ワイヤーのブラシですね。
これでガシガシとこすります。
下はランナーの切れ端の先端を竹ヤリ状に斜めにカットしたもの。
細かく固着した塗料はこれでこすり落とします。

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いきなりですが洗い終わりです。(洗い中は写真を撮れないので…)
完全乾燥した塗料でしたがマジックリンの力で溶解してキレイにすることができました。
塊状になった塗料もマジックリンが浸透すると表面から柔らかくなるようですね。
(爪でこすると塊ごと「パリッ」とビンから剥がれました。)
それではこの調子ででどんどんいきましょう。

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次は水性ホビーカラーです。
これまた古そうなビンですね…

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中身もほぼ固まっています。
これもキレイになるでしょうか?

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マジックリンを吹きかけるの図。
先ほどのタミヤアクリルと同様に、真鍮ブラシでこすり洗いしていきます。

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キレイになりました!
完全乾燥した水性ホビーカラーも問題なくマジックリンで溶解できますね。
ちなみに、この時代の水性ホビーカラーのラベルは紙質が薄いので洗い作業の時に簡単に剥がれてしまいました。
スペアボトルとして考えたらラベルは無い方が良いので、取れてしまってちょうど良いのかもしれません。

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お次も水性ホビーカラーです。
こいつは少々手ごわそう。
と、いうのも…

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ビンの側面に塗料がこぼれて固まっています。
Mr.キャップオープナーのお陰でフタを外すことはできましたが、これもキレイになるでしょうか?

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ビンの中はこんな感じ。
少し溶剤分が残っていはいるようですが全体的に半硬化状態の塗料がこびりついています。

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再びマジックリンを吹きかけるの図。

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マジックリンの泡を吹きかけただけで塗料が溶け出しているようです。
これは期待できます!

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こちらもキレイになりました。
完全に硬化した塗料の塊はマジックリンをかけて軟化させれば「パキッ」とビンから剥がれてくれます。
このあたりはタミヤアクリルの場合と同じですね。

スペアボトル完成…!

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こうして洗い終わった塗料ビンたち。
水性アクリル系塗料に対するマジックリンの溶解力はかなり強く、完全に乾燥した塗料の塊も表面から軟化させてキレイにすることができました。
乾燥した塗料も溶かして洗うことができるというマジックリンの性質は、用具洗いの際にも心強いですね。
またプラキットの塗装に失敗した場合にはマジックリンに漬けることで塗装を洗い落とすことができるので、塗装のやり直しができる…ということも技法の選択肢として覚えておいても良いかもしれません。

さてさて…今回は廃品の再生でキレイな塗料ビンを作ることができたので大満足です。
スペアボトル自体そう高いものでもないので洗う手間を考えれば新品を買ってきても良いのですが…マジックリンの溶解力を再確認できたのは筆者にとっても意義のあることでした。
とりあえず、水性アクリル系使いはMr.キャップオープナーマジックリン、この二つは持っていて損はないですよ。

※ちなみに、マジックリン使用時は換気が必要なことに加え、保護眼鏡等と手袋の着用が指示されています。
記事中の写真では手袋を付けていませんが、素手では皮膚荒れ等の可能性もあるのでマジックリン使用時には注意をした方が良いですね。

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