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前回に引き続き、今回の製作解説は表面処理の続きです。
HGUCサザビーではビームライフルのみ「合わせ目消し」が必要なパーツ割りとなっていますね。
今回は合わせ目消しからそれに伴うディテールの修正まで、ビームライフルの表面処理を通して見ていきます。
ビームライフルの合わせ目消し
1/144スケールながら、モビルスーツの本体部分には合わせ目が出ない(!)という驚きのパーツ構成となっているHGUCサザビー。
ただし武器のビームライフル(設定上の名称は「ビーム・ショット・ライフル」)は所謂モナカ割りとなっていて、流石に処理が必要です。
それでも分割線がライフル上部の動力パイプ部分を避けるように設定されていたり、銃口が別パーツになっていたりと配慮された分割になってはいますね。
接着
それでは実際の合わせ目消しの手順について、順を追って見ていきます。
まずは貼り合わせタイプの溶剤系接着剤でガッチリと接着してしまいましょう。
接着剤をパーツの両面に二度塗りしてから「ムニュ」付けしますよ。
このビームライフルは基本的にはモナカ割りなのですが、部分的に分割線が逆エッジ部分に寄せられていてそのままディテールとして処理できる箇所もあるため、パーツの全周に接着剤を塗布する必要はありません。
パーツ構成をよく見て、接着剤を付ける部分と付けない部分を見極める必要がありますね。
接着剤でパーツ同士を貼り合わせ、接着面の「ムニュ」で分割線が埋まった状態。
まずは不足なく接着剤を塗布し、しっかりとパーツ同士の隙間を埋めることが合わせ目消しの第一歩です。
この状態で3日以上は乾燥時間を取ります。
まずは各種工具で粗削り
完全に乾燥したら、まずは粗削りです。
写真で使っているのは童友社のきさげカッターで、刃を立ててカンナ削り。
きさげは刃先に安定感があって使いやすいのですが、アートナイフでも充分といえば充分…
こちらはハセガワトライツールのモデリングチゼル。
入り組んだ部分には、このようなノミ系の工具が便利です。
ここでは刃先で切り込んで接着剤のはみ出しを削っています。
曲面のパーツは粗削りで一部分だけを平面にしてしまわないように注意が必要です。
ここではお助け工具を使ってしまいました。
シモムラアレックの「Rボコ2」というもので、パーツ表面の曲面を維持したままカンナがけを行うことができます。
見た目はただの板ですが(笑)案外サクサクと良く削れます。
入り組んだ形状や逆エッジにはスジボリ堂のテーパーダイヤモンドヤスリが便利です。
ここで使っているのは幅2.5mmの400番。
あくまでも下処理なので削りすぎないように…
こちらも同じくテーパーダイヤモンドヤスリ。
写真のように、かなり狭い隙間にも入り込んで削っていくことができます。
(参考リンク)
スジボリ堂 公式通販「テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 240番」のページ
スジボリ堂 公式通販「テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 400番」のページ
スジボリ堂 公式通販「テーパーダイヤモンドヤスリ 幅2.5mm 600番」のページ
ペーパーがけで仕上げていく
各種工具での粗削りが済んだら、やはりペーパーがけで仕上げます。
上の写真は400番のペーパーを三つ折りにしてゆるい曲面を削っているところ。
この調子で、まずは削りやすい大きな面を全周に渡って処理してしまいます。
入り組んだ面や奥まった個所はそのままではペーパーを当てることができません。
上の写真は、三つ折りにしたペーパーの角を使って小さな面を削っているところ。
つまようじヤスリも活用。
こんな狭い面にもペーパーを当てることができて便利です。
こちらは調色スティックのヘラ部分に耐水ペーパーを貼ったもの。
古典的な方法ですが、こんな場所にはやはり有効。
力もかけやすく、狭い場所でもしっかりと削っていくことができます。
さらに細かな箇所は、細かく三つ折りにしたペーパーをピンセットでつまんで削ります。
使っているのはゴッドハンドの「ニッパー型ピンセット 刃がないニッパー」という工具で、ニッパーのように見えますが…これでもちゃんとしたピンセットです。
名前の通り、本体はニッパーそのものなので普通のピンセットよりもかなり強力に対象をつまむことができ、このような使い方にも向いていますね。
ただし、(錆びが心配なので)水研ぎができないのはかなりのデメリット…!
空研ぎではすぐにペーパーが目詰まりするので、こまめに面を変えながらペーパーの削れる部分を維持して作業しましょう。
ペーパーも含め、切れ味の鈍った工具を使うのは失敗の元です!
三つ折りのペーパー片をつまんでいるところ。
この写真ではペーパーを1mmくらいの幅で折りたたんで使っていますが、このピンセットならかなりしっかりと保持することができます。
(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド ニッパー型ピンセット 刃がないニッパー 日本製 | ゴッドハンドオリジナル,ピンセット | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店
なめたエッジの修正
気を付けてペーパーがけをしていても、どうしても失敗をしてしまうこともあります。
パーツのエッジを不用意に削ったことで形状が不格好になるのもよくある失敗の一つですね。
加工に失敗したパーツを無理に削りだけで修正しようとするとパーツ形状をどんどん歪めてしまうので、削りすぎた部分はパテやプラ材などで補填してから修正をしていくことになります。
今回はパテの代わりに、盛り付けには瞬間接着剤を使います。
瞬間接着剤はタミヤのイージーサンディングという製品ですが、粘度としてはトロリとした感じ…分類的には中粘度くらいなので、高さのある盛り付けにはやや向かなそうです。
ここでは、古典的な裏技的テクニックとして瞬間接着剤とベーキングパウダーを混ぜ合わせて粘度を高めてから盛り付けを行ってみます。
上の写真はそれぞれをガムテープの上に取り出したところ。
表面がツルツルしたものなら何でも良いです。
二つを混ぜ合わせているところ。
粉の量が多すぎるとボソボソするので、添加量はほどほどに…
先ほどの写真くらいの混合比に留めておくのが無難だと思います。
混ぜ合わせるとすぐに硬化が始まるので盛り付け作業は手早く行わなければいけません。
体感で、作業可能時間は20~30秒程度…といったところです。
写真の角の部分に粉入り瞬間接着剤を盛りつけました。
元々はペーパーがけでエッジを落としてしまった部分です。
盛り付けた瞬間接着剤はものの数分で完全に硬化するので、すぐに削り作業に入れます。
切削性も良好です。
アートナイフで不要部分を大まかに削り、400番のペーパーで仕上げたところ。
修正前の写真がありませんが、欠けてしまったエッジを元通りにすることができました。
盛り付け部分の接着性、強度ともに問題なさそうです。
やや白っぽくなってはいますが、これは塗装をすれば完全に分からなくなります。
この部分はこれで完了です!
消えたスジ彫りを復活させる
パーツの合わせ目がスジ彫りなどのディテールを跨ぐ場合、一連の合わせ目消し作業でディテールが消えてしまうことがあります。
上の写真の例では、合わせ目を跨ぐようにスジ彫りがあったために、合わせ目消し後にはスジの一部が埋まってしまいました。
このままでは本来のパーツ形状を損ねているので修正をすることにします。
まずは残っているスジ彫り部分をガイドにしてアートナイフで切り込みを入れます。
少し幅のあるスジなので、V字断面をイメージして両側から切り込み、不要部分を切り取るような感じです。
一応スジは繋がりましたが、少し形が歪(いびつ)ですね。
更に修正します。
Mr.ラインチゼルでスジ彫りを整えつつ、少し深く彫り込みます。
ここで使っているのは0.3mm幅の刃先。
更に、目立てヤスリをスジに沿わせて形を整えます。
使っているのはゴッドハンドの製品で、繊細な作業ができて使いやすいのですが、ちょっと価格がお高め…
修正作業完了!
段階を踏んで工作をすることで、元のスジ彫りと彫り直した部分を違和感なく繋げることができました。
同様に、パーティングラインをまたぐスジ彫りディテールも表面処理の段階でスジが浅くなってしまうことがあります。
上の写真は目立てヤスリでスジ彫りをなぞって修正しているところ。
パーティングラインの処理程度では元のスジ彫りが完全に消えてしまうことはないので、浅くなったスジを軽くなぞるだけで大丈夫です。
このような作業にも目立てヤスリが向いていますね。
(参考リンク)
【公式通販】ゴッドハンド スジ彫りヤスリ コバ 直販限定 日本製 スジボリ モールド彫り | 工具・作業ツール,金属ヤスリ | ゴッドハンド公式 模型ツール専門店
その他、細かなディテール
細かな部分ですが、こちらは銃床にある丸モールド。
モールド自体は合わせ目を避けるように配置されているのですが、モールドの上下に隣接する部分で合わせ目消しをしたので形がやや歪んでいます。
ここも少し修正してみました。
写真では変化が分かりづらいですが、丸モールドの中を平ノミでカンナがけし、つまようじヤスリでペーパーがけをした状態。
今回は何とか修正を試みましたが、この例のように小さなモールドの整形は難しい場合も多いので、無理に直そうとするよりもパテや瞬間接着剤などでモールド自体を埋めてしまい「なかったこと」にした方が全体がキレイに仕上がる場合もあります。
(参考リンク)
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おしまい
様々な工作を経てビームライフルの表面処理が終わりました。
ガンプラの武器パーツはモビルスーツ本体以上に形状が複雑で細かく、加工が難しい場面も多いですね…
適材適所で工具を使い分けて、効率よく作業を進めていきましょう。
さて、次回も表面処理が続きます。
今度はABS製パーツのヤスリがけなど…加工に癖があるので厄介な作業過程となりますが、丁寧に加工をしていきたいところ。
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