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前回までの製作で一通りの表面処理できたので、特に気になるところがなければこのまま塗装に入っても良いのですが、今回は工作編の仕上げとして軽めに改修…ディテールアップをしてみようと思います。
部分的な改造工作となりますが、基本工作の延長でできるセオリー的なポイントに絞って見ていきますよ。
ツノの”フラッグ”を削る
まずは簡単な部分から。
写真は頭部パーツですが、頭頂部から後ろに伸びているツノ(?)の先端に安全上の配慮から余剰ブロック(通称「フラッグ」)が付いているので、これを削ります。
この「フラッグ」は、よくガンダムタイプMSの頭部V字アンテナの先端に付いていることが多いですが、細いV字アンテナの加工をする場合にはパーツを折ってしまわないように細心の注意が必要です。
今回のサザビーの場合は元々のツノも太さがあってパーツの強度も充分なので、加工の際に誤って折ってしまう危険も少なそうですね。
「フラッグ」が付いているパーツを分解したところ。
右上の「フラッグ」、余剰ブロック部分を削りますが、形状も単純なので加工も容易です。
ニッパーとアートナイフで大まかに切り取り、鉄ヤスリで微調整すれば良いでしょう。
最後はもちろんペーパーがけで仕上げますよ。
加工後の状態…この部分はこれで完了です。
ディテールアップなどでパーツの形状を弄る場合には、加工した部分がキットの元々の部分と違和感なく馴染むようにすることが重要です。
この部分は加工も容易なので自然とそのようになりますが、改造加工の基本として「加工した部分が浮いていないように」を常に心がけながら工作を進めます。
(参考リンク)
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バーニアノズル、砲口などの削り込み
バーニアの噴射口や武器の発射口なども簡単な加工で効果が高い部分です。
実物(があれば…)はシャープな形状をしているはずなので、模型でもそのように加工してやりましょう。
写真は肩アーマーの前側です。
黄色い部分に小型のバーニアノズルがありますが、噴射口の形状がダルいので削り込んでみます。
このような場所は、ピンバイスにモーターツール用の球形ビットを取り付けて削ります。
元のノズル形状がガイドになってくれるので工具を当てる場所がブレることもなく、加工の難度としては非常に低いです。
道具さえ揃えてしまえば簡単で効果が高いので、この手の加工はディテールアップ入門としてもおすすめですね。
噴射口の中央は細めのドリルで貫通させてしまいます。
ここは小さいノズルなのでなるべく細いドリルを使いたいところですが、極細ドリル刃は折れる危険も高く取り扱いに気を遣うので、ホドホドでも良いでしょう。
今回は0.5mm径のドリル刃を使っています。
最後に一回り大きな球形ビットで噴射口のフチを軽くさらって形状を整えます。
大きなビットで削りすぎると形状が大きく崩れて取り返しがつかないので、ここだけは慎重に…
上側のバーニアノズルの加工が完了した状態。
未加工の下側と比べると、形状がシャープでより立体的になっているのが分かるでしょうか。
残りのノズルも同様に加工していきます。
場所が変わって、こちらはリアのスカートアーマー。
サイドに小型のノズルが付いていますが、一体成型なのでここもディテールがダルいです。
先ほどの例と同様に、球形ビットとドリルで加工をした状態。
ノズル部分を丸ごとくり抜いて別パーツに置き換えた場合には敵いませんが、別売りパーツを使いたくない場合には有効な方法だと思います。
こちらはサイドのスカートアーマー内側、独立したバーニアのパーツ。
左側が加工後の状態、右側はキットそのままです。
やはりフチをシャープに削り込んでいます。
ここは大きめの球形ビットを使いましたが、丁度いいサイズのビットがない場合はアートナイフでバーニアのフチをぐるりと削って加工しても良いでしょう。
武器類の砲口もバーニアと同様、シャープに加工をすると実感が増します。
写真は胴体中央に内蔵されているメガ粒子砲の発射口。
砲口は黄色の別パーツになっていますが、やはりディテールが甘いのでここも削り込みます。
加工後の状態です。
中央の円形ノズル状部分は球形ビットで削り込み、中心はピンバイスで貫通…と、基本的に先に紹介したバーニアノズルと同様の方法で加工しています。
ここではさらに、外側のフチ部分も薄く削り込んでみました。
加工前よりも立体感が増したように見えるでしょうか?
順番が前後しますが、メガ粒子砲パーツの外枠を削っているところ。
アートナイフでもいいのですが、ここではクレオスの「Mr.バリ取り棒G」を使いました。
肉厚の刃先で力がかけやすいので、このような加工にも使いやすい工具です。
スジ彫りの彫り直し
スジ彫りを掘り直すのもディテールアップ加工として定番のものですね。
何もないところにスジ彫りを追加するのは難度が高いですが、キットに元からあるスジ彫りをなぞるように彫り直すだけならそれほど難しくはありません。
とはいえ、HGUCシリーズは比較的シンプルなアレンジなのでスジ彫りもそれほど多くはないですね。
今回のサザビーでも、スジ彫りディテールはリアスカートくらいにしかありませんでした。
上の写真は未加工の状態。
元からあるスジをなぞるようにしてラインチゼルで彫り込んでいきます。
元のスジ彫りがガイドになるので刃先はブレにくいですが、スジ彫り加工のセオリー通りに最初は力を入れず、撫でるような感じで彫り始めてから徐々に深く彫り込んでいくようにしましょう。
スジ彫りを彫り直した状態。
キットそのままよりも深く、シャープになりました。
製作者の考え方にもよりますが、スジ彫りの一つの理想形は「スミ入れをしなくても影が落ちる状態」です。
可能ならば、スジ彫りは貫通させるくらいの気持ちで深く彫り込んでおくと良いと思います。
おしまい
「基本工作」としてディテールアップは必要か?…という考え方もあるのでしょうが、今回紹介した内容は道具さえあれば比較的簡単に加工していける工作内容だと思います。
基本的な表面処理だけやって塗装に入ってももちろん良いのですが、”もうひと手間”をかけてあげることで作品の完成度も上がり、より思い入れのある完成品になると思います。
それでは次回も引き続き、ディテールアップ工作の続きを見ていきますよ。
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